チ。地球の運動について2巻無料ネタバレ!タダで漫画読む方法解説!運命に翻弄されオクジーが辿り着いた石箱の中身とは?

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『チ。地球の運動について』2巻を無料で読む方法とネタバレが知りたい。

 

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『チ。地球の運動について』2巻ネタバレ紹介!

第5話

ラファウが死んで10年後。

 

その夜、グラスは一緒に仕事をしているオクジーを待たせ、夜空の星を見上げていました。

 

「すまない、待たせたね・・・オクジー君。」

 

今日はオクジーがグラスの支部にきてちょうど1年でした。

 

そして彼らは今日が来るのを心待ちにしていました。

 

今日は昇給日でした。

 

彼等が所属している組合は先払いで、仕事前にオクジーとグラスはその中身を確認しました。

 

「さて、どれ程増えているか。」

 

グラスは給与袋からお金を出しました。

 

「えっ。」

 

ところが給与の中身は今までよりも少なかったのです。

 

「へ、減ってる・・・」

 

領主様より増税の要請があったため多くは税金として引かれているとの手紙が添えてありました。

 

「ク、クク。いや痺れるね。追い込まれる程人生の本番って感じでワクワクするね。」

 

グラスは笑いながら言いました。

 

「なんにせよ仕事が終わったら祝杯をあげよう。今日は私の奢りだ。」

 

グラスは気持ちを切り替えるようにオクジーに言いました。

 

「では。仕事にかかろう。」

 

彼らは目的地に向かい直前でマスクを被り仕事にとりかかりました。

 

彼らは民間警備組合に所属していましたが、その仕事は代闘士でした。

 

通りにはナストゥラ伯に決闘を申し込んだ貴族の男が待っていました。

 

マスクを被ったオクジーは、ナストゥラ伯の代闘士として決闘を代わりに闘うためにここに来たこと、そして個人報復を避けるためマスクを着用していることを貴族の男に伝えると剣を抜きました。

 

「では、早速始めましょうか。」

 

「決闘開始。」

 

貴族の男は剣を交わしたもののオクジーの強さに怯みました。

 

頬に剣先が当たるとスーッと血が滴りました。

 

男は焦りました。

 

「ちょ、ちょっと!!なんでこの私が貴様らのような下級のものと闘わねばならんのだ。」

 

そう、取り乱す貴族の男にグラスは説明しました。

 

「そのナストゥラ伯に依頼された代闘士だからです。それはあなたも了承のはずですが。」

 

決闘である限り負けた場合は当然死を意味しました。

 

オクジーは必死に攻め立てる男の剣先を間一髪かわすと、ベルトに隠した武器で男の剣を奪いました。

 

貴族の男は跪きました。

 

「金をやる、家もやる、いい取引じゃないか!?」

 

必死に命乞いする貴族の男にオクジーは言いました。

 

「そうなんですけど、、期待されても困ります。仕事なので・・・」

 

オクジーは貴族の男の喉を突き刺しました。

 

男はその場に倒れました。

 

「地獄へ墜ちろ。」

 

男は言い残しその場で息絶えました。

 

(地獄へ墜ちろ。)

 

死んだ貴族の男のその言葉に、オクジーはまた不安な思いを抱くのでした。

 

死体を片付けて彼らの仕事は終わりました。

 

「流石の反応だった。いい“眼“だね。」

 

褒め言葉に不安な表情を浮かべるオクジーにグラスは尋ねました。

 

「どうかしたかい?」

 

オクジーはそう言われて心に宿る不安な胸のうちを明かしました。

 

「この仕事で人が死ぬ瞬間を何回も見てきました。でも誰1人満足な顔で死んで言った人はいませでした。」

 

(もしかしたら自分が望んでいる天国へ行ける人は僅かなのではないか・・・そうだとしたら何人も人を殺した私は天国なんて行けないのではないのか・・・この世で幸福になれるのは一部の資格を持っている人間だけなのではないか・・・)

 

オクジーは死んで天国に行くことにのみ希望を抱き生きていたのでした。

 

不安を吐き出すオクジーにグラスは自分の希望を明かしました。

 

「私も前はそう思っていたよ。この世には永遠とか完璧がないから何も信用できない。だが私は絶対の信頼を置けるものを見つけてしまったのだ。」

 

2人は話の続きをするために酒場に入りました。

 

酒場に入ると遠くからヒソヒソと「あいつら人殺しだ。」と噂をする声が耳に届きました。

 

グラスは構わず酒を注文して話を始めました。

 

「私の見つけた希望はこれだ。」

 

グラスがテーブルに出した書物は火星の観測記録を書き留めたものでした。

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第6話

「か、かせい・・・?なんですソレ?」

 

そう尋ねたオクジーにグラスは自分が発見した世界の事実について語りだしました。

 

「思い出してみよう、あの天には、毎晩同じ配置に同じ星座が見えるだろう?そして一晩で東から西へ動きやがて朝が来る。だがなんとあの天には固定された星座の中を動く星もあるのだ・・・!」

