天堂家物語を全巻無料で読む方法紹介!漫画アプリでタダ?著者:斎藤けん

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悩んでいる人
『天堂家物語』を全巻無料で読む方法が知りたい。

 

本記事はこんな疑問を解決します。

 

ご紹介する方法は、登録不要もちろん合法です。違法手段ではないので、安心してください。 

『天堂家物語』は漫画アプリ『マンガPark』で全巻無料で読める?

いきなり、結論です。

 

『天堂家物語』はこちらの白泉社が運営する漫画アプリマンガParkにて全巻無料で読むことができます。

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『マンガPark』は、大手出版社の白泉社が運営する公式アプリなので安全に利用できます。アプリをダウンロードする際もお金は一切かからないので安心してください。

 

『マンガPark 』では『天堂家物語』1巻から最終巻に収録されているすべてのエピソードを無料で配信してくれています。

 

安心安全に、そしてタダで『天堂家物語』を全巻読破したい方は『マンガPark』を使う方法が最もお得です。

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『マンガPark』は課金してもお得に読める!

『マンガPark』では基本的に無料で読める作品が多いですが、最新刊が発売されたばかりの作品などはアプリ内で購入できる『コイン』が必要です。

 

↓『コイン』が必要な作品。

 

実は、この『コイン』はアプリ内でお得に、そして簡単に購入することができます!

 

例えば、1100円分の『コイン』を購入した場合、1100円分の『コイン』に加えて、アプリ内で使用できるボーナスコインが200円分付与されます

 

つまり課金しても、お得に漫画を読めるのです!

 

購入方法もキャリア決済で簡単に購入できるため、わざわざ書店に行って漫画本を購入する手間が省けます。

 

『マンガPark』では1日に無料で読める話数に限りがあるので、うまく『コイン』を購入して読む方がストレスなく読み進められますよ!

 


 

漫画アプリに関して言うと、集英社が運営する少女マンガに特化した漫画アプリマンガMeeやスクウェア・エニックスが運営するマンガUP!も特にオススメです。

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以下のような有名作品が随時、更新され無料で読むことができます。

 

『マンガMee』で無料で読める主な作品一覧
  • この音とまれ!
  • ヒロイン失格
  • ハニーレモンソーダ
  • 美食探偵 明智五郎
  • ダメな私に恋してください
  • 雛鳥のワルツ
  • 虹色デイズ
  • 高校デビュー
  • 俺物語
  • 青空エール
  • 素敵な彼氏
  • ごくせん
  • アシガール
  • 椿町ロンリープラネット
  • NANA
  • アオハライド
  • センセイ君主
  • シュガーズ
  • 僕に花のメランコリー
  • 乙女椿は笑わない
  • ひるなかの流星
  • メイちゃんの執事
  • 初×婚(ういこん)
  • これは経費で落ちません
  • ハル×キヨ
  • 悪魔とラブソング
  • 雛鳥のワルツ
  • きょうは会社休みます
  • ストロボエッジ
  • デカワンコ
  • G線上のあなたと私
  • ママレード・ボーイ
  • 菜の花の彼-ナノカノカレ-
  • 花より男子
  • 消えた初恋
  • 銀魂
  • ケダモノ彼氏
  • 宇宙を駆けるよだか
  • ちびまる子ちゃん

などなど…

 

『マンガUP!』で無料で読める主な作品一覧
  • 無能なナナ
  • 遺書、公開。
  • 幸色のワンルーム
  • 薬屋のひとりごと
  • 俺ガイル
  • 渋谷金魚
  • ハイスコアガール
  • 咲-saki-
  • アカメが斬る!
  • ゴブリンスレイヤー
  • 魔王学院の不適合者
  • クズの本懐
  • 好きな子がめがね忘れた
  • 魔女の旅々
  • 神達に拾われた男
  • 裏世界ピクニック
  • 地縛少年 花子くん
  • 不器用な先輩。
  • ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか
  • ホリミヤ
  • 弱キャラ友崎くん

などなど…

 

「無料でマンガを楽しみたい!」という方は『マンガPark』と併せて使ってみてはいかがでしょうか?

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次に『マンガPark』の使い方(システム)を簡単にご説明します。

 

『マンガPark』の基本的な使い方

『マンガPark』に掲載されているマンガを無料で読むには、アプリ内アイテムである『FREEコインボーナスコインを活用することになります。

 

(左がFREEコイン、右がボーナスコイン)

 

簡潔に言うと『FREEコイン』『ボーナスコイン』などを使うことで、1日1作品において、13話分以上のマンガを無料で読むことが可能です。

 

『天堂家物語』も例外なく1日に13話分以上の話数を読み進めることができます。

 

以下では『マンガPark』で使うアプリ内アイテム『FREEコイン』『ボーナスコイン』のそれぞれの使い方、取得方法を詳しく説明していきます。

『マンガPark』のFREEコインとは?取得方法と使い方を解説

FREEコインとは?
  • FREEコインとは、アプリ内でマンガを無料で読むために必要なアイテム
  • 朝6時、夜9時に120FREEコインずつ配布される(1日に計240FREEコイン)
  • 30FREEコイン消費で好きなマンガを1話分、無料で読むことが出来る

以上が簡単なFREEコインの取得方法と使い方の説明です。

 

1話につき30FREEコインが消費されるということは、

1日に配布される240FREEコイン÷1話につき消費される30FREEコイン=8話分

つまり毎日、配布される計240FREEコインを使って1日に8話分の作品をタダで読めるシステムがFREEコインです。

 

但し1点だけ注意があり、FREEコインを120以上貯めこむことは出来ません

 

