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『NANA－ナナ－』21巻 ネタバレ紹介！
第78話
-記者、カメラマンサイド-
レンを追いかけていた記者、菅原と三宅は、レンが自宅に突っ込んだシーンを目の当たりにします。
菅原はショッキングな場面に思わず固まってしまいますが、三宅はとまどいながらもアクセルを踏みます。
レンの事故が、追いかけていた自分たちのせいにされてしまうと、三宅は通報しようとする菅原を止め、雪でレンを見失ったと上司に連絡させようとします。
そして上司からカメラマンの倉田に連絡が入ります。
三宅と菅原がレイラの自宅付近で待機しているからレンの自宅を張れと命令されます。
結局菅原達は、見失ったことにして事なきを得たようです。
倉田がレンの自宅に向かうと、普通じゃない光景が目に入ります。
夜で暗いのと、雪で視界が悪いのとで、なんだ？という顔をしながら車を降りる倉田。
近づいてみて、倉田は車が家に突っ込んでいることを確認します。
「レン！」
倉田は叫びます。
-ハチ、タクミサイド-
ハチがナナのためのバースデーケーキを作っている場面から始まります。
ソロ活動を始めたばかりのナナを励ますために、ハチはレンと共に、ナナの滞在先である大阪に向かう約束をしていました。
ハチが考える、ナナへの一番の誕生日プレゼントでした。
ナナの喜ぶ顔が早く見たい―
ハチがタクミの部屋に入ると、タクミは起きていました。
レンの脱退表明、レイラの失踪を同時に受け、タクミは「トラネスはもう終わりだ」と投げやりです。
ハチはそんなタクミに、メンバーのレンやナオキの言葉をタクミに伝え慰めなんでも一人で決めてしまうタクミを諫めます。
「家で飯作ってるだけのお前に何が分かるんだよ」
タクミはハチを怒鳴り付け再び横になります。
そんなタクミに、事務所の社長から電話が鳴ります。
そしてレンが事故にあった、と伝えられます。
電話を切ったタクミからハチにも伝えられます。
タクミの様子から状況が深刻であることを理解するハチ。
レンを止めるべきだったんだ、と、後悔します。
すがるように、「レンは大丈夫なんだよね？」とタクミに尋ねるハチと答えないタクミ…
なんで黙るの？―
-ブラストメンバーサイド-
ノブが寮のベッドでギターを抱いて眠っており、物凄いギターのサウンドに目が覚めます。
耳を塞ぐほどの音量でしたが、ノブの部屋のオーディオからの音ではありませんでした。
どこからともなく聞こえる大音量にノブは困惑します。
そんなノブを、シンが麻雀の誘いをしに来ます。
ノブはシンに、さっきのギターの音について尋ねますが、心当たりがないよな返事を返します。
その後麻雀中、ヤスも美羽もノブが聞いたギターの音は聞いていないと言います。
そんなやりとり中、ヤスの携帯にタクミから電話が入ります。
そして、ナナ以外のブラストメンバーにも、レンが死んだことが伝わります。
-ナナ、銀平サイド-
レンの死が関係者に伝わっていたころ、ナナはソロの仕事でラジオの生放送に出演していました。
大阪からでは地元までの飛行機も出ておらず、ナナはレンの元に駆けつけることが出来ない状態でした。
銀平とヤスが電話し、今後の仕事をキャンセルすること、本番終了直後にナナをホテルの部屋に直行させること
そして先に報道でナナがレンの死を知らないよう、テレビ、ラジオはつけないことを決めました。
そしてヤスが大阪に向かい、ナナにレンの死を伝えることになりました。
銀平がナナに仕事がキャンセルになった話をすると、ナナは不満そうにしています。
「今夜はバースデーイブなんだし、部屋でのんびりお酒でも飲みましょ」とナナをなだめます。
それを聞いてナナは思います。
のんびりなんかしてられない。
期待しちゃうから
おっせかいなハチがレンを連れて来てくれるかもしれないって―――
レンの死を知らされていないナナは、そんな期待をしてしまうのでした。
-トラネス、ブラストメンバーの故郷にて-
タクミ、ハチ、ブラストのメンバーが飛行機でレンの故郷に到着しました。
泣いていて動けないハチを、タクミは色々やることがあるからと同じ飛行機に乗っていた美羽に任せます。
いつか見たいと思っていた
大好きなみんなが生まれ育った町
こんな理由で来たくなかった
美羽に身を預けながらハチは泣いていました。
ブラストとトラネス一行は、タクシーでレンの病院に向かいます。
ハチは、ナナのそばにいてあげなきゃ！と大阪に行くと言い出しますが、すでに引き返せないこと、今はヤスに任せておけば大丈夫だとノブに説得されタクシーに乗り込みます。
タクシー内でも、私が引き止めていれば、と自責の念からハチはうつむきます。
そんなハチを、ノブは「レンはうれしかったと思う。おまえは悪くない」とハチを慰めます。
-レンの病院-
病院では皆がうつむき、悲しみに暮れています。
この時、ナオキからの電話でレイラにもレンの死が伝わります。
そんな中タクミと社長と警察官とで、葬儀や遺体の確認の話になっていました。
遺体確認は、タクミと社長ですることになっていましたが、俺がこの場で一番付き合いが長いから、とノブも確認に同行することになりました。
