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『アイアムアヒーロー』3巻は漫画アプリ『マンガワン』で読める
いきなり、結論です。
『アイアムアヒーロー』3巻は、こちらの小学館が運営する漫画アプリ『マンガワン』にて無料で読むことができます。
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『アイアムアヒーロー』3巻が『マンガワン』にて無料で読めると言いましたが、この記事を執筆している現在では第1巻から最終22巻まで全巻無料で読むことができます。
安心安全に、そしてタダで『アイアムアヒーロー』を全巻無料で読破したい方は『マンガワン』を使う方法がベストです。
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追記:漫画『アイアムアヒーロー』は、こちらの漫画アプリ「マンガBANG」にて全巻無料で配信中です。2022年7月9日までの配信ですが、配信期限が延長させることもあるので、ダウンロードして確かめてみてください。
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『アイアムアヒーロー』3巻 ネタバレ紹介!
第23話
感染したサラリーマン男性が隣の車両から奇声を発し扉を叩き続けます。
猟銃に銃弾をセットし、勇ましい目つきで銃を構える鈴木英雄(すずきひでお)。
しかし現実に戻ると、その手には何も無く所持している猟銃は背中に担いだまま。
英雄お得意の妄想です。
その姿に冷めた視線を送る中年女性。
我に返り恥ずかしくなった英雄は指を鳴らしリズムを取ってごまかします。
「ふ~危ない。公共の場で銃を出したらそれだけで銃刀法違反になるぞ。」
「俺には関係ない。何せ俺は脇役だから…」
そう独り言を話す英雄の数メートル先で、別車両からやってきたサラリーマン男性と若年男性が揉めています。
しかし何やら様子のおかしいサラリーマン男性。
怒鳴りあげる若年男性をよそにサラリーマン男性は突然若年男性に飛び掛かります。
車内に鈍い音が鳴り響きます。
一瞬の出来事に若年男性は額から血を流し膝から崩れ落ちます。
若年男性の額にかじりついたサラリーマン男性はその肉片を咀嚼します。その顔には血管が浮き出ていて、正常な状態ではないサラリーマン男性。
車内の乗客は異常に気づき始めます。
「おい お前。」
凶行に及んだサラリーマン男性の近くに座っていた、恰幅の良い中年男性が声をかけます。
しかし振り返ったサラリーマン男性は、今度はその中年男性に飛びかかります。
中年男性は咄嗟に背負い投げを仕掛け、サラリーマン男性を地面に叩きつけます。しかし中年男性は背負い投げを仕掛けたその一瞬の伱にサラリーマン男性に耳をかじられます。
「おいっ!誰か手伝ってくれっ!」
サラリーマン男性を抑え込む中年男性。
「何?痴漢?マジむかつくよね。警察呼べよ。」
乗客の女子高生達もまだ事態を軽くみているようです。
英雄の近くにいた中年女性は英雄に向かって言います。
「ほら、あんた行きなさい。」
え?と言う表情で英雄は「いやぁ、僕、徹夜で寝てないんで。熱もあるみたいだし。す、すごく疲れてるんで。」と、言い訳をします。
その間サラリーマン男性を抑え込んでいた中年男性の様子が突如変化します。
目は血走り、突然走り出し乗客の女性の顔面にかじりつき、何度も女性を殴打します。
ようやく事態の重さに気づき始めた車内の乗客達はそれぞれが座席を離れます。
「車掌さんドアを開けて!」
「電車を止めろっ!」
「何か変な奴がいるっ!」
しかし変貌した中年男性は奇声を上げながら、車掌の元へと集まる乗客達の方へ視線を向けます。
恐怖に駆られた中年女性が英雄に言います。
「ホラ、男が前に行きなさいよ!!」
背中を突き飛ばされた英雄は独り言を話します。
「か、かまれたら終わりだ。」
そう言うと英雄は「確か熊に襲われたら、首をガードして亀になるって…何かに書いてた…ような…」
そう言って地面にうずくまりその言葉の通り亀の状態になり一言呟きます。
「…アイ アム ア…ヒーロー。」
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第24話
食人鬼と化した中年男性は、うずくまった英雄を踏み越えてその後ろにいた中年女性に襲いかかります。