朝6時に120FREEコインが配布され、その120FREEコインを使わずに夜9時を迎えたとしても新たに120FREEコインが加算されることはありませんので注意が必要です。

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『マンガPark』のボーナスコインとは?取得方法と使い方を解説

MP+(マンガポイントプラス)とは?
  • ボーナスコインとは、アプリ内でマンガを無料で読むために必要なアイテム
  • FREEコインがなくなってしまった場合でもボーナスコインを使うことで好きなマンガを1話分、無料で読むことが出来る
  • 『マンガPark』新規ダウンロード特典で900ボーナスコイン(30話分)が付与される
  • 毎日、短い広告動画を見るだけで30ボーナスコイン(1話分)が付与される(1日に2回このシステムが使える)

以上が簡単なボーナスコインの取得方法と使い方の説明です。

 

下の画像のように『マンガPark』新規ダウンロード特典では、900ボーナスコイン30話分)が無料配布されます。

 

そして毎日、短い広告動画を視聴することで30ボーナスコイン1話分を取得することが出来ます。

毎日0時と12時の2回、広告動画を見てボーナスコインを獲得できます。つまり毎日、60ボーナスコインを取得できるということです。

短い広告動画の見方は、アプリを起動すると画面右下にピンク色のプレゼントマークが出てくるので、それをタップします。

するとCMを見てコインをGETというボタンが表示されるので、タップして短い広告動画を視聴します。(広告を見ずに流してるだけでもOK!)

たったこれだけの労力で、30ボーナスコイン(マンガ1話分)が手に入ります。

 

やらない手はありませんよね(^^)/

短い広告を見てボーナスコインを獲得できるシステムは毎日、夜0時と昼12時に回復します。

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『FREEコイン』『ボーナスコイン』以外で1日3話分のマンガを読む方法

先ほど紹介した『FREEコイン』『ボーナスコイン』が0ポイントになってしまった場合でも1日に3話分のマンガを無料で読むアプリ内システムがあります。

 

その仕組みがコチラ。

 

読みたい”話(はなし)”のページへ飛ぶと、「CMを見て無料で読むと表示されます。これをタップし広告動画を視聴することで新たに1話分のマンガを無料で読むことが可能となります。

3回分この仕組みを使ったら翌日0時にリセットされ、また利用できます。

 

以上の事から『マンガPark』は、1つの作品において、1日に最低でも13話分以上ののマンガを無料で読むことのできるかなり気前の良い漫画アプリであることが分かります!

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『天堂家物語』読者の評価や感想は?

 

『天堂家物語』あらすじ紹介!

名家でありながら「生きては出られぬ」と囁かれている天堂(てんどう)家の令息、雅人(まさと)の下へ嫁ぐ為にやって来た伯爵令嬢の鳳城蘭(ほうじょう らん)は、名も無き少女が彼女に扮した偽者でした。

 

今は亡きとある老人に山で育てられ、人を助けることを生き甲斐とする少女が天堂家にやって来た目的はただ1つ。

 

人を助けて死ぬこと。

 

「じっちゃん」と慕っていた育ての親である老人を亡くし、生きる意味を失くした少女は、胸を張ってあの世のじっちゃんに会う為に人助けをして、その結果死ぬことを望むというのです。

 

そんな少女を面白がった雅人は、少女を本物の鳳城蘭の身代わりとして傍に置き、自分に仕える書生である立花修一郎(たちばな しゅういちろう)と共に、自分の目的の為に利用しようと考えます。

 

「鳳城蘭になること」は自分の考える人助けではないと思い、最初は雅人の所業を拒む少女でしたが、追い詰められながらも雅人の人となりを知る内にある想いが芽生え始めます。

 

少女の願いと雅人の野望が叶う時、そして2人の想いが重なる日は来るのでしょうか。

『天堂家物語』見どころ紹介!

見どころ①:少女の覚悟と令息の野望

主人公である名無しの少女は当初、亡くなった育ての親である老人の後を追うため、死ぬことを望みました。それもただ死ぬだけでは駄目です。命を粗末にしなかったとあの世で胸を張って老人に会えるように、少女は「人を助けてから死にたい」と考えるようになります。

 

体術に優れており、文字通り命が惜しくない少女は、血腥い噂がある天堂(てんどう)家の中にも恐れず踏み込みますが、そこで出会った美しい青年は、噂などでは量りきれないほどに恐ろしい人でした。

 

天堂雅人(まさと)は美しくも残酷で、殺された母親の復讐という己の目的の為に少女の帰る場所を奪い、強引に傍に置きます。少女はそんな雅人に反発しながらも彼から目が離せず、惹かれてしまいます。

 

雅人の方も、彼女に対する好奇心や独占欲ばかりが先立って少女を傷付けることの方が多いですが、本心を隠さず接することが出来る少女への気持ちは純粋な好意へと変化していきます。

 

少女の中では雅人を慕う気持ちが、雅人の中では少女を大切にしたい気持ちがそれぞれ育ちますが、少なくとも雅人の方は自分の気持ちを認めたがらないため、2人の想いはなかなか通じ合いません。

 

そうこうするうち、雅人の心が分からなくても良いと先に覚悟を決めたのは少女の方でした。

 

それまで自分が生きる意味を見出せなかった死にたがりの少女は、自分の命を雅人を救う為だけに使うと決めるのです。

 

雅人はその覚悟を受け取り、2人はどこか歪な形ながらも新しい関係を築いていきます。

 