レンにかかった布を開いた途端、本当にレンが死んだ実感と、遺体の損傷の惨さで、ノブは直視できず踵を返してしまいます。
タクミもショックを隠せない表情をします。
「両腕が無事なのが奇跡みたいだな…」ぽつりとタクミが言います。
「とっさにかばったんでしょうな。そういう体勢でしたよ。」警察官が答えます。
それを聞いたノブは、死ぬ直前まで二本の腕を守ろうとした、自分の最強のヒーローだったレンの遺体を抱きしめます。
-大阪のホテルにて-
レンとの面会を終え、美羽がヤスに連絡します。
レンの死が確実になった今、ナナへの報告を引き延ばしていたヤスはナナの部屋へと向かいます。
20歳最後の夜を振り返り、なんだかんだ楽しかったとナナは銀平に言います。
そんなナナと銀平の部屋に鳴るチャイムの音。
ヤスと美里が部屋に入ってきます。
美里はボロボロと泣き崩れています。
困惑気味のナナに、ヤスは言います。
「…ごめん」
「どうしてもお前を救う言葉が思い浮かばねぇ…」
「レンが死んだ―――――」
レンの背中を追いかけて
走り続けた日々だった
2002年3月4日
20歳の最後の夜
あたしの時間は止まった
第79話
レンが死んだ数年後
ハチ、ハチの娘サツキ、ヤス、美羽で海にレンの墓参りに来ていました。
そしてノブの実家の旅館に帰ります。ノブは旅館で働いていました。
レンの命日には、墓参りからノブの旅館への宿泊が恒例となっているようでした。
そして3月5日になった瞬間、ナナへのハッピーバースデーを歌うことが―
美羽が日付の変わる前に言います。
「来年こそナナちゃんの前で歌ってあげられるといいね」
ねぇレン
ナナを連れて行かないで
あの夜の中に閉じ込めないで
時間は遡り、場面はレンの面会後のノブの旅館。
悲しみでみんなはボロボロになっていました。
一方大阪では、レンの故郷への向かい方を相談していました。
ナナはそんな話の中仕事の話を切り出し、さも自分は行かない、というような返事をします。
銀平は休んでいいと言いますが、でも大事な営業だし、と譲りません。
それを見て銀平は何も言えなくなり後ろを向きます。
ヤスが口を開きます。
「ナナ…レンを見送ってやれ。これがもう最後なんだ」
その言葉を聞いた瞬間、ナナの頭にレンとの記憶が蘇ります。
東京に行ってしまったこと
自分も東京に来てまた会えたこと
一緒に住み始めたこと
そして優しく微笑むレンの顔…
ナナの目に初めて涙が浮かびます。
ヤスは続けて、車で名古屋まで行き、朝一で飛行機に乗ろうと決めます。
第80話
レンの葬儀場で、タクミとハチがばったり会います。
ハチは2時間前に会場に来ていましたが、タクミは気が付いてすらいませんでした。
喪服に関する話を少しすると、すぐタクミの携帯に電話が鳴ります。
ハチには、この悲しい出来事さえもタクミにとっては仕事なんだ、とうつむきます。
ハチはそんな思いを抱えながら、ナナが来る頃かと1階に降ります。
そこにはノブがおり、優しい表情でハチを迎えます。
ノブはハチに、やっぱりできるだけナナのそばにいてやってほしいと頼みます。
ハチは弱くうん、と返事をしますが、どうすればずっとナナのそばにいられるか、考え込んでしまいます。
もうレンは永遠に帰ってこないから―
「来たよ」
美羽が二人にナナの到着を知らせます。
ハチはすかさずドアに向かい、報道陣に向かい叫びます。
「話ならあたしがしますから！ナナには何も聞かないで上げて…お願いします…」
車から降りて来たナナは抜け殻のようで、自分で立つことすらできません。
ヤスに抱かれながら、ナナはレンの元に行きました。
棺に入ったレンを見ながらナナは、何も言わず、泣くでもなく、触れるわけでもなく、ただぼんやりレンの手を見つめていました。
葬儀後、マネージャーがどうしても本日中に渡したいものがあると、ナナの部屋を訪れました。
それは、レンのギターケースに入っていたナナの誕生日プレゼントでした。
ナナはそれを受け取るわけでもなく、拒絶するわけでもなく、ソファに横になってしまいます。
ナナに付き添っていたハチは、心の中でレンに言葉を送ります。
ごめんねレン
ナナはきっとまだ事実を受け止めきれないだけなんだよ
だからもう少しだけ待ってね
レンの想いは
あたしが必ずナナに届けるから
今はどうか安らかにすべての痛みを忘れて眠って下さい
場面はヤスとタクミが煙突を眺めながら会話するところに変わります。
タクミはレンがやっていた薬物の心配をしていました。
警察に調べられるんじゃないかと。
ヤスは仮に薬物が押収されていてもそれ以上は調べられないと言い切ります。
本人が死んで、それ以上裁きようがないから、と。
タクミははっとしてうつむきます。
「もう終わったんだよ。おまえもしばらく休め」
ヤスはタクミにそう言います。
レンという大きな存在を失った登場人物達の心には、それぞれ大きな大きな穴が空いてしまいました。
レンがいなくなってから
あたし達が目指していた未来は全て白紙になった
あたしは今もそこに何も描けずにいるの
ナナがいないと
始まらないの
そう綴られ、21巻は締めくくられます。