 

グラスはその星が一晩では非常に僅かながら数日単位では確実に位置が変わっていること。

 

そしてその動く星が“惑星“と呼ばれ6つほどあること。

 

太陽もその一つだと言うこと。

 

その中で動きが最もわかりやすく炎のように赤く輝く星を“火星“と呼ぶ、とグラスは説明しました。

 

グラスはその事実に気付いてから火星を毎晩記録していたのでした。

 

そしてその結果グラスが辿り着いた事実こうでした。

 

“火星は1か月、半年、1年、ブレずに逸れずに迷わずに!円を描くように動く。“ということでした。

 

「揺れる草、流れる川、自然界に動くものは数あれどこれ程規則正しく動くものはない」

 

まさに“完璧“だと言いました。

 

「C教の教えは、この地は汚れていて無秩序だ。高貴にして完璧なる“天“には届きもしない。しかし!私達にも“完璧“を見ることはできるのではないか。人は完璧を認識できる。しかも太陽と違い火星は直視可能だ。」

 

グラスは興奮しながら言いました。

 

「そしてこの地球は完璧観測の特等席!そう考えたら地球も捨てたものじゃない!今やこれによりこの世の全てを肯定できる。」

 

オクジーはこじつけ解釈だと思いながら

 

「へ、へえー。」

 

と返事をしました。

 

「では、私はここで失礼するよ。」

 

「ご馳走様でしたグラスさん。」

 

酒場を出てグラスと別れたオクジーは帰り道で別の仕事仲間に会いました。

 

そこでオクジーはグラスの意外な過去を知るのです。

 

グラスは病気で家族を皆亡くし、それに絶望して自殺を図ったことがありました。

 

そこで死にきれず、嘆き塞ぎ込んでいましたがここ1、2年で妙に明るくなったというのです。

 

そしてその理由が、観測をはじめたことでした。

 

「あれは天国からの家族のメッセージだ。私を勇気づけるために完璧を見せてくれたのだ。」

 

みんなはグラスが気がふれたのだと思っていました。

 

「気つけろよ。不安定なのは何するかわからなねぇぞ。」

 

そう言って仲間は仕事を終え帰って行きました。

 

その次の夜。

 

「ありえ、ない」

 

グラスは夜空を見ながら狼狽しました。

 

「毎日・・・毎日2年間動いていたんだ。それがここ最近、移動速度がずいぶん遅くなっていたんだが・・・つ、ついに今日、火星が、止まった。」

 

観測をはじめてから2年間動いていた火星が今日止まってしまったのです。

 

オクジーは狼狽(うろた)えるグラスをなだめました。

 

「け、結論を出すのは早いですよ。後日もっとちゃんと見て確かめましょう。」

 

「あ・・・ああ。そうだね。」

 

グラスは落ち着こうご返事をしました。

 

数日後。

 

夜空を見上げるグラスにオクジーは尋ねました。

 

「ど、どうですか?」

 

「フッ。」

 

グラスは笑いながら話ました。

 

「曲がった。明後日の方に。完璧な円環が壊れた・・・」

 

火星は明後日のほうに曲がっていたのです。

 

「醜く歪んだ。」

 

オクジーは夜空を見上げるグラスに声をかけようとしましたが、グラスは空を見たままただ身を震わせ涙を流していました。

 

「これが私の、運命か・・・」

 

オクジーは希望を失いました。

 

翌日。

 

「きょ、今日は観測なしですか。」

 

オクジーはグラスの様子を気にして聞きました。

 

「・・・まぁね。君のいう通り天国を差し置いてこの世界で何かを期待するのは・・・間違っていたのかもね。」

 

今日の業務は異端者の輸送警備です。

 

いつも通り2人はマスクを被りました。

第7話

「仕事を依頼した異端審問官のダミアンだ」

 

ダミアンは聖職者階級の人間で、C教に背く思想を抱く異端者を取り締る仕事をしていました。

 

オクジーとグラスは捕らえられた異端者を輸送するための馬車に同乗するよう言われました。

 

「異端者は悪魔と通じているかも知れん。輸送中何を言われても無視しろ。用心してくれ。」

 

2人は異端者と一緒に馬車に乗りました。

 

外は暗く雨が降っていました。

 

「マスクを取ってもいいのかね。」

 

走っている馬車の中でマスクをとったグラスに異端者が話しかけました。

 

「これから死ぬ異端者に見られても何も困らん。」

 

グラスは気にせず答えました。

 

「それにしても雨とはね。空が見えんのはいかん。君らは空に興味はないか。」

 

グラスは異端者の問いに答えず話を止めるように促しました。

 

「それを断ったら殴られるのかな?」

 

オクジーは答えました。

 

「可哀想で殴る気も起きない・・・なぜ人間を救済するC教に歯向かうのか。なぜ自ら天国にいけなくなるようなことをするのか。」

 

そして言いました。

 

「今からでも改悛したらどうです?」

 

異端者は笑みを浮かべました。

 

