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『高台家の人々』は漫画アプリ『マンガMee』で全巻無料で読める?
いきなり、結論です。
『高台家の人々』はこちらの集英社が運営する漫画アプリ『マンガMee』にて全巻無料で読むことができます。
『マンガMee』では、『高台家の人々』第1巻から最終巻までを惜しげもなく無料で公開してくれています。

安心安全に、そしてタダで『高台家の人々』を最終巻まで読みたい方は『マンガMee』を使う方法が最もお得です。
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- 僕に花のメランコリー
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半端ない量の有名マンガを随時、無料配信してくれるので、マンガ好きの私は、とても重宝しているアプリです!
オススメ漫画アプリ紹介
上記で紹介した『マンガMee』以外にも講談社が運営する漫画アプリ『マガポケ』や小学館が運営する『マンガワン』も特にオススメです。
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- フェアリーテイル
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- ドメスティックな彼女
- ダイヤのA
- DAYS
- ザ・ファブル
- 頭文字D
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- ホームルーム
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- 可愛いだけじゃない式守さん
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- 復讐の教科書
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- 島耕作
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- 七つの大罪
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- 僕たちがやりました
- カッコウの許嫁
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- コウノドリ
- 好きっていいなよ
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- 親愛なる僕へ殺意をこめて
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- PとJK
- 彼岸島
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- エリアの騎士
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- シャーマンキング
などなど…
- 闇金ウシジマくん
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- ケンガンアシュラ
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- からかい上手の(元)高木さん
- ダンベル何キロ持てる?
- めぞん一刻
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- バトルグラウンドワーカーズ
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- チ。地球の運動について
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実写映画『高台家の人々』を無料視聴する方法は?
『高台家の人々』は、実写映画化されており、そちらも大好評です。
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U-NEXT31日間無料トライアルで貰える600円分のポイントを使って漫画をタダで購入する手順を紹介!U-NEXT登録方法も解説
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次に『マンガMee』の使い方(システム)を簡単にご説明します。
『マンガMee』の基本的な使い方
『マンガMee』では、アプリ内アイテムである『チケット』と『ボーナスコイン』を使用して読むことになります。
簡潔に言うと、『チケット』『ポイント』などを使って1作品、1日に最大5話まで無料で読むことが可能です。
『高台家の人々』も1日に最大5話まで読み進められます。
ここでは『マンガMee』で使うアプリ内アイテム『チケット』『ポイント』のそれぞれの使い方を簡単に説明します。
『マンガMee』のチケットとは?
『チケット』はチケットアイコン(↓ピンク色の線で囲んである)が表示されている話に使うことが出来ます。

各作品ごとに1日1枚使用することができ、チケット使用後23時間で、新たなチケットが配布され各作品をまた1話無料で読むことが出来るというシステムです。

つまり、ほとんどの作品を1日1話無料で読むことのできるシステムがこの『チケット』なのです。
『マンガMee』のボーナスコインとは?
『ボーナスコイン』は毎日、5~15秒程度の広告動画を視聴することで30ボーナスコイン(作品1話分に値する)を取得することが出来ます。
マンガMeeに掲載されている作品は、すべてこの『ポイント』の対象です。(※ポイントを使って読むことができるという意味)
↓『マンガMee』アプリを起動すると「短い動画を見て30ボーナスコインをGET!」と書かれた以下の画面が表示されます。

「動画を見る」ボタンをタップし、短い広告動画を視聴することで、マンガ1話分を読むために必要な30ボーナスコインを獲得することができます。
1日1回必ずこのシステムが使えるので、活用しましょう。(※広告動画をしっかり見る必要はありません。適当に流しておくだけでOK!)
また、今なら『マンガMee』を新規ダウンロードした際の特典として500ボーナスコインが手に入ります!

1話につき、30ボーナスコインを消費するので、500ボーナスコインは、約16話分に値します。
単行本にすると1~2冊分です。
このお得な特典をゲットできる今のうちに『マンガMee』をダウンロードしてしまいましょう!
アプリのダウンロードは、もちろん無料です。安心してください。
『チケット』『ボーナスコイン』以外で1日3話分の漫画を読む
『チケット』『ボーナスコイン』以外に1日3話分の漫画を無料で読める仕組みがあります。
その仕組みがこれ、
見たいエピソードの漫画のページへ飛ぶと、「動画を見て無料で読む 残り3回」と表示されます。これをタップし広告動画を視聴することで1話分のエピソードを新たに無料で読むことが可能となります。

3回分この仕組みを使ったら翌日0時にリセットされ、また利用できます。
- チケットを使い1日1話無料で漫画を読む
- 短い広告動画を見て毎日30ボーナスコインを獲得し1話分の漫画を無料で読む
- 短い広告動画を毎日最大3本見て、3話分の漫画を無料で読む
以上の事から『マンガMee』は、1つの作品において、1日に最大で5話分のエピソードを無料で読むことができるかなり気前の良い漫画アプリであることが分かります。
遠慮なく無料で読ませていただきましょう!!(^^)/
『高台家の人々』あらすじ紹介!
妻が年始に購入した「高台家の人々」
「アシガール」もそうだけど、作者の森本梢子さんは、よくある設定を転がして面白い話を作るのが圧倒的にうまい。
「人の心が読める」という設定だけど、読まれる側のヒロインの妄想がもうとにかく可笑しくて可笑しくて。
すでに4周目です。(笑) pic.twitter.com/Or1yxj6saZ— はげ(み)ます@関東鍼灸 (@kanshinko) February 18, 2018
平野木絵(ひらの きえ)は平凡な29歳のOLですが、ユニークな世界観の空想をする癖があります。
仕事中も空想をしてボーッとしてしまうため、上司に睨まれるのもしばしば・・・。
ある日、青い目を持つ超絶美貌な男性、高台光正(こうだい みつまさ)と出会います。
高身長、高学歴なエリートで完璧な光正ですが、実は人の心を読める「テレパス」なのです。
面白い空想をする木絵を気に入り、アプローチをした結果、2人は付き合うことになります。
しかし光正がテレパスであることは内緒のまま・・・。
そして、木絵との関わりを通して妹の茂子(しげこ)や弟の和正(かずまさ)の恋愛にも変化が起きていきます。
さて、テレパスである「高台家の人々」はどのような恋愛模様を繰り広げるのでしょうか。
『高台家の人々』は面白い?見どころ紹介!
この漫画はとても面白く、おすすめできる漫画です。
この漫画の見どころを3つ紹介します。
見どころ① 木絵の妄想がとても面白い!
平凡で特に取り柄がない木絵ですが、空想はとても笑えます。
出てくるキャラクターがおかしな風貌だったり、おとぎ話のパロディだったりして、光正だけでなく読者もついプッと吹き出してしまうくらい面白いです。
そして、そのおかしな空想で高台家の人々は背中を押され、変わっていきます。
ぜひ、実際の漫画を読んで確かめていただきたいです。
見どころ② 高台家の人々が素敵!