その咄嗟の行動で危険を回避した英雄は恐る恐る顔を上げると、先程のサラリーマン男性が今度は女子高生に襲いかかっています。
悲鳴をあげる乗客達。
呼吸が荒くなる英雄。
そこへ乗客の一人の男性が勇気を振り絞り、変貌した中年男性へ飛びかかり恋人に逃げるように言います。
しかし中年男性は飛びかかってきた乗客を抱えて電車の扉を破壊し、車外へと飛び出します。
乗客達の訴えに反応した車掌は、入門市(いるもんし)という駅にたどり着いたところでようやく車両の緊急停止をします。
ホームへなだれ込む乗客達に紛れて英雄も走り出します。
騒然とする駅内。必死に逃げる英雄はそんな異常事態の最中でも、改札口でICカード乗車券を使おうとしてしまいますが、やはりそんな余裕は無く「とりあえずおいときます。すみませんっ」と独り言を発しカードを置いて走り出します。
「駅から離れるんだ」
大雨の中、英雄は入門市駅からタクシーに乗り込みます。
「と、とりあえず出てくださいっ」と運転手に伝えますが、とある男女が「大怪我をしているからタクシーに乗せてくれ」と懇願してきます。
そこへ更にもう一人切羽詰まった様子の黒人男性が「Hey Stop!」と、こちらも緊急で病院に行きたいのでタクシーに乗せてほしいと言うことで、英雄は日本人男女、黒人女性と共に出発することになります。
「朝から交通事故とかで大変なんですよ。電車も止まってるみたいだし何かあったんですかね。」と話す運転手に、日本人男性は「通り魔だよ。電車の中でたくさん人が噛まれたんだよ。俺たちも。」と、右目を負傷している日本人女性は感染者に右目を噛まれた様子です。
英雄は不安げな表情を浮かべます。
運転手が病院を探すために本部へ連絡するも、通信状態に異常がみられ連絡をとることができません。
そこへ黒人男性が英語で「横田基地に病院があるから第5ゲートまで行け」と言います。
運転手は横田基地へタクシーを走らせます。
しかし英雄は同乗している女性だけならず、日本人男性も感染者に腕を噛まれたことを知ることになります。
第25話
「一体いつになったらあの女と別れるわけ…何年待ってると思ってんの?」
「何度も言ってるだろ、順番があるんだって」
タクシー車内で日本人男女が話をする中、英雄は「やばい、どうする…」と呟き、タクシーの扉が開けられるかどうか試みますがロックがかかっています。
英雄は運転手に「僕は漫画家なんですが。今度タクシードライバーを主人公に漫画を書こうと思って取材しているんですが、後部座席のドアって客は勝手に開けれますか?」と尋ねます。
しかし運転手は「無理ですね。(運転席の)レバーで操作してます。」と言い、英雄は自力で扉を開けて車内から脱出することは不可能と知ります。
そこに日本人男性が話しかけてきますが、英雄はその表情に異変を感じ取ります。
何事も無く返答する英雄ですが、話し続ける日本人男性は瞳孔が開き、血走り、言動も何度も同じことを繰り返したり、いよいよ言葉にもなっていない奇声を発し始めます。
またそれと同時に隣に居る日本人女性も同じように奇声を発し始めます。
横田基地に到着し、黒人男性はドアを開けるように運転手に訴えます。しかしその表情は日本人男女と同じように異常を来しています。
黒人男性は基地内の隊員に奇声を発し、何やら訴えかけますが、隊員は「近づくな」と明らかに異常な状態である黒人男性に銃口を向けます。
それでも興奮状態の黒人男性に、隊員は発砲し黒人男性はその場に倒れ込みます。
驚いたタクシー運転手はアクセルを踏み込みその場を離れます。
後ろでは横田基地で巨大な爆発が起き、黒煙が上空に舞い上がります。
運転手は横田基地から離れ、八王子の病院に向かうと言いますが英雄は「あ、あの運転手さん、僕ここで降ります。おいくらですか?」と尋ねます。
すると運転手の「ここら辺は降りないほうがいいかも…です。」と言う言葉で英雄が車の外に目をやると、街では逃げ惑う人々や、それを追う感染者でパニックの状態となっています。
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第26話
上空には自衛隊航空機が飛び、地上では至る所で爆発が起き黒煙が舞っています。
英雄の乗車しているタクシーの一つ前の車両が、飛び出してきた感染者に激突し反動でタクシーの天井に落下します。
運転手は人を轢いてしまったと気が動転しますが、英雄は「げ、厳密には車の天井にぶつかっただけなんで、轢いてはいないから大丈夫でしょう…」となだめます。