そしてそんな少女と雅人がすれ違いながらも、ゆっくりとお互いを想う気持ちを近付けていく様子には目が離せません。

見どころ②:2人を狙う悪意や陰謀、そして執着

天堂家の人間でありながらも天堂家の多くの人間から疎まれており、敵の多い雅人ですが、同時に両親譲りの美貌が様々な人間を惹きつけます。

 

特に雅人の父親・貴人(たかと)の妹であり雅人の叔母にあたる操(みさお)という女性は、雅人に貴人の面影を重ねて彼を寵愛します。

 

雅人の従妹である晶(あきら)という少女も雅人の美しさに惹かれ、彼の婚約者である「鳳城蘭」を殺してまで雅人を手に入れようと画策しました。

 

そのように雅人にとって迷惑な感情を押し付けてくる女性陣相手に、少女は雅人を守る為に立ち向かいます。その際に彼女が垣間見せる雅人への純粋な恋心は、雅人の心を揺さぶります。

 

一方、死に時を求める偽の花嫁である少女もまた、そのおかしなまでの純粋さが一部の男に興味を持たれます。

 

雅人以外で初めて「人を助けて死にたい」という少女の望みを知ったのは、2巻で登場する鴉(からす)という隻眼の殺し屋。

 

彼女のことを面白がった鴉は、少女に自分と共に来るように誘い、それからも少女に執着して度々登場します。意志が固く、彼になびくことの無い少女と鴉による戦闘シーンは少女漫画らしからぬ見応えがあります。

 

「鳳城蘭」を殺す為、晶に代わって暗躍する彼女の双子の弟・周(あまね)も少女に関わってきます。

 

早々に彼女が「鳳城蘭」の偽者だと気付いた周は、少女を殺しはせず、監禁して自分に従わせようと少女を誘惑します。監禁状態から抜け出そうと足掻く少女と、自分の立場の制限を振り切って少女を助けに行く雅人の互いを想うゆえの行動には、不穏な状況下ながらもときめいてしまうこと間違いなしでしょう。

 

このように数多の障害を乗り越えていく2人の絆は勿論、ここでは軽く紹介した登場人物達の個性の強さも是非楽しんでお読みください。

見どころ③:思わずホッとする幕間の日常

死にたいと願う少女と復讐を動機に生きる雅人が中心人物である『天堂家物語』は、終始シリアスな雰囲気で物語が展開されていきます。

 

時には流血沙汰の事件が起こることも。

 

その中でも日常というものは存在します。

 

同じ建物で生活するようになった少女と雅人ですが、主に雅人の横柄な態度が原因で、少女は都度都度雅人から逃げようとします。

 

そんな風に衝突を繰り返す2人を止める書生の立花(たちばな)という図は、なにかと不穏な作中におけるちょっとした癒しポイントでもあります。

『天堂家物語』登場人物紹介!

偽の鳳城蘭(ほうじょう らん)/らん

赤ん坊の頃に山で捨てられていたところを、とある老人に拾われた名無しの少女。

 

「じっちゃん」と呼び慕っていた老人と2人きりで滅多に山を下りない生活を送ってきたため、一般的な女らしさは欠けていますが、老人の「困っている人のことは身を挺してでも守れ」という教えもあって、体術を使いこなす強さと優しい心を併せ持つ人間に成長しました。

 

その性格は少しおかしいくらいに素直で純真無垢。老人の死後は彼の後を追う為に首を吊りましたが幸か不幸か失敗し、それでも老人との再会を夢見て「人を助けてから死ぬ」ことを目標とします。

 

ある日、恐ろしい噂がある天堂(てんどう)家に嫁ぐことを拒んで身投げした伯爵令嬢・鳳城蘭を救い、事情をろくに追及もせず彼女の身代わりとして天堂家に向かい、蘭の婚約者である天堂雅人(まさと)と出会います。

 

そして蘭を逃がした責任を負って彼女になりすますことを命じられ、天堂家で生活するようになりました。

 

最初の内はあの手この手で強引にこちらを従えようとする雅人と窮屈な天堂家での暮らしを嫌がりますが、雅人の美貌と迫力に圧されながらも、彼が隠し持つ繊細な事情を垣間見る内に、雅人に惹かれていきます。

 

彼女の大元の目的はあくまで「人を助けて死ぬ」ことでしたが、やがて生い立ちゆえに敵の多い雅人を守り、4巻で起きた事件で彼を凶刃から庇って本当に死にかけた際には、初めて「雅人様の傍にいたい」と願いました。

 

そして一度雅人と離れ離れになったことをきっかけに雅人を想う自分の気持ちを見つめ直し、名無しだった少女は「鳳城蘭」として雅人の為だけに生きることを誓います。

 

守られる側ではなく守る側として活躍する少女・らんは、少女漫画の主人公としては異色と言えます。しかし雅人を意識するようになり、自分の見目を気にするようになっていく姿はとても可愛らしいので必見です。

天堂雅人(てんどう まさと)

誰もが見惚れる美貌を持ち、性格は不遜で冷酷無慈悲。まだ現代でいうところの高校生という年齢ながら、非常に肝の据わった青年です。

 

天堂家の直系男子ですが、特殊な生い立ちゆえに本当の意味で味方と呼べる人間がおらず、天堂家の離れで一見慎ましく暮らしていながらも、心の中では天堂家に対して大きな負の感情を抱いています。

 

今でこそ天堂の姓を名乗っていますが、元々はそうではありませんでした。

 

「門をくぐれば生きては出られぬ」と噂されている裕福な旧家の天堂家。雅人はその中でとびきり優秀な人物であったという天堂貴人(たかと)と、身分差ゆえに存在を隠されていた内縁の妻・ちづるの間に生まれ、ちづると同じように天堂家の者には認知されないまま育ちます。