長男の光正は、超絶美貌で、頭もよく、しかもエリートと完璧な光正ですが、木絵を一途に愛しています。
付き合いが深まるにつれて、2人に数々の試練が降りかかって来ますが、木絵への真っ直ぐな愛は変わりません。
控えめな性格なので、派手ではありませんが、さりげない愛情表現に思わずキュンとします。
長女の茂子は、兄と同じ美貌の持ち主で、男勝りな性格です。
思春期から男の妄想を見たり、恋愛関連の嫌な心の声を聞いたりして、恋愛には臆病なところがあります。
木絵と仲良くなった茂子は、どのように恋愛していくのでしょうか。
木絵の空想に励まされて成長する茂子は見ものです。
そして、次男の和正はちょっとイジワルなところがあります。
しかし、実はナイーブな性格です。
それを見透かされてか、木絵の妄想の中では変な衣装を着させられていて、ツッコんでいます。
木絵と出会ってから、和正は自分の本当の気持ちに気付いて、行動していきます。
ツンデレな和正のふとした時に見せる優しさで、ギャップ萌えをしてしまいます。
この3兄弟だけでなく、イギリス人でテレパスのおばあさんと日本人のおじいさんの大恋愛やテレパスでないマイペースなお父さんとしっかり者のお母さんとのなりそめといった個性豊かな面々の恋愛模様も目を離せません。
主人公カップルだけでなく、高台家の人々それぞれの恋愛も一途でトキメキます。
見どころ③ テレパスは恋愛できるのか?
もし、あなたがテレパスだったら、人と付き合うことはできますか?
反対に、もし、あなたの恋人がテレパスだったら付き合いを続けられますか?
木絵の空想などで笑える反面、テレパスであることの苦悩や恋人がテレパスであることの葛藤も描かれています。
3兄弟のテレパスならではのエピソードや心情が丁寧に書かれているので、テレパスでないのに、感情投入をしてしまいます。
また、木絵や3兄弟の好きな人は3兄弟がテレパスであることは知りません。
心の中は誰にも見られたくないですよね。
特に、恋人には。
でも、大好きな恋人がテレパスで、考えていることが筒抜けだったら?
真実を知った木絵は、どのように乗り越えるのでしょうか。
平凡だけど、平凡ではない木絵の乗り越え方に惹きつけられます。
『高台家の人々』登場人物紹介!
平野 木絵
普通の家庭に育った地味めな29歳OL。
あまりにも平凡な人なので、会社の同僚が完璧な光正と付き合ったと知り、驚愕していました。
でも、木絵をよく知る人は木絵を、分かりづらいけど根は明るく面白い性格で、他人の悪口を言わない優しい人と褒めています。
特技はおかしな妄想で、普通とは違う見た目の人を見るとつい、物語を作ります。
仕事中や勉強中も空想に夢中になってしまうため、木絵本人はあまり良く思っていません。
しかし、そんなユニークな空想が光正の心を掴み、付き合うきっかけとなるのです。
空想をよくするようになったのも、もともと口下手だったからです。
心の声は饒舌(じょうぜつ)ですが、口下手なので、励ましたり説得したりする時は「あの・・・えと・・・」としか言えません。
高台家の3兄弟はテレパスで木絵の心を読めるので、木絵の真意が分かります。
3兄弟がテレパスなので、口下手な木絵にとっては相性がピッタリですね。
高台 光正
高台家の長男で、黒髪・青い目を持っている超美貌な27歳です。
T大卒でオックスフォードに留学経験があるエリート、身長180センチの高身長とあまりにも完璧なので、ニューヨーク支社から日本へ戻ってきた際には、女性社員が大騒ぎをしていました。
他人の心が読めるテレパスなので、それが他人にバレないように慎重に人付き合いをしてきました。
だから、木絵にも自分がテレパスであることは内緒にしたまま付き合いを続けています。
意外にもバカバカしい話が好きで、エレベーターで会った木絵の面白い妄想を見たことで木絵のことが好きになるきっかけとなったのです。
いつもは冷静でクールなのに、木絵の空想に吹き出したり、テレパスであることがバレそうになると慌てて誤魔化したりとギャップが可愛く、魅力的なキャラクターです。
高台 茂子
高台家の長女で光正と同じく黒髪・青い目の美女です。
気が強く、男勝りな性格ですが、テレパスであることで意外と恋愛に臆病です。
光正と似て木絵のくだらない妄想話がお気に入りで、嫌なことがあった時に木絵と会って気持ちを紛らわしています。(そして光正とプチ喧嘩をすることも。)
サバサバしていますが、さりげなく優しいところが素敵です。
高台 和正
高台家の次男で、黒髪・青い目の持ち主ですが、和正はくせっ毛です。
イギリス留学していましたが、最近帰国して来ました。
好きな人にイジワルしたくなるなど少し幼いところがありますが、反面傷つくのが怖い繊細な一面もあります。
その性格を見透かされたのか、木絵の妄想に出てくる時は、おかしな服を着させられています。(和正本人は毎回不服そうにしています)
大きくてイカつい顔をしたブリティッシュショートヘアーの「ヨシマサ」を大切に飼っています。
和正はツンデレなところがありますが、木絵が絡むとツッコミ担当なところがあり、話を面白くしてくれるキャラクターです。
『高台家の人々』作者・森本梢子とは?
「高台家の人々」の作者は森本梢子(もりもとこずえこ)先生です。
森本先生は熊本県出身の熊本市出身の女性漫画家で、1985年に「抱き寄せてプロポーズ」でデビューしました。
代表作は「研修医なな子」や「ごくせん」「デカワンコ」と、どの作品も実写化されていて有名な作品ばかりですね。
ヒットするのは、森山先生独自の世界観や斬新な設定、シュールなギャグによる面白さだと思います。
絵柄は、平坦で可愛らしいですが、厚みのある話構成や笑えるギャグは森山先生ならではです。
ぜひ原作を読んで楽しんでもらいたいです。
『高台家の人々』実写映画化情報!
「高台家の人々」は2016年に綾瀬はるか(あやせはるか)さん主演で実写映画化されています。
綾瀬はるかさんは、言わずと知れた大女優ですね。
「ホタルノヒカリ」「ギャラクシー街道」など多くの作品で主演を務め、「海街diary」では本年度の主要映画賞の主演女優賞を数多く受賞しました。
高台光正役にはドラマ「昼顔~平日午後3時の恋人たち~」で注目されて以降、映画やドラマに多く出演している斎藤 工(さいとうたくみ)。
茂子役には「進撃の巨人 ATTACK ON TITAN」などで女優として活躍する水原希子(みずはらきこ)が、和正役は「ニーチェ先生」で主演を演じた間宮祥太朗(まみやしょうたろう)が務めます。
その他にも、3兄弟の父・茂正Jr.と母・由布子を市村正親と大地真央がそれぞれ演じています。
さらに夏帆、坂口健太郎、大野拓朗、塚地武雅、堀内敬子といった俳優たちが脇を固めています。
すごく有名な俳優ばかりが出ていることが分かりますね。
「世にも奇妙な物語」シリーズや「ゴーストライター」など幅広いジャンルのドラマを数多く手がけ、13年の劇場映画デビュー作『映画 謎解きはディナーのあとで』を大ヒットさせたヒットメーカーの土方政人(ひじかたまさと)監督です。
原作のユニークな世界観をうまく実写化しています。
何より、綾瀬はるかさんの演じる木絵が愛くるしいです。
ぜひ、映画もチェックしてみてください。
『高台家の人々』序盤ネタバレ紹介!
