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『幸色のワンルーム』を無料で読む方法は？
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『幸色のワンルーム』2巻のネタバレ紹介！
第07話
「お兄さん」に誘拐された少女、×××が「幸」と名付けられ数日が経ちました。
二人は穏やかな生活を送っていましたが、突如ネットに「×××さんを誘拐した」と名乗る男性が動画を上げます。
動物のお面を付けており、顔はわかりません。
その男性はいかにもふざけた様子で、「世間が自分の話題で溢れて嬉しい」、「可愛い美少女を集めてハーレムを作る」と、ネットの視聴者を煽るような言動をします。
当然動画の視聴者からは怒りと共に身もふたもない、犯罪者を非難するコメントが集まります。
幸は「お兄さんの偽物」が横にいる本人と全然違うと怒りを見せます。
偽物のせいで本人が不当な扱いを受けるのは幸には耐えられません。
偽物の動画には「犯罪者は氏ね」といったコメントもあります。
しかし「お兄さん」は幸を誘拐したのは紛れもない犯罪であり、偽物の動画へのコメントを本来の自分への扱いと受け入れます。
幸には肯定されていた「お兄さん」でしたが、世間に犯罪者と叩かれるのには思う所がありました。
彼の脳裏には、かつて共にいた人物と嫌々ながらも同じ道を辿っているという認識がありました。
偽物の動画の影響は大きく、幸の小学生時代の写真もネットに上げられていました。
恐らくは幸の小学校の同級生が、少しでも目撃情報を集めようと卒業アルバムから抜き取ったものでした。
幸は「可愛いものがあれば保存してお兄さんに見せる」と無邪気な笑顔を見せます。
しかし次にあった動画を見て無表情になります。
それは幸とは関わりのない中学生が幸の無事を願い、そして誘拐犯を悪と断ずる動画でした。
幸はその動画を最後まで見ずに画面を閉じます。
幸にとっては動画の中学生も、誘拐犯に対する世間の批判も、彼らの自己満足にすぎず、幸自身を本当に心配してはいないと断じます。
しかしお兄さんは幸の言葉を完全に肯定しません。
「これだけの人数がいれば、幸を心から心配し、助けようとする人は何人かはいる」
そう言った上でお兄さんは、幸に世間の目が向いていることから「自分のもとから逃げないか」と提案します。
しかし幸は手元にあった枕を投げつけ、「自分はお兄さんと居ることが幸せ」と怒りながら宣言します。
それを聞いた「お兄さん」は笑いつつも、幸の言葉に礼を言いました。
ネットの犯罪者を非難する発言に怒りつつも、幸はそれらの反応が世間一般の「普通」であることを理解していました。
しかし「お兄さん」は誘拐という普通とは違う手段で、親の虐待、学校のいじめ、教師のセクハラから幸を救いました。
普通じゃない「お兄さん」が「普通の幸せ」をくれた。しかし誘拐犯はの「お兄さん」はどうあっても普通ではない。
ならば「お兄さん」との生活を受け入れた幸自身も普通とは違う。
であれば、普通の反応を見せる世間の人々とは分かり合えないと幸は感じていました。
ネットの反応を見ていた幸でしたが、偽物の動画を見てふと思い出します。
話し方や背格好から、幸は中学のときに受けたセクハラを思い出します。
偽物が仮にその人物だったとして、幸は今の生活を壊されたくないと刃物を見ながら暗い表情を浮かべます。
その幸の様子に気づいたのか、「お兄さん」は「いずれ逃げ切ったら結婚する。だから余計なことはしなくて良い」と幸に言います。
偽物が気になる幸でしたが「結婚する=一生幸せにする」という誰にも言われなかった言葉をくれた「お兄さん」の言葉を信じるのでした。
第08話
お兄さんの言葉に納得した幸でしたが、やはり気になったのか偽物の動画を見ていました。
すると追加の動画がネットに挙げられているのを見つけます。
その中で偽物はまるで誰かに話しかけるような様子を見せます。
そして「明日。いつもの時間にね」と言いました。
それは幸が中学にいた時、セクハラ教師の形切に呼び出される時の決まり文句でした。
形切の目的は何なのか。
表面上は幸を教師として褒めつつも、秘密裏にセクハラをしていたという悪辣ながらも頭の良い人物です。
形切が考え無しの悪ふざけで動画を上げたとは幸には思えませんでした。
現在、少なくとも動画によって幸をさらった誘拐犯に世間の注目が集まっていることは確かです。
片切は幸を警察に見つけさせようとしている。一方で幸自身に見つかりたくなければ「自分の下に来い」と言っている。
幸はそう直感しました。
幸は「お兄さん」との現在の生活に不安を感じます。
その不安を振り払うかのように、幸は「お兄さん」と「将来必ず結婚しよう」と指切りの約束を提案します。
「お兄さん」はためらいを見せつつも幸と指切りをします。
そのためらいを見て幸は「誘拐犯とさらわれた少女」の自分たちに「必ず」という保証を、「お兄さん」は持てなかったのだと気づきます。
しかし幸はお兄さんとの今の幸せを絶対に失いたくありませんでした。
第09話
冷蔵庫の食材が切れ「お兄さん」は買い出しに行きます。
出かける前に幸に断わりを入れますが、幸は眠っているようでした。
誘拐犯の偽物動画を見た後、幸は「お兄さん」にもわかるほど不安がっていました。
親の虐待から幸を遠ざけた「お兄さん」でしたが、
彼は偽物の動画を見て自分のしたことは偽善だと突きつけられた気分でした。
そのため不安を隠せない幸にも「絶対大丈夫」とは言えませんでした。
「お兄さん」自身は彼自身の目的から幸をさらいました。彼自身もそう自覚しています。
幸が「お兄さん」に同調し暮らしているという部分はありますが、幸の自由を奪っていることには変わりません。
買い物の途中で、「お兄さん」は幸の中学校を横切ります。
校門で若い男性教師が生徒を見送っており、教師は見知らぬ「お兄さん」にも笑顔で会釈をします。
「お兄さん」はその教師こそが幸にセクハラをしていた張本人であると気づきません。
幸は親の虐待だけでなく、中学でもセクハラ、苛めを受けていました。
「お兄さん」は親切な教師なら幸の境遇に気づけなかったのか、そして仮に自分が教師なら幸を救えたのかと他愛のない想像をします。
しかし「お兄さん」はその想像を否定します。現在の二人の関係は誘拐という普通とは違う手段で出来たものです。
仮に何の接点も無い状態で普通に出会ったとして、互いに興味の無い他人のままだったと「お兄さん」は断定します。
買い出しを終えたお兄さんはアパートに戻ってきます。
すると部屋の前に警察官が二人いました。
その内の一人は「お兄さん」が以前に出会った中年の警官でした。
どうやら誘拐事件がネットの動画で話題となり、周辺で聞き込み調査を続け、目撃情報からここに行き着いたようです。
中年の警官は柔らかい口調ですが、「お兄さん」の部屋に入って話を聞こうとします。
部屋の中には誘拐された幸本人や、幸を撮った写真が壁一面にあります。
当然、「お兄さん」と幸以外の誰かに見つかれば二人の生活は壊れてしまいます。
どうやって警官を遠ざけるか悩む「お兄さん」でしたが、突然部屋の中から携帯の着信音が鳴ります。
中年の警官と同行していた若い警官は、「携帯に出ても良いので部屋に入れて欲しい」と迫ってきます。
なおも部屋に入りたがらない「お兄さん」を見て、若い警官は疑う様子を見せます。
お兄さんは観念し、なるべく部屋の中を見られないようにと仕方無く部屋を開けようとします。
しかしかかっているはずの鍵は開いたままでした。
異常を察した「お兄さん」はドアを勢いよく開けます。
すると部屋の中には幸を移した写真が綺麗に取り除かれており、また幸本人も姿を消していました。
『幸色のワンルーム』2巻 感想
「お兄さん」と彼に誘拐された少女、幸に最初のアクシデントが降りかかる巻となります。
「（世間や警察から）逃げ切れたら結婚する」と二人は前巻で約束を交わします。
しかし誘拐犯という世間のレッテル、そして「お兄さん」がさらって抜け出したはずの幸の過去が、二人に穏やかな生活を送ることを許しません。
幸の「お兄さん」に対する複雑な感情、そして自分自身の考えに戸惑う様子がうかがえます。
紛れもない誘拐犯にさらわれて幸せだと実感する幸、そして誘拐されていることを不幸と断ずる世間とのズレ、幸はそれらのズレを理解しながら「お兄さん」と一緒にいることを選びます。
それらの幸の考え方には中学生離れした思慮深さと同時に、一種の「タガが外れている」危うさを感じました。
そしてこの巻で二人の生活を脅かす「誘拐犯の偽物」に対し、幸は「生活を壊される位なら消す」と暗い感情を持ちます。
その際の幸の表情には冷静さもありゾクリと来るものがありました。