 

幼い頃より父の顔も知らずにいたものの、雅人とちづるの世話を貴人に命じられた立花(たちばな)という男性に支えられ、明るく逞しい少年へと成長しました。

 

しかし軍人であった貴人が戦死し、遺書により雅人の存在が天堂家に知られます。

 

紆余曲折の末、雅人は天堂雅人として、疎まれながらも天堂家に迎えられることとなりましたが、ちづるが首を斬られて惨殺され、犯人が他でもない天堂家の人間だと気付いた彼は復讐を決意。その為の足掛かりとして、華族(貴族)の令嬢である鳳城蘭と婚約関係を結びます。

 

しかし、やって来た鳳城蘭は偽者でした。天堂家に縁もゆかりも無い、おかしな願いだけを持つ名無しの少女。最初は好奇心のような感情から彼女を傍に縛り付ける雅人でしたが、共に過ごすうち、様々な意味で少女を意識するようになります。

 

けれども自分で認めるほどに天邪鬼な性分の雅人は、らんへの想いを上手く伝えられません。自分の身を省みず何度も危険な目に遭うらんに対して独占欲ばかりが先走る雅人の強引な行動は、読者によって好みが分かれるかもしれませんが、だんだん可愛く見えることも無くはないので、らんの反応と共に注目していきたいところです。

立花修一郎(たちばな しゅういちろう)

雅人に忠実に付き従う書生(住み込みの雑用係のような立場の人)。物腰柔らかい男性ですが立ち振る舞いに隙が無く、雅人の敵と見なした者に容赦がありません。

 

若い頃に戦場で左手を失った元軍人でもあり、今は義手をつけて生活しています。

 

軍人時代の上官であった雅人の父・天堂貴人をとても尊敬しており、彼の命令によって雅人の母・ちづると、やがて産まれた雅人の世話をずっと務めてきました。

 

雅人には実の父親以上に慕われていましたが、立花自身は雅人が貴人の息子として天堂家で裕福に生きることを望みます。そして、その考えがちづるの死を招いてしまいました。

 

今でもそのことを悔いており、雅人の復讐に協力することを固く誓っています。

 

普段はなにかと喧嘩しがちな雅人とらんの貴重なストッパーであり、作中の数少ない良心と言えるでしょう。

 

『天堂家物語』序盤ネタバレ紹介!

第一話 「偽の花嫁」

――私があさはかだったのです。

 

軍服と軍帽をきっちり着こなした美しい青年を前に、少女は震えながら跪き、青年に声をかけられるまで顔を上げることも出来ませんでした。

 

「遠くからわざわざ天堂家に御足労だったが、鳳城(ほうじょう)家の御令嬢には、左目の下にほくろがあるそうだ」

 

青年は自分の『花嫁』を値踏みするような恐ろしい笑みを浮かべて、左目の下にほくろが無い目の前の少女を見据えます。

 

「偽物、どういうことか話せ」

 

少女は半日前に起こったことを話し始めました。

 

少女が川で洗濯をしていると、綺麗な着物を着た女性が流されてくるではありませんか。

 

少女が慌てて川に飛び込み心肺蘇生を施すと、女性は水を吐いて意識を取り戻しましたが、「死ねなかった」と涙をこぼします。そんな女性に、少女は何があったのか話すように促しました。

 

女性は鳳城伯爵家の三女・蘭(らん)と名乗り、自分が天堂雅人(てんどう まさと)という人の下へ嫁ぐ為に馬車で天堂家に向かっていたことを話しました。

 

しかし天堂家では今、先代当主が亡くなったことによる跡目争いが勃発しており、それに巻き込まれれば命の危険すらあるということです。

 

「そんな恐ろしい目に遭うくらいなら、死んだ方がましだと……」

 

語りながら涙する蘭を前に、少女はその肩を両手で押さえて言いました。

 

「死ぬ必要はありません。私が服を交換してあなたの代わりに天堂家へ向かいますから、あなたは逃げてください」

 

「そんなことをしたら、あなたの方こそただでは済まされないのでは……」

 

突然の申し出に戸惑う蘭。しかし少女はむしろ明るく微笑み、蘭の手を握りました。

 

「私のことは大丈夫です。いつかきっといいことがありますから、まずは辛くとも身を隠してお逃げください」

 

少女に励まされ、蘭は更に涙をこぼしながらお礼を言うのでした。

 

そして半日後。語り終えた少女に、本物の鳳城蘭の婚約者である天堂雅人は眉一つ動かさず、しかし疑念に満ちた声でこう尋ねます。

 

「嘘を吐くな、本当の目的を教えろ」

 

「今のが本当の話です」

 

「理由も無く赤の他人を助けるような馬鹿などいないだろう」

 

「私がそうです」

 

少女は自分の生い立ちを話し始めました。自分が名も無き赤ん坊の頃に山に捨てられ、御一新(明治維新のこと)で活躍したとある老人に拾われ今まで生きてきたこと。その『じっちゃん』の「自分の身を犠牲にしてでも人を助けろ」という教えに従い、今回もそうしたということ。だから、蘭を助けた結果ここで死ぬことになっても本望だということ。

 

話を終えた少女の前に、雅人は背中に差していた短刀を置きました。

 

「その話を信じて欲しければ、今ここで死ね」

 

突然の提案に少女は一瞬息を呑んだようでしたが、短刀を鞘から引き抜くと覚悟を決めて目を閉じ、躊躇い無く切っ先で自分の喉を突こうとします。

 