序章
平凡な女性会社員・平野木絵(ひらのきえ)は、風邪を引いて4日間会社を休みました。
4日目には風邪は治ったものの、行きたくない気持ちが勝り、「会社が謎の集団に占拠されて、機能停止になった」という妄想をしながらゴロゴロして過ごしたようです。
そう、木絵はおかしな妄想が趣味なのです。
5日目に出社すると、もちろん会社は無事でしたが、社内の雰囲気はいつもと違う気がします。
他の女性社員がみんな早く来ているのです。
更衣室で会った同僚の社員に理由を聞いてみると、「まだ知らないのよね・・・。」と言われます。
みんながいる仕事場に行くと、青い目で黒髪の美しい男性がいました。
どうやら木絵が会社を休んでいる間にニューヨーク支社から来たようです。
女性社員が朝早く来るのは、彼の出社が早いのが理由だそうです。
彼の名前は高台光正(こうだいみつまさ)様。
古風な名前なのに目が青いのは、おばあ様がイギリス人だからだそうです。
同僚の女性社員は、光正のことをどんどん教えてくれます。
高台家はすごく名門で、元華族。
T大卒でオックスフォードに留学経験があるエリート。
身長180センチの高身長。
27歳の独身。
趣味はスポーツ全般。
そして、長男。
光正はあまりにも完璧なので、普通の家庭で育ち、地味めな29歳である木絵にとっては別世界の人間です。
「ほえ〜、すごいですね〜。」とのんきな声をあげます。
そんな木絵の様子に、同僚の社員からは「負けずに狙いなさいよ。」と言われますが、木絵は「ちょっと怖そうな人だし・・・」と消極的です。
オックスフォードとか華族とか言われても、作り話のようと考えているうちに、イギリスから連想した妄想が始まります。
妄想の中で光正をいろいろなイギリス風の衣装に着せていきます。
イギリス王室の王子が着ている衣装が似合いそうと思うと、どんどん妄想はエスカレートします。
実は光正は、王位をめぐる陰謀に巻き込まれた王族の青年で、ドタリー卿率いる悪の組織に命を狙われて、そこから命を守るために日本に逃げて来たのです。
しかし、しつこいドタリー卿はー・・・と妄想したところで、隣の席の同僚から「課長から怖い顔で睨まれているよ。」と言われて、現実世界に戻ります。
木絵は小さい頃から勉強中や仕事中にこのようなバカバカしい空想してしまう癖があるのです。
その後、木絵が荷物を持ってエレベーターに乗ったら、「高台なんとか様」と一緒になります。
光正と2人っきりとなり、緊張した木絵は、エレベーターが突然止まったらと心配になります。
それから、妄想が始まります。
ドタリー卿はビルを占拠し、エレベーターを止めてしまいます。
木絵は光正に助けてもらいながら天井から脱出し、手下の攻撃から逃げつつ屋上に着きます。
そこに、脱出用のヘリコプターがロープのハシゴを下ろしています。
ハシゴをのぼっている光正が手を差し出して「早く捕まって!」と言いますが、木絵は課長が人質になっているので、逃げるのをためらってしまっています。
光正が「仕方ない、課長のことは諦めよう。」と言ったところで妄想は途切れます。
現実の光正がクスッと笑ったのです。
不思議に思う木絵に、光正は「エレベーターが着きましたよ。」と知らせます。
エレベーターから降りた木絵は「黒髪に青い目って不思議だな。それに、思ったより優しい人かも。」と思います。
続けて、光正の顔を思い浮かべ、「こういう人は無限に空想が広がるな。」と思っていると、部屋に眉と髭がもじゃもじゃで、はげ頭と強烈な見た目の社長がいるのに気付きます。
木絵はこういう人も空想を広げられます。
美人な女性社員の西さんは社長からずっと見つめていると嫌がっていていますが、他の女性社員からは「あれでも意外と若いのよ、西さん気に入られたね。」と笑われます。
意外と若いと驚いた木絵は、社長がご主人から一度も呼ばれたことがないランプの精である妄想話を作り始めます。
社長は、忙しそうな仲間を見ながら洗濯をして暮らしていました。
そんなある日、ランプを拾った西さんがとうとう社長を呼び出します。
しかし、出方があまりにも気持ち悪かったので、西さんは叫びながらランプを投げてしまいました。
突然、現実世界で笑いが吹き出る声が聞こえ、妄想が途切れました。
笑っていたのは「高台なんとか様」だったのです。
光正は驚いている木絵の横を通り過ぎ、社長を会議室に案内していきます。
光正が笑っている様子を見て、女性社員は「社長の顔を見て吹いちゃったのだ。」と話しています。
妄想のいいタイミングで笑われたので、頭の中をのぞかれているのかと驚いた木絵でしたが、その話を聞いて納得しました。
次の日の朝、信号待ちをしている木絵に「おはよう、平野さん。」とあいさつされます。
「高台なんとか様」にあいさつをされ、びっくりします。
「なんで課も違うし、話したことがない私の名前を知っているの?誰かに聞いたのか?」と考えるうちに、妄想モードへ入っていきます。
耳の大きい妖怪が王子姿の光正に耳打ちします。
「あなた様の正体に気付いている者がいるでゲス。平野。平凡の平に野グソの野でゲスよ。」
そこで、大きく吹き出した声が聞こえ、現実に戻ります。
光正は、笑いを堪えながら会社に着いたことを教え、木絵に食事を誘います。
とても驚き、理由を聞くと、「誘いたいから誘ったんですけど。」と。
そして、「僕の下の名前は光正です。」と言います。
地味な木絵が光正から食事に誘われたと知った女性社員は「どうしてこんな人が!!」となげいています。
それに心の中で同意している木絵に、隣の席の阿部さんは「光正を見る目がある。」と言いました。
「分かりづらいけど、根は明るくて優しいのを知っているよ。それに、自分の話はあまりしないけど、他人の陰口も絶対に言わないしね。」
照れる木絵に、阿部さんは光正とはどんな感じか聞きます。
木絵は「かっこよくて優しい彼氏が欲しいと思っていたものの、あまりにも完璧な人だから、すぐに振られてしまう。」と、話します。
過去に、話すのが苦手なばかりに、つまらない女と言われ、離れてしまったことがあったみたいです。
「高台さんはつまらなさそうにしているの?」と聞かれた木絵は、食事している時の様子を思い出します。
光正は、意外にも超アホくさい話が好きで、話が合いました。
木絵は笑ったり、間抜けな声を出したりするだけでしたが、光正はつまらない顔を一度もしなかったのです。
しかし、木絵には一つ気になることがあります。
空想中に光正が吹き出すことです。
ある時、木絵は「人の考えていることが分かるのか。」と聞きました。
「なわけがないよね、ごめんなさい。」と言う木絵に光正は言います。
「もし、そんなことができたら不幸だよね。」