「君らこそ一度考え直すべきじゃないか。現在のC教は本当に君らを救うのか。天国など本当に存在するのか。」

 

グラスが笑を浮かびながら言いました。

 

「異端者如きにはわかるまいさ。」

 

「そういう君らは、一体何を分かっているんだ?」

 

異端者は語り続けました。

 

「この世の絶望から目をそらす為にあるかもわからぬ天国に逃げてるだけじゃないのか?人は悲劇を肥やしに新たな希望を生み出す。その場しのぎの慰めなんか現実を変えやしない。だが君の絶望は希望に転化し得るのだ。君らは絶望に目を塞ぎ、誰かがくれた死後の保証つきの人生を生きている。」

 

「くっ。」

 

グラスは立ち上がり剣を抜きました。

 

「黙っていれば戯言ばかり!何も知らないで」

 

オクジーは驚き、グラスを落ち着かせようとしました。

 

「落ち着いてください。異端の策かもしれない!」

 

異端者は笑い、言いました。

 

「“異端“か。君がそう呼ぶ者を何故恐れるかよくわかるぞ。異端が理解不能だからではない。むしろ君自身が心の底では天国を信じきれてないからだ。」

 

「勝手なこと言わないでください」

 

「不安になるのはよくわかる。死後の予定が揺らぐのは辛いだろう。」

 

「もう黙ってください。」

 

「しかし君は、人類は正面から向き合うべきだ。麗しの天国なぞないのかもしれないということに。」

 

「やめろと頼んでるだろ!!」

 

オクジーも剣を抜き異端者に向けました。

 

異端者はゆっくり話を続けました。

 

「だが、この地球は、天国なんかよりも美しいということに」

 

2人は狼狽しました。

 

「な、何をばかな。」

 

「君だって、本当は信じたいだろ?この星は生きるに値する素晴らしい何かだと。」

 

オグジーは何も言えず立ち尽くしました。

 

そして自分を落ち着けると、剣を鞘に戻しました。

 

「・・・もういいです。十分だ。バカバカしい・・・落ち着いて考えれば全て無意味な妄想だ。」

 

「理由はある。」

 

「そうですか。だとしても今ここにはない。」

「いや、今ここにある。」

 

異端者は窓の外を指さしました。

 

「今ちょうど見えるそこの山だ。全ての証拠はあの中腹に置かれた石箱の中だ」

 

オクジーは窓の外に映る遠くの山を見ました。

 

「さて事態を理解しているかね。今夜、君たちは恐らく人生で初めて、自らの運命を変える挑戦権を得ている。」

 

立ち尽くしている2人に異端者は続けました。

 

「一生快適な自己否定に留まるか、全てを捨てて自己肯定に賭けて出るか。どちらを選ぶも自由だ。さぁ、どうする。」

 

「ど、ど、どうもこうも」

 

オグジーが答えようとしたその時、黙っていたグラスが剣を振り上げました。

 

「頼む・・・」

 

異端者の手を結んでいた縄が切れました。

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第8話

「ダミアン君さー。コレ私必要なの?今日の異端はペーターさんの担当でしょ?」

 

馬車の中でアクビをしながらノヴァクは言いました。

 

「輸送の時だけ駆り出されるのもなぁ〜。」

 

退屈そうに話すノヴァクにダミアンは強い口調で言いました。

 

「ノヴァクさん。前々から思ってましたが・・・その態度はなんですか?」

 

「えっ。」

 

「我々は神に仕え信仰の安全を守るために働いているのですよ?惰性は許されない。」

 

その時、馬車の御社(ぎょしゃ)が声をあげました。

 

「前の馬車、遅くなったと思ったら御者が飛び降りたぞ!どういうことだ!?」

 

ダミアンは言いました。

 

「警備組合の奴ら裏切ったな!後を追ってください」

 

「いや。ここで止めて。」

 

ノヴァクはボウガンを片手に持ちました。

 

そして前の馬車の馬に向かってボウガンを打ちました。

 

「ううっ。」

 

気がつくと、オクジーは馬車の荷台から放り出され地面に倒れていました。

 

馬は倒れ荷台も横倒しになっていました。

 

グラスも輸送中の異端者も地面に倒れていました。

 

オクジーはノヴァクに気づくと駆け寄りました。

 

「た、助けてください!」

 

ノヴァクはオクジーに向かって剣を振り抜きました。

 

「うわっ!?ちょっと!?僕は脅されて」

 

「ソレ信じろって!?」

 

ノヴァクは構えました。

 

「え、えっ、いやっ。」

 

オクジーも慌てて身構えました。

 

(す・・・隙がない。戦ったら多分死ぬ。)

 

「負けました!俺が悪いです。許してください!」

 

剣を地面に刺し頭を下げました。

 

「え、えぇー・・・交戦中に降参ってどう対処すればいいんだっけ?えーと・・・各自判断に任せるって・・・一番めんどいヤツじゃん。」

 

ノヴァクは書類を見ながら呟きました。

 

「まぁでも一度裏切ってるしな・・・。ダメかな。君もう必要ないし。」

 

ひれ伏すオクジーに、ノヴァクは剣を振るいました。

 

ズザッ!ドッ!

