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『裏バイト逃亡禁止』4巻は漫画アプリ『マンガワン』で読める
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『裏バイト逃亡禁止』4巻 ネタバレ紹介!
37話 ブライダルスタッフ①
裏バイトで式場スタッフとして雇われた白浜(しらはま)と黒嶺(こくりょう)。
しかし、裏バイトを雇う式場が普通の式場であるはずがありません。
ここの式場では、ありとあらゆるものと結婚するこことができます。
例えば豚、冷蔵庫、二次元のキャラクター、飛行機……そして、死んだ人。
現場責任者のスタッフ、今(こん)は笑って話します。
「私、結婚式って何百回見てても感動しちゃって……特に、アレ」
「冥婚って知ってるかしら?」
冥婚とは、死者との結婚のことです。
そのことを話していた折、偶然にもその翌日、冥婚が執り行われる予定がありました。
そこで今は、白浜と黒嶺、そして裏バイトで来ている他のスタッフである西(にし)と田所(たどころ)に、その会場の手伝いをしてほしいと頼みます。
冥婚を行うという地下の会場に向かうまで、異様な雰囲気が漂います。
緊張するスタッフたちに、今は冥婚といっても普通のものとそう変わらないとアドバイスしますが、緊張は解けません。
いざ会場に入ると、顔のようなものが描かれた布袋を被せられた人形が一体、新郎の席に置かれていました。
異様なのは人形だけでなく、その背後にある黒い扉もです。
今が説明するには、それは「冥界の門」だそうで、新郎の入場の時にその扉を開き、死者の魂を呼び寄せて人形に取り憑かせるのだといいます。
あくまでそういう設定で、実際にそんなことが起こるわけではないのだ、と暗にほのめかす今さん。
危険を感じ取るとクサい臭いを感じとる体質の黒嶺は、「少し臭うけどまだそこまで深刻じゃない」として、そのまま仕事を続けます。
一方で白浜は、同じ会場で仕事をする予定の田所の姿がないことに気がつきます。
今は、冥婚と聞くと怖がって逃げてしまうスタッフは度々いるのだといって気にしません。
それよりも、新郎の入場のタイミングの方がいまは大切です。
入場のタイミングで、例の冥界の門を開くように言われている黒嶺は、扉の取っ手に手をかけます。
そしてふと西が言っていたことを思い出します。
「地下のフロアってここで行き止まりなんですよ」
「この扉って どこに繋がってるんでしょうね」
その時、ふと、“クサい”臭いが。
「この扉の奥 ちょっと臭いかも」ーーーーー
感想
ホラー特有の、少し独特な絵柄と話の構成が印象に残りました。
何気ない日常から突然、想像を絶するようなゾッとする非日常に引き込まれる感覚は、普段ホラーを読まない筆者には新鮮で毎度ドキドキしました。
特に表情の描きわけは唸ってしまうほどです。笑み一つで、迫力も雰囲気も違ってくるのは、その緩急も相まってキャラクターの異常性が強調されます。
時折挟まれる、白浜の豪胆ぶりや脳筋っぷりが、奇妙な怖さの中でギャグ要素としてきわだち、それがまたいい味を出しているように感じました。
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38話 ブライダルスタッフ②
ガサッ
新郎の席に座らされていた人形の頭部に被せられた不気味な布袋が、途端にボコボコと蠢き出します。
その動きは、まるで布の下で無数のネズミが暴れているよう。
「蘇った…!蘇ったぞ!」
ゲストも花嫁も、涙を流し歓声をあげて喜びます。
明らかに“それ”は人間なんかではないのに。
動き出した人形は、被せられた袋の口のあたりを乱暴に破り、花嫁に近づいていきます。
その様子はとても尋常ではないのに、ゲストも花嫁もうっとりとした様子で動く人形を眺めているだけです。
「な…!?」
西は困惑します。
口元だけを露出した人形は誓いのキスをしようとしますが、その様子はとても普通とはいえません。
ガブッ
新郎の魂が宿ったと思われる人形は、花嫁の唇を噛みちぎり、そのまま、花嫁の首に手をかけました。
ブチッ!
物凄い力で、人形はそのまま花嫁の首を引っこ抜いてしまいます。
まるで、野菜でも引き抜くような気軽さと容赦のなさです。
その様を見ていた西は、声も出せません。
しかし、ゲストの異様な興奮はおさまることを知りません。
「ヨシッ よくやった」
「このまま指輪交換だ」
「いけ 拓哉ァッ」
“指輪交換”と称して行われたのは、花嫁と、新郎を見立てた人形の首の交換でした。
新郎の人形の頭部には、引き抜いたばかりの花嫁の頭が乗っかり、花嫁の引きちぎられた首の上には、新郎の頭が乗っかっているのです。
鼻からも口からも、もちろん引きちぎられた首からも、血がダラダラと垂れています。
「やったあああ」
「やったやった」
「おめでとう二人とも」
「おめでとう」「おめでとう」
しかし西がハッと気が付いた時、目の前でそんな恐ろしいことは起こっていませんでした。
「なんなんだ…」
幻でも見ていたのでしょうか。
花嫁の首はそのままだし、人形もそのままです。
花嫁は健気に、亡くなった恋人との結婚式を挙げられて涙を流して喜んでいるだけです。
納得がいかないのは西です。
あんなに恐ろしいものを見たのに、それがただの幻だと思えないのです。
「大丈夫?元気ないみたいだけど」
西にそう声をかけたのは現場責任者だった今です。
今は、冥婚の様子を、涙を流して見ていました。
「田所さんが心配なのかしら?」
「さっきの結婚式、私、幻覚でも見てたのかな…」
「あの人形が動いて見えて」
式の前に行方をくらました田所も心配ですが、西が何よりも不気味だと感じたのは、動く人形とあの恐ろしい光景でした。
一方で白浜は、黒嶺にあることを聞きます。
「黙ってればそんなにクサくないの」
「でも、「そういうこと」をハッキリ言おうとするとすっごくクサくなって」
「え?見えたの?」
今は、西に詰め寄ります。
人形が動いて見えたと言った西に、何度も同じことを聞きます。
その表情は、どこか嬉しそうでもありました。
「見えたんだ」「見えたんだ」「見えたんだ」「見えたんだ」
「遅いな、西さん」
トイレに行っただけの西が戻ってこないことで、白浜と黒嶺は嫌な予感を感じ取ります。
「いきましょう、何かあったのかも」
感想
この話で面白かったのは、構成かなあと思います。
大ゴマで展開される残虐描写は迫力があり、読んでいる途中に思わず薄目になってしまうほどです。
それなのに、次のコマでは何事もなかったかのように、血の一滴もなく、普通の展開が進んでいく。
幻を見ていたのか、それとも今見ているこの普通の光景こそが幻なのか…。
何が起こっているのかわからない!という「わけのわからなさ」が、この不気味さに花を添えています。
今というキャラクターの怖さが際立ってきた話でもありました。
ギョロリと目を剥いて西に迫るシーンは、それまでの会話との温度差もあって非常に怖かったです。
また、結婚式を挙げたばかりのカップルがもう別れたという話を聞く今の顔は、何かを予感させられましたね。
彼女は何か、「結婚」という儀式自体に神秘性を感じているのかも…?
彼女の狙いに注目したいところです。
39話 ブライダルスタッフ③
「何か、薄暗い?」
西を探しに来た白浜と黒嶺は、式場の雰囲気がどこかおかしいことに気がつきます。
「え、あれって田所さんじゃない?」
薄暗い廊下を進むうちに、二人は行方をくらましていた田所を発見します。
振り向いた田所の様子は、変どころではありません。
首の骨が露出して長く伸び、その状態で振り向いたのです。
そのまま田所さんは笑いました。ケラケラ、という笑い声が式場中に響き渡ります。
「知ってます?裏の子は、いなくなっても探されないの」
「だからとっても好都合。 待っててくださいね皆さん…ちゃんと人数分用意しますから」
今に襲われた西は、出血する体をなんとか動かし、今から逃げようと床を這っています。
“冥界の門”が開き、白い影のようなものが西の側を歩き回ります。
「逃げなくていいのよ」
「あなたも田所さんと同じ…見初められたのよ」
「あっちの世界が見えたってことは、招待されたってこと」
「器として選ばれたんだから」
「だから大人しく殺されてーッ!! ゲストが足りないのーッ!!」
包丁のようなものを手に、そんなことを喚きながら笑って西に襲いかかる今。
「クッサ!」
間一髪、黒嶺が西を保護します。
「ハッピィ~ ウエディング!」
一瞬の隙をついて、白浜がウエディングケーキを横倒しにし、今にぶつけます。
それなりの重みのそれに今が昏倒し、その隙に白浜と黒嶺は、西を連れて逃げることができました。
「とってもお綺麗ですわ」
結婚式の期待に胸を躍らせる若い新婦に、今はそう笑いかけます。
支度をする今の後ろで、テレビがニュースを伝えています。
それは、「新婦を亡くなった新郎の元へ送ってやった」と供述する容疑者と、冥婚を執り行う式場の関係についてでした。
どうやら式場の調べもついているらしく、警察も動くとのこと。
「もうこの式場も終わりだわ」
「最後は、人生最高の結婚式をあげてみせる」
式場では、新郎が新婦の晴れ姿を楽しみに待っています。
想像に閉じていた目を開けた新郎が、目を開けたそこには。
血に染まったウエディングドレスに身を包んだ今がいました。
「は?」
今日は、とっても良い天気っ。
今だけが楽しい結婚式が始まります。
ジューンブライドなんて最高っ。
死が二人を分かつまで?ノンノン!死が二人を永遠に結びつける!
生者の結婚は最低!現実は最低!九割が汚物で構成されているなり!
好き勝手なことを言うのは、花やケーキ、カチューシャやマカロン。
「みんな、みんな、愛してるっ」
通報で駆けつけた警官は、勇み足で式場に踏み入りますが、その場で吐いてしまいます。
そしてその後、彼は半月で警察官を辞職しました。
「どうすれば、こうなるッ…!?」
それほどにひどい現場だったのです。
間一髪で助かった西さんは、病院のベッドで横になりながら言います。
「あの女、自分の冥婚式をあげるって言ってた」
「まだ、ゲストを欲しがってる!」
血溜まりの中に立つ今は笑顔で言います。
「お前も殺しに行くからな。待ってろよ」
感想
このブライダルスタッフの話は、残虐表現が濃く、それに半ば引き気味で記事を書いていました。
ですが、このブライダルスタッフの最終話を読んで、これまでの残虐表現に納得がいきました。
なるほど、そういうことね……となりましたが、みなさんはどうだったでしょう?
今が式場に乗り込んでめちゃくちゃにしていくシーンから、どんどん絵柄が崩れましたね。
ファンシーに、メルヘンになっていくあの表現は、これまでのリアルな残虐描写とのコントラストが凄まじかったです。
恐ろしいことが行われているのに、私たちの目に見えるのは、幼児が描いたような可愛らしい花たちが喋っている様子だけです。
風邪をひいているときに見る夢というか、そんな気持ち悪さのある絵で、筆者も見事に気持ちが悪くなりました。
リアルな絵とファンシーな絵柄の混ざり合いと、そこで行われていることの異常性が最高にマッチした、クレイジーサイコ系の最高に狂ったお話で好きでした。
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40話 ファミレス店員①
ファミレスの店員として裏バイトにやって来た白浜と黒嶺。
ファミレス「マスト」の裏バイト、条件は一つ。
「期間中一度も店の敷地から出ないこと」
ファミレスマストは、よく賑わっている普通のファミレスです。
たまに不審者が現れる、ただのファミレス。
「不死身の白浜」
白浜や黒嶺と同じく、裏のバイトから来たという青木(あおき)と黄崎(きざき)が、白浜に声をかけます。
何が起こってもおかしくない裏バイトで、歴の長い白浜に、二人は裏バイトの極意を聞きたいそうです。
白浜に献上するビールまで持ち込んで、必死の様子の二人。
この二人はカップルで、結婚するのに訳あって大金が必要だと言います。
「一緒に乗り切って報酬ゲットしましょうね!」
スタートしたバイトは、普通の業務をこなすだけです。
ただ、不審者がくるだけ。
不審者は、頭のはげかかった小太りの男です。
店に入ってくるわけではないのですが、いつも汚い口を歪めてニヤニヤと女性客を中心に眺めているようです。
「おいアンタ!お客さん怖がってるからやめてくんない!?」
物怖じしない性格の白浜は、しょっちゅう現れるその不審者に、窓越しに大声で注意します。
不審者は注意されると、いやそうな顔をしつつも去っていきました。
と思ったのも束の間。
不審者は石のブロックを持って、窓ガラスを叩き割ろうと戻って来たのです。
一方、休憩中の青木と黄崎は、自分たちのものではない携帯が着信しているのに気がつきます。
相手は「八木(やぎ)」。
「持って行ってあげようか」
感想
ファミレスマストでは、いかにもチェーン店にありそうな陽気な歌(テーマソング?)が流れているのですが、初っ端からそれがちょっと不気味に感じてしまいました。
きっと何か恐ろしいことが起こって、その時もこの陽気な音楽は流れ続けるんだろうな…と思うと、すでに居心地が悪くなります。
白浜たち普通の人間しかいない絵面に、突然、今回の不審者のような露骨にヤバそうな人間が現れるのは、何度見てもギョッとします。
絶妙に生理的な嫌悪感を煽る不審者のビジュアルがたまりません。
清潔感のない細すぎる髪の毛や、肉に埋もれた細い目、閉じきらない口元。
白浜が剛毅にも突っかかっていくシーンは相変わらず頼もしいのですが、ここまでくると少し怖い気もしますね。
ところで八木って誰なんでしょう…?続きが気になるところです。
41話 ファミレス店員②
「抽選当たってさ」
今にもガラスを叩き割ろうとしていた不審者はいつの間にか消えていました。
側にいた客も世間話を始めています。まるで不審者など初めからいなかったかのようです。
白浜は面食らって、フラフラとキッチンへ戻ります。
「ガラスが…?いえ、何も聞こえなかったわ」
黒嶺に聞いても、ガラスが割れる音は聞こえなかったと言います。
不思議に思いながらも、白浜と黒嶺はとりあえず仕事を終え、仮眠を取るために宿泊施設に戻ります。
そして、八木から電話があったことを伝えられ、白浜は折り返すことに。
八木は、週刊誌のライター?のようです。
白浜とは裏関係の情報をやり取りする関係。
そして白浜は、例の不審者の情報をつかみます。
不審者は15年前、爆龍真拳(ばくりゅうしんけん)というHN(ハンドルネーム)で、インターネット掲示板に大量殺人の予告を書き込んだ人物でした。
予告は実行に移され、多くの被害が出たそうです。
問題は、その人物はすでに死んでいるらしいということ。
そして、その事件は、このファミレス「マスト」で起こったということです。
その情報の真偽はともかく、不審者はまた現れました。
今度は店長が青木を連れて追い払いますが、その時青木は変なものを見ました。
店長の姿がはっきり視認できないのです。
グニャリと曲がり、ノイズのようなものが見えて、店長の姿をはっきりと見ることができなかったのでした。
変なことはおこりつつも、仕事は最終日。
6月29日です。
このまま特に何もなく帰れる、と誰もが思っていました。
「6月29日よね?」
「爆龍真拳事件があった日」
感想
目の前で起こっていたはずのことが、突然何もなかったことになる。
という訳のわからない感覚は、ブライダルスタッフの話の時にも味わいましたね。
死んだはずの人間が生きているというのは、王道ですけれどやっぱり気味の悪いものがあります。
過去の悲劇の一日に巻き込まれて、何度もそれをループする構造なのでしょうか。
もしかして登場人物も、白浜と黒嶺以外はもう死んでいるのでは…?なんて想像もしてしまいます。
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42話 ファミレス店員③
「仮説が整いました」
八木は語り出します。
15年前に起こった大量殺人事件。
そして、その会場となったファミレスは、現在もう存在しないのです。
では、白浜たちはどこで何をしているのでしょう。
「電話は繋がりました」
ファミレスでは、悲劇の一日が繰り返されようとしていました。
不審者、爆龍真拳は日本刀を両手に、店内にいる客、店員を無差別に斬り殺していきます。
「数年ほど前から、6月22日になるとあのファミレスが現れ、別の店舗の店員がなぜか出向し、そのまま店と一緒に消える」
ファミレスマストの不思議な出来事。
死霊というのは、死ぬ直前の行動を繰り返すもの。
爆龍真拳も例に漏れないようです。
厳密には、ファミリーレストランマストは、現在はもう存在しない場所なのです。
もともと未来のない爆龍真拳という人間と、彼によって未来を奪われた人間の、未来を願う念によって、限定的に繋ぎとめられた存在しない場所。
毎年、6月22日から29日までの間にだけ現れ、繰り返される惨劇。
地獄のファミリーレストランで悲劇に巻き込まれる白浜と黒嶺、青木と黄崎。
黄崎は青木に、「一緒に逃げよう」と言います。
黄崎のお腹には、青木との子供がいるのです。
青木は言います。
「仲間も助けられないヤツが、父親なんかなれないよ」と。
「対処法ですか?」
それは、その場に組み込まれないよう、イレギュラーな行動を取ること。
白浜と黒嶺は、爆龍真拳に抱きついたり、彼を殴ったり、とにかくその場で異質な行動をしました。
そうすることで、イレギュラーとしてその場から排除され、組み込まれて死ぬことはない、というわけです。
悪夢の夜が明け、白浜と黒嶺は今回の件の種明かしを聞きます。
「私らが会った店員さんたちって…本当はもう、いないんですね?」
青木と黄崎は、去年このバイトで雇用され、そして亡くなっていました。
白浜と黒嶺が会った二人は、もうその場に組み込まれてしまったあとだったのです。
ノイズのようになって見えた人間は、もう消えかかっていたということらしく、その補充として新しく来た裏バイトを組み込もうとしていた、ということでした。
感想
やっぱり白浜と黒嶺以外は、お客さんも含めて亡くなっていましたね…。
最後に、父親になるのだからと爆龍真拳に立ち向かっていく青木や、赤ちゃんがいると打ち明けた黄崎はの姿は、未来のある若者の姿そのものだっただけに残念です。
未来が強引に奪われたことに遣る瀬無さを感じずにはいられません。
この話には家族やカップルが多く登場するのですが、爆龍真拳の犯行動機は、彼女ができないという至ってシンプルで身勝手なコンプレックスでした。
巻き込まれて亡くなった人たちにファミリー・カップルが多かったのはとても皮肉が効いていると思います。
切ない読み味と、サスペンスホラー的な要素が組み合わさった面白いお話でした。
43話 家政婦①
正規のルート(裏のバイトに正規のルートはあるのかは微妙ですが)を踏まずに手にした仕事は、日給79万円の家政婦のバイトでした。
白浜、黒嶺、そして橙(だいだい)は、依頼人の住む山奥の別荘へ。
「人も来ないし、何かされたら逃げられないな」
「心配しすぎっすよ。でえじょうぶですって~」
迎え入れてくれたのは、無口で無愛想な男と、個性的な服装の明るい婦人。
婦人のテンションは終始高く、やって来た女子三人を可愛い可愛いと誉めそやし、メイド服を着せてはしゃぎます。
「地下室には入らないで」
親切な夫婦から言われた注意事項はたったのそれだけ。
夕食の支度まで屋敷を散策していいと言われた三人は、地下室を避けつつも広い屋敷を歩き回ります。
家族の写真と思われるものがあり、そこには夫婦の他に小さな男の子の姿もありました。
「息子いたんだ?」
広い屋敷で見つけたのは家族の写真と、そして大量の人形。
異様な数があり、首があったりなかったりするその人形は、不気味に暗い部屋に佇んでいます。
「デザイナーさんだったんですか」
個性的な服装の婦人は、デザイナーだと言います。
大量の人形も、仕事に使うそうでした。
気味の悪かった大量の人形の謎も解け、夕食は和やかな雰囲気です。
特に何事もなく、三人は就寝の時間を迎えます。
寝る前に酒を飲みたいとゴネる白浜に、トイレに行く黒峰。
各々で自由に時間を過ごします。
「こっちおいで。いいものあげるわ」
ところが、橙だけ、婦人に声をかけられます。
一方でトイレに行った黒嶺は、例の地下室の上を通りがかります。
「お…お…お…お…」
うめき声のような声は、苦しんでいるようにも聞こえます。
ところが、婦人は言います。
「地下室?誰もいないわよ」
「何度も言うけど、地下室には入らないでね」
地下室も気になりますが、白浜と黒嶺には、もう一つ気になることがありました。
橙の様子です。
あからさまによそよそしくなり、ついにはほとんど姿を現さないようになってしまったのです。
「や~っとできたわ」
婦人の手には、橙や白浜、黒嶺にそっくりの人形が握られています。
婦人はそれを大事そうに撫で、うっとりと笑います。
「後は…仕上げに「魂」を込めるだけねぇ」
「待っててね、聖一郎ちゃん」
「今…お嫁さんを用意してあげる」
感想
いつもの白浜、黒嶺のコンビニ加えて橙というキャラが登場しましたね。
お調子者の後輩キャラで、ちょっと軽いけど憎めないキャラとして存在感があります。
読み進めるうちに筆者は慣れてきたのですが、今回も婦人のキャラクターデザインはこの漫画特有の絶妙な不気味さがありますね。
山奥の別荘の奇妙な夫婦、家族写真に人形、地下室。
ホラーとしてはありきたりな題材のように感じますが、ここからどう展開していくのでしょうか。
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44話 家政婦②
「ごめんなさい」
「私…ノックもしないで入っちゃって」
トイレに行きがけで、黒嶺はある部屋に入ってしまいます。
電気の消し忘れかと思い、軽率に踏み入れてしまったそこは、婦人の無口な旦那の部屋でした。
男は、がっしりとした体型に似合わない、可愛らしい女性の服を着ていました。
その表情は何とも言えず、少なくとも楽しんで着ているようには見えません。
ただ、薄暗い部屋の中で見た大量のマネキンのように、ただ不気味でした。
その時、屋敷中の電気が消えます。
「なごみちゃん!」(白浜の下の名前)
与えられた部屋にいて、黒嶺や橙の身を案じていた白浜のところに、誰かがやってきます。
婦人が、包丁を手に、白浜たちの部屋へ押し入ってきたのです。
「一緒に食べましょ!」
何を?
ホールケーキの話です。
婦人はおかしな様子で、ホールケーキにザクザクと包丁を入れていきます。
「びっくりしたあ~」
「あの、橙見ませんでした?」
物怖じしない性格の白浜は、婦人がただケーキを切り分けているだけとわかると安心して、そう問いかけます。
「橙ちゃんなら」
「ホラそこ」
よく見れば、扉の影に、橙らしき人物の影が見えます。
「ダメです、先輩来ないで…」
「何言ってんだ、さっさとこっち来…」
橙の姿は、変わり果てていました。
端的に言って、太っていたのです。
橙が話すには、婦人に誘われた日から、美味しいおかしを大量に食べてしまったとのこと。
「バ・カ・タ・レ~んなくだらないことで姿くらませんな!」
白浜の不安が一つ消えたところで、黒嶺も姿を現します。
隣には、女性用の可愛らしい服をきた、婦人の旦那も一緒です。
「アナタに新作の試着頼んだんだったわねえ」
どうやら、デザイナーである婦人の新作の試着だったようです。
こちらも、大変なことにはなっていませんでした。
「これで一件落着?」
「地下室のことがまだ…」
「え、やだあ~言ったでしょ~? 地下室には誰もいないって」
その時です。
地下室のあたりから、男が現れました。
「おおおおおおおおおおおお」
それは、黒嶺が以前聞いた、地下室からの声にそっくりです。
「あらヤダ 高次じゃないー」
「へ?」
男は、二人の息子でした。
デザイナーを志す青年で、10年前に家を飛び出して以来、家に戻らなかったそうです。
世界を見て、母のデザイナーとしての偉大さを知った青年は、母に弟子入りすべく戻ってきたのだと言います。
2週間前に地下に戻って、それから言い出せずにずっと部屋に籠っていたとか。
襲ってきたのは、暗くなって怖かったから叫んでいただけで、襲ったつもりはない、と。
「聖一郎の嫁探し」という映画が好きで、地下の自室で何度も見ていたと言う青年。
息子は自分の部屋を他人に触られるのが嫌だからと、婦人も旦那も地下室には近づくなと言っていたと言うことでした。
すべての違和感にあっけなく理由がつきました。
本当に何もない裏バイト。これで日給は79万円。
「明日から、日給1万円でいい?」
そんな都合のいいことがあるはずありません。
裏バイトは危険なことがあるからこその裏バイト。
だからこその破格の報酬です。
婦人の作っていた三人そっくりの人形は、魂を込められ、サイン入りでお土産として手渡されました。
魂とは、サインのことだったのです。
感想
ここまで続いてきた怖い話から一転して、コミカルなお話でしたね。
面白いなあと感じたのは、これまでに読者を震撼させた温度差のある作画や、強調された表情などの、ホラーをホラーにする要素を余すところなく使っておいて、結局ギャグで落としたところです。
裏バイトに慣れきってしまった彼女たちにとって怖いのは異常性ではなく、「日給一万円」という金額なのでしょうか。
思わずクスっと笑ってしまうオチでした。
箸休め的なお話だったので、いつものゾクゾクするホラーを求めていた人にはもの足りないかもしれません。
まんまと騙されてしまって、個人的にはいっそ気持ちよかったです。
怖いのはオバケなどではなく、人間と薄給なのでしょう。
45話 空き地探し①
今回の裏バイトは封鎖された地区の空き地を探すことです。
端末で空き地を撮影し、一件につき100万円。
白浜と黒嶺に声をかけてきたアルバイターがいました。
高階(たかしな)と崎村(さきむら)です。
高階はこの地区に土地勘があり、崎村は白浜と同じ裏のアルバイトのベテランだそうです。
黒嶺も、この二人から「クサイ」臭いはしないということで、二人は高階たちと一緒に空き地探しをすることに。
街の様子は、少し変でした。
まだ明るい昼間なのに、人気がなく、静かすぎるのです。
とはいえ風が強く、音が全く聞こえないほどではありませんが、時折悲鳴のような声がする気もします。
違和感を持ちつつも、空き地を無事見つけ、それを撮影する四人。
その時、黒嶺が言います。
「近づいてきてる クサイのが」
悲鳴らしきものも聞こえ、黒嶺の言葉もあり、一度撤退を勧める白浜。
しかし崎村は聞き入れません。
様子見に行くと言って、一人で行ってしまいます。
クサイものも近づいているため、黒嶺は崎村を心配します。
ですが、高階曰く、崎村はこういう危ないバイトには慣れているのだそう。
そんなやりとりをしているうちにも、異形が側を通り過ぎます。
体のあちこちを潰されたような、無理やり引きちぎられたような、いびつな形の体の男性(?)が歩いていたのです。
しかし、奇妙にも死んではいないようです。
あっけにとられている間に、クサイものは着実に近づいてきています。
黒嶺がクサイ!と大声をあげた時には、すぐそばで悲鳴が上がりました。
建物の影から、男性の手首が、切り落とされたようにぼとりと投げ出されます。
次の瞬間には、男性の首が、いとも簡単にもがれてしまいました。
それをしたのは、黒い毛むくじゃらの何かです。
着ぐるみのような、ぬいぐるみのような、とにかく何かでした。
感想
前回まで登場していた橙がいなくて寂しい気がしましたが、また新しくキャラがいて賑やかな感じで始まりました。
ですが崎村の言動は、少し怪しいように感じられましたね。
どこか裏がありそうです。
最後に姿を現した今回の怪異は、真っ黒で毛むくじゃらで、何かぬいぐるみのような愛らしさと不気味さを兼ね揃えています。
何を考えているのかわからない真っ黒な大きな目や、大げさに上がった口角が、そこはかとなく気持ち悪く感じられます。
毎回よくこんなに絶妙な気持ち悪さと怖さを持つ怪異を生み出すなあと思います。
いったいこの生き物はなんなのでしょうか。
今回も、二人は生き残れるのでしょうか。
気になるところです。
46話 空き地探し②
「いやあああああっ」
目の前で生きた人間の首が何かにもがれた光景を見て、高階は動転して逃げ出します。
「こっちに逃げて!」
黒嶺が、クサイ臭いのしない方へ導こうとしますが、怯えきった高階は聞き入れません。
仕方なしに白浜をだけ連れて狭いところに逃げ込んだ黒嶺。
高階は反対に、ひらけた空き地へと逃げ込んでしまいます。
その時、
「そこ動くな!」
と声がしました。
先ほど一人で行ってしまった崎村です。
とっさに立ち止まった高階は、偶然木の下にいました。
すると黒い何かは、途端に高階を見失ったようでした。
「空き地の中にいると襲われない?」
「さっきそういう場面に出くわしてさ。今ので確信したわ」
どうやら崎村は、対処方法を偶然知ったようです。
裏バイトに慣れているらしい崎村は、平然としています。
気を取り直した一行は、高階の、報酬金以外のもう一つの目的に同行します。
高階がこの地区に土地勘があるのは、友人がここに住んでいるからだそうです。
友人とは音信不通で、高階はその様子を見に行きたいのだと言います。
「あ!生きてたんだ!久しぶり!とりあえずここ開けてー」
高階はドアノブを回しますが、鍵がかかっているのか開きません。
開けてくれるよう友人に頼みますが、友人は妙なことを言い出します。
「ダメ、出れないの」
「それ、鍵かけてないんだよ」
どうやら、この街の人たちは原因不明のまま、家から出られなくなっているようなのです。
もしかして、この空き地探しのバイトは、その原因究明と何か関係があるのかもしれない。
そう思案を巡らせる高階でしたが、崎村はそれをバッサリと切り捨てます。
「どうでも良くね!? 私らの目的は金じゃんか」
すでに一件の空き地を撮影した白浜たちはもう引き揚げると言いますが、崎村はまだ続けると言います。
「でも、最後にマリちゃん(高階が安否確認をしに行った友人)に教えてもらった場所にはいくでしょ?」
とりあえず通り道だということで四人で向かうことにします。
「あの家、町内で噂の夫婦の家だ」
空き地に近づいた時、不意に高階がある家を見て思い出したように言います。
「何の噂?」
その時、あの黒い何かが佇んでいるのに出くわしました。
「空き地まで走って!私が引きつける!!」
崎村が飛び出します。
高階は戸惑いますが、崎村に絶対に死なないでよ!と言い残して逃げ出すことができました。
「私らも…」
逃げよう、と黒嶺に言いかけた白浜は、黒嶺の様子がおかしいことに気がつきます。
「クッサ!」
感想
訳のわからないものに、訳もわからないまま追われる、というのはやはり怖いでしょうね。
街で起こっている奇妙な現象も不気味ですし、自分だったらとっくにお金なんて放り出して逃げ出してしまうと思います。
お金のために、そこまで命を張れる崎村の言動はやっぱり理解できません。
にこやかで親切に見えますが、どことなく薄っぺらい笑顔を浮かべる崎村が、個人的にはどうしても苦手です。
47話 空き地探し③
噂の話はこうです。
その家の住んでいる老夫婦はまさに四角四面、全く笑わない夫婦だったそうです。
子供はいないとのことですが、家からはよく子供の声が聞こえていたと言います。
二人の怒号も。
隠し子か、そして虐待なんじゃないかと言われていました。
ですがある日突然、その老夫婦は満面の笑みで笑うようになったのです。
何でも、子供を殺して空き地に埋めたからだ、という噂でした。
その噂を思い返しながら、高階は走ります。
もしかしてあの黒い何かは、空き地と関係があるのかもしれません。
とにかく空き地に逃げ込んだ高階は、安心して走るのをやめます。
しかし、それはもう真後ろにいました。
「え」
空き地なら安全なはずでした。
しかし、困惑する暇もなく、高階の頭は黒い何かの手で一瞬で潰されてしまいます。
「クサイ。 崎村さん」
黒峰がクサイと言っていたのは、崎村のことでした。
崎村は笑っています。
連れ合いの高階が目の前で怪異に殺されたというのに、満面の笑みです。
「私、それの攻略法知ってんだ。教えて欲しい?」
崎村は平然と、白浜に話しかけます。
高階を殺した黒い何かは、次のターゲットを黒嶺と白浜に据えたようです。
キャパオーバーでフリーズしてしまった黒嶺と白浜を覗き込んで、今にも襲ってきそうです。
「そのフリーズ女、そいつに食わせて私とバディ組んでくれたら教えてあげる」
崎村は、「不死身の白浜」として知られている白浜と組みたいようでした。
しかし、白浜は断ります。
「「私のバディ」がさ、アンタの事クセーっつってんで」
崎村はアテが外れますが、対処法を知っている以上、この黒い何かを恐れることもありません。
あっさりと引き下がり、その場から去ろうとしました。
その時、崎村の上を覆っていたトタン屋根が強風で飛ばされてしまいます。
「ウッソ ヤバっ!屋根、屋根…」
対処法とはこうです。
この黒い何かは、俯瞰して街を見ているのです。
上から見下ろしているため、遮蔽物があれば見つからない、という仕組みです。
実際、最初に高階が助かったのは、彼女が木の下にいたからでした。
屋根の下に入れば、この黒い化け物には襲われないのです。
屋根が剥がれてしまった崎村は、走り出します。
しかし、それを阻んだものがありました。
高階です。
そういえば、見かけたいびつな形の男性も、明らかに死んでいておかしくない外傷なのに動いていました。
どうやら、殺されると言っても、死ぬわけではないようです。
「アンタ私を騙したの!?」
怨嗟の声をあげて、五体満足でない痛々しい体で、高階は崎村の逃亡を阻みます。
崎村も負けじと高階を罵りますが、高階の抵抗の力は凄まじいものがありました。
「おいっ!!」
白浜が叫んだ時にはもう手遅れでした。
黒い何かは、遮蔽物のないところで立ち往生している崎村を見つけて、高階と同じように捻り潰してしまったのでした。
「子供は見つけたかね!?」
今回の裏バイトを斡旋した人物のところでそう騒いでいたのは、霊能者と見えるおじいさんです。
「生涯、家から出られなかった子供の霊魂が、自由になった死後、街の中でケイドロもどきに興じておる」
「空き地から子供の遺体を見つけて供養せねば」
ケイドロとは、警察と泥棒に分かれて、特定の陣地を刑務所として立ち入り禁止にし、それ以外の場所は自由に逃げ回れるようにした制限付きの鬼ごっこのことです。
確かに、構造はよく似ています。
遮蔽物の下という特定の場所を立ち入り禁止として制限を設けた鬼ごっこ。
子供の霊魂が、そのようにして街の人間を襲っているという事でしょう。
ところで、空き地を探す方法は、何も人に頼る必要はありません。
衛生写真など、方法はいくらでもあります。
それなのになぜ、破格の報酬を払ってまで、人に頼むのでしょうか。
「この街は、上から撮ると影が見えるんです」
「子供のような黒い影が」
このバイトを斡旋した人物の目的は、原因不明で家から出られなくなっている街の人々を助けることだと言います。
それで、空き地を探し、そこに埋まっている子供の遺体を見つけようとしているのです。
「なんの罪もない住民の皆様を救助する」
「なんの罪も無いって?」
そこに霊能者のおじいさんが口を挟みます。
「あそこの住民は子供が虐待されていると知りながら、助けることもせず、面白がって噂するような連中じゃろう」
「罪のない人間など、どこにもおらぬわい」
「安全に空き地を探す情報を知ってるって言ったら、いくらで買います?」
バイトから戻ってきた白浜は、そう持ちかけました。
その数日後。
霊能者のおじいさんは言います。
「子供の霊魂!?そんなモン適当だよテキトー!」
「話の中に真実を織り交ぜるのがコツよ」
そのおじいさんの後ろでは、子供が遊んでいました。
真っ黒な、毛むくじゃらの人形を手に、地図のようなものの上で無邪気に遊んでいます。
一方、遺体は確かに空き地から発見されました。
しかし、埋まっていたのは子供の遺体ではなく、子供を虐待していたという老夫婦の遺体です。
彼らの遺体は、不自然なほど笑顔でした。
街では今日もたくさんの噂が飛び交っています。
最近では、黒い毛むくじゃらの何かが、建物の影からじっとこちらを見ているのを、子供が見たそうです。
感想
この最後の一話で急展開したな、と思います。
崎村は散々怪しいと思っていたのですが、最後はなんというか、因果応報でしたね。
因果応報といえば、この話のテーマはそこにあったんじゃないかと思います。
噂好きな街の住人は脅威に晒されて閉じ込められ、子供を虐待していた老夫婦は惨めな姿で発見され、そして崎村は殺されてしまいます。
終始詳しい説明なしに出てきていたそばかすの子供は、結局霊なのかただの子供なのか…
スッキリしない部分もありますが、それがまたかえってリアルでしたね。
一方で、白浜と黒嶺のバディの絆が熱かったですね。
この二人のコンビならなんでも乗り越えていけるんじゃないかと思うと嬉しくなりました。
最初はあまり気の合わない、ビジネスライクな関係だったようなので、成長が見えますね。
48話 海の家スタッフ①
白浜と黒嶺が働いているのは海の家です。
この海岸に一件だけの海の家で、日給1万円。
お客さんもそれなりに入っていて盛況の海の家で、黒嶺はナンパされます。
いたって普通の海の家です。
セクハラまがいのことをしてくる客をなだめる店長の江口も、どこにでもいる普通の男性。
白浜は、どうしてそんな普通っぽい彼が裏バイトで人を雇うのか聞きます。
「謎の女?」
それは、去年からの噂。
夏のビーチに、誰も知らない変な女がビーチに現れるのだという。
ある男がビーチで、連れの男を探していました。
男は岩陰に倒れている彼の姿を発見します。
ところが、発見された連れの男の様子は、様変わりしてました。
身体中から、フジツボのようなものを生やして、倒れているのです。
しかし男は、一緒に遊んでいた人から連れについて尋ねられると、何事もなかったかのようにこう言ったのです。
「ん?アイツ? アイツはかえったよ」
これも、謎の女のせいなのでしょうか。
噂のせいで、このビーチの海の家で働きたいという人は、裏バイトぐらいでしか探せないのだそうです。
噂の真偽はわかりませんが、どうやら本当のようです。
海の家も夜には閉店して、昼間賑わっている海岸にも、夜は誰も近づかない。
昼間、黒嶺をナンパしていた軽そうな男たちも、仕事終わりの彼女を誘いもせず、早く帰るよう言い含めます。
「おおいなるもの」
「いや…話して理解できるものじゃない」
謎の女について話す江口は、そう言います。
「普通に働いてくれ 危険には晒さないから」
夜、閉店した海の家の前で、江口は一人で佇み、誰かの名前を口にします。
「真弓…」
「必ずお前を取り戻す」
>>続く
感想
この漫画で面白いのは、怪異が姿を現わすその瞬間かなあと個人的に思っています。
今回の謎の女も、ビーチボールをはね上げた瞬間に現れて、本当にぎょっとさせられました。
怪異がすぐ側にあることを感じさせられますよね。
普段から、意外にそういうものは近くに居るのかもしれません。
怪異の存在や、その被害にあった人たちの様子が絶妙に気持ち悪いのはいつものことですが、今回のお話はセイレーンや人魚のような伝説にルーツがありそうですね。
店長の江口と、謎の女は、恋人のような関係にも見えます。
最後の一ページで、女が夜の海ではしゃいでいる様子は、微笑ましいはずなのにどこか怖い。
この先の展開が気になります。
最近は暑くなってきたので、海の家を舞台にしたこの話は、この夏のトラウマになってしまうかもしれません。
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