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『スプリガン』4巻 ネタバレ紹介!
混乱の塔①(1)
『大昔、人々の言葉は一つだった。』
旧約聖書創世記の第十一章の抜粋から物語は始まります。
創世記第十一章と言えばいわゆる「バベルの塔」の記述部分になりますが、どうやらこの「混乱の塔」というサブタイトル自体が、バベルの塔をモチーフにしたストーリーの意味合いを含んでいるようです。
場面は転換してイタリアの山岳都市“ロッキス”へと移ります。
夜の闇にたたずむ古めかしい石造りの建物の中で、どこかの軍が『敵』と交戦中です。
やがて建物の最奥にある礼拝堂に六芒星をかたどった石板が見えました。
「これがリバースバベルの場所を示した“混乱の魔法陣”ね」
セリフと共に『敵』が姿を現します。
鋭い目をした細面の男。名前はヘウンリー・バレス。
「あとはあの聖書さえ手に入れれば……」
バレスは何やら不穏な笑みを浮かべます。
バレスの従えている三人の配下はいずれも屈強そうな男達ですが、そのうちの一人が石壁に剣を打ち込んだ瞬間に場面が変わり、拳が木の幹にめり込む場面へと移りました。
石壁に打ち付けた剣と木の幹に打ち付けた拳がリンクしていて、まるで映画の一場面のようです。
場面が変わって昼日中の森では、主人公、御神苗 優(おみなえ ゆう)とその師匠である朧(おぼろ)が格闘訓練を行っています。
今一歩のところで朧に吹き飛ばされた優が、目の前に迫った朧の拳に思わず目をつぶった所で格闘訓練は終了。
朧は握った拳を開いて優を助け起こします。
ちょうどそこに二人を迎えに来たアーカム日本支部所長の山本がクラクションを鳴らします。
車の中で「喜べ優‼今回は出番なし、休んでいいぞ‼」という山本の言葉を聞いた優は、喜びを露わにします。
次の仕事はどうやら朧の担当になるようです。
朧から概要を聞かれた山本は、「車も走り出したし」という前置きと共に仕事内容を話し始めます。
山本によると、一週間前にイタリア“ロッキス”の古い教会で発見された“混乱の魔法陣”が何者かに奪われたそうです。
発掘作業にはアーカムのA級エージェント20名が警備に当たっていたそうですが、それが全滅したという情報が語られます。
その死体は上半身の無いものや全身の水分を吸い取られてミイラ化したものまであったとか。
しかも、発掘された魔法陣には“バベルの塔”の正確な位置が刻まれていたという驚くべき情報も山本の口から語られます。
しかし、優には一つ重大な疑問がありました。
バベルの塔と言えば巨大な建造物です。そんなものが存在するのならば、今まで見つかっていないのは不自然である、と。
優の疑問に対し、山本はこう返しました。
「いわゆるバベルの塔の伝承や伝説には、実に様々な話があるんだ。最も有名なのは旧約聖書にあるバベルの塔の伝説だ」
そして山本の口から有名なバベルの塔の伝説がおさらいとして語られますが、山本の話には続きがあったのです。
「これからの話は一般にはほとんど知られていないが、実は……バベルの塔はもう一つ建造されていたらしいのだ」
山本の口から衝撃の事実が明かされたところで、第一話が終わります。
混乱の塔①(2)
この物語は1993年の世界です。
イラクのバグダッド近郊と言えば、二年前に湾岸戦争が勃発した場所です。
1993年時点では既に停戦に至っているとはいえ、未だ火種が消えたわけではありません。
つまり、リバースバベルがあるとされる地域は、中東の火薬庫と言える地域になります。
あまりの不穏さに優も冷や汗を流しますが、朧にやってもらう仕事は混乱の魔法陣を奪い返すことではなく、ある女性の護衛(ボディーガード)がその役目であるとのことでした。
山本の依頼を受けて朧はロッキスに向かいます。
ロッキスで朧の前に姿を見せたのは、シスター・ケイトと名乗る修道女でした。
朧の仕事とは、このシスターを護衛することだったのです。
この護衛任務そのものがシスター・ケイトからアーカムに依頼されたものだそうですが、朧は『自分の身を守って欲しい』という割には自らの知っている情報をアーカムに決して話そうとしないシスターに不信感を抱きます。
鋭い目でシスターを見据える朧を尻目に、シスターはただただ神に祈るばかりでした。
そんな中、シスターの回想へと場面が移ります。
回想の中で、シスターは余命いくばくもない祖父からとある聖書を渡されました。
通常の聖書とは異なる<外典>(がいてん)だと祖父は言いますが、同時にその聖書は決して他人に見せたり渡したりするなとシスターへ釘を刺します。
「たとえそれがローマ法王であっても」決して見せてはならない。
シスターは祖父の言いつけを忠実に守っているということでしょう。
夜になり、シスターを連れてロッキスから移動しようとする朧の前に三人の配下を連れたヘウンリー・バレスが現れます。
バレスはシスター・ケイトの持つ聖書を狙っていました。
口上を述べるバレスを無視して朧はシスターだけを脱出させます。
一人でバレスと配下達を相手にする朧ですが、素早い動きでバレス達を翻弄します。