便利だと思う木絵は理由を聞きます。
光正は「相手の嫌な面を知って傷ついたり、がっかりするから、きっと他人と深く関わるのが怖くなる。」と話します。
「そうかな。」と言う木絵に続けて「気持ち悪いでしょ。テレパスがいたら親しくなりたいと思う?」と聞きます。
木絵は「バカな空想を全部知られたら恥ずかしくて死ぬ!!」と思い、「絶対イヤ!!」とハッキリ答えます。
それを聞いた光正は浮かない顔で「でしょ?」と言い、寒いからと帰る提案をします。
歩きながら木絵は「光正さんなら、考えただけで気持ちが伝わったらいいかも。言いたいことをなかなか言えないし、何年経っても告白できなさそうだし。」と考えます。
そして、頭の中だけならできると、「好きです!!」と心の中で大声で叫びます。
しかし、前の妄想に登場した妖怪からの返事は「ゴメンナサイでゲス。」
「お前じゃねエエエエ!!」と妖怪をバットで打ち飛ばします。
笑った現実の光正は、「木絵、僕も。」と言い、手を差し伸ばします。
突然の言葉に「何が!?」と驚く木絵は「やっぱり私の頭の中の声が聞こえているのではないか?」と思うのです。
第1章
時は進み、木絵と光正が付き合って最初のクリスマスです。
光正は実家へ木絵を連れていき、弟と妹に紹介します。
妹の名前は茂子(しげこ)、弟の名前は和正(かずまさ)です。
両親はロンドンに住んでいる祖父母の所へ行っていて、不在です。
茂子も和正も木絵を紹介されて驚きます。
光正は女性にモテてきたものの、彼女を家族に紹介するのは初めてだし、初めて紹介された彼女が平凡で冴えない人であると思ったものの、驚いたことは他のところです。
2人とも光正と同じ青い目で黒髪、超美貌の持ち主なので、「こんな人たちが普通の人間であるはずがない」と木絵の空想が広がります。
3人とも千年を生きるバンパイヤ一族で彼らの正体を知った「ダッフンヌ神父」に狙われて、日本に逃げてきたのです。
しかし、ダッフンヌ神父の真の目的は彼らの仲間となり、誰かに血を吸ってもらうことで、永遠の命を手に入れることです。
そこで、ダッフンヌは伊達メガネにおさげのかつらを被って女に変装し、光正に近づきます。
意外とうかつな所がある光正は、うっかりダッフンヌの血を吸おうとしてしまうところで、それに気付いた茂子は、「こんなのただの小汚いおっさんやないの!!」と言い、かつらを吹き飛ばす勢いでダッフンヌの頬を殴ります。
そこで、笑いが吹き出る声が聞こえ、空想がストップします。
光正だけでなく、茂子や和正も笑いを堪えようとしています。
そう、光正だけでなく茂子と和正もテレパスです。
茂子たちが驚いたのは、木絵がいきなり光正が好きそうなバカバカしい話を空想したことでしたが、一番驚いたのはそれではありません。
3人が笑っている様子を見た木絵は「3人とも人の心が読めるテレパスなのか?そうだったら恥ずかしくて死ぬ!!」と思いますが、光正が「2人とも変な人だから気にしないで。」と言うと、木絵は「じゃあ、気にしないでおこう。」と思い、本当に気にしません。
そう、茂子の一番の驚きは、木絵が光正の能力に薄々気付いているのに、それでも一緒にいることです。
茂子は、自分がテレパスであるがゆえに恋に対して臆病で、なかなか好きな人ができません。
思春期の頃に男子のエロい妄想に幻滅するなどの経験をし、気持ちが分からないからこそ、恋ができると思うようになったのです。
そんなある時、茂子は大学の同級生である岸本浩平(きしもとこうへい)から本のコピーをもらうためにカフェで待ち合わせをします。
大学卒業後、茂子は就職し、浩平は大学に残って勉強をしています。
茂子は、浩平といると気持ちが楽で、6年間友人関係が続いています。
それは、浩平もいい加減なことや意地悪なこと、エロいことを考えることはあるけど、心の奥はいつも春のあたたかい海のような優しさでいっぱいだからです。
何よりも、お互いがお互いのことが大好きだけど、恋ではないからだと考えているからです。
ご飯を食べていると、浩平の携帯に連絡がきました。
心を読むと「ちさちゃん」からのようです。
「彼女できたの?」と聞きますが、浩平は「どうかな。」と歯切れの悪い返事をします。
「だってつい昨日・・・」との心の声から、つい茂子は「昨日告白されたの!?」と聞いてしまいます。
びっくりした浩平に、慌てて茂子はちさは誰なのかを聞き、ごまかします。
三浦知紗(みうらちさ)は茂子たちの2コ下で昨年から同じゼミになったようです。
茂子は「なんて言われたか教えて!」と聞きますが、浩平は教えてくれません。
茂子は浩平が昨日のことを思い出しているのを見ます。
千紗は「それじゃ、岸本さんは高台さんと付き合ってないんですか?」と聞くと浩平は男友達みたいなものと答えます。
それを聞いた知紗は涙を流し、「今まで茂子と付き合っていると思っていたから諦めていたけど、どうしても気持ちを伝えたくて・・・」と言い、「好きです。」と告白したのです。
浩平は「あんなことを言われたら、嬉しいし、可愛い。」と思い、茂子はショックを受けます。
前までは、浩平はけっこうモテるし彼女がいた時もあり全然平気だったのに、いつの間にか浩平に恋していたと自分の本心に気付いたのです。
茂子は、木絵に電話し、バーに誘います。
木絵は、びっくりしたけどすごく嬉しかったようです。
しかし、「話下手で、女性との雑談が特に苦手だから、退屈にさせてしまう。」と心配しています。
その気持ちを読んだ茂子は「飲みたくなったが、バーで一人は慣れていなくて落ち着かないから、いてくれるだけで助かる。」と伝えます。
木絵は茂子の悲しそうな様子から「失恋でもしたのか?まさかこんなに美人で可愛い人が?」と思いますが、「いやこんな場合があるかも・・・」と空想が始まります。
茂子は誰からも愛される優しくて美しい白雪姫みたいなお姫様です。
毎日のように他国の王子が求婚しますが、姫は貧しくて冴えない鍛冶屋の「ヤンデルソン」が好きでした。
ちなみにヤンデルソンはダッフンヌ神父そっくりです。
姫の気持ちを知らないヤンデルソンは村長の勧める縁談を受けました。
それを知った姫は悲しみに暮れましたが、間抜けな顔のうさぎに「は?なんで自分の気持ちを伝えへんかったん?」と言われてしまいます。
現実でバーを出た木絵に「楽しかった。」とお礼を言い、別れました。
帰り道で茂子は「ヤンデルソンは姫に友情しか感じていない所は間違っている。でも、うさぎのセリフは正しい。ちゃんと言葉にして言わなきゃ普通の人には伝わらない。」と思い、浩平に自分の気持ちを告白する決心をしたのです。
第2章
夜中の3時、茂子は浩平に電話をして、話をしたいからと会う約束をします。