しかしそれは、雅人の手のひらによって阻まれました。ギリギリのところで切っ先が刺さった雅人の手から血が滴り落ち、和室の畳を汚します。困惑しつつも手当てをしようと近付いてきた少女を拒絶し、雅人は傷口を布で押さえながら笑いました。

 

「まさか本当にやるとはな。約束通り、お前の話を信じてやる」

 

そう言って、雅人は部屋の窓を開けて少女に逃げるよう促しました。自分を殺さないのかと問う少女に、雅人は「俺は天邪鬼だからな」と告げます。

 

「死ぬ覚悟を持っているのであれば、殺すのは逆に口惜しい」

 

尚も戸惑う少女でしたが、少女を無視するように上着を脱ぎ始めた雅人の様子を見てようやく窓から外に出ました。

 

目だけで雅人の方を振り返っても、雅人と目が合うことはありませんでした。

 

そして翌朝。山にあるぼろぼろの自分の家で目を覚ました少女は、昨日自分が身代わりになる為に蘭と交換した豪華な着物が部屋にあるのを見て、あれは夢ではなかったのだと笑いました。

 

「じっちゃん、昨日は凄いことが起こったんだよ」

 

枕元に置いてある位牌に対し、少女は親しげに昨日の出来事を語ります。畑作業をしながらも、少女は雅人のことと、彼が死ねと命じた筈の自分を庇って怪我をしたことを気にかけていました。

 

その日の夜。布団に入った少女はあることを思いついて起き上がりました。

 

「じっちゃんの秘伝の薬があれば、手の怪我も早く治るんじゃないかな!」

 

そうと決めた少女は早速、雅人の下に薬を持って行こうと家を出ます。

 

「私のすばしっこさは、いつも叱ってばっかりのじっちゃんも褒めてくれたじゃん」

 

大丈夫だと少女は位牌に笑顔を向けました。

 

「もしそっちに逝っちゃったら、そのときはまた叱ってね」

 

そうして天堂家に忍び込んだ少女は、誰もいない部屋の中で途方に暮れていました。薬をただ置いて行くだけでは、それが何か分からないかもと考えたからです。

 

どうしようかと思案した少女の首に、突然背後から何者かの腕が巻き付きました。その手には剃刀が握られています。

 

「鳳城蘭、悪いが死んでくれ」

 

一方、廊下を歩いていた雅人は部屋から物音を聞きつけ、襖を開け放ちました。

 

そこには昨日逃がした筈の少女が立っており、更にその傍には気絶した大男が倒れています。

 

どう見ても少女が大男を倒したと思わしき光景に一瞬目を奪われた様子の雅人でしたが、すぐに我に返って刀を抜き、蘭に突きつけました。

 

「お前は何者だ。何故わざわざ戻って来た」

 

「護身術はじっちゃんに習ったんです。今日は手の怪我に効く秘伝の薬を持って来ました」

 

「薬?」

 

「ガマの油汁です」

 

刀に臆する様子も無く、袖から小さな壺を差し出した少女を無視して雅人は問い掛けます。

 

「お前は馬鹿か、死にたいのか?」

 

その言葉に、少女は初めて動揺したように自分の目的を明かし始めました。

 

自分を育ててくれたじっちゃんが死んだとき、この世に何の未練も無いと思って首を吊ったこと。

 

しかし縄を掛けた部屋の天井の梁が折れたことで死にぞこない、それが命を粗末にしようとしたことに対するじっちゃんの怒りによるものだと思ったこと。

 

「だからせめて、じっちゃんが許してくれる死に方で――人を助けた上で死のうと思ったんです」

 

話を終えた少女相手に、雅人は大声で笑い出しました。少女の行動理由を面白がる雅人は膝をつくと、少女の顎を持ち上げてこう言いました。

 

「死にたがりのお前に最高の死に場所を用意してやる。これからお前は鳳城蘭だ」

第二話 「お茶会」

軍服を着た雅人はとある一室にて、着物を着て椅子に座り、猫を抱く美しい女性へ、昨夜の侵入者について報告をしていました。鳳城蘭の無事を尋ねる女性に、雅人は彼女が「顔に傷を負った」と説明します。

 

「身ひとつで親に売られた上にそんな目に遭って、かわいそうに。お金が無いって惨めだと思わない? 雅人」

 

「操(みさお)叔母様には縁の無いことでしょうね」

 

雅人の言葉にくすくすと笑った操は立ち上がると、雅人にゆっくりと近付いてきました。

 

「きっともう長くはない義人(よしと)と、義人に似て病弱な長男。下の子はまだ若い。天堂家の当主に一番相応しいのはあなた……」

 

操が雅人の膝、胸に手を添えます。

 

「貴人(たかと)お兄様さえ生きていれば、お父様は貴人お兄様に家を継がせていたのに」

 

操は恍惚とした目で、雅人の顔にまで手を這わせました。

 

「本当にあなたって、お兄様に似ているわ……」

 

そこで雅人は、唇に触れた操の指先を噛みました。操が痛がっている隙に雅人が部屋を出て行くと、残された操は貴人の名前を呼びながら、雅人が座っていた座布団に突っ伏します。

 

雅人が唾を吐きながら自分の部屋に続く渡り廊下を歩いていると、突然目の前に全裸の少女が飛び込んできました。

 

目が合った途端、少女は声無き声を上げてその場に蹲ります。雅人がそのように恥じらう少女の様子を面白がって髪を触っていると、書生の立花(たちばな)が嗜めにやって来ました。

 