その間にも隣に座っている日本人男性の状態は、ますます悪化していきます。
英雄は人が少ない所に行った方がいいから、高速に乗ったらどうか?と運転手に提案し、運転手は承諾します。
運転手がラジオをつけると、スピーカーから「戸締りを……絶対に開け……」「政府は……緊急に……」と、通信状態は悪くても国全体で異常事態が発生していることが分かる内容が聞こえてきます。
運転手と会話をする英雄。運転手は「ゴールデンウィークで来ている孫が昨日から風邪を引き寝込んでるが、急に乱暴になって足を思い切り噛んだ」と言います。
すると隣の日本人男女が共食いを始めます。
暴れ回る二人に運転手は「暴れると降りてもらいますよ!」と注意しますが、構わず激しく暴れ回る二人に耐えかねて運転手がドアレバーを引き扉が開くと、英雄は食人鬼と化した二人を車外に蹴り落とします。
振り返ると日本人男女は後続車に巻き込まれます。言葉が無い英雄と運転手。
その瞬間、前方から感染者の運転する車が逆走し迫ってきます。
「お客さん!!シートベルト!!」と英雄に発する運転手ですが、すでにその身体にも感染ウィルスは回り始めていて、正常な言動は勿論のこと運転もままならない状態に陥り車は正面衝突します。
第27話
大事故の中、英雄はシートベルトをしていたおかげで助かります。
タクシー運転手は完全に食人鬼と化した状態で、フロントガラスに頭から突っ込みましたが顔面を激しく揺らし暴れています。
慌ててシートベルトを外し窓から脱出した英雄。
その直後ガス漏れを起こしていた車体が爆発します。食人鬼と化した運転手は激しく燃え上がりながらもタクシー料金を伝えると、英雄はこのような状態でも「あの、これ…ここに置いておきます」と所持金の2万円を地面に置き、立ち去ります。
タクシーを降りた場所は、富士山近くの遊園地周辺でした。
「高校の修学旅行でも行ったんだっけ。2年のクラス替え直後で…もともと人見知りなのに、友達もできなくて辛かったなぁ…」
人の少ない場所を目指し息を切らしながら移動していると、高速道路非常口の地下通路出入口に辿り着きます。
「生き残った…」
英雄は地下通路内に降りていき、ようやく休憩をとります。
第28話
夜は更け、巨大な蛾に驚き英雄は目覚めます。
時計に目をやると【20:14】
「8時間も寝てたのか?危ねえあいつらが来たらアウトじゃねえか。移動しないとヤバいぞ。」
地下通路の出口を出ると、寒さに震えながらも英雄は雨が止んでいることに気がつきます。
くしゃみを繰り返し、また体中の痛みから、風邪を引いたかも…と心配になります。
遠くに見える街並みからは、あらゆる場所から黒煙が立ち上がっています。車道に車は見当たりません。
「どーする、街に行くべきか?いやいや、やっぱり一夜明けるまでは人気のない所にいよう…」
道中ポケットの中からティッシュを取り出そうとすると、大切に保管していた黒川徹子(くろかわてつこ)
通称てっこの歯が地面に落ちてしまいます。
英雄は暗闇の中、てっこの歯を見つけることができません。
英雄は感染したてっこを自らの手で葬り去ったことを思い出して、涙を浮かべ呟きます。
「ごめんなぁ…てっこ…」
更に歩を進め、英雄は林道を行きます。
すると案内看板を発見し、真夜中の森に視線を向けます。
極度の怖がりである英雄。そうでなくとも恐ろしげな夜の森です。英雄は、「こわ……でも路上より森の方が…やっぱり安全だよな…」「次あいつらに捕まったら…多分俺は、もうダメだ…」「……今は絶対に街の方が怖いって。」意を決して英雄は森の中に入っていきます。
吹き抜ける風の音に驚きながらも、スマートフォンの液晶の光を頼りに少しずつ歩みを進めていきます。
英雄が呟きます。
「あ、あい…アイ…アム…ア、ヒーロー…」
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第29話
「まんっまんっまんっ あ そーれ♪」
恐怖心を紛らわせる為に英雄は歌を歌います。
「…もう1時間を経過したか…」
しかしスマートフォンに目をやると、実際にはまだ5分しか経っていません。
英雄は銃を抱えた状態でうずくまり、猟銃のメンテナンス用具や付属品を周囲に並べて魔除け代わりにします。
「全然大丈夫。全く怖くないぞ。大体昼間の方がはるかに怖かったろ。俺の妄想なんて屁みたいなもんだ。」
まともに食料も無い中、英雄は妄想に浸ります。
「…何食べたい?天ぷらそば。立ち喰いがいいよね~」