カフェで浩平の到着を待ちながら、なんと言って告白をするかを考えます。
そこに浩平が来ましたが、なんと知紗も連れて来たのです。
浩平から茂子と待ち合わせをしていると聞いた知紗が「憧れているから、どうしても一度会いたい。」と頼んだようです。
知紗は、自分が来た時に茂子がショックを受けていたことから、茂子はやっぱり浩平のことが好きなんだと確信したようです。
そして「話があるんですよね・・・」と話すうちに、茂子が告白するつもりではないかと思い、回避しようとします。
知紗が「彼氏とケンカでもしたんじゃないですか?」と聞くと、茂子はつい肯定してしまいます。
浩平は「彼氏いるの?」と驚きますが、知紗は「男の人がこんな美人をほっとくわけないじゃないですか。」と言います。
すっかり調子がくるってしまった茂子は告白するのを止めて、帰ります。
知紗は「私が帰りますから。」と口では言いますが、本心は「帰って!もう浩平と会わないで!」です。
茂子は知紗の嫉妬心を向けられたことで疲れてしまいました。
しかし、家に帰ると隠し事ができない兄と弟がいるため、帰れません。
そこで、木絵の家へ行ったようです。
突然、「知紗って可愛い名前だよね。」と呟きます。
そして木絵に「この顔で茂子って冗談みたいでしょ。」と話します。
口下手な木絵は「いいと思うけど・・・。」と返事しますが、心ではしっかりと理由を説明しています。
茂子は、イギリス人のおばあさんと日本人のおじいさんの話を始めます。
おばあさんは日本人留学生だったおじいさんの高台茂正(しげまさ)に一目惚れし、熱烈に追いかけ回して結婚をしたようです。
おばあさんは息子の名前はおじいさんと同じ茂正しか考えられず、茂子たちのお父さんの名前は茂正二世(ジュニア)と名付けられました。
光正も危うくおばあさんから茂正三世(サード)と名付けられる所だったようでしたが、お母さんが阻止をしたために、一字を取って「光正」、次の女の子は産まれる名前から茂子と決められたようです。
その話を聞いた木絵は妄想スイッチが入りましたが、茂子の期待と反して光正のベストショット集だったので、茂子はガッカリです。
その時、浩平から電話がかかって来ましたが、茂子は出ようとしません。
「浩平に彼女が出来たのが急に惜しくなっただけ。浩平の優しい心を独り占めできなくなるのが淋しいだけ。」と自分に言い聞かせ、しばらく木絵の妄想話で気晴らしして忘れようと決めたのです。
後日、茂子はまた木絵と飲みに行きます。
光正からは「失恋でへこんでいるのは分かるけど、木絵でうさ晴らしするのはやめろ。」と言われますが「いいじゃん!みっちゃんだけずるいよ。」と返します。
バーに行くと、知紗とバッタリ会ってしまいます。
お互い会いたくなかったですが、茂子は挨拶し、浩平は元気かと聞きます。
知紗は意外な反応をし、「あれから、会っていないんですか?」と聞き返します。
茂子が肯定すると、「どうして?」と思い、そのまま茂子が帰った後のことを思い出します。
浩平は帰った茂子を追いかけようとしましたが、知紗は止めて、さらに「茂子ともう会わないで。」とお願いしたのです。
浩平に理由を聞かれ、「茂子の方は友達以上の気持ちを持っていると思うから・・・」と話します。
それを聞いた浩平は「どうやら友達以上の気持ちを持っていたのは自分の方かも。ごめんね。」と知紗に伝え、去っていったのです。
このことを知った茂子は頬を赤らめます。
その後、浩平に「明日会えない?」と電話します。
翌日、茂子は珍しくスカートを履いて女性らしい格好をして現れます。
その格好を見た浩平は「やっぱりキレイだな。」と思います。
どうやら、最初に見た時はあまりにもキレイでびっくりして感動しましたが、他の男子もみんなそうだったから、すぐに高嶺の花だと諦めたみたいです。
続けて、「茂子の青い目はあたたかい海みたいな優しい色だ。彼氏のこととか聞きたくないな。」と考えます。
浩平の心の声を聞きながら、茂子は「『彼氏なんかいないよ。浩平が好きよ。』と言葉にしてちゃんと言うから、もう少し浩平の心の声を私だけ聞いていたい。」と考えるのです。
第3章
今日は、光正がアメリカから帰って来る日です。
やっと光正に会えるとウキウキしている木絵は、カウボーイやアメフト選手、野球選手といったアメリカらしい格好をしている光正を想像します。
やっぱりアメリカといったら・・・と決めたのはFBIの光正です。
そして、妄想が始まります。
FBIの光正は、部屋に乗り込み、タトゥーがある男を「FBI!!」と言いながら銃を向けます。
しかし、英語が苦手な木絵は「プリーズ」「ファック」「シット」くらいしかセリフが浮かばず話を進めることができません。
「ウソ!高台さんが!?」と言う女性社員の声で木絵は我に帰ります。
秘書課の人が聞いた社長と専務の会話によると、専務が娘(=社長の姪)のエリといた時に光正とバッタリ会い、エリが光正に一目惚れをしたようです。
社員は「平野さん、大ピンチじゃん。」「でも断れないでしょう。」と話します。
その会話を聞いた木絵は「おとぎ話は終わった・・・」と落ち込みます。
「地味で平凡な自分にそもそも青い目をした王子様が現れるなんておかしいと思っていたんだ。初めて会った時は冗談かと思っていたし、すぐに覚める夢だと思っていたけど、いつの間にか光正さんにベタ惚れしてしまった。もしかして、このままめでたし、めでたしになるかなと思っていたのに・・・」と考えているうちに、阿部さんから生き霊みたいな暗い顔と指摘されるくらいの表情になってしまいます。
「ドロドロな展開になるのはイヤだ。耐えられない。」と思い、現実逃避の空想が始まります。
光正が専務の娘と縁談となったら、身を引き、ヨーロッパへ旅に出ようと決意します。
でも貯金がないので、すぐに帰国するお金もなくなり、雪が降る中ボロボロの服を着て歩き回ります。
友達はちょっとクサいサルだけです。
そんな中、親切なおばあさんにあたたかい料理を恵んでもらいますが、失恋で心が荒れていた木絵は恩人の銀食器を盗みます。(サルはついて来なかったようです。)
警察に追われて山奥に逃げた木絵はそのまま一気に転落の人生を歩むことにー・・・のところで阿部さんに「暗い!!」と叱られます。
阿部さんは「そんなのただの噂じゃないの。それに、高台様が結婚で出世しようと野心を持っている人だったら木絵ちゃんを選ばないでしょう。」と木絵を励まします。
そして、「夜に着くなら手料理でも作って部屋に呼んだらどう?」と提案します。
空港に着いた光正は木絵に専務から食事に誘われたと電話で伝えます。