余裕をもって敵と相対していた朧は、戦いの中でバレス配下の正体をも見破りました。
なんとバレスの配下は死んだ騎士の怨霊を鎧の中に封じ込めたサーバントであり、三体ともバレスが操っていたのです。
その上で朧は、バレス自身の正体にも言及します。
「噂通りあなたは相当な呪術師ですね。ヘウンリー・バレス卿」
配下の秘密どころか自分自身の正体まで見抜かれたバレスは、自分の真の実力を見せてあげると凄みます。
そして、バレス配下の一体で“影魔”(シャドウ)と呼ばれたサーバントが地面に剣を突き刺すと、朧の体が闇に包まれました。
朧の体はそのまま闇に飲み込まれました。
一方、東京の自宅で電話を受けた優は、山本から休みは無しだと告げられます。
山本の悲痛な叫びと共に跳ね起きた優。ここで第2話が終わります。
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混乱の塔②
アーカム日本支部の会議室では、山本と部下たちが状況を整理しています。
世界に公開されたリバースバベルの場所に向けて各国の軍が集結している様子が見えます。
米・英・仏そしてアラブ諸国。
かつて湾岸戦争を共に戦った多国籍軍が、今ではリバースバベルを巡っての奪い合いを演じていました。
「古い伝承では、“それを手にした者は聖地を作り出す”といわれているが……」
山本の部下の一人が呟きます。
未だリバースバベルの力の全貌は明らかになっていません。
アーカムの頼みの綱は中東に飛んだ優とシスター・ケイトの二人。
そして舞台はイラク・バグダッドへと移ります。
バグダッドでは、ムスリム女性がまとうヒジャブを身に着けたケイトがイラク人男性二人に絡まれていました。
揉み合いの中でケイトの持つ聖書の外典を目にしたイラク人男性は、キリスト教の聖書を燃やしてしまおうとします。
そこに現れた優がイラク人男性を気絶させ、無事にケイトと合流しました。
優はケイトから情報だけを受け取り、リバースバベルへは単身乗り込むつもりでいましたが、ケイトは自分も行くと言って譲りません。
「私が行かねば塔の発動は止められません」
それがケイトの殺し文句でした。
やむを得ず優はケイトと共に車に乗り、リバースバベルを目指して砂漠の中を走ります。
優は車の中でも様々にケイトに質問を向けますが、尚もリバースバベルについて一切を黙秘するケイトに業を煮やします。
「今回の件でアーカムの人間がたくさん死んでんだぜ」
優のその言葉にケイトは胸に抱いた聖書を強く抱きしめます。
その様子を見た優は、ケイトの持つ聖書にリバースバベルの秘密が全て記されていると当たりを付け、ケイトから聖書を奪い取ろうとします。
ケイトの悲鳴が響いた後には、両頬を真っ赤にした優の姿が……。
ケイトのビンタを受けた優は、聖書を取り上げることを諦め、そのまま運転に戻りました。
一方、リバースバベルのあるとされる地点では、各国の軍隊がお互いに銃を撃ち合っています。
砂漠の中で殺し合う兵士達。
遠巻きにその様子を見たヘウンリー・バレスは、悲しみの涙を流しました。
「なにゆえ人間は民族や宗教のちがいだけで殺し合うのかしら」
今までの悪役ぶりとは裏腹に、バレスは人類が辿ってきた戦争の歴史に涙します。
しかし、次の瞬間にはまた凶悪な笑みを浮かべました。
バレスとは一体どういう人物なのか。
その思想や目的は未だ明らかになりませんでした。
その頃、優とケイトもリバースバベルの場所に到着しました。
ケイトは戦闘によって死んだ兵士の遺体に祈りを捧げますが、優は先を急ぐように促します。
その時、ひと際大きな銃声が聞こえてきました。
体を伏せて様子を窺う優とケイトの視線の先では、バレスの配下がどこかの兵士と戦闘中です。
優がそのまま望遠鏡で状況を見守っていると、バレスの配下の一人が地面に剣を突き立てます。
同時に大量の砂が巻き上げられ、優の所にまでその砂煙が襲い掛かりました。
砂煙が納まった後には、地下遺跡への入り口が姿を現しました。
「なんてこった!? リバースバベルって地下に建造されていたのか」
優は、以前に自分が山本へとぶつけた疑問の答えを知りました。
今まで優はリバースバベルという建築物が地上にあると思っていたのですが、実際には地下に建造されていたのでした。
優の見ている先では兵士達が先を争って地下への入り口に向かいます。
彼らと出会わないように後ろからゆっくりと入り口に向かう優とケイトの目の前に突如バレスが姿を見せました。
「逃げろ! シスター」
優の叫びと共に逃げようとするケイトでしたが、バレスの配下に先回りされて逃げ道を失います。
優はやむを得ずケイトを守って戦います。
二体のサーバントを同時に相手にしながら、優が水魔(アクア)と呼ばれたサーバントを仕留めました。
勢いに乗った優はボスであるバレスに戦いを挑みますが、わずか一コマで瞬殺されてしまいました。
地面に倒れ伏す優を尻目にバレスはケイトから聖書を奪おうとしますが、そうはさせまいと優が拳銃でバレスの頭を撃ち抜きます。
ですが、頭に銃弾を受けてもバレスは平然としています。
常人ならば即死しているはずの傷です。