 

ノヴァクの剣はオクジーではなく急に目の前に現れた異端者の体を貫きました。

 

身代わりになったのです。

 

「は、はぁッ!?なんで!?」

 

異端者は血を吐きながらネックレスを握った手をオクジーに差し出して言いました。

 

「歴史が君を必要としたからだ。頼む。」

 

そう言ってネックレスをオクジーに手渡しました。

 

ガクッ

 

立ったまま、そして笑を浮かべたまま異端者は息絶えました。

 

「ウワッ!?」

 

訳がわからないままオクジーは逃げようと走り出しました。

 

ノヴァクは異端者から剣を抜き逃げるオクジーに向かって投げました。

 

ギンッ!

 

グラスが飛んできた剣を自分の剣で弾きました。

 

2人はそのまま森へ走りました。

 

「ちっ。」

 

ノヴァクは舌打ちしました。

 

「ク、クロスボウ取って来ます!」

 

「あー、いいよいいよ。我々が取れ得るべきは今くたばってる異端だし。私も元傭兵だからわかるが、奴らは文字ひとつ読めん。異端になる脳もない。ほっといても何もできやしないさ。」

 

ノヴァクは馬車に引き上げました。

 

森へ逃げ込んだグラスの剣はオクジーに向けられていました。

 

「・・・」

 

オクジーは言いました。

 

「あの・・・逃げないのでもう剣下ろしていいですよ?」

 

「そ、そうか・・・」

 

グラスは剣を納めました。

 

「・・・ま、巻き込んでしまいすまない。」

 

2人は森の中を歩きます。

 

「・・・しかし、やり直したいかと問われたらそうではなく何度繰り返しても同じ選択をしただろうからこの謝罪は誠実さを欠いている。その点も大変申し訳ないと思っている。」

 

「・・・え。ええ、わかりました。」

 

オクジーは苦笑いを浮かべながら返事をしました。

 

そうして二人は異端者が言っていた石箱を目指しました。

 

「い・・・石箱だ・・・」

 

異端者が言っていた石箱。

 

そして2人は今たどりつきました。

 

グラスは石箱を開けました。

 

書物が入っていました。

 

「これはなんの図だ?」

 

「こちらは手紙見たいです。

 

二つあって・・・日付が最近のと・・・10年前の?」

 

グラスはオクジーから新しい方の手紙を受け取り目を通しました。

 

あの異端者が書いた手紙です。

 

グラスは手紙を読みました。

 

『初めに___私はこの石箱の製作者ではない、発見者だ。

 

この箱の発見に至った経緯について書き残そうと思う。

 

私は占星術師として日頃より天体観測をしていた。

 

ある時視界や高度を考慮し、ここ一帯で一番の観測地を見つけた。

 

すると不思議なことに気付いた。

 

そこにある二つの大岩のそれぞれに、中央に印がついた三つ星(オリオンベルト)の絵が彫られていた。

 

そして、それに対応するように、二つの岩のちょうど間、オリオンベルトの“中央星“の位置に、ちょうど向かいの山登り中腹が見える。

 

一体、そこに何が?誰が?なんの為に?

 

そしてこの箱に出会ったのである。

 

結局、この箱を残したのが誰で、何故放置されていたのかその“経緯“はわからない。

 

しかしその“中身“は、未完成ながら歴史と人類の運命を変えてしまう物だとハッキリわかった。

 

もしこの発見のせいで私が死んだとしても、この発見のおかげで私は幸福な命だったと断言できる。

 

詳細は同梱されている資料や紀文で確認されたい。

 

私も勝手ながら複数の計算修正をさせてもらった。

 

___以上。』

 

もう一方の手紙を読もうとしましたが、オクジーは文字をちゃんと読めません。

 

「でも、題名だけならなんとか。」

 

「なんだ?」

 

「地」

 

グラスが手紙を受け取り読みました。

 

『この星空の秘密を捧げる。尚これにより利益が生じた場合その一割をポトツキに贈与すること。彼の協力は心強かった。』

 

「一体これは、なんなんだ・・・」

第9話

「ダメだ迂回しよう。この橋も崩れている」

 

オクジーとグラスは村へ行く道を探していました。

 

それはバデーニという名の修道士を尋ねる為です。

 

石箱を見つけたあの日、2人は事態を整理することからはじめました。

 

「まずこの書類については天文学の物だろう。」

 

しかし、肝心の内容はラテン語や数式で書かれていてグラスでも理解できませんでした。

 

「そして我々の今後についてだが、私のせいで君は街にも組合にも戻れないだろう。」

 

そう言いながらもグラスはこの石箱で全てを逆転できるのではと考えていました。

 

石箱の中の書物の記録の量を見て、ただの思いつきやホラ話ではないことは察しました。

 

「見せるべき相手に見せれば大手柄をくれるやもしれん。

 