約束があるからと断ったようですが、「どうしても話があるから。」と言われ、断りきれなかったようです。
光正は食事の後に何時になるか分からなくても、木絵と会おうとしますが、木絵は「アハハ」と笑い、「無理しなくてもいいよ。また明日会社で。」と断ります。
木絵の様子がおかしいと思いますが、光正は電話だと相手の心を読むことができません。
その頃、木絵は大量の食材を抱え、「どうしようコレ・・・」と途方に暮れています。
夜、光正は茂子から電話が来て「浮気した?」と言われます。
どうやら、夕方に木絵を見かけたら、ヨーロッパのどこか森の奥ですごくボロボロの格好で刃物を研いでいる空想をしていたらしいのです。
「何それ?」と光正は聞きますが、茂子が声をかけても木絵は気付かなかったし、急いでいて一瞬しか見ていないから詳しい事情は分からないようです。
光正は木絵に電話しますが、つながりません。
心配して木絵の家に行った光正は、到着した瞬間暗いイメージが見えました。
暗い教会のそばの墓地で王子の格好をした光正がユリの花束を持って涙を流しています。
隣の神父が「お嘆きすることはありません。あの者は化け物になりはて、村人を次々に襲ったのです。当然の報いです。」と話しています。
そして、「KIE HIRANO」と書かれた墓が出てきたのです。
光正は「村人を襲って死んでる!何があったんだ・・・」と焦ります。
出迎えた木絵は頬を赤らめ、少し嬉しそうな様子です。
光正は「やっぱり顔だけでも見ようかなと。」と話します。
びっくりした木絵は「専務さんの用事は終わったの?」と聞きますが、光正は「たいした用事じゃなかったから、さっさと失礼した。」と返します。
それを聞いた木絵は「娘さんとの縁談じゃなかったのかな?」と思います。
木絵が暗い理由を察した光正は「携帯に何度もかけたんだけど。」と聞くと、木絵はハッとしてバックの中から携帯を取り出します。
どうやら、帰って来てからカバンを放り出したままボーッとしていたら、そのまま携帯の充電が切れてしまったようです。
そこで買った大量の食材に気付いた光正が「その食料品・・・」とつぶやくと、木絵は「まとめ・・・買い?」とごまかそうと
します。
すると光正が「じゃあ、夕飯まだだった?僕が作ってあげよう。」と言い、キッチンに立ちます。
木絵はびっくりして「そんな!!帰って来たばかりなのに!!」と断ろうとしますが、光正は「料理、好きなんだ。なかなかうまいよ。」と返します。
そのまま料理をしながら「専務の話ね。見合いを勧められそうだったから、『もう婚約しています』って断った。」と話します。
自分が婚約者とは思っていない木絵は「え!?婚約者がいるの!?誰なの!?」と思い、さっきの空想で出てきた神父が闇堕ちしたのをイメージし、号泣してしまいます。
光正は思わず「どうしてそうなるんだ!!」と大声でツッコんでしまい、木絵に「え?何が?」と言われ、しどろもどろに言い訳をするのでした。
第4章
斉藤純(さいとうじゅん)は光正に10年間片思いをしている、ショートカットの女性です。
純は、光正が婚約したと聞き、光正と出会った時のことを思い出します。
初めて出会ったのは高校入学前の春休みにお父さんの動物病院の待合室でした。
お母さんに用事があって待合室に来た時に、飼い犬のワクチン接種のために来ていた光正と目が合い、一目惚れをしたのです。
受付の人に呼ばれた名前から、光正が「高台さん」という名前であることは分かりました。
しかし、光正のラブラドールは健康で、その後動物病院に来ることはありませんでした。
親や受付の人に光正のことを聞くのは恥ずかしいし、尾行する勇気も出なかったので、高校入学までの一週間は黒のラブラドールを探して毎日近所を徘徊したようです。
そんな純に奇跡が起こりました。
入学した高校の前の席の女の子が光正そっくりな青い目だったのです。
彼女の名前が「高台茂子」と知り、「黒のラブラドール!やっぱり!あれは絶対あなたのお兄さん!!」と言うと茂子は「兄は犬の方じゃなくて人間の方だよ。」と笑いました。
それをきっかけにして10年間純と茂子は一番の親友でいます。
仲良くなった純は、すぐに家に遊びに行きました。
高台家は個人の家とは思えないほど豪邸なので、純が近所を探しても見つからなかったのです。
ちょうど帰ってきた光正に純は紹介されましたが、緊張のあまり純は「おじゃまもしてます!!」とかんでしました。
そしたら、光正は純が動物病院の先生の娘であると気付き「もしかして斉藤先生の?」と聞きました。
顔を真っ赤にした純は「はい!!斉藤純!!斉藤純でございます!!」と返します。
以来、10年間純にとって光正は最愛の王子様となりましたが、「妹の友達の純ちゃん」以上の存在にはなれませんでした。
高校卒業してからは会う機会も少なくなりましたが、光正以上に好きな人と出会えず、彼氏いない歴25年です。
そして、現在お母さんから待合室で「光正が婚約する」と噂していたと聞いたと教えてもらったのです。
純は、今実家の動物病院で獣医として働いています。
仕事中に「光正が選んだ人はどんな人だろう。すごい名家のお嬢様とかモデルみたいな金髪美女かも。」と考え事をしていると、看護師にボーッとしていることを指摘され、次の患者を呼びます。
「高台さん」と呼ばれ、純は驚いて立ち上がります。
「こんにちはー」と言って入って来たのはサングラス姿の和正です。
純は一瞬光正と思いますが、すぐに「じゃなくてこいつは・・・」と思います。
サングラスを取り、「お久しぶりです。純先生。」と言うと純は思い出し「和正くん!?」と驚きます。
和正とは2年半ぶりの再会だったのです。
和正はイギリスに留学していましたが、日本での仕事が決まり、猫と一緒に先週帰国したばかりだったようです。
猫はイカツイ顔をした、すごく大きいブリティッシュショートヘアーです。
純が「どこが悪いの?」と尋ねると「顔を見れば分かるでしょ?」と言われますが、「え?肥満?」としか返せません。
そしたら和正は「あまりにも表情が暗いでしょ。苦悶(くもん)と激怒の表情で睨んでるでしょ。」と言います。
「確かに・・・」と納得した純が「それじゃ、いつもはこうじゃないの?」と聞くと「まさか。最初からこんな顔だよ。」と言います。
からかわれたと気付いた純が「はあ?」と呆れると、和正は「昨夜少し吐いたから連れてきた」と本当の理由を伝えます。
純は昔からこのように、和正からくだらないことを言ってからかわれて、それをいちいち真に受けて来たと思い出します。
「お兄様とは大違いだ」と思いながら、猫の診察をし、和正と目を合わせずに「半日絶食をさせてまだ吐くようなら、明日来て下さい。」と伝えます。
