鬼切丸を全巻無料で読む方法紹介!漫画アプリでタダ?楠桂による人気マンガ!

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悩んでいる人
『鬼切丸』を全巻無料で読む方法が知りたい。

 

本記事はこんな疑問を解決します。

 

ご紹介する方法は、登録不要もちろん合法です。

 

違法手段ではないので、安心してください。 

『鬼切丸』は漫画アプリ『サンデーうぇぶり』で全巻無料で読める?

いきなり、結論です。

 

『鬼切丸』はこちらの小学館が運営する漫画アプリサンデーうぇぶりにて全巻無料で読むことができます。

サンデーうぇぶり

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『サンデーうぇぶり』は小学館が運営する公式アプリなので安全に利用できます。アプリをダウンロードする際もお金は一切かからないので安心してください。

 

『サンデーうぇぶり』では『鬼切丸』を惜しげもなく1巻から最終巻まで全巻無料で公開してくれています

 

安心安全に、そしてタダで『鬼切丸』を読破したい方は『サンデーうぇぶり』を使う方法が最もお得です。

 

また『サンデーうぇぶり』では、『鬼切丸』以外にも

  • 名探偵コナン
  • YAIBA
  • MAJOR(MAJOR2nd)
  • からかい上手の高木さん
  • ドロヘドロ
  • GS美神 極楽大作戦
  • だがしかし
  • よふかしのうた
  • 犬夜叉
  • らんま1/2
  • 境界のRINNE
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  • 今日から俺は
  • 天使な小生意気
  • お茶にごす
  • 今際の国のアリス
  • 焼きたて!!ジャぱん
  • うえきの法則
  • からくりサーカス
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  • 烈火の炎
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  • タッチ
  • 信長協奏曲
  • BE BLUES!~青になれ~
  • 結界師
  • スプリガン
  • 名探偵コナン ゼロの日常
  • 湯神くんには友達がいない
  • アオイホノオ
  • 葬送のフリーレン
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などなど、名作と呼び声高いマンガを数多く無料で読むこともできます。

サンデーうぇぶり

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また同じく小学館が運営する漫画アプリマンガワンや集英社が運営するヤンジャンも特にオススメです。

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以下のような有名作品が随時、更新され無料で読むことができます。

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  • かぐや様は告らせたい
  • テラフォーマーズ
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  • TIEMPO-ティエンポー
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  • 息子がかわいくて仕方がない魔族の母親
  • 群青戦記
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  • 来世ではちゃんとします
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などなど…

 

「無料でマンガを楽しみたい!」という方は『サンデーうぇぶり』と併せて使ってみてはいかがでしょうか?

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サンデーうぇぶり

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『サンデーうぇぶり』の基本的な使い方

『サンデーうぇぶり』では、アプリ内アイテムであるチケットポイントを使用して読むことになります。

 

簡潔に言うと、『チケット』『ポイント』を使って1作品、1日に最大5話まで無料で読むことが可能です。

 

『鬼切丸』も1日に最大5話まで読み進められます。

 

ここでは『サンデーうぇぶり』で使うアプリ内アイテムチケット』『ポイントのそれぞれの使い方を簡単に説明します。

『サンデーうぇぶり』のチケットとは?

チケットはチケットアイコン(↓黄色い線で囲んである)が表示されている話に使うことが出来ます。

各作品ごと1日1枚使用することができ、チケット使用後23時間で、新たなチケットが配布され各作品をまた1話無料で読むことが出来るというシステムです。

つまり、ほとんどの作品を1日1話無料で読めるシステムがこの『チケット』なのです

サンデーうぇぶり

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『サンデーうぇぶり』のポイントとは?

『ポイント』は毎日、5~15秒程度の広告動画を見ることで30ポイント(作品1話分に値する)を取得することが出来ます

 

サンデーうぇぶりに掲載されている作品は、すべてこの『ポイント』の対象です。(※ポイントを使って読む事ができるという意味)

 

↓『サンデーうぇぶり』のホーム画面に『POINTゲット(黄色い線で囲んである)』アイコンが出てくるので、そのボタンをタップして短い広告動画を見ることでポイントをゲット出来ます。

15秒程度の広告を流しておく(見なくてもよい)だけで、1話分の漫画を無料で読めてしまうので、絶対活用するべきです!

 

この『POINTゲット』アイコンは毎朝8時に回復し、ホーム画面に表示されます。

【重要】さらに今なら『サンデーうぇぶり』のアプリを新規ダウンロードすることで1000ポイントの特典が付いてきます。※1000ポイント=単行本3冊分

アプリのダウンロードは、もちろん無料です。

 

操作も簡単なので、すぐに使いこなせますよ!

サンデーうぇぶり

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『チケット』『ポイント』以外で1日3話分の漫画を読む

『チケット』『ポイント』以外に1日3話分の漫画を無料で読める仕組みがあります

 

その仕組みがこれ、

 

見たい話の漫画のページへ飛ぶと、「動画を見て無料で読む あと3回」と表示されます。これをタップし広告動画を視聴することで1話分を新たに無料で読むことが可能となります。

3回分この仕組みを使ったら翌日0時にリセットされ、また利用できます。

 

ここまでを簡単にまとめると

ここまでのまとめ
  • チケットを使い1日1話無料で漫画を読む
  • 短い広告動画を見て毎日30ポイント獲得し1話分の漫画を無料で読む
  • 短い広告動画を最大3本見て、3話分の漫画を無料で読む

以上の事から『サンデーうぇぶり』は、1つの作品において、1日に最大で5話分を無料で読むことが出来るかなり気前の良い漫画アプリであることが分かります。

 

遠慮なく無料で読ませていただきましょう!!(^^)/

サンデーうぇぶり

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『鬼切丸』の世間の評価は?

サンデーうぇぶり

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『鬼切丸』序盤ネタバレ紹介!

第一話 鬼の血族の章

ひとりの少女が林の中でうずくまっています。少女の服はみだれていて、目には涙をうかべています。

 

「これは夢だ。悪夢にちがいない。だってあれは・・人ではなかった」

 

「ふうん、やけに臭(にお)うじゃねえか。さしずめここが奴の隠れ家ってとこか、鬼切丸(おにきりまる)よ」

 

学生服を着た男が、少女とその友人たちを木の上から見おろしながら言いました。男は、白い布につつまれた長い棒のようなものを手に持っています。

 

「こりゃあけっこうなことで・・ガキまで作ってやがる」と、友人達と楽しそうに話す少女を見ながら、男が言いました。

 

《ぐるる・・・》

 

少女のおなかから、突然奇妙な音が鳴ります。友人のひとりが少女に聞きます。

 

「やあだ美代子(みよこ)。またおなかなった。おなかがへってるわけ?」

 

「そういうわけじゃないんだけど、最近よく(おなかが)鳴っちゃうの!」美代子は笑顔で答えました。

 

「あ!それじゃわたしここで・・」と美代子が言います。

 

「え?こっちのが近道じゃん!」という友人に、もうひとりの美代子の友人が言いました。

 

「いいのよ。美代子はいつも遠回りするの。1年くらい前からね」

 

「じゃあね、ばいばい!」と友人は手を振り、美代子と友人達は別れて帰っていきました。ひとりになった美代子は、頭の中に異形の鬼の姿を思い浮かべました。

 

「忘れるんだ、早く・・。体にはなんの異常もなかったし、生理だってちゃんと・・ひっ!」

 

急に美代子はいきなり後ろから誰かに体を押さえつけられました。

 

「やあ、こんちは」と言って美代子の体をおさえつけたのは、さきほど美代子と友人達を見ていた、黒い学生服の男でした。

 

「なんだよ。まるで鬼にでもつかまったような驚き方してさあ、あんた」

 

「いきなりうしろから男に抱きつかれて驚かない子はいないわよ!はなしてよ、ばか!!」

 

美代子は学生服の男の顔をたたいて抜け出し、走って逃げます。学生服の男は、逃げる美代子の背中を見ながらつぶやきます。

 

「いさましいや。さすが、ーーーのにふさわしい女だな。」

 

その時、男は何かの気配に気がつきます。

 

「あの感触じゃ、臨月にはほど遠いな。でもまあ生贄としては上出来か・・さっそくエモノが喰らいついたもんなあ」そう言う男のうしろで、黒い影が動きました。

 

「誰よ、あいつ。何にふさわしい女って!?」学生服の男から逃げ出した美代子。

 

男の言っていた言葉が頭をよぎります。

 

《さすがーーーのにふさわしい女。まるで鬼にでもつかまったような・・》

 

1年前、林の中で異形の何かに襲われた記憶がよみがえりました。

 

「あれは・・人ではなかった。まるで異形の・・そうあれは鬼!」

 

「鬼の子を産むのにふさわしい女!!!」

 

美代子は「きゃあ!」という悲鳴とともに、目をさまします。悪夢を見ていた美代子。「夢か・・」と安心します。

 

その時、美代子のおなかから、今まで聞いたことのないような大きな音が部屋中に響きわたりました。

 

《ぐるる・・ぎゃうるる!ぎゃん!!》

 

自分のおなかから鳴る音に、おどろく美代子。

 

「何かいる!わたしの胎内(なか)に!わたしのなかで何かがうなっているんだ!」

 

「何かが・・。何が・・?・・鬼の子?」よく聞こえていなかった学生服の男の言葉が、今ははっきりとわかりました。

 

「さすが、鬼の子を産むのにふさわしい女だな」

 

美代子は恐怖のあまり、部屋をとびだしてしまいます。林の中を走る美代子。

 

「いやだ、あそこへは行きたくないのに。足がいうことをきかない。」

 

足がもつれて、転んでしまう美代子。そこへ黒い学生服の男が現れます。男は美代子を見て言いました。

 

「こいつは驚いた。赤子のくせに、親父のことが心配でかけつけたか」という男の左手には、首だけになった、今にも死にそうな鬼がいます。鬼の首を見た、美代子のおなかが、ドクンと動きました。

 

次の瞬間、美代子のおなかから、『オオオオッ』という産声(うぶごえ)とともに、鬼の子供が産まれました。学生服の男は日本刀を手に、自分の身長の何倍もある鬼の子供と、にらみあいます。

 

「あ・・ひ・・」おびえる美代子に、学生服の男は言います。

 

「そうびっくりしなさんな。鬼の子は人とちがって、宿(やど)すのも産むのもたやすいもんなんだぜ?」

 

「かなりの早産にはおれもおどろいたがよ。わずか13ヶ月で生まれた未熟児が、このおれ相手にすごむんじゃねえよ!」

 

学生服の男は鬼の子に斬りかかります。鬼の子もまた、するどい牙と爪で反撃します。

 

「早産?未熟児?うそだ、わたしがあれの産みの親ですって?うそだ!!」激しい闘いを前にして、美代子は立ちあがることもできません。

 

学生服の男が持つ刀で、鬼の子の右腕が斬られ、飛んでいきます。

 

「これはあんたの赤子なんかじゃないぜ!人間に寄生して増殖する鬼の子だ。人喰いだよ、人間の天敵なんだ!」

 

ついに刀は、鬼の子の首を斬り落としました。落ちた首を見て、美代子は思いました。

 

「今、生まれてきたばかりの赤子が、殺されようとしている・・」

 

美代子の足元に転がってきた鬼の子供の首。その額(ひたい)に、赤ん坊の顔が浮かびあがりました。

 

《フギャア・・フギャアーッ》

 

まるで人間の子供のように鳴いている鬼の子。学生服の男は刀を手に、鬼の子供にトドメを刺そうとします。

 

「あんたの悪夢を終わらせてやるよ!」

 

「やめてええ!!」美代子は叫びました。

 

しかし男の刀は、鬼の子をつらぬきます。おそろしい断末魔(だんまつま)の悲鳴をあげる鬼の子。

 

美代子は目の前で死んでいく鬼の子を見て、泣きながら言いました。

 

「わたしの悪夢は、これで終わったのだろうか・・」

 

「あなたは、何者なの?」と、学生服の男に美代子は尋ねます。

 

「おれに名前はないよ。この刀、鬼切丸が鬼をさがしだして、おれに斬らせるだけ・・」男は美代子をおいて去っていきます。

 

去っていく男の背中をみつめる美代子。美代子は目を閉じ、鬼を頭にうかべて、こう思います。

 

「彼は知っているのだろうか。子供を殺された母親が鬼に変わりやすいことを・・」

 

「いいえ、彼も知らない。誰も知らない。それは、女だけが知っている。」

 

目をひらいた美代子の表情は、まるで鬼のようでした。

 

鬼切丸の第一話は、これで終わりです。

第二話 半獣鬼(はんじゅうき)の章①

「やだ、またいる」

 

カーテンの隙間(すきま)から、外をのぞく女の子(みどり)。

 

「どうした?みどり。誰がいるって?」みどりの父親が聞きます。

 

「竹刀(しない)かなんかを持った、冬服の男の子。つけまわされてるみたいなの」

 

「父さんがなんか言ってきてやろうか?」と、父親が心配します。

 

「だめ、すぐいなくなっちゃうの。それより明日はお母さんの10回忌だから、お菓子でも買ってきてね」

 

「そういえば、みどりはあいつ(みどりの母親)に似てきたな」

 

みどりは表情を暗くして、母親のことを思い出します。

 

『わたしが7つの時、母は死んだ。田舎の実家で、夜になっても帰らぬわたしをさがしにでたまま・・。美人薄明(びじんはくめい)とよくいうけれど、そんな例えのできる死に方ではなかった・・。』

 

体がばらばらになって、まるでなにかに喰いちらかされたように死んでいたみどりの母親。

 

『いれかわりにもどってきたわたし。わたしは、誰に連れられて帰ってきたんだろう・・。わたしはその日、何をしていたんだろう・・』