立花は雅人の命令通り、抵抗する少女に身支度をさせると、雅人の部屋に連れて来ました。

 

綺麗な着物を着て髪を結い上げ、口紅も施されて着飾りはしたものの、服に着られている感が否めない少女の姿を、雅人は「見事な七五三」だと笑います。それに対し、少女は耐え切れないといった風に雅人に詰め寄りました。

 

「何が『最高の死に場所』ですか!『鳳城蘭になれ』と言われたと思ったら簀巻きにされて、今日はこんな格好させて……」

 

訳が分からないと憤慨する少女を睨みつける雅人。「頭が高い」と短刀の鞘で少女の頭を押さえつけると、少女の問いにこう答えます。

 

「明日(みょうにち)、この家で叔父が茶会を開く。そこで鳳城蘭の身代わりをしてもらうが、顔は隠すしお前は何も喋らなくていい。ただ直人(なおと)叔父様は何か良からぬことを企んでいるだろうから、俺を助けろ」

 

少女が思い描く人助けとは違う人助けをしろと言う雅人に少女は困惑しますが、もし雅人の顔に泥を塗った本物の鳳城蘭を見つけたときはただでは済まさないと言われ、ますます困り顔になりました。

 

少女が身代わりを務める代わりに本物の鳳城蘭には酌量の余地を与えると言われ、少女は渋々雅人の言う通りにするのでした。

 

その夜、鳳城蘭の身代わりとして自分も『蘭』と呼ばれることになった少女は、立花に自分達が今いる場所について簡単な説明を受けます。

 

「この建物は天堂家の離れで、母屋とは西の渡り廊下でのみ繋がっておりますが、雅人様のお許しが無い限り母屋に近寄ってはいけません」

 

「……はい」

 

穏やかながらも有無を言わせない立花の言葉に、蘭は気後れしつつも頷きました。その後、蘭が昨日一昨日出入りした裏門の周りには獰猛な番犬が普段いることを教わり、蘭は明日に備えて家のものとは違うふかふかの布団に入ります。

 

「これも人助けなのかなあ、じっちゃん……」

 

そして翌日。テーブルセットが用意された庭では、雅人の叔父である直人が招待客と談笑していました。

 

「直人さん、今日のお茶会には例の甥御さんがいらっしゃるんですよね?」

 

「ああ。生意気にも伯爵令嬢と婚約したらしいからな、とびきりのお祝いを用意したのさ」

 

上品な出で立ちをしていながら少し下世話な話題で盛り上がる直人達の下に、雅人と蘭がやって来ます。

 

直人を始めとした面々はぎょっとして、布と仮面で顔を隠した『鳳城蘭』を見ました。面を取れと怒鳴る直人をなんとかやり過ごし、お茶会が始まります。

 

話題の中心にいる雅人は、直人の馴れ馴れしい態度を露骨に嫌がりながらもそつなく会話をこなし、蘭も「話しかけられても笑って誤魔化すんだ」という雅人の指示をなんとか実行して、相手から距離を置かれつつもお茶会の時間を恙無く過ごしました。

 

「皆さん、楽しそうですね」

 

「金を食い潰すことしか頭に無い奴等ばかりだ。くだらない」

 

やがてお茶会も終わるという時分に、直人からプレゼントがあるということで雅人が呼び出されます。応じようとした雅人を、蘭はプレゼントが置かれているテーブルの前に落とし穴が隠されていることを勘づいて止めに入りました。

 

雅人は呆れて落とし穴を避けようとしますが、蘭は直人の体裁を考えると落ちなくてはいけないのだろうかと躊躇してしまいます。

 

そのとき、焦れた直人が蘭の腕を掴もうと勢い良く身を乗り出しました。思わず蘭が避けると、直人の方が目の前の落とし穴に頭から落ちてしまいました。

 

「あらやだ、直人さんたら……」

 

お茶会に招待された面々は思わず爆笑し、お茶会の時間はある意味賑やかなまま終わりを告げました。

 

「す、すみません。私のせいで……」

 

離れに戻った蘭は、雅人に自分の失態を詫びます。しかし雅人は愉快そうに笑って蘭の頭を撫でました。

 

「実に楽しい茶会だったじゃないか。よくやったな、蘭」

 

不敵さが無く爽やかな雅人の笑みに、蘭も頬を染めながら頷くのでした。

 

その夜。着替えた蘭は見張りが誰もいないことを確認し、外に出ました。褒美を取らせるとは言われたけれども家に帰すとは言われなかったため、今の内に逃げようと思ったのです。

 

裏門には番犬がいますが、蘭はお茶会のあった庭の塀の近くに大きな樹があることを思い出し、それを伝って外に出ようと庭にやって来ました。

 

しかしそこで何者かに足首を掴まれ、蘭は転んでしまいます。見れば、酔っているのか酷く顔を赤くした直人がいました。

 

直人が面白半分に蘭の顔を見ようとするのを阻止していると、直人は機嫌を悪くして地面に落ちている割れた瓶を取り上げます。

 

「どいつもこいつも、ぶっ殺してやる……」

 

そのまま蘭に向けて振り下ろされた瓶の破片は、なんと突然現れて蘭を庇った雅人の脇腹に刺さりました。

 

雅人に気付き、そんなつもりでは、と大慌ての直人は、今度は背中から先程の落とし穴に落ちてしまいます。

 

助けを求める直人を嘲笑う雅人を見上げながら、直人はこう叫びました。

 

「俺は知ってるぞ、雅人! お前がこの家を滅茶苦茶にしようとしていることを……!」

 