目の前で人の頭から血が噴き出す光景を見て失神したケイト。
バレスは意識の無いケイトの腕から聖書を奪い取ることに成功しました。
高笑いと共に去っていくバレス。
ここで第三話が終わります。
混乱の塔③(1)
目を覚ましたケイトを連れて、優もリバースバベルの中へと潜入します。
地下遺跡の内部はところどころレンガが淡く光り、真っ暗闇ではないようです。
バレスが兵士達を先に塔に入らせたことを不審に思いながら進む優。
その優の目の前に先に入った兵士達の死体がいくつも転がっていました。
どうやら侵入防止用の罠にかかった様子です。
優とケイトは罠を避けて前に進みます。
一方、先にリバースバベルに入っていたバレスは、優が追い付いてきたことを察知してサーバントを向かわせます。
水魔(アクア)は既に優が倒した為、今度は砂魔(ディザード)というサーバントを向かわせました。
再び視点は優に戻ります。
いくつもの罠を越えていく優の強さを目の当たりにして、ケイトは一つの疑問を抱きました。
「あなたはどんな神を信仰しているんですか?」
ケイトの疑問に対し、優は神様を信じていないと返答します。
ですが、そこで優は一つ日本で最も信仰されているものを挙げます。
それは学歴社会です。
学歴で自分の人生が決まってしまうと信じ込む日本社会は、『勉強』を神とした一種の宗教だと優は言いました。
その時、罠の存在を感じ取った優がケイトを待たせて罠の有無を確認に行きます。
歩き疲れて壁に肩を預けたケイトでしたが、突然その壁が回転し、ケイトは壁の奥に落ちてしまいました。
優はケイトを助けるために一緒に壁の奥に飛び込みますが、そこには無数の巨大なサソリが蠢いていました。
サソリ達は先に罠に落ちた兵士の死体を貪り食っています。
そして、サソリ達は次に優とケイトに襲い掛かりました。
手榴弾を使って応戦する優ですが、数が多くてきりがありません。
そんな時、壁の一部が外側から破壊されて砂魔が姿を現しました。
ただでさえ忙しい時にと悪態を吐く優。
ですが、砂魔の攻撃を上手くサソリに当てさせることで逃げ道を確保します。
隙を見て優が砂魔の頭部に渾身のパンチを叩き込みます。
頭部を失ってもまだ動く砂魔を必死に抑える優ですが、ケイトはその場に座り込んで神に祈りを捧げ始めました。
「主よ!我らを救いたまえ」
祈るケイトの前にサソリが迫ります。
「祈ってるヒマがあるならとっとと逃げろ!」
砂魔を倒した優は、そう叫びながらケイトを抱え、砂魔の開けた穴から脱出します。
ここで第四話が終わります。
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混乱の塔③(2)
さらに奥に進む優とケイトの前に楔形文字が刻まれた石板が出てきました。
石板には『この塔は真言(マントラ)で動く』と書かれていました。
真言とは物質の根源の振動を発生させる言葉のことです。
石板を読んだ優は、ケイトが持っていた聖書に『リバースバベルの塔』を発動させる真言が書かれていたことを見抜きます。
その時、遺跡の奥から奇妙な声が聞こえてきました。
「いけない! これは発動の真言です」
走り出す優とケイト。
最下層までたどり着いた二人は、兵士の死体が山と積まれている光景を目にします。
死体の山の横にはバレスが立っていました。
バレスの後ろには光を放つ魔法陣が描かれています。
そして、バレスの口から悪魔の正体が明かされます。
「悪魔というのはあくまでも便宜上の言葉。今ここに呼び出したのは混沌(カオス)そのものなのよ」
バレスの言葉の真意を図りかねる優を見て、バレスがさらに話を続けます。
「今、我々の住んでいる地球(ガイア)を一つの生き物と考えてみるのよ」
バレスによれば、地球はその上で生活し、生命を全うした者の情報を吸収し、次世代にはより進化させるように情報を送っているとのことです。
“混乱の塔(リバースバベル)”とは、そんな地球のメカニズムを利用した究極の超古代の遺産です。
個々の人間が持つ記憶や思想、価値観などを全て消し去り、無からの再生を可能にする。
それこそが、リバースバベルの秘密だったのです。
世界中すべての人間の情報をリセットし、宗教や思想の違いによる争いが起きないようにすることこそバレスの目的でした。
ですが、その発動の為には大量の人間の生命エネルギーを触媒にする必要があります。
バレスが敢えて各国にリバースバベルの情報を流し、先に兵士達を遺跡の中へ入れたのも、全ては大量の人間の死体を作り出す為だったのです。
「ひ、ひどい……なんてことを…」
そう抗議するケイトに対し、バレスが“ロッキスの外典”に書かれていた秘密をも暴露します。
かつてローマ帝国の時代にキリスト教徒は迫害されていました。
ある時、一部の教徒たちがリバースバベルの存在を知り、ついには発動させました。
その結果、キリスト教徒が膨れ上がり、ローマ帝国を席捲し、ついにはローマ帝国そのものを衰退させる原因にもなりました。
その“一部の教徒たち”こそが、ロッキスに住むケイト一族の祖先なのでした。