「俺が金持ちになったら、フランス料理の立ち食いチェーン店を作ってやる。390円でフルコースが食べられるようにして…」
などと考えていると、スマートフォンのバッテリーが残りわずかと言うことに気が付いてしまいます。
バッテリーが充電切れに近付くにつれて、月の光も雲に隠れ始めます。
そしていよいよ全ての光は消え去り、英雄に漆黒の闇が訪れます。
極度の恐怖心から呼吸が荒くなる英雄。
「おちつけ おちつけっ すっすぐ目がなれる、大丈夫!」
しかし微かな物音にも過敏に反応してしまいます。
「おちつけぇ おちつけぇ」
「考えるなっ 考えるなっ」
「朝になったらすぐ出ますんで。だから魑魅魍魎の人達、俺に絶対近づかないで。」
しかし英雄の恐怖の妄想は次第に膨れ上がっていきます。
第30話
妄想しないと思えば思うほどに妄想してしまう英雄。まさに目の前にその物体が見えていると勘違いしてしまう程の妄想力です。
【木陰から覗く白い顔】
【浮遊する霊体】
【巨大な目玉の肉片の化け物】
その度に目を逸らし、自分に言い聞かせます。「俺 大丈夫っ 俺 大丈夫っ。これは妄想です。こんな妄想よりはっきり言って昼間の出来事の方がはるかに強かったんだ。」
「さすが現実。俺の想像をはるかにこえてた。…結局何だったんだろうあいつら?」
しかし止まない妄想。
英雄は独り言を続けます。
「落ち着け、だいたい俺は霊感がないんだ。全ては自分の心の中にある極端な恐怖心…ただ、それだけ。」
「だいたい矛盾だらけなんだよ心霊現象は。まず基本的に霊は人間…いや、えーと 陸上哺乳類限定と言うのが納得できない。たとえば…」
恐怖心を紛らわすためにひたすら言葉を発し続ける英雄ですが、目を開けるとどうしても恐ろしい妄想を思い浮かべてしまいます。
「だめだっ。目を開けてると妄想してしまう。…どうする?目を閉じるべきか?」
目を閉じる英雄。
すると視界か、もしくは脳内のイメージか。現在いるはずの森ではなく、アスファルトの側溝や、英雄の自宅内の映像が浮かび上がります。
英雄のシルエットが言葉を発します。
「えー 英語ではヒーローなんですよ。でも、ヒーローではないです、すみません。」
英雄の潜在意識の表れでしょうか。続けて、てっこと思われる人物の声が。
「…英雄くんの家って、なんでいつも知らない人がいるの?」
後ろ姿のてっこが呟きます。
「なんで殺されなきゃなんないの?…まだ生きてたのに。」
「…英雄くんかわいそう、たったひとりだ。」
恐らくは英雄自身の心から生まれた言葉。英雄は強烈な孤独感に襲われます。
森の中で英雄が、か細い声で呟きます。
「…誰かいませんか?…助けて。ひとりはいやだ…」
すると英雄の手に、何者かが優しく手を重ねます。
第31話
夜が明けます。
いつの間にか眠っていた英雄が目覚め、辺を見渡します。
「…朝だ。おっしゃ勝った!」
テンションの上がる英雄。しかし自分の寝ていた場所に目をやると、見知らぬジャケットを発見します。また周囲に並べていた猟銃の付属品も片付けられています。
「…誰かいる…のか?」
荷物をまとめて出発の準備をします。しばらく歩き、時計を見ると【6:47】
英雄は「東海自然歩道」という看板を見つけます。
「ここは富士の樹海なのかな?」
英雄は武器代わりに木の枝を拾い、感染者対策として腕に先程のジャケットを巻きます。
すると尿意を感じ木陰へ行き、用を足します。
しかしそこへ女性の声が
「あの…」
慌てふためく英雄。なかなか小便が終わりませんが、女性は話し続けます。
「…向こうで、寝てた人ですよね?すみません…ティッシュを貸してもらえますか?」
慌てながらも英雄は木陰に隠れたまま、女性にティッシュを渡します。どうやら女性も用を足していた様子です。
終えた二人がようやく顔を見合わせると、およそ10代くらいの少女が立っています。するとニコっと微笑み、言います。
「…うん、生きててよかった…」
第32話
英雄と遭遇した女子高生、早狩比呂美(はやかりひろみ)が樹海にやってきた経緯である回想シーンから始まります。
「紗衣ちゃん大丈夫っ!?」
ゴールデンウィーク中の林間学校に来ている比呂美。同級生の紗衣は、感染した女教師に右手を噛まれました。
部屋に戻った比呂美と同級生3人。談笑する中、紗衣がここ周辺は富士の樹海なので肝試しをしようと提案します。ジャンケンで負けた人が自殺者を写メで撮ってくるというゲーム。
最初はグーでというルールの元ジャンケンをしますが、比呂美以外は「最初からパー」を出し比呂美を騙します。