「元々壊れているんだ、壊して何が悪い」

 

雅人はそう笑うと、直人を無視して蘭の手を引き、離れに戻ろうとします。が、途中で蘭の肩に凭れかかってしまいました。蘭が地面を見ると、そこには予想以上の量の血が滴っています。

 

「傷が深いのではありませんか」

 

「平気だ。この程度で、俺が死ぬわけには……」

 

心配する蘭をよそに雅人は自分に言い聞かせるように呟きましたが、そのまま倒れてしまいました。

 

十日後。蘭の世話の甲斐あって順調に回復した雅人は、お茶会の褒美を蘭に取らせようとします。

 

「家に帰らせてください!」

 

ただそう望む蘭に、雅人は本物の鳳城蘭がまだ見つかっていないことを告げました。そこを突かれると弱い蘭は顔を青くして、自分の命ならすぐに差し上げられると言いますが、何故か雅人は舌打ちします。

 

「ここでの暮らしは、山奥のお前の家と比べてどうだった」

 

「こちらの方が快適ですが、それが何か……?」

 

「チッ」

 

またも舌打ちした雅人の言いたいことが分からず混乱する蘭に、控えていた立花が助け船を出しました。

 

「雅人様は、蘭様に自分から申し出て欲しいことがあるんです」

 

立花の言葉に、蘭は雅人の不機嫌そうな顔を見ると、得心がいったという顔をして、深々と頭を下げました。

 

「すみません、頭が高かったですよね」

 

雅人の真意を全く読み取れていない蘭の反応に、雅人が「大馬鹿者!」と怒鳴ります。そののちに、蘭は本物の鳳城蘭の身代わりになることを再び命じられるのでした。

第三話 「帰りたい」

朝。目隠しを施された蘭は、棒を構える立花と向かい合っています。

 

棒を振りかぶった立花が襲いかかりますが、蘭は素早く棒を受け流して立花を倒してしまいました。

 

じっちゃんから教わったという蘭の体術の腕前から、じっちゃんも相当の実力者だと考えた雅人と立花は、じっちゃんの名前や武術の流派について質問しますが、蘭は「知りません」と答えるばかり。

 

他にも弓術と棒術、薬法や蘇生法なども習ったと言う蘭に雅人達が感心すると、蘭もまたじっちゃんのことを誇らしげに語りました。

 

その後、雅人は俥(くるま)で学校に行き、その間に立花は蘭に鳳城蘭の身代わりとして作法と教養を身につけさせようと話を始めますが、そこに蘭は頭をついて懇願しました。

 

「お願いします、家に帰してください!」

 

「……それは雅人様に仰ってください」

 

立花も困ったように答えると、蘭のお陰で最近楽しそうにしているという雅人の為に、蘭にここにいて欲しいとお願いしてきます。

 

「天堂家に雅人様の味方はいません。おひとりで戦っておられる雅人様にとって、あなたの存在はとても心強いものになっているでしょう」

 

立花にそう言われても蘭の心は変わらず、蘭はその日の夜に雅人へ直談判しに行きました。

 

「私にとっては、じっちゃんとの暮らしが一番いい暮らしなんです」

 

蘭の願いに返事することは無く、雅人は蘭に顔を上げるように言います。

 

蘭は怖いと感じつつも、美しい顔立ちと不思議な色の目をしている雅人から目が離せません。

 

雅人に見惚れていた蘭でしたが、雅人と目が合った瞬間我に返り、部屋を出て行こうとしました。しかし雅人は彼女の着物の裾を踏んで転ばせることでそれを阻止します。

 

「今日は俺の部屋で寝ていけばいい。お前の気が変わるかもしれんぞ」

 

蘭の手を握って笑いかけてくる雅人の誘いを慌てて断り、蘭は今度こそ部屋から出て行きました。その様子を雅人は笑いながら見送りますが、蘭の心中は穏やかではありません。早く帰りたいという思いが強まるばかりでした。

 

翌日。立花は蘭を簀巻きにして部屋を出て行きましたが、蘭は事前に割った窓ガラスの破片であっという間に自分を巻いた布団と縄から抜け、天堂家から逃げようとします。

 

すると、離れと母屋を繋ぐ渡り廊下を歩く雅人と、それを追いかける直人の姿を見つけました。

 

昨日のことを問い詰めようとする直人へあくまで笑顔で対応する雅人に、直人は歯噛みします。

 

「貴様が貴人兄様の子である筈がない……!」

 

怒鳴りつけて母屋の方へ帰っていく直人を黙って見送る雅人を見つめる蘭の脳裏に「雅人様はおひとりで戦っておられる」と言う立花の言葉が過ぎります。

 

「雅人様……」

 

呟く蘭の背後で、突然物音がしました。その正体に悲鳴を上げた蘭に気付いた雅人が走り寄ろうとすると、何かが勢い良く雅人の肩を掠めます。

 

それは裏門の番犬でした。獰猛な目付きで涎を垂らし、明らかに正気ではありません。犬を何とかしなければ動けないことを察した雅人は蘭に期待の目を向けましたが、蘭は「犬は苦手です」と怯えて縮こまってしまいます。

 

呆れた雅人は上着を脱ぐと、犬に立ち向かおうとしました。

 

「俺はこの家の中で負けることは出来ない!」

 

そう言い放った雅人に何を思ったのか、蘭は怯える心を抑えて自分がやると言い出しました。犬に勝つことが出来たら家に帰すと約束して欲しいと言う蘭に、雅人は「やってみろ」と発破をかけます。

 