そばの看護師から「明日は日曜だから休診です。」と教えられると、和正が往診をお願いします。
「え?」と目を合わせて食いつく純を見て、「久しぶりでしょ。兄貴も喜ぶよ。」と続けます。
純は動揺して頬を赤くし「何を言っているの、あなたはっ・・・・」と言うと、「あ、間違えた。姉貴も喜ぶよ。」とからかいます。
純は、顔を真っ赤にして「このヤローは!!」と心の中で叫び、怒ります。
和正が帰った後、看護師は「すごい!あんな美男子、初めて見た!!」と大興奮。
純は人生で最も恥ずかしい失敗を思い出すのです。
大学1年の12月、クリスマス前の雰囲気に気持ちが高揚し、光正に告白しようとしました。
家に来た純は、レトリーバーのそばで後ろ向きでしゃがんでいる男の人に「あの・・・光正さん。」と話しかけ、「初めて会った時からあなたのことが」と言った時、間一髪で、男性は光正ではなく和正であることに気付いたのです。
和正が髪を切っていたのと光正のダウンを着ていたから、純は勘違いをしてしまったみたいです。
純は「違うなら違うって早く言ってよ!!」と怒ると、和正は「だって純さん、愛の告白はちゃんと相手の目を見てやんなきゃね。」と言われてしまいました。
この出来事がトラウマとなり、告白する勇気がなくなったし、高台家に行くこともめっきり減ってしまったのです。
翌日、純は往診をしに高台家へ来ます。
和正は「本当に来たの?」と驚くと純は「来るんじゃなかった、ちくしょー!!」と思います。
和正に「二人とも出かけているよ。」と教えてもらうと、純は「日曜日だもん、婚約者とデートだよね・・・。その方が良かったかも。でも勇気出して来たんだし、顔くらい見たかったかも。でも会ったらツラいかも。」と考えます。
その心を読んだ和正は「まだ兄貴のこと好きだったんだね。しぶとさにびっくりだよ。」と言います。
図星の純は怒って「そんなわけないでしょ!!バカじゃないの!!」と否定します。
和正は「言えばいいのに。」と言い、前に和正と間違えて恥をかいた時に二度と告白できなくなったし、ここにも来なくなったでしょ。」と続けます。
気持ちがバレているのにびっくりした純は「違うわよ!!」とごまかします。
和正は「純が間違えたことに責任を感じている」と言い、「一度ちゃんと気持ちを伝えたほうがいいんじゃない?」と言います。
目を丸くした純ですが「今さらそんな・・・光正さんには婚約者がいるんでしょ?」と消極的です。
和正は「だから、ちゃんとフラれてないから次に進めないんでしょ。」と言います。
それに対して「フラれるために告白しろってこと!?」と怒ると「万が一ってこともあるじゃないか。」と答えると「また私をからかっているんでしょ!!」とヒートアップします。
その時、光正が「何騒いでいるんだ?」と言い、純に気づくと「あれ、純ちゃん、久しぶりだね。」と挨拶をします。
喧嘩をしてボロボロになった純は、光正の顔を見て驚きます。
横にいる木絵が想像とは違い、地味な婚約者なので、「婚約者ってこの人なの!?」とさらに驚いたのです。
第5章
「10年間一途に片思いし続けるってすごいと思う。」
そう思う和正は、純と初めて会った中学2年生の6月頃のことを思い出します。
家に来ていた純は、心の中で「光正さん、好き!!青い瞳の王子様。」と頭の中は光正のことでいっぱいです。
そして、飼い犬が光正の顔を舐めているのを見て「犬になりたいなぁ・・・」と心の中で呟くと、和正は思わず「ぷっ」と笑います。
元々家に来る茂子の友人は、みんな光正狙いなので、そのような人は珍しくありませんが、純は最初からイラッときてイジメたくなるタイプだったので「あなたが兄の新しい彼女ですか?」とからかいます。
純は顔を真っ赤にして照れますが、すぐに「光正さんは彼女いるの?しかも何人目かの!?」と思い、動揺してしまいます。
その様子を見た茂子はテレパシーで和正に叱りますが、和正は舌を出して反省しません。
和正は、人間関係を築くのは困難だし、親友も恋人はめんどくさいと思っています。
光正は慎重で、茂子は見かけによらず臆病、そして和正はちょびっとだけ意地悪です。
和正は光正を「王子様」と言う純の恋心の熱はすぐ冷めると思っていましたが、一途に想い続けていました。
なので、「告白すればいいのに。」と思いましたが、光正の心を覗くと、純のことは眼中にないので、どうにもならないと分かっていました。
しかし、それでも一度だけ純は死ぬ気で告白しようとしたことがありました。
その時、聞いていた和正の心臓がおかしくなるほど勇気を振り絞っていたのに、光正と人違いをしてしまったのです。
それ以来、純はほとんど家に来なくなってしまったのです。
和正は、純が勝手に間違えて、勝手に来なくなったものの気になっていました。
イギリス留学から帰って来たら、純が獣医師になって父親のクリニックで働いていると聞いたので、ロンドン生まれで健康そのものの猫のヨシマサをつれて行ってみることにしたのです。
和正が診察室に入る前、ちょうど純が光正の婚約者はどんな人かと考えていたので、「すごい!!なんというしつこさ!!こえ〜」と思いました。
そして、現在は木絵が純に挨拶をします。
純は木絵と会話をしながら「なんか想像していたのと全然違う。光正さんが選ぶ人って特別な女性だと思ってたから・・・あまりに平凡で普通すぎる人なんで・・・あの時人違いをしていなかったら、もしかして・・・と頭をよぎってしまうな。」と考えますが、すぐに「イヤだ!!私ってなんてイヤな女。私サイテー」と落ち込みます。
和正は、10年前と全く同じことを考えている純を見てイラつきます。
光正は木絵と飼っていた犬について笑顔で話しています。
その様子を見て純は「ああ、ずっと見たかった光正さんの笑顔・・・。今は彼女のものなんだ。」と切なくなります。
ふと、振り返って和正を見ると、和正は微笑みます。
それを見た純は「また人の不幸を面白がって。ホント性格悪い。兄弟でどうしてこうも違うのだろう。天使と悪魔!王子と乞食!」と心の中で怒ります。
本気で可哀想と思って微笑みかけた和正は勘違いされて怒ります。
そして、「ついてないねー、純先生。今日はアニキに告白するつもりで来たのにねー。」とみんなの前で言います。
「このバカ弟が!!」と思い、動揺した純は光正に「違いますよ!そんなっ!」とごまかそうとします。
光正は冷静に「うん。こいつはバカだからね。」と言います。
そして、純は「今日はミツマサ君の往診に来ただけなので!!ミツマサ君の下痢と嘔吐も治っているみたいなので!!」と言い残し、慌てて帰ります。
その後、光正は和正に「何言ってんだ。お前は。」と怒ります。
和正は「言い過ぎた・・・」と反省している様子です。