この外典を燃やさずに残して来たのは、ケイトの一族がまた“リバースバベル”を利用するつもりだったからだとバレスは断罪します。
ケイトは、祖先たちは“人類の幸福”の為にこの力を使おうと残したのだと反論しますが、バレスは一笑に付します。
“人類の幸福”という概念そのものが誰かが勝手に決めたエゴなのだと。
そして、バレスは続けます。
「キリストもユダヤもイスラムもない。ただ一つヘウンリー・バレスの教えだけを全世界に広めることができる」
「そうすればもう下らない宗教戦争や民族紛争、差別など起こらないわ。これが本当の理想郷だと思わない?」
全ての真実を知った優は、バレスの話にも一定の理を認めます。
ですが、優はそれでもバレスと戦う道を選びます。
「ただ一つ気に入らないことがある。それは、てめーみてえに人の命をなんとも思わねー野郎に世界を支配されちまうことだ」
ついにバレスと最後の戦いに臨む優。
その瞬間、背後から最後のサーバント影魔(シャドウ)が現れ、優を闇の中に閉じ込めました。
優を不意討ちで始末したバレスは、今度こそ“リバースバベル”を発動させます。
時を同じくして、地上では各国の軍隊が“光る砂漠”に目を奪われていました。
突然思考を停止した兵士たちは、手に持った銃を取り落して呆然と立ち尽くします。
“リバースバベル”によってすべての情報を消され、何も考えられなくなってしまったのです。
そして、最後にバレスはケイトに向かってこう言いました。
「あなたは最後の生贄よ」
高笑いをするバレスの後ろには、悪魔の顔が見えています。
ここで第五話が終わります。
混乱の塔④(1)
闇の中で漂う優は、闇の亡者の襲撃を受けます。
精神波で応戦する優ですが、亡者には一向に効き目がありません。
その時、闇の中から朧の声が聞こえてきました。
朧の助言に従って光の中に飛び込んだ優は、見事影魔の闇から脱出しました。
再びバレスの前に戻って来た優。
今度こそバレスとラストバトルです。
一度はバレスに敗れた優ですが、今度は攻撃を畳みかけてバレスを圧倒しようとします。
ですが、そんな優の攻撃をバレスは楽々とさばき、反対に優に連打を叩き込みます。
一方的にやられる優。
顔の形が変わるほどに殴られても、優は何度でも立ち上がります。
やがて優のしつこさに呆れたバレスは、何故そんなにまでして立ち上がるのかと優に問います。
「俺の知り合いがてめーみてーな人殺し野郎に支配されるのがいやなんだよ」
優の返答を一笑に付したバレスは、人間の本質を語り始めます。
「人間なんてみんな殺人機械なのよ。そんな事、人間の歴史をみてればわかるでしょ」
「それが人間の本能なんだから」
バレスの言葉に激昂した優は、突如として動きが速くなりました。
さっきまで一方的にやられていたバレスですが、今度は優の方が一方的に攻撃を加えます。
やがて優のキックがバレスの首元に決まり、バレスの首が不自然な方向に曲がりました。
勝負あったと思った次の瞬間、バレスは何事も無かったかのように立ち上がります。
「どんな攻撃をしようと無駄な事。この私は不死身よ」
優とケイトの顔が絶望に歪みます。
ここで第六話が終わります。
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混乱の塔④(2)
なおも戦おうとする優ですが、バレスに殴られ過ぎた影響か、体が動きません。
影魔が優にとどめを刺そうとした瞬間、影魔がガクガクと震え出します。
そして、影魔の鎧が弾けると共に影魔の本体である“亡者”が魔法陣に吸い込まれました。
倒された影魔の鎧の中から出て来たのは、朧です。
朧は影魔の中で氣を消し、闇と同化していたことで亡者に襲われずに済んでいました。
「あなたのトリックも分かっています」
そう言った朧は、ナイフのように尖った鎧の破片を拾うと、先ほどの死体の山に向かって投げました。
突然、バレスが意識を失って倒れます。
死体の山の中からは、胸に鎧の破片を突き刺された魔術師風の男が出てきました。
この男こそ、バレスの本体だったのです。
追い詰められたバレスは、今度は優を操ろうと魔術を仕掛けます。
優の潜在能力は朧をも上回っていると見たバレスは、優を操ることで朧を倒そうと画策しました。
バレスの精神魔術に抵抗する優。
優を支配下に置こうと力を籠めるバレス。
ですが、優がバレスの魔術を破ってバレスの顔にパンチを入れ、決着がつきました。
リバースバベルの発動阻止に成功したケイトは、優と朧に礼を言います。
「たとえ我々が愚かでどうしようもない存在だとしても、私には主の教えが間違っているとは思えないのです」
ケイトの言葉を聞いたバレスは、再び笑い声を上げます。
そして、バレスの生い立ちが語られました。
「私はユダヤ人よ。私達も戦中神なるものを信じていたさ。しかし、行きついた先は強制収容所(アウシュビッツ)だったわ」
悪魔のような人間の業を変えたいという理想を抱きながら、バレスはそのまま息絶えました。
ケイトもそんなバレスの姿に迷いを生じますが、朧に促されて『破壊の真言』を唱えます。
崩れ去るリバースバベル。
バレスの死体もその崩壊の中で地中深く沈みました。