そして大口を開けて襲いかかってきた犬。その口の中に、蘭は簀巻きの状態から脱出したときに持っていた窓ガラスの破片を突っ込み、一言だけ謝ってから喉を裂きました。

 

「雅人様」

 

返り血で顔と手を汚した蘭はそんなことを気にも留めず、家に帰す約束の為に犬を倒せたことを喜びながら雅人の下に駆け寄りました。

 

しかし雅人は自分の頬にまで飛び散った犬の血を拭いながら、「『約束』はしていない」と冷たく言いました。その瞬間、蘭はぼろぼろと泣き出してしまいます。

 

その様子はあまりにも真剣で、逆に困惑した雅人が蘭の肩を引き寄せると、蘭はその胸に顔を寄せて泣き続けました。

 

後日、少女は荷物を纏めて天堂家を出ることを許されました。一方、少女を見送った雅人と立花は本物の鳳城蘭の行方について話し合います。

 

手掛かりすら見つからない状態で、代わりの女を用意するかと問うた立花に、雅人は少女がじっちゃんに拘るあまり大泣きしたことを思い出しながら、こう言って笑いました。

 

「あれが俺のものになったら面白そうだ。これから、どうしてやろうか」

第四話 「生きる意味」

家の庭で畑を耕していた少女は、一区切りしたところで休憩することにしました。地べたに座り、もう会うことも無いだろう雅人達の話をじっちゃんの位牌へ飽きもせず繰り返します。

 

やがて休憩を終えてもう一仕事しようと張り切る少女の耳に、何か物音が聞こえてきます。

 

振り返ると、目の前で馬が嘶きの声を上げながら止まりました。びっくりして尻餅をつく少女の前で、雅人が馬から降ります。

 

少女に構わず家の中に入った雅人を一応もてなしながら、少女がここに来た目的を尋ねると、雅人はにっこりと笑って、お茶会のお礼をしに来たのだと理由を明かしました。

 

少女と雅人は街に出ることに。物珍しそうにきょろきょろと辺りを見回し、うろちょろと勝手に動き回る少女に辟易しながらも、雅人は少女を呉服屋に連れて行って綺麗な着物に着替えさせました。

 

その後喫茶店に連れられ、生まれて初めて食べるアイスクリンに驚く少女を軽く笑ったりなどしながら、雅人は少女に今まで一体何人助けてきたかなどを訊きます。

 

死にたいと願いながらも人を助けて生きる術に長けている少女に、人を助けて死ぬなど不毛だと雅人は言いますが、少女は自分が生きていても何の意味も無いのだと静かに返しました。

 

「雅人様には死ねない理由があるんですよね?」

 

今度は少女の方から雅人に問いを投げかけます。

 

「知りたいか?」

 

にやりと笑う雅人に、少女は教えてもらうには条件が必要なのだろうと察しました。それに対して、雅人は意外だと感心します。

 

「山の爺に育てられた猿娘の癖に、結構察しがいいんだな」

 

「じっちゃんも私も猿じゃありません!」

 

顔を真っ赤にして怒る少女にまたも笑いながら店を出た雅人は、まだまだ付き合えと少女を誘いますが、少女は嫌な予感がするからと家に帰ることを希望します。一見おかしなことを言う少女ですが、雅人は「それでこそ手に入れ甲斐がある」と笑うばかり。

 

不思議に思う少女は、そのとき街の人があることを噂していることに気付きます。

 

ある山で火事が起こっているという話を聞いた瞬間、少女はなりふり構わず駆け出しました。息を切らせた少女が家のある場所に戻ってくると、なんと家が燃えています。

 

じっちゃんの位牌がまだ中にあるからと火の中に駆け寄ろうとする少女を、雅人が羽交い絞めにしました。

 

「離せ!」

 

業を煮やした少女が雅人の腕に思い切り噛みつきましたが、雅人は笑ったまま少女に目の前の景色を見せつけます。

 

「よく見ておけ。お前の執着が焼け落ちるのを」

 

やがて天堂家の部屋に戻された少女の下に、軍服を着た雅人が訪ねてきて目の前に位牌を投げ落としました。少女が手を伸ばそうとすると、雅人は位牌を足で踏みつけます。

 

「この……!」

 

涙ぐみながら雅人を睨みつける少女の前で、何故か雅人は手袋、軍帽、上着を脱ぎ、シャツのボタンまでもを外し始めました。

 

「俺を憎めばいい、蘭。死んだ人間を想うよりもマシだろう」

 

逃げようとする少女を押し倒し、雅人はその眼前に手のひらを突き出しました。そこには、少女と初めて会ったときの刺し傷の痕が残っています。

 

脇腹には直人に刺された傷、腕には少女に噛まれた痕。全て、少女を庇ってついた傷です。雅人は、その傷に対する責任を取れと言ってきました。

 

「死ぬなら俺を守って死ぬんだ、蘭」

 

「は……」

 

その迫力に呑まれた少女が返事をしようとした時、部屋の戸が開いて食事を持った立花がやって来ます。

 

立花は少女に覆い被さる雅人の姿を見て顔を青くし、無言で戸を閉めて出て行きました。

 

後日。庭の木の根元に位牌を置き、そこに花をお供えした蘭は、手を合わせて決意を新たにします。

 

蘭の目的はひとつ。雅人を守って死に、晴れてじっちゃんの下に逝くこと。

 

「あと、じっちゃんの位牌を踏んだ雅人様には絶対仕返しします」

 

力強く誓った蘭を呼ぶ雅人の声に気付き、蘭は去り際にじっちゃんの位牌に笑いかけました。

 

――早く会いたいです、じっちゃん。

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