「ギャハハハハ はいっ決定ねっ!」
比呂美は言います。
「え、あの…最初はグーって言ってたよね…」
すると同級生3人は、「別に誰も賛成してねーじゃん。」「いるんだよね。後から文句言う人。」「比呂美ちゃん空気読もうよ。」
比呂美は仕方なく樹海へ向かいます。宿舎を出て薄暗い山道を進んで行きます。
「うん、まぁいっか…部屋にいるよりは、まだいいや。」
大人しい性格で地味な印象の比呂美ですが、夜道でも特に怖がることもなく度胸があります。
比呂美には小栗真司という彼氏がいて、道中休憩をしながらメールチェックをして楽しみます。
その時森の中から声が聞こえます。
「…声聞こえた…?」
「なんだか楽しくなってきたぞ」と比呂美は歩を進めます。
公衆電話を見つけて自宅に電話をかけてみますが、繋がりません。
「ま、いっか」
表情にも少しワクワクしている様子が伺えます。
森の方へ耳を澄ましてみると、微かに声が聞こえます。
「…やっぱり人の声がする…」
深い森の闇へと入っていく比呂美。月の光も届かなくなります。
「ふーん真っ暗…こんなとこで死ぬの、私はやだなぁ…」
すると聞こえてきた声が、先程より大きく聞こえます。
第33話
声がする方へ進む比呂美。しかし聞こえなくなります。耳を澄ましてみると、風の音や葉の音が聞こえてきます。
「夜の森もいろんな音がするんだ…」
「んー 生きてる。」
「私はこっちの方が、ずっと落ち着くな…」
比呂美にとって同級生といる教室は、あまり居心地の良くない場所だったようです。
再び声が聞こえてきたので進んで行くと、比呂美はうずくまった英雄を発見します。
「いた…どーしよ真司くんに男と話すなって言われてるしな。」
近づくのを躊躇する比呂美。英雄は比呂美に気づかず独り言を言っています。
「だいたい俺は全く霊感がないんだ。」
「悪いのは…世の中だって…俺じゃないって。」
「俺は悪くない…」
英雄の情けない独り言を聞いていると比呂美は不愉快な気持ちになり、英雄へ歩み寄ります。
比呂美が近づいても全く気づかない英雄は、「助けて…誰か…こわい…誰か…」
その言葉に比呂美は、英雄の手にそっと自分の手を重ねます。
しばらくすると英雄は眠りにつきます。英雄の猟銃の付属品を片付けて、その場に座る比呂美。
「もう消灯だし先生にバレてないといいけど。」
「…でも自殺しようとしている人…やっぱりみのがせないもんな…起きたら説得しよう。」
夜が明けます。回想シーンから、英雄と比呂美が初顔合わせをしたシーンに戻ります。
「うんうん。生きててよかった…」と比呂美。続けて、「私みたいな若い人が言っても全然説得力ないし、人生いろいろあると思うんですけど、やっぱり自殺は良くないと思うんです。」
すると英雄は、「え!?いやいや自殺しにきたんじゃないですよ。」「俺どっちかっていうと、英雄(ヒーロー)です。」
第34話
「ヒーローです。」
英雄の言葉に、比呂美は苦笑いを浮かべます。すると英雄は恥ずかしくなります。
英雄は自分が森にやってきた経緯を、比呂美に伝えます。
英雄が自殺するためにやってきたわけではないことを理解した比呂美ですが、「この近くに病院があるんで行きませんか?ちょっと怪我してるみたいだし、さっきの話だと頭とか打っているかも。」と、英雄が見てきた未曾有の事態を信じていません。
もう一度詳細を話す英雄ですが「…昨日、かなりうなされてたから…そういう夢を見たんですよ。」と、比呂美。
「明らかにおかしいこと言ってるもんな、俺。…ホント夢なら最高なんだけど。」
しかし英雄の手の平には、てっこに噛まれた跡がいまだしっかりと残っています。
森の中を進んで行く英雄と比呂美。すると比呂美が人らしき姿を発見します。
「誰かいます。…動かないな…見てきますね。」
比呂美はためらうことなく確認のため近づいていきます。
するとその姿は首を吊った自殺者でした。
「こんな所で死ぬんだから、多分見られたくなかったんだろうけど、でも、ずっと立ちっぱなしはしんどいだろうから降ろしますね。」
そう言って比呂美が遺体に近づきます。
すると英雄が何やら地面に落ちている紙を見つけます。そこにはこんな文章が、
【自分が自分でなくなってる コントロールがきかない 死ぬ死ぬ 死んでなかったら殺してくれ】
「えっ!?」
英雄の声に振り向いた比呂美の後ろで、遺体がズルリと動き始めます。
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