それを見ていた木絵は、ははーんと察して、「和正君があんなこと言ったのは・・・」と空想が始まります。
ヨシマサは「どうやら意見は出尽くしたようだね。そろそろ答を出そうか。決を採る。」と会議を進行しています。
テーブルにはヨシマサと馬、鳥、犬、三角帽子を被った和正が座っています。
それを見た和正は「何の会議だよ。そして俺の服は何だ。」とつっこみます。
ヨシマサは「賛成の者は挙手をー」と言うと、馬と鳥、犬は一斉に挙手をします。
空想上の和正は「何について?え?」と戸惑いつつ、みんなに合わせて挙手をします。
ヨシマサは「満場一致で決定だ。」と言うと、ブレーメンの音楽隊みたいに馬、犬、猫、鳥の順番で乗っかり、みんなで一斉に言います。
「和正君は純先生が好きなんじゃない?」
この空想を読んで光正は笑いますが、和正は「そんなわけあるか!!何言ってんだ、このブタ猫が!!・・・あ、お前が言ったんじゃなかった。」と思います。
光正はテレパシーで「お前は最初からそうなんだよ。」と言いますが、「何言ってんの。俺はずっと彼女がいたじゃない。」と反論します。
光正は「一人も続かなかったろ。」と言うと、ハッとした表情をしてこう思うのです。
「そんなバカな。あんな『光正さん』しか見ていない女・・・。これじゃまるで俺も10年間片想いしていたみたいじゃないか。」
第6章
木絵の空想が続いています。
素直じゃない笛吹き青年(和正)がおりました。
彼は、自分の気持ちを素直に語れないので、言葉の代わりに笛の音で伝えようとしま・・・
と言い終わる前にヨシマサに「いや言葉にしなければ伝わらないよ。和正君」と言われ、蹴っ飛ばされてしまいます。
そして、前回のようにブレーメンの音楽隊のような体制で動物たちが純に「ごめんなさい!和正君はやきもちをやいてるんです!!」と言います。
和正は、「何を勝手な妄想ばかりしているんだよ!!」と呆れます。
口下手な木絵は、和正に「純さんに謝らなくてはダメよ。あなたにとって大事な人なんでしょ?早く謝らなくてはダメよ。」と頭の中で言いますが、実際は「でも・・・あの・・・」としか言えません。
それでも和正は「分かってます。」と返事をし、家を出ます。
びっくりした木絵は「やっぱり和正君も人の心が読めるの!?」と疑いますが、微笑んだ光正に「どうかした?」と聞かれると、「まぁ、いいか・・・」と思うのです。
家に着いた純は、ため息をついて和正に言われたことを思い出します。
「気持ちをちゃんと伝えた方がいい。フラれてないから先に進めないんでしょ。」の言葉は一理あるかもと思いますが、だからと言って、彼女である木絵の前で「告白するつもりだったのにね」と言ったのは許せません。
光正の少し困った顔と木絵の驚いた顔を思い出して「もう死にたい・・・」と思っています。
落ち込んだ純は、友達に会いに出かけます。
「でも、まぁ、これでキッパリふっ切れて次に進めるかな・・・。もう光正さんと顔を合わせる勇気ないし。」と考えながら歩いていると、和正と遭遇します。
顔を見たくないくらい和正に怒っている純はムッとした表情で「何か・・・用?」と聞くと、和正もムッとした表情で「別に・・・通りかかっただけ。」とそっけない返事です。
純も「あっそ。」と言いますが、和正は「出かけるところ?」と聞きます。
純は「うん。」とだけ返事をしますが、和正は「合コンか。」と言います。
純は慌てて「違う!そんなんじゃなくて!」と否定しますが、和正は「いいじゃん。そう言う気になれてよかったじゃん。じゃ、がんばってねー。」と言い、その場から去ります。
街に到着した純は、友達から菅野(かんの)を紹介されます。
どうやら、純の学生時代の写真を見て、気に入ったらしいのです。
帰りに菅野から「家まで送るよ。」と言われますが、気持ちが乗らない純は、断ります。
電車の中でため息をついて「疲れただけだ。私って究極の面食いだし、光正さんのことも10年間離れて見てるだけで満足だったし・・・。実際男の人と付き合うの無理なのかも。」と考えます。
翌日、仕事中に菅野から電話がかかって来て、食事に誘われます。
純が「今日はちょっと・・・。」と断ろうとすると、菅野は「今、病院の前にいるんだ。」と言われます。
驚いた純が玄関へ向かうと、菅野が立っています。
菅野は「勤めている動物病院ってどんなところかなーと思って。仕事6時頃までって言ってたから。」と言いますが、「いきなり来るか!?」と純はドン引きです。
そして、「手術後の犬がいて目が離せないから。」と食事を断りますが、菅野は「明日はどう?行ける?」としつこく誘います。
そこで、純は「あなたと付き合う気はありません。」とハッキリと断りますが、菅野は「彼氏いないなら、最初は友達として気軽に付き合ってよ。」と食い下がりません。
純がそのしつこさに困惑していると、いきなり「アナタ シツコイデース。」と和正が現れたのです。
外国人のふりをして菅野に「純センセー困ラセル人、トテモ悪イヒトネ。ソシテ、トテモぶさいくネ。」と言います。
ビビった菅野は「あんたっ誰なんだ!?」と言いますが、「とっとと帰りナサーイ。二度ト来ナイデクダサーイ」の言葉を聞いて逃げ出します。
純が「何、今の?」と聞くと、和正は「ヘンな外人。普通に言うよりコワいかもと思って。」と返事します。
「ぷっヘンなやつー。」と思いますが、素直に助けてくれたお礼を言います。
そして、「何の用?」通りかかっただけ?」と聞くと、和正も素直にこの前のことを謝ります。
二人で見つめ合い、純はため息をついて「まぁ、いいけどね。和正君は昔から私のことからかって面白がるよねー。」と言うと、和正は昔の出来事を思い出します。
夏休みに純は家に来て、数学の勉強をしています。
頬杖をついている純に、和正が「分かんないの?」と声をかけます。
茂子は昼寝をしに自分の部屋に行っていて、いません。
和正は、「かして。」と言い、数Ⅲの問題を解き始めます。
純は「無理でしょー。」と言いますが、和正は解けたようです。
純は「まだ習っていないのにすごい!!」と褒めますが、内心「あーあ、光正さんが帰って来たら教えてもらおうと思っていたのに。」と思います。
その心を読んでムッとした和正は立ち上がり、お礼を言う純に向かって「そんなのもできないんじゃ、獣医学部なんて、無理じゃない?」と言います。
この出来事を思い出した和正は突然純に「どうやら俺、君が兄貴だけを見てるから、やきもち焼いてたみたいだ。」と言います。
純は照れながらも、ものすごく驚きます。
思いがけず素直になった和正は「あれ?何だコレ。結局、あの人の妄想通りのことを言ってしまったじゃないか」と思うのでした。