全てが終わったと思ったその時、突然銃声が鳴り響きます。
「中央に敵兵士!撃ち殺せ!」
増援でやって来た部隊が、先に居た兵士達に攻撃を仕掛けます。
先に居た兵士達はリバースバベルの影響を受け、思考停止状態です。
同胞が撃たれる様を見て意識を取り戻した兵士達は、恐怖のあまり逃げ出そうとします。
なおも銃撃が襲う兵士達の前にケイトが立ちふさがり、彼らに代わって増援部隊の銃弾を腕で受け止めました。
あまりのことに今まで銃を撃っていた部隊も銃撃を止め、様子を伺います。
左腕から血を流しながら、ケイトが部隊長に訴えかけます。
戦場の中でケイトに『神』の姿を見た兵士達は、そのまま攻撃を中止しました。
日本に戻り、再び朧と格闘訓練を行う優。
ですが、優は浮かない顔をしています。
「本当にこれでよかったのかな」
バレスの言っていたことも間違いとは思えない。
そう言って迷う優の目に、街角のテレビから流れるニュース映像が飛び込んできます。
ニュースキャスターはボスニア紛争の様子を伝えています。
それを聞いて益々暗い顔をする優を朧が諭します。
「今さら考えても仕方ありません。我々は己が正しいと思ったことを全うするしかないのです」
テレビ画面がアップに変わり、紛争で泣く子供の映像が映し出されました。
混乱の塔―完
ここで第七話が終わります。
獣人伝承①(1)
スプリガンのジャン・ジャックモンドがフランスのとある丘にある墓地に立っています。
墓には供えたばかりの花束が飾られ、ジャンは墓に背を向けて後ろの町を見下ろしています。
「ここから見る景色は全然変わらねーなぁ。あれからもう5年も経つってのに……」
そして場面は五年前に移り変わります。
若いジャンは町の中でギャングと喧嘩をしていました。
ギャングを叩きのめしたジャンは、弟のマークを後ろに乗せてバイクで家に戻ります。
そんなジャンを物陰から見張る男達が居ました。
男達が戻った部屋では、ジャンの写真と先ほどの喧嘩のビデオを見ている男が居ます。
アーカムのライバル組織である『トライデント』のラリー・マーカスンです。
そしてラリーはジャンをライカンスロープであると断定します。
ライカンスロープとは、かつて栄えた超古代文明で創り出された生物兵器です。
普段は姿・形は人間と変わらないし、生殖機能まで備えていますが、体に異常をきたしたり極度の興奮状態に陥ると獣人に変わるのです。
有名な例は狼男の伝説です。
「次はもう少し具体的な調査にとりかかろう」
怪しげな笑みを浮かべたラリーはそう言って席を立ちました。
一方、マークと共に家に帰ったジャンは母親のマリアから『あの女』がまた来ていると告げられます。
ジャンが『あの女』が待つ酒蔵跡に行くと黒髪の女性が待っていました。
黒髪の女性はスプリガンのティア・フラットです。
ティアはジャンをアーカムにスカウトするために来ていたのです。
ライカンスロープであるジャンは、以前に医者から体を調べさせろと言われて断ったそうですが、ティアの狙いもそれではないかとジャンは勘ぐります。
「安心しなさい。アーカムにそんな気は毛頭ないわ。でも他の連中はどうかしら?」
ティアとジャンは周囲をフランス軍のエージェントに囲まれていることを察知します。
戦闘に入ったジャンは、瞬く間にエージェントを片付けますが、ラリーだけは取り逃がしました。
「今やあなたの相手は、町のごろつき連中とはわけが違うわ」
ティアはとうとうフランス軍部が出て来たことをジャンに告げ、警告します。
ここで第八話が終わります。
獣人伝承①(2)
ティアと別れて家に戻ったジャンですが、そこには血まみれの男が倒れていました。
男を助け起こしたジャンは、母親のマリアと弟のマークが連れ去られたことを知らされます。
慌てて外に出たジャンは、そこでフランス軍部から同行を求められました。
母と弟を人質に取られ、大人しく従うジャン。
やがてジャンを乗せた車はどこかの研究施設に入っていきます。
施設の中でも検査されるがまま大人しくしていたジャンですが、そこにティアが現れます。
ジャンの目の前でティアは式神を出して敵を撃退します。
驚いたジャンがティアに問います。
「あんた何者だよ」
「スプリガン、ティア・フラット。仲間からは通称『魔女』と呼ばれてるわ」
実験室を出たジャンは、ティアに母と弟が無事かと尋ねますが、ティアは神妙な顔をして黙り込みます。
全てを察したジャンは、獣人に変身して研究施設を全て破壊しましたが、主犯格のラリーはちゃっかりジャンの肉片を持ってヘリで脱出しました。
小高い丘から燃え盛る研究施設を遠目に見つつ、ジャンはティアに語り掛けます。
「今じゃオレが居ると町に迷惑がかかる」
そう言ってジャンはアーカムに入ることを承諾します。
ただ一つ、『決して自分の体を調べようとしないこと』を条件にして。
優の呼びかけによって回想から呼び戻されたジャンは、優と一緒に来ていたティアからルーマニアに飛ぶように指示されます。
どうやらルーマニアにある遺跡をトライデントが狙っているようです。
現実に戻ったジャンは、優とじゃれ合いながらルーマニアに向けて出発しました。
一方、トライデントのラリーはリック・ボルドーととある部屋で会っていました。
リックはどうやらジャンと因縁があるようです。
ここで第九話が終わります。
獣人伝承②(1)
ヘリでルーマニアの遺跡に到着した優、ジャン、ティアの三人は、それぞれ分かれて遺跡の調査に取り掛かります。
一方、遺跡の奥地ではラリーがトライデントの実行部隊に敵が来たことを伝えていました。
トライデントの部隊長は暁巌。帰らずの森で優と因縁を持った、あの暁です。
ラリーは他に二人の戦闘員を用意していました。
リック・ボルドーとデリー・グレアム。
二人ともジャンと同じライカンスロープです。
特にデリー・グレアムは暁たちトライデントの部隊を所詮人間と見下しています。
その為、暁もライカンスロープの二人にいい印象を持てませんでした。
夜になり、遺跡の中で優達三人がトライデントの部隊とそれぞれ戦闘しています。
戦闘の中で、優が強い殺気を感じ取るのと同時に上からデリー・グレアムが優に襲い掛かりました。
しかし、優は空中に居るデリーを銃で迎撃し、デリーは銃弾を受けて吹き飛ばされました。
すぐに立ち上がったデリーは手近に居たトライデントの隊員を捕まえて首筋に噛みつき、血を吸い取ります。
血を吸いつくされて干からびた隊員を投げ捨て、不敵に笑うデリー。
「不死身の私にそんなものは通用しないよ!」
デリーは吸血鬼のライカンスロープでした。
吸血鬼のライカンスロープは、驚異的なパワーと回復力を持つ代わりに、定期的に血液を交換しなければ生命を保てないのです。
その為、デリーは常に『要らない血』が供給されるトライデントに所属しているのでした。
自慢のパワーで石造りの柱を吹き飛ばすデリーですが、アーマードマッスルスーツを着た優のパワーはデリーをも凌駕していました。
一方的に攻撃する優。
遂にはデリーを手榴弾で吹き飛ばした優ですが、デリーには効いていません。
ここで第十話が終わります。
獣人伝承②(2)
吸血鬼の再生能力に驚く優ですが、デリーも相当に血を流しました。
そこへ、暁が姿を現しました。
「待ちな。そいつとは因縁があるんだ。オレが代わりに相手してやるぜ」
デリーは血の補給のため暁を襲おうとしますが、逆に暁に返り討ちにされます。
ほうほうの体で逃げ出すデリーを尻目に、今度は優と暁が対峙しました。
一方、ジャンも順調にトライデントの部隊員を始末していきますが、そこにリック・ボルドーが現れます。
リックの素早い動きに自分と同じものを感じ取ったジャンは、リックを追いかけます。
そして、場面は優と暁の戦いに戻ります。
優と暁は双方互角の戦いを演じますが、疲労から優の足がもつれます。
チャンスと見た暁は優にとどめを刺しに行きますが、優は逆に暁を捕まえて暁諸共外に飛び降りました。
「きさま死ぬ気か!?」
驚く暁は地面に叩きつけられて動けません。
ですが、同じように地面に叩きつけられたはずの優は立ち上がります。
暁のスーツは機械式のため、耐衝撃吸収能力は劣っているはずと見当をつけた優の機転勝ちでした。
「なぜとどめをささねぇ」
暁の問いに優は答えます。
「いったろ……前にてめーには借りがあったからな。でもこれでしっかり返したぜ」
そう言って優は暁を残したまま立ち去ります。
遺跡内部の激闘を尻目に、ラリーは隊員たちに帰還命令を出します。
スプリガンの抹殺任務だと思っていた隊員は驚きますが、ラリーは全て予定通りと言い放ちました。
場面は再びジャンに戻ります。
遺跡の最奥部に到達したジャンは、何か妙なポッドのようなものが並んでいる光景を目にします。
戸惑うジャンに対し、ここはライカンスロープが生まれた場所だとリックが語り掛けます。
そして、次に続くリックの言葉にジャンは言葉を失いました。
「この私がお前の父だ」
ここで第十一話が終わります。
獣人伝承③(1)
ラリーの元に戻った暁は、ラリーに抗議しますが、そこでラリーは暁に今回の本当の作戦目標を伝えます。
「今回の作戦の目的は、スプリガンのジャン・ジャックモンドとその父親であるリック・ボルドーが接触することにある」
その頃、遺跡の最奥部ではリックがジャンに過去の経緯を語っていました。
ライカンスロープであるリックは、怪物として追われ続けていました。
逃亡生活の中で偶然にウージェニーという女性と出会い、ウージェニーとの間にジャンを設けたと告白します。
ですが、そんな幸せも長くは続かず、追手との戦闘でリックは獣人化してしまいました。
リックの獣人姿を見たウージェニーは、ジャンを連れてリックの前から姿を消しました。
その後、ウージェニーは死に、ジャンの行方は分からなくなっていました。
リックがジャンの存在を知ったのはつい最近のことで、リックに接触してきたトライデントが教えてくれました。
そして、リックはジャンに訴えます。
自分達ライカンスロープは永い間迫害されて来た。今度はライカンスロープが人間に戦いを挑むのだ、と。
リックは息子であるジャンにも協力しろと迫りますが、ジャンは興味を示しません。
「今さら出て来てえらそーに父親づらすんじゃねー!」
リックに怒りをぶつけるジャンの元に優も駆けつけました。
優はリックが被害者意識に凝り固まっていると指摘しますが、リックはその優の言葉に怒りを露わにします。
リックと優の戦いが始まろうとするその瞬間、ティアから通信が入りました。
ティアは遺跡の中に仕掛けられた爆弾を発見していました。
この遺跡そのものが、リックやデリーもろともスプリガンを始末するためにラリーが仕掛けた罠だったのです。
ティアの警告も虚しく爆弾は爆発し、遺跡全体が崩れ始めます。
逃げ道の無い中、優の目には頑丈なライカンスロープ用のポッドが見えました。
ここで第十二話が終わります。
獣人伝承③(2)
爆発による崩壊が収まった遺跡の中でジャンが瓦礫を押しのけて出てきます。
遺跡のポッドは頑丈で、爆弾による崩壊から守ってくれていました。
ジャンは優を探しますが、運悪く優のポッドだけ瓦礫の重みで壊れてしまっていました。
優は瓦礫の下敷きになっていますが、何とか生きています。
ジャンは優の上の瓦礫をどかしはじめますが、リックはそれが気に入らない様子です。
優を助けるのを止めさせようとジャンに攻撃を加えるリック。
本来ライカンスロープは自分の血を見れば変身してしまうものですが、今のジャンは自分の血を見ても獣人化しようとしません。
業を煮やしたリックはジャンの頭を吹き飛ばすと警告しますが、それでもジャンは人間として生きることを選びます。
「オレの本当の家族はマリアとマークだ。おまえじゃねぇ。オレは奴らにめったなことじゃ人間やめねーって約束してあるんだよ」
その時、ジャン・リック・優の真上の瓦礫が崩れ、巨大な石柱が倒れてきます。
その石柱を支え、ジャン達三人を救ったのはリックが忌み嫌う『人間』である暁でした。
デリーも生き残っていましたが、ティアとの戦闘で異空間に閉じ込められてしまいました。
全てが終わった後、トライデントから切り捨てられたリックをティアが勧誘しますが、リックは人間社会に戻る気は無いと言って去っていきます。
去り際にリックはジャンにペンダントを渡しました。
「その中には私の唯一の幸せがある……」
もう二度と会うことは無い父親の背中を見送りながら、ジャンはくだらねぇと言い放ちます。
フランスの自分の家に戻ったジャンは、マリアとマークの写真に声を掛けます。
ここで第十三話が終わります。
終末計画①(1)
インダス河の上流にある遺跡で奇妙な紋様が発見されました。
アーカムの研究所では、研究員たちがその紋様を巡って議論を交わしています。
一人の研究員が一台のコンピューターに話しかけました。
「おい<アース>、例の紋様のデータ入力は終わったか?」
アースとはアーカム研究所が開発した最新型のコンピューターで、超古代文明の技術の一部も導入したスーパーコンピューター以上の性能を持つマシンです。
昼休みになり、研究員たちは休憩に入ります。
アースは休憩時間も紋様の解析作業を続けますが、その途中にアクシデントが発生したというメッセージが表示されました。
そのまま電源が切れたように見えたアースは、裏で特殊なプログラムを起動させていました。
画面には『調査開始』の文字が見えます。
昼休みが終わり、研究員たちが戻って来ると、研究所内に非常事態警報が鳴り響きました。
全研究員が地下避難所に来た所で、避難所のモニターに『人の顔のようなもの』が映し出されました。
場面は変わり、世界各国の夜景になります。
マンハッタンの夜景、ロシアのクレムリン宮殿、東京都庁、北京の天安門、フランスの凱旋門などを背景に、ナレーションが流れます。
「その日の夜、それは全世界で起こった」
世界中のコンピューターの画面一杯に表示される『YAMA』の文字。
翌日の新聞には『YAMA世界を席巻』の見出しが躍ります。
新聞を見ながら、主人公の御神苗 優(おみなえ ゆう)はアーカムの上層部から何が起こったか説明を受けています。
上層部によれば、アーカムの開発したコンピューター<アース>が<ヤーマ>と名乗るハッカーにコントロールされているとのことでした。
一夜明けた今は各国のコンピューターは正常に作動していますが、それも表面上だけで現在も世界中のコンピューターが<ヤーマ>の支配下にあるそうです。
何故分かるのかという優の問いに、上層部は合衆国の防空システムを狂わされたと答えます。
<ヤーマ>は国防システムをも支配し、送電線を切って<アース>を停止させようとすれば即座に無差別攻撃に移るとアーカム上層部に忠告しています。
ですが、<ヤーマ>は同時にアーカムの精鋭部隊の突入だけは許可すると連絡してきたそうです。
<ヤーマ>の真意は不明ですが、ともあれアーカム上層部は優と最も優れたA級エージェントに研究所への突入を指示します。
ここで第十四話が終わります。
終末計画①(2)
上層部の指示を受けて研究所の前に来た優は、そこでマックスと名乗るA級エージェントと合流します。
マックスと優は旧知の間柄で、マックスはA級エージェント部隊の隊長を務めています。
研究所への突入を目前に控えた優は、<ヤーマ>という名前に引っかかるものを感じます。
<ヤーマ>とは人間を裁くインドの神様の名前で、日本では『閻魔大王』という名で知られています。
そんな優の様子を見て、マックスは余計なことは考えるなと助言します。
一方、隊員のジャックは優のことが気に入らない様子を見せています。
様々な人間関係が垣間見えますが、そんな中で突入が開始されました。
手際良く研究所に突入していくマックス隊ですが、その様子は<ヤーマ>によって全て研究所のカメラでモニターされていました。
それでもほとんど障害らしい障害に遭わずにコンピューター<アース>のある部屋の前に到着する一行。
内部に突入すると、そこではいつも通り自分のデスクに向かっている研究員たちの姿が目に入ります。
戸惑いながらも隊員たちは研究員に声を掛けますが、研究員は一切呼びかけに答えず、代わりに隊員を投げ飛ばしました。
研究員たちは人間離れした力で隊員に抵抗し、しかも当身をしても気絶しません。
優はコンピューターのモニターから強力な催眠CGが出ていることを見破り、モニターを銃で破壊します。
やがて研究員たちも正気を取り戻し、改めて何が起こったのか<アース>に問いかけます。
原因を考察する中で一人の研究員が心当たりを優に話しました。
「もしかしたら例の紋様が……」
例の紋様とは、インダス河上流で発見された紋様です。
その紋様の解析を始めるまでは<アース>は正常だったと研究員は言います。
もしもその紋様が一種のプログラムだとすると、太古の何かが<アース>を起動させたのかもしれません。
その時、<アース>のスピーカーから機械的な音声が流れます。
「その通り。我はプログラム<YAMA>なり」
人類五千年の現状を確認した<ヤーマ>は、地球にとって人類は不必要と判断しました。
そこで、今から五時間後に世界中の核弾頭を使用して全人類を抹殺すると宣言します。
ここで第十五話が終わります。
終末計画②(1)
人類の終末を止めるには、五時間以内にヤーマを破壊しなければなりません。
人類の行く末を委ねられてしまった隊員たちは動揺しますが、マックスの一喝で落ち着きを取り戻します。
地下のアース本体に続く通路に立った優とマックス隊は、設置された様々な罠に翻弄されます。
対人レーザー、高温スチーム、高濃度酸素による酸素酔いなど。
隊長のマックスは、途中で負傷した隊員をその場に置き去りにします。
手当をしないのかと憤る優に対し、マックスは冷たい目で答えます。
「オレ達は任務遂行が第一だ。足手まといは置いて行くしかない」
次々と襲い掛かる罠に疲れ切った所に、突然前後の扉が閉まるアクシデントが襲います。
優とマックス隊を通路の一角に閉じ込めたヤーマは、通路内に大量の水を流します。
溺死させるつもりかと思った瞬間、水が止まりました。
ここで第十六話が終わります。
終末計画②(2)
何かに気付いたマックスが叫びます。
「全員自ら離れろ!」
多くの隊員はマックスの声に反応して天井の配線に掴まりますが、逃げ遅れた数名は高圧電流を食らいます。
水の中に漬かっていた隊員はひとたまりもありません。
優はその様子を見て地面に降りました。
優のスーツには不導体の処理がしてあるため、電撃は効きません。
優と隊員たちを閉じ込めていた扉を蹴り壊した優は、ヤーマに対する怒りを露わにします。
しかし、隊員の中には心が折れかけた者も出てきました。
泣き言を言うなら先に自分だけでも先に行くと言う優に対し、隊員のジャックが突っかかります。
遂に突入部隊の中で仲間割れが始まりそうな空気が流れたその時、不穏な音が奥から聞こえてきました。
奥から出て来たのは、作業用ロボットに足を付けた急造殺人ロボットでした。
圧縮空気を使ってボルトの弾丸を撃ち出すロボットに対し、マックス隊は手榴弾を投げて強行突破を図ります。
しかし、爆炎の奥から飛んで来たボルトを食らって優の目の前で数名の隊員が絶命しました。
怒りを抑えきれなくなった優は、単身ロボットに突撃してボルトの射出口を破壊し、隊員たちの進路を確保します。
さらにいくつもの罠を乗り越える中で、優は傷を負った隊員に肩を貸しながら必死に進みます。
そして、とうとう最終ステージへと到着しました。
人類の終末まであと45分。
苦しい行軍の中で、マックスは己の過去を話し始めます。
アメリカ軍の兵士だったマックスは、中東のゲリラ掃討戦を戦いました。
その中で、殺しても殺しても次々に出て来る敵にうんざりし、ついには感覚がマヒしてまるでゲームのようだったと語ります。
もちろん、相手は生きた人間です。
自分が人を無意味に殺戮した事実に苦しんだマックスは、微力でも何か人の役に立つ仕事をしようとアーカムに入隊したのでした。
やがてチームは最終試練に到着します。
地下の最下層では催眠術にかけられた研究員たちが武装して待ち構えていました。
30人を超える防衛部隊に対し、マックス隊の生存者は僅か5人。
しかも残弾も尽きかけています。
ですが、ここを突破すればその先はヤーマの本体です。
チーム一丸となって決死の覚悟を固めるマックス隊ですが、その時優が突然隊員に当身を食らわせます。
「優! 何をする!」
ここでスプリガン第四巻が終わります。
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