そしてこの箱の内容も知れる。」

 

「そ、そんな好都合な人がいるのですか?」

 

オクジーは疑問でした。

 

それがグラスが昔惑星の話を尋ねた修道士バデーニでした。

 

彼は少し前に田舎の修道院に左遷されていました。

 

理由は素行不良と、思想上の禁忌(きんき)だという話はグラスの耳に入っていました。

 

「適任だろ?そうと決まれば早速行こう。」

 

しかしオクジーは迷っていました。

 

「いや、混乱してここまで来ちゃいましたけど・・・冷静になればこの先もついていく必要あんまりないというか・・・グラスさんが決めてくれますか?」

 

「二人のほうが安全なので同行して頂けるとありがたいが・・・」

 

「で、ではそうします」

 

オクジーはそう言われグラスと一緒に行くことにしましたが半分後悔していました。

 

途中、グラスは北極星を見るようオクジーに言いました。

 

グラスは馬車からの落馬の際に左目を負傷していてよく見えないのです。

 

「あ、すいません。それは無理です。」

 

オクジーは空を見ることができないのです。

 

グラスは意味が分かりませんでした。

 

「は?君の能力なら・・・」

 

「そ、空が見られないんです。その、こ、怖くて・」

 

『夜空が綺麗なのは、汚れた底辺の地球から見上げているからだ。』

 

そう昔にオクジーは神父様に教わったのです。

 

「それ以来、星が・・・人間を蔑むような眼に見えて・・・」

 

空を見上げると無数の眼が自分を見ているように見えるのです。

 

「それ以前は、空は見られたのかい?」

 

「は、はい。というか寧ろ、多分好きでした。」

 

「せっかく、好きだったんだ、見切るには惜しいじゃないか。」

 

グラスは言いましたが、オクジーは完全にこの世を否定していました。

 

「まぁ、でもグラスさんには関係ないことですよ。」

 

「勿論ない。だが私も昔家族を失ってね。好きなものを失う辛さはわかるよ。」

 

グラスはいずれ天国で再会できると話すオクジーにこう答えました。

 

「ありがとう、私もそう思うよ。しかし__、私が失ったのはこの世に希望を感じる心だ。」

 

 

グラスはこの世に失望した話を続けました。

 

「少し前までずっと愛しい家族を奪ったこの世を呪っていた。だが考えてみれば愛しい家族と出会えたのもこの世だ。だとしたら私は家族と過ごしたこの世を否定したくない。難しいことかもしれないがもう一度肯定したいんだ。」

 

「残酷ですが無理ですよ。希望は天国にしかない。この世は汚れている。何故なら神様がそうお創りになられたからだ。これは歴史上の頭のいい人たちが出した事実です。」

 

「君はもう完全に、この世界を諦めてしまっているのか?」

 

「はい。この世で待っているのは喪失だけだ。」

 

翌日、二人は橋を見つけました。

 

「ここを渡ればもう村だ。」

 

グラスは橋を渡るオクジーに問いかけました。

 

「ここまでは無理やり私が巻き込んだ。だからここからは君に選んで欲しい。」

 

グラスは提案しました。

 

「一つは、村に着いたら今回の経緯と石箱のことをC教に通報する。そうすれば街に戻れるかもしれない。君は天国へ近づく。」

 

「でもそんなことしたらグラスさんは・・・」

 

「二つ目は、___」

 

グラスが火星の観測を記していた書物をオクジーに差し出したその瞬間でした。

 

ボチャン!!

 

橋が突然崩れ出しました。

 

オクジーは足場が崩れたグラスを必死に掴みました。

 

(これが私の・・・)

「二つ目を手短にいう。」

 

「は!?そんな場合じゃ。」

 

「二つ目は、一つ目全部無視して、この世界に期待することだ。そしていつか、再びその眼で、空を見てくれ。」

 

グラスは手を離しましたが、オクジーは足をグラスのネックレスに引っかけました。

 

「なっ、何してる!!ツタが切れるぞ!!」

 

オクジーはツタでぶら下がっている状態でした。

 

「しっ、死にたいんですか!?そっちこそ何しているんですか!!」

 

グラスはぶら下がったままオクジーに言いました。

 

「託してる。」

 

グラスはネックレスだけで宙吊り状態でした。

 

「あの異端が命を張れたのはきっと託す相手がいたからだ。人はいつか死んでここを去る。私が死んでもこの世界は続く。だったらそこに何かを託せる。それが喪失まみれのこの世界から生まれた ある種の、希望だ。」

 

オクジーは必死に言い返しました。

 

「託すって誰に!?俺にですか?期待されても困る!!俺がやる保証なんて全くない!」

 

「だが君はやる。君はまだ天国へ行くべきじゃない。君の顔はまだ、死を恐れてるからだ。」

 

グラスは自分のネックレスをちぎりました。

 

「これが私の、運命だ。」

 

オグシーは崩れた橋の上にいました。

 

「死んだ・・・」

 

手にはグラスが最後に差し出した火星観測を記した書物と、異端者から託されグラスが首にしていたネックレスを持っていました。

 

第10話

バデーニがまだ街の修道院にいたある日。

 

彼は修道院長に懲罰を言い渡されました。

 

「何度言ったらわかる・・・ここでは想定を超えた勉強は許されない。規則通りに行動しろ、足並みを揃えろ。」

 

彼の顔面は腫れて顔が数カ所切れて出血していました。

 

「私より無知な者との協力は、不毛です。」

 

「そうか、懲罰中の発言は懲罰対象だ。ムチ打ち1回。自分でやれ。」

 

バデーニは自分の腕を鞭で何度も打ちました。

 

「お、おい。何もそこまで。」

 

修道院長が止めました。

 

「30回程、追加したので少し発言していいですか。」

 

「・・・バデーニ君。一体何度こんなこと繰り返す。」

 

修道院長はバデーニの行いを諭しましたが、バデーニは

 

首を縦に振りませんでした。

 

「・・・愚かだな。確かに君はウチで一番博学だ。恐らく私よりもな。しかし思慮深さは皆無だ。」

 

「思慮深くてはダメなんですよ修道院長。そんなヤワな姿勢じゃ時代に埋もれて終わる。利口ではいざという時掴み取れない。」

 

「掴む?何を。」

 

修道院長はバデーニに聞きました。

 

「私がずっと待っている、私を特別にする瞬間。私を偉大にする瞬間。私が歴史を動かす瞬間ですよ。」

 

修道院長は呆れて言いました。

 

「その傲慢な態度のままでは“特別“などにはなれん。その情熱を神学に向けろ。代数や幾何学が一体何に必要なんだ。」

 

「神が人に課した最大の難問を解くのにですよ。」

 

バデーニは修道院長に尋ねました。

 

「では、今一度聞きます。何故惑星は、後ろへ戻ったりするのですか?」

 

彼はその疑問の理由を話しました。

 

「神が創ったたった二つの領域。月より下のこの大地では不完全で生成消滅を繰り返し、予測不能の運動をする。しかし月より上の天界は永久不滅。終わりも始まりもない。完璧な形である円運動を永遠に行う。それは納得できる。」

 

ただ実際に起こっていることは違うとバデーニは言いました。

 

「神が創った完璧であるはずの天界でも円は歪み奇妙な輪を描く“逆行“が生じる。

 

この謎の原因に人間は立ち向かわなければならない。

 

___そうでなきゃ。

 

神が、設計を間違えたことになる。

 

そんなことはあり得ない。

 

ならば、ここには人間が気づいていない“理由“が隠れている筈だ。」

 

「理由などない。そういう定めなだけだ。」

 

人類が天界について知れることはないと修道院長はバデーニに言いました。

 

しかしデニーニは異端者たちの禁書が図書室に厳重に保管していることを知っています。

 

「・・・その話をするな。」

 

「私は知る資格がある。神によってそういう能力が与えられたのに、何故、人間に制限されなければならないのか・・・」

 

この世界では好奇心は邪欲とされました。

 

「好奇心は罪だからだ。新約聖書 第一J書にも書いてある。君は人よりその欲が強い。間違っても禁書を読もうなど思うな。」

 

「どうするんです?」

 

「目玉を焼く。」

 

数日後。

 

理論研究を禁止され観測の仕事だけを命じられたバデーニは観測のため屋上にいました。

 

「なんでこんな誰にでもできること・・・私に相応しくない。」

 

帰り道、バデーニは修道院長の部屋を通りました。

 

部屋は窓が開けっぱなしでした。

 

(全く・・・こんな奴に思慮深さを説かれたくなど・・・)

 

その時机の上に置かれた書物の表紙がバデーニの眼に入ります。

 

(なんだこの表紙・・・?)

 

慌てて窓から部屋に入り込み書物を手にしました。

 

「禁書だ。しかも宇宙に関する禁忌。自分だって好奇心に弱いじゃないか。」

 

バデーニが手にした書物を開けようとした瞬間、後ろから声がしました。

 

「お、おい。私の部屋で勝手に何をしてる?」

 

修道院長の脇にいた男が書物に気づきました。

 

「おっ、お前まさかソレ!」

 

しかし修道院長は男を制止しました。

 

「待て。・・・ま、まだ君が読んでるところを見てない。今なら間に合う。ソレを置いて立ち去れ。もしその本を開いたら一瞬で取り押さえる。読む暇などない。そんなの不毛だろ?」

 

バデーニは本を持ったままでした。

 

「・・・その通りですね。本を開けるのは一瞬でしょう。でも私はずっと待ってた。そんな特別な一瞬を!」

 

バデーニは本を開きました。

 

『太陽測距法により太陽は地球の約109倍の大きさとなる。これにより』

 

それ以上は読むことはできませんでした。

 

バデーニは二人の男に捕らえられ地面に押さえつけれられました。

 

「こっ、こんなこと続けてたら、C教正統派は終わるぞ。教皇は世俗化して修道院は戒律で思考停止。これで迷える者の希望になれるのか。このままでは近いうちに対抗勢力によってC教正統派は崩れるぞ。そしたら・・・そしたら私の格も、落ちるではないか・・・!」

 

修道院長はロウソクを片手に持ちながら答えました。

 

「君は左遷だ。研究など無縁な長閑なところで一生を終えろ。が、その前に眼を焼く。では神の御加護を。」

 

そして今。

 

バデーニは片目を失明し、田舎の修道院にいました。

 

「くそっ。こんなことになるなんて・・・ここには何もない。」

 

その時、

 

「バデーニさん。」

 

同じ修道院のクラボフスキがバデーニに声をかけました。

 

「お客さんですよ。」

 

「え?そんな予定はないはずですが・・・どちら様?なんの様ですか?」

 

バデーニの目に入ったのはオクジーの姿でした。

第11話

「見ない顔だな。ここの村人じゃないな。なんの用だ。」

 

バデーニは礼拝堂にたたずむオクジーに向かって言いました。

 

「あ、はい自分オクジーと申します。ちょっと見て欲しい書類?があったのでそこまで案内したく来ました。」

 

バデーニはオクジーの身なりを確認し、歩いてくるオクジーを手で制止しました。

 

「人の血の臭いだな。君、傭兵か。悪いが私は聖職者階級だ。一定の距離を保つように。」

 

バデーニは続けました。

 

「それと、君の情報は、私の人生を大きく変えると言えるか?そう断言できないものに時間を割きたくない。」

 

オクジーはどう答えるか考えました。

 

「ある意味では人生を変えてしまうかもしれません・・・そのC教的に少し問題かもしれませんしれませんので・・・」

 

バデーニはオクジーのその返答に少し興味をもちました。

「で、内容は?」

 

「わ、わかりません。」

 

オクジーは文字が読めませんでした。

 

「内容がわからない?じゃあなぜ私に見せようと?」

 

オクジーは、グラスから聞いた話をしながら、その人の伝言で来たと言いました。

 

そしてグラスから託された火星の観察記録をバデーニに渡しました。

 

バデーニはグラスが記した観察記録に目を配りました。

 

「けっこう精密な記録じゃないか。世俗にもたまにはこういう者が・・・ん?」

 

オクジーに言いました。

 

「なぜ逆行からの記録がない?2年に一度ここからが重要な事象だぞ。」

 

オクジーはグラスがその逆行に心を痛めて観測をやめてしまったと話しました。

 

「心を痛める?そもそも惑星って名前自体が“惑う人”から来てるんだぞ。軌道は惑うに決まってるだろ。というかそれを知らないでこんな緻密な記録を取っていたのか?一体何のために?」

 

オクジーは何のためにかも、逆行の意味もわかりませんでした。

 

「わ、わかりません。」

 

「もういい。そんな得体の知れないものに時間は割けない。帰ってくれ。」

 

部屋に戻ろうとしましたが、修道院長の言葉を思い出します。

 

『その傲慢なままの態度では君は特別になれない』

 

そこで立ち去るオクジーを呼び止め、書類を見ること、そのための条件を出すことにしました。

 

「観測日誌の続きを、記録するのが条件だ。手始めに今日の火曜だ。丁度私の研究に必要でな。観測方法はだいたいその日誌の絵でわかるだろ。」

 

そう伝え観測のための道具をオクジーに渡しました。

 

しかし、オクジーは怖くて空を見ることができないのです。

 

「あ、あの、でも!俺・・・空が見られないんですけど・・・」

 

「申し訳ないが、冗談につきあってるヒマはない。では。」

 

その夜。

 

オクジーは空を見ることができず外に立っていました。

 

「・・・む、無理だ。できない。」

 

自問自答します。

 

「そもそも・・・なんで僕がこんなことしなきゃ、ん?いや、こんなことしなきゃいけない理由なんてないぞ・・・?」

 

そして道具を捨てて街へ戻ってやり直そうと思いました。

 

元の町には帰れなくても別の街であれば。

 

そんな流れ者はたくさんいました。

 

(元よりこの世界において苦しいのは当然。ここを堪えれば俺には死後、天国がある!そうだ天国だ・・・!)

 

そして異端者から託されたネックレスを見つめました。

 

(それに引き換えあの人達は、俺の人生でたった二人だけの、この世を重視した人達だ。)

 

彼らが地獄行きになったことはオクジーには確実に思えました。

 

(そんな人のいうこと聞いちゃダメだ。)

 

ただオクジーには頭から離れないことがあります。

 

(だけど、俺の人生で、たった二人、彼らだけが、死ぬ、その瞬間、)

 

「満足そうな、顔をしてた・・・・・・一体なぜだ。」

 

そして悩んだ末に覚悟を決めて空を見上げました。

 

空には無数の眼がオクジーを見つめていました。

 

その後。

 

「うむ、初めてにしては上出来だ」

 

バデーニはオクジーの記した記録を見ながら言いました。

 

「では案内してもらおうか。書類とやらに。」

 

ようやくオクジーはバデーニを石箱に案内することができました。

 

バデーニはロウソクの明かりを灯し、石箱の書類をルーペ越しに読み始めました。

 

しばらくしてオクジーは聞きました。

 

「・・・じ、人生が変わるようなものでしたか?」

 

じっと書物を読んでいたバデーニはロウソクを片手に立ち上がりました。

 

「いや違う・・・これは、宇宙が変わるぞ。」

第12話

「・・・う、宇宙が変わる?」

 

オクジーがバデーニの言葉をそのまま言い返すと、

 

バデーニは急に地面にしゃがみこみ嘔吐しました。

 

「だっ、大丈夫ですか!?」

 

バデーニは興奮していました。

 

「やはり神は間違えてなかったんだ。それどころか人類に理解不能に宇宙を創った。・・・確かにC教では少し問題あるが、適切な解釈を見つければ公表も可能ではないか?」

 

「い・・・一体、何が書かれているのですか?」

 

「ああ・・・端的にいうと、アリストテレスの同心球理論と、プトレマイオスの離心円、周転円理論の乖離と、それぞれの欠点の指摘、さらに今用いられている全ての理論において宇宙全体とその部分に均衡がなくそれぞれ独立した計算で記述され、体系化されていないことに対する意義。」

 

オクジーはバデーニが何を言っているのか理解できませんでした。

 

そしてバデーニは言いました。

 

「まぁもっと端的にいうと、地球は動いていると書いてある。」

オクジーはたったまましばらく考え言いました。

 

「・・・いや。今、全然動いていないですが。」

 

「・・・ああ。だな。まだ疑問は残るにせよここに書かれていることはあまりにも・・・合理的だ。一つ実験をしよう。」

 

バデーニはオクジーに観測日誌より火星の軌道を地面に書くよう言いました。

 

「___こうですか?」

 

「いいだろう。これが天界における最大の謎。惑星の逆行だ。」

 

バデーニは説明しました。

 

「人類はこの原因を解明することは諦め、せめて計算は可能にしようと努めた。その結果、理論は複雑化し仮説も増えた。全ては惑星が前にだけ進んでくれないからだ。でも実際は違ったんだ。」

 

そして言いました。

 

「惑星は前にだけ進みながら、後戻りしてたんだ」

 

「・・・は?そんなの不可能じゃ。」

 

「不可能だ。地球が静止してる場合はな。」

 

バデーニは枝を手に持つと地面に刺しました。

 

「だが地球が動けば、可能だ。」

 

そしてその枝を中心にぐるぐると歩き始めました。

 

「な、何してるんです?」

 

「宇宙を再現している。」

 

そして

 

「___今だ。その枝を中心に私より内側を走って追い越してくれ。」

 

「・・・」

 

オクジーは理解できませんでしたが、言われた通り枝を中心にバデーニの内側を回るように走りました。

 

「今ので何か?」

 

「・・・ああ。今の一瞬にプトレマイオスの1000年を脱する秘密が隠されている。」

 

そして言いました。

 

「たった今、私は火星で君は地球で、お互い一方向に進みながら私は逆行した。」

 

オクジーはそう思いませんでした。

 

「・・・して、ませんでしたが?」

 

「それは第三者から見た場合だ。だが、地球(きみ)からは、どうみえた?___まず最初の地点では、君から見て前方にいる私は前に向かって順行していた筈だ。いいな?」

 

「はい。」

 

「しかし速度の違いから距離が縮まる。ここで君から見ると私が順行する速度はどんどん遅くなっていく。そして、ついに並び、追い越す一瞬、この瞬間、地球から見て火星は、後ろに、逆行して見える。そして完全に追い越してしまえば、再び順行しているように見える。もし逆行は本当に行われているのではなく、地球から観測しているせいで、そう見えているだけだとしたら。本当の惑星の軌道はこうだ。」

 

バデーニはオクジーに書かせた図の隣に新しい軌道の図を描きました。

 

「どちらがよりシンプルか、わかるだろ?」

 

「えぇ・・・」

 

オクジーは曖昧な返事をしました。

 

「あの天界は崇高で荘厳で偉大で広大で、そして、地球と、調和してる___と。」

 

オクジーは頭が整理できません。

 

「・・・って、天界と地球が調和・・・?まさか天界はこの地球と一緒で・・・汚れてると?」

 

バデーニは続きました。

 

「もしくは、この地球が、あの天界のように高貴かだ。我々の住む大地は、醜い底辺として切り離されてなんかなく、とうの昔からあの美しさの一員だったのかもしれない。少なくとも私は、そっちを信じる。」

 

「そ・・・そんな・・・天と・・・地が・・・一つ・・・なんて。」

 

オクジーは恐る恐る空を見上げました。

 

空には無数の星が輝いて見えました。

 

「今日の空、なんか綺麗じゃないですか?」

 

バデーニは少し笑い言いました。

 

「そのなんかを“絶対“にする方法が一つだけあるぞ。世界を、動かせ。」

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