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『蟻の王』ってどんなストーリー?あらすじ紹介!
日本でトップの六道財閥を創った超大物、六道鬼三郎(りくどう きさぶろう)の死をきっかけに、本作品の物語が始まります。
鬼三郎の死後、彼の遺産や財閥は誰のものになるのか世間が注目している中、こんな噂が流れます。
「世間に知られている鬼三郎の3人の子供は、実の子ではない」、そして「鬼三郎には1人の隠し子がいる」。
その隠し子こそ、本作品の主人公である亜久里四郎(あぐり しろう)。
実は鬼三郎の血を引いているのは隠し子の四郎ただ一人だったため、その事実を世間に知られたくない鬼三郎の義子たちから命を狙われることになります。
17歳の四郎は、地元の不良たちが顔を見ただけで震え上がるほど有名な不良でケンカもめちゃくちゃ強いです。
とはいえ、四郎の命を狙う敵は六道財閥で、その総裁は「蟻の王」と呼ばれ日本で絶対的な権力を持つ男。
子供の頃から孤独に生きてきて仲間もいない四郎にとって、力の差は歴然です。
そんな絶望的な状況ですが、「互いに命のやり取りを楽しめる相手」を求めながら退屈な毎日を送っていた四郎にとって、絶好のケンカ相手が現れたようなもの。
「面白ぇじゃねぇか、蟻の王とやらよ!」と、これから始まる戦いにワクワクする四郎でした。
『蟻の王』の魅力とは?
魅力① 悪いヤツだけど美学を持った主人公、亜久里四郎(あぐり しろう)
バトル系少年漫画の主人公といえば、「卑怯な手段を使ってくる悪い敵にも正々堂々と立ち向かう」という姿こそ正統派かもしれません。
本作品でも敵は悪者ですが、主人公も悪者です。
火炎ビンと日本刀で襲ってきた不良には、ボウガンで顔面を狙い撃ち。
集団で襲ってきた半グレには、車をぶつけてからの金属バットでトドメの一撃。
このように、卑怯な手段には卑怯な手段で迎え撃つのが四郎という男です。
しかし同じ悪者といっても、敵には女性や子供などの弱者を狙う外道もいるので、四郎の制裁にスカッとできるのも魅力です。
また「本気でやり合うに値する相手」と四郎が認めた強敵との戦いでは、「不意打ちはしない」「まずは宣戦布告をする」など己の美学を貫くこだわりも持っています。
強くて悪いヤツというだけならただの悪役ですが、この美学こそが四郎の主人公らしさと言えるでしょう。
魅力② 個性的な仲間を集めて悪いヤツに立ち向かう王道ストーリー
「仲間を増やして巨悪に立ち向かう」という、少年漫画の王道ストーリーの要素を持っているのも本作品の魅力の一つです。
子供の頃から孤独に生きてきた四郎ですが、六道財閥との戦いを始めたことをきっかけに少しずつ仲間が増えていきます。
「長年仕えてきた主人の遺言に従って」、「四郎の生き方に憧れて」、「四郎への恋心で」、「四郎と同じように六道財閥に命を狙われて」など、それぞれの理由や事情を持って四郎の仲間に加わっていく個性的なキャラクターたち。
その中でも、元々は六道財閥側の人間だったのに四郎の仲間になる根古長吉と六道霧男の2人に注目してほしいです。
まず長吉は六道財閥を創った鬼三郎にずっと仕えてきた最強の執事で、財閥の新総統に就任した龍太郎からも「(四郎ではなく俺の元に)戻ってこい」と強く望まれるほどの男。
その長吉が四郎に付いていく決意を表明するシーンは見ものです。
そして霧男は龍太郎の弟で、四郎にとっては完全に敵だった男。
四郎を拉致するよう命令したうえに、鬼三郎との大事な思い出に関わるショッキングな事実から、四郎への敵意をさらに強くします。
そんな霧男が四郎の仲間になる瞬間も本作品の名シーンのひとつでしょう。
魅力③ 圧倒的な画力で描かれた肉体美がすごい
コミックスの表紙絵を一目見てもらえば分かりますが、登場人物の絵がとても美しい作品です。
特にすごいのが、肉体美です。
四郎や龍太郎など「悪くて強いメインキャラ」の肉体がとてつもなくリアルに描かれていて、立体的な胸筋や腹筋はまるでギリシャ彫刻。
この画力のおかげで、六道財閥の大ボスである龍太郎の強さにも説得力が生まれるわけです。
筋骨隆々の男たちを描いている作画担当の伊藤龍先生はSNSなどでお顔を公開しているんですが、一体どんな見た目の人物だと思いますか?
意外なことに、美しい女性の漫画家さんです。
しかも「筋肉漫画家 RYU WORLD」というYouTubeチャンネルを持っていたり、Twitterでも「私は仕事では筋肉が売りなんで」とつぶやいたりするほど、筋肉への情熱がすごい先生。
もちろん男性キャラの肉体美だけでなく女性キャラにもその画力は発揮されているので、ぜひ注目してみてください。
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『蟻の王』登場人物紹介!
亜久里四郎(あぐり しろう)
本作品の主人公です。
地元で最も恐れられる有名な不良でありながら、毎日を退屈に過ごしていた17歳。
バイトをしながらボロアパートで一人暮らしをしていますが、実は日本トップの財閥を創った六道鬼三郎の血を引く男です。
鬼三郎の死をきっかけに、唯一の実子である四郎の存在を良く思わない鬼三郎の義子たちから命を狙われることに。
「互いに命のやり取りを楽しめる相手」を求めていた四郎は、ワクワクしながら六道財閥と戦うことを決意するのでした。
ケンカが強いうえ、自分を襲ってきた者に対しては相手が誰だろうと容赦をしない性格。
弱点は泳げないことで、足が付くような浅い川にも入りたがりません。
また、子供時代から孤独に過ごしてきたせいで少々世間知らずな一面も。
「一度始めた遊びは勝つまでやめたことがない」と言うほど勝ちにこだわり、相手が悪者なら卑怯な手段も使います。
しかし勝てば何でもいいわけではありません。
「自分から仕掛けるケンカで不意打ちはしない」「相手を本気にさせて勝たないと意味がない」など、ケンカをする上での己の美学も持っています。
根古長吉(ねこ ちょうきち)
四郎の父である六道鬼三郎に長年仕えていた執事。
鬼三郎の遺言に従って四郎の命を守るため、四郎の元を訪れます。
六道財閥から狙われないよう、遺産相続の権利を放棄させるのが目的でした。
しかし、六道財閥との戦争を始めることを決意した四郎から「アンタは親父の遺産だ。俺がもらう」と言われ、四郎を新しい主人として認めます。
六道財閥の元総裁である鬼三郎の側にいただけあって、老人とは思えない強さを誇る長吉。
トレードマークでもある鋼鉄のブーツを武器や防具として使うと鬼に金棒で、車のボンネットを蹴り破ったり、日本刀を脚で受け止めて真っ二つに折ったりします。
常に冷静沈着で落ち着きがあり、四郎が立てる無茶な作戦に対して冷静に意見する場面も。
誰にでも紳士的に接しますが外道に対しては鬼の顔を見せることもあり、世話になった教会の娘を襲おうとした殺人犯の男性器を蹴り潰す冷酷さも持っています。
六道鬼三郎(りくどう きさぶろう)
四郎の父親。
鬼三郎の死をきっかけに本作品の物語が始まるため、死んでいても重要人物です。
実子である四郎の記憶の中に鬼三郎との思い出はほとんど残っていませんが、義理の息子の龍太郎や霧男の回想ではたびたび登場します。
長吉の回想によると、死の瀬戸際に「四郎を守ってくれ」という遺言を残して息をひきとりました。
六道龍太郎(りくどう りゅうたろう)
六道家の長男。
鬼三郎の亡きあと六道財閥の新総裁に就任した「蟻の王」で、財閥と戦争をする四郎にとって最大の敵です。
鬼三郎の唯一の実子である四郎がいつか自分を脅かす存在になるかもしれないと警戒し、排除しようとします。
全国の犯罪者に関する独自の情報を警視総監に提供することで、警察すらも利用できる権力者。
また「金持ちのボンボン育ちはひ弱なもん」という四郎の予想に反して、権力だけでなく驚異的な筋力も持っていたことが判明。
自身の新総裁就任パーティーでは初対面の四郎とのタイマン勝負になりましたが、圧倒的な力の差を見せつけました。
子供の頃から「世界の全てを壊してただ一人の王になりたい」という危険な思想を持ちながらも、財閥に長年仕えてきた長吉に対しては特別な思い入れを持つなど人間らしい一面も。
六道財閥を離れ四郎に付いていこうとする長吉の背に向かって、「戻って来い長吉!!そんなガキのどこが良い?!」と本音をぶつける場面もありました。
六道静流(りくどう しずる)
六道家の長女。
財閥が特に力を入れる事業である六道テレビのトップで、日本の芸能界を裏から牛耳る女帝と呼ばれています。
美人で社交的ですが、自分がプロデュースするタレントを売り込むためには手段を選ばない非情な一面も持っています。
六道霧男(りくどう きりお)
六道家の次男で、天才ゲーマー。
幼い頃から病弱で無菌室での入院生活が長かったことから重度の潔癖症で、知らない人間が作った料理を食べないほどです。
四郎の命を狙い、六道財閥の秘密工作部隊を使ったりSNSで懸賞金を賭けたりしますがどれも失敗。
さらに、龍太郎の新総裁就任パーティーで四郎に手助けをしてしまったことが原因で、六道財閥の上層部から今度は自分の命を狙われることになります。
行くあてのなくなった霧男は、命を賭けて自分を守ろうとしてくれた護衛の少女を連れて、四郎と手を組むことを決意します。
『蟻の王』序盤ネタバレ紹介!
第1話 蟻を踏む少年
「六道鬼三郎(りくどう きさぶろう)が死んだ」というニュースは、世間を騒がせていました。
世間の注目は、巨大な六道財閥グループの総裁だった鬼三郎の遺産です。
普通に考えれば3人の子供たちが遺産を相続するはずですが、一部では「鬼三郎には隠し子がいた」、「3人の子供とは血がつながっていない」などと噂されていたのです。
「俺も鬼三郎の隠し子だったりしねえかなぁ」などと話すサラリーマンが乗り込んだ通勤電車には、運の悪いことに大勢の不良たちがいました。
電車の中でタバコを吸ったり、泣き声をあげる赤ん坊にタバコの火を当てようとしたりと、やりたい放題の不良たち。
そこへネコの着ぐるみを来た何者かが現れ、顔面への蹴り一発で不良のリーダー格を制裁します。
着ぐるみ男の名前は、亜久里四郎(あぐり しろう)。
四郎は、県内の不良たちから最も恐れられている有名人です。
キャラクターショーのバイトに遅れそうだった四郎は、着ぐるみのまま電車に乗っていたのでした。
「ただでさえ着ぐるみで息苦しいのに、隣の車両までタバコが臭ってきてたぜ?」と、着ぐるみを脱ぎながら文句を言う四郎。
中身が四郎だと分かると、蹴られた不良は態度を急変させて機嫌を取ろうとします。
四郎はそんなのお構いなしに不良を容赦なく蹴り続けるため、殺してしまいそうな勢いです。
見かねたサラリーマンが四郎を止めようとすると「俺のこと、正義の味方に見えたんだ?」と言って、サラリーマンにまでパンチを食らわせます。
「残念でした、俺はただの悪いヤツだよ」と言い放つ四郎。
四郎は、毎日を退屈に過ごしていました。
「誰かをメチャクチャにぶっ壊したい」、「殺しても許されるようなスゲェ悪いヤツが現れてほしい」。
そんなことを考えながら四郎がアパートに帰ると、一人の老紳士が待っていました。
六道財閥相談役の肩書を持つ老人の名前は、根古長吉(ねこ ちょうきち)。
四郎は長吉から「あなたの父、鬼三郎が亡くなった」と告げられます。
「父親がいた記憶なんてねぇよ。鬼三郎という男は知ってるが嫌な野郎だった」と、長吉を相手にしようとしない四郎。
長吉の用件は、四郎に遺産相続の権利を放棄させることでした。
それが鬼三郎の遺言だったのです。
遺産に興味などなかったものの、嫌いな奴の指図など受けないと拒否する四郎。
「同意して下さればそれなりの謝礼はいたします。さもないと、殺され…」と長吉が言いかけたその時、四郎のアパートに火炎ビンが投げ込まれます。
外から四郎の部屋を見上げていたのは、日本刀を持った一人の不良。
「有名な不良である四郎を殺して世間を騒がせたい」という動機で、四郎を襲ってきたのでした。
しかし、ボウガンでためらいもなく頭を狙ってくる四郎のヤバさに戦意喪失し、あっけなく逃げ出そうとする不良。
四郎は不良の脚と頬にボウガンを打ち込んで動きを封じると、奪った日本刀で首を切り落とそうと構えます。
「四郎を殺しても警察から守ってもらえると、ある人からそそのかされた」と命乞いをする不良に、四郎は日本刀を振り下ろしました。
しかし、止めに入った長吉の鋼鉄ブーツで刀は真っ二つに。
「この辺でやめてさしあげましょう。騒ぎにならないように処理いたします」と不良を連れ去ろうとする長吉。
長吉は、四郎との古い記憶を思い出していました。
幼い四郎は、自分の足が傷だらけになっても庭の蟻を踏み続けています。
それは「庭にいる不愉快な蟻を全て退治しろ」と、鬼三郎が幼い四郎に与えた命令でした。
「四郎様は父上からの言葉を守って、あなたは今も蟻を踏み続けている」と長吉に指摘され、逆上する四郎。
背後から長吉にボウガンを放ちますが、片手で掴み取られ矢をへし折られてしまいます。
「遺産放棄には必ず同意してもらう」、「強大な蟻の王があなたを踏み潰そうとしている」と忠告して去っていく長吉。
場所は代わって、六道ファイナンス本社ビル。
鬼三郎の後継者として、長男の龍太郎が六道グループ新総裁の座についていました。
龍太郎は警察の協力者としての顔も持っており、警察ですら把握していない全国の悪党たちの情報を掴んでいます。
そんな悪党たち、つまり悪いアリ達をうまく働かせた者が頂点に立って「蟻の王」になれると考えている龍太郎。
そんな龍太郎にとって邪魔な存在が四郎です。
実は鬼三郎と血がつながっている子は、四郎ただ一人。
日本刀を持った不良が四郎を襲ってきたのも、裏で操っていたのはどうやら龍太郎のようです。
ある日、四郎が殺し損ねた不良の生首がアパートの塀にさらされていました。
四郎はこれが、蟻の王からの宣戦布告だと理解しました。
「ハッ、面白ぇじゃねぇか蟻の王とやらよ!どっちが強くて悪いアリか思い知らせてやるぜ!」
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第2話 夜の兵隊蟻
六道グループのホテルで豪華な食事を囲んでいるのは、六道鬼三郎の3人の子供たち。
ワインを片手に映画監督と電話しているのは静流(しずる)。
お気に入りの俳優を新作映画の主役に替えろと笑顔でプレッシャーをかけています。
床に座って退屈そうにゲームをしているのは霧男(きりお)。
潔癖症のようで、誰が作ったか分からない食事には全く手を付けていません。
「兄さんが全部食べてしまうぞ」と、豚の丸焼きを一人で完食しようとしているのが長男の龍太郎です。
やがて3人の会話に、鬼三郎の隠し子である亜久里四郎の名前が上がります。
世間には知られていないものの、鬼三郎の血を引いていない3人。
鬼三郎の遺産を相続するためには、唯一の実子である四郎の存在が邪魔でした。
「四郎を丁重にもてなそうではないか」と口では言いながら、何か企んでいる様子の3人。
豪華な食事を囲んでいた3人とは対照的に、常連のハンバーガー屋で食事中の四郎。
有名な不良である四郎を襲ってきた男たちを撃退したあとのようで、床には気絶した2人組と凶器のナイフが転がっています。
「お前がいつも店に来るせいで不良たちも集まってくるんだ」と言いがかりをつけてくる店長に怒った四郎は、店内で暴れ出そうとします。
その時、見事なタックルで四郎に立ち向かっていったのは店のバイト君でした。
四郎もこれには驚き、仰向けに寝かされながら「格闘技でもやってるの?動けねぇよコレ」とバイト君を賞賛。
馬乗りで有利なはずのバイト君でしたが、なぜか涙目で「カンベンしてください」と怯えています。
四郎は、倒される一瞬で取った床のナイフをバイト君の脇腹に突き刺そうとしていました。
「勝たなきゃ格闘技やってる意味ねぇじゃん」と言い残し、店を去っていく四郎。
その日の夜、とある総合格闘技ジムのリングにて。
四郎にタックルを決めたバイト君が、寝技で締め落とされそうになっていました。
バイト君の名前は坂水(さかみず)。
ジムの代表の岩吉が「格闘家なのに素人にケンカで負けたらしいな」と坂水を責め、失禁させるほどシゴいていたのです。
その後、木津根(きつね)と呼ばれる相手からの電話で何かの仕事を受ける岩吉。
元力士で総合格闘技ジムの代表というのは、岩吉の表の仕事です。
裏の仕事は、金をもらって依頼者の標的を痛めつけることでした。
今回の標的は、新作映画の主演に決まっていたイケメン俳優。
岩吉は俳優を押さえつけながら、裏の仕事に初めて連れてきた坂水に「こいつの腕を折れ」と命令します。
「腕もセンスも根性もあるが、お前には覚悟が足りない」「不良にイジメられて泣かされ続けてきた頃から変われ」と言われた坂水は、覚悟を決めて俳優の腕を折ってみせます。
その叫び声を電話越しに聞いていたのは、岩吉の依頼主である木津根。
木津根は六道財閥の秘密工作部隊で、六道家からの依頼であればどんなヤバい仕事も引き受けます。
木津根の電話の様子をそばで聞いていた霧男は、依頼主が姉の静流だと感付きます。
そして霧男は「僕の頼みもヒミツで引き受けてくれる?ぶっ殺してほしいヤツがいるんだ」と木津根に依頼をもちかけるのでした。
翌日。
金もなく腹を空かせて公園で寝転んでいる四郎の元へ、長吉が現れます。
「遺産相続を放棄しないと殺されます」、「圧倒的な力を持つ者は前ぶれもなくいきなり殺します」と再び忠告する長吉。
しかし、小物の不良たちばかりを相手にして退屈していた四郎は、互いに命のやりとりを楽しめる相手を求めていました。
「殺すに相応しい大モノを探してるんだよ」と長吉に言い残して公園を去っていきます。
その直後、歩道橋で岩吉たちに囲まれる四郎。
素人じゃなく人を襲い慣れてる集団だと見抜いた四郎は涼しい顔のまま気を引き締めます。
その時、岩吉の手下の中にハンバーガー屋で会った坂水がいることに気付いて声をかける四郎。
「仲間を連れて仕返しか?」と挑発してくる四郎を、悔しそうににらみつける坂水。
2人のやり取りを見た岩吉は、今回の依頼の標的である亜久里四郎が坂水を負かした相手だと気付きます。
一筋縄ではいかない相手と読んだのか、「手荒なことは面倒なんで手錠をハメてついて来てほしい」と四郎に持ちかける岩吉。
手錠をかけられあっさり付いていく四郎でしたが、坂水をしつこく挑発してキレさせてしまいボコボコに殴られます。
仕事中に暴走してしまったことで岩吉からの仕置きを受け、岩吉の監視付きで同じ車に乗せられる坂水。
その後ろからは、坂水にやられて気を失ったままの四郎を乗せた車が付いてきています。
夜の山道を走る中、死んだように動かない四郎を見て「もし死んでいたら、生かして連れていくという依頼を守れない」と慌てる手下たち。
トンネルを抜けていったん車を止めようとしたとき、何者かの脚が車の天井を突き破ってきました。
四郎を救出するために車を襲ったのは、鋼鉄のブーツを履いた長吉。
気を失ったフリをしていた四郎も加わり、岩吉の手下たちを全滅させます。
「私が運転するのでこのまま帰りましょう。その間にこれを」と長吉が差し出してきたのは、またしても遺産の相続放棄書。
しかし四郎は、岩吉を追えば自分を狙う「蟻の王」の元にたどり着けると考え、自らの運転で岩吉たちの車を追うのでした。
第3話 蟻の王子様
助手席の長吉は「このまま追っても、また捕まって殺されるだけでございます」と四郎に警告します。
四郎は「鬼ごっこなら今度はこっちが捕まえる番じゃねえか」と言い返し、前の車を追って夜の山道を走り続けていました。
山道の先にあるホテルには、霧男と木津根の姿があります。
四郎を連れてくるよう木津根を通して命令していたのは、六道鬼三郎の末っ子である霧男だったのです。
霧男は、ホテルオープン当時のポスターを見て懐かしんでいます。
ポスターには露天風呂に入っている屈強な肉体の男と、その太い腕に抱えられた小さい子供が映っていました。
ポスターの2人は後ろ姿で顔は見えませんが、男のほうは鬼三郎であり、小さい子供は幼い頃の霧男だと木津根が説明します。
一方その頃、岩吉と坂水の車内。
「お前をイジメていた不良達への怒りはいったん忘れて仕事に集中しろ」と坂水に聞かせる岩吉。
岩吉の声が届いているのかいないのか、暗い表情の坂水。
その頭の中では、まだ格闘技を身につけていなかった頃に不良たちからイジメを受けていた苦い記憶がよみがえっていました。
そして、坂水たちが乗る車の後ろを付いてくる車内では。
「ハンドルを奪って車を崖から落としてでも、四郎様を先には進ませない。崖から落ちたほうが生存確率は高い」と告げてきた長吉に、四郎もついに降参して車を止めます。
車を降りて相続放棄書にサインをし、大人しく長吉に渡そうとしますが。
それは四郎の演技でした。
サイン済みの相続放棄書を崖の下に投げ捨てて、長吉に放棄書を追わせる作戦だったのです。
ただし、超人的な身体能力を持つ長吉はためらいもせずガードレールを飛び越えてダイブ。
落下しながら、放棄書を軽々とキャッチしてしまいます。
「すぐ戻ってまいります」とだけ言い残し、崖の下に広がる森へ落ちていく長吉。
こうして、一時的とはいえ長吉から逃れることに成功した四郎は、山の上のホテルへと急ぐのでした。
ちなみにサインには偽名を使っていたので、長吉が取り戻した放棄書も結局無効となりました。
ついにホテルに着いた四郎。
油断している岩吉たちのところへ車のまま突っ込み、金属バットの一振りで岩吉を仕留めます。
そこへ坂水が立ちはだかりますが、「オマエのこと忘れてたよ、泣き虫バイト君」と完全にナメ切っている四郎。
これ以上不良にナメられないために手段を選ばなくなった坂水は、ナイフを持って四郎に向かっていきます。
しかし、手錠をしたままの四郎にも歯が立たず、命乞いをしながら締めあげられる坂水でした。
その頃、ホテル最上階に来ていたのは霧男と木津根です。
ポスターに映っていた露天風呂を眺めますが、潔癖症の霧男は風呂自体には興味がありません。
幼い頃から病弱だった霧男は無菌室で孤独な子供時代を過ごしたため、家族との思い出もほとんどありませんでした。
そんな霧男の心の支えだったのが、病室の天井に貼られていたポスターに映る鬼三郎の姿です。
義父の鬼三郎と自分に血のつながりはありませんが、それでも霧男にとってはこの露天風呂での父との思い出は大切なものです。
しかし不思議なことに、霧男にはこの露天風呂に来た記憶はないのでした。
そこへ「亜久里四郎を連れて参りました」と、岩吉の手下がやって来ます。
連れてこられたのは手錠をかけられた四郎らしき男ですが、その正体は坂水です。
人相が変わってしまうほど顔面をボコボコにされ、影武者として四郎の服を着せられていたのでした。
自身は岩吉の仲間に変装して木津根たち護衛の油断を誘った四郎は、霧男を人質に取ることに成功します。
とはいえ、ホテルの最上階で逃げ場がない四郎。
霧男を殺して自分も殺されて終わりにしようかと考えます。
しかし、自分を殺そうとしてきたくせに「死にたくない!」と助けを求める霧男を見て、こいつも所詮はちっぽけな蟻で殺す価値もないとガッカリします。
その時、露天風呂越しに夜景を見下ろした四郎は「この場所に来た事がある」と、幼かった頃の記憶を思い出します。
四郎の記憶の中には、露天風呂から街を見下ろして「日本列島は巨大の蟻の巣だ」と豪快に笑う男がいました。
幼い四郎に「お前が蟻の王様なら、蟻たちをどう使う?」と問いかけるこの男こそ、六道鬼三郎です。
ポスターに映っていた子供は、霧男ではなく四郎でした。
四郎が父との記憶を思い出したとき、霧男が発狂したように叫び声をあげます。
義父とのたった一つの思い出を奪われた霧男は、あまりの怒りで潔癖症のことも忘れて四郎の腕にかみついたのでした。
せめて天国にいる義父の眼差しは自分だけに向くように、四郎だけでなく兄や姉すらも全員殺すと宣言する霧男。
さっきまでとは別人のように殺意を燃やす霧男を気に入った四郎は、霧男を抱えたまま最上階の露天風呂から下へ飛び降ります。
飛び降り自殺をしたように見えた四郎ですが、落ちた先にはまた別の露天風呂が。
霧男を放置して逃げる四郎を見て、追いかける坂水。
「あの人をもっと見ていたい…!!」と、吹っ切れたかのように目を輝かせています。
こうして四郎と坂水は、途中で合流した長吉の助けも得てホテルからの逃走に成功するのでした。
帰りの車内で、鬼三郎との会話の続きを思い出していた四郎。
「蟻の王様になんかして欲しくない。ボクは王様を倒す蟻になりたい」、「悪い蟻を仲間に集めて、王様に戦争を仕掛ける」と子供の頃に答えていた四郎。
そして今、その言葉の通りに王様相手の戦争が始まりました。
「アンタは親父からの遺産だ。俺がもらう」と言って仲間に加えた長吉と、四郎に付いてきた坂水。
仲間はまだ2人だけですが、これからの戦いにワクワクする四郎でした。
1か月後。
ホテルでの一件以来、四郎たちの行方は龍太郎にも掴めていませんでした。
そんな四郎の居所を掴むため、霧男はSNSで1億円の懸賞金をかけて全国の蟻達を動かそうとしていました
『蟻の王』読者の評価は?
布教したい
蟻の王ってバイオレンス強めだけど、まじで面白いんだよ!!!
グロあんま好きじゃない私も喜んで読んじゃうくらい!
あと、筋肉素晴らしすぎて…筋肉フェチの方はぜひ(私)— 蒼之助 (@Aonosuke_0813) September 17, 2021
「蟻の王」はいいぞ
日本の不良版ワンピースみたいな話で面白いぞ— ゆりんちー (@sh1n0_seve_ele) September 15, 2021
蟻の王 って漫画が面白い…🙄
— アヤカ。 (@_Busyoryu_2) September 12, 2021
ファブル、まじのまじのすけで面白いのでみんな読んで欲しい。
蟻の王は絵が美しいのでみんな読んで欲しい— 小夏子 (@jyagakona) September 9, 2021
蟻の王めちゃ面白い
— スプートニク (@porter_classic) September 6, 2021
蟻の王とても面白い、先の展開全く読めん
— ミ゚ (@nato_7107) September 3, 2021
蟻の王って漫画面白いな5話まで無料読みできたから読んだけど続き買おうかな〜
— 青砥小春 (@pruk0324) August 30, 2021
蟻の王 やっぱくそ面白いな。神漫画だよ
— ジャッカス (@11Jackass23) August 30, 2021
『蟻の王』は最終回完結した?
2021年9月現在、『蟻の王』は最新13巻が発売されており、連載が続いています。
とても人気の高い作品であるため、最終回・完結はまだまだ先だと思います。
これからどのような展開になっていくのかがとても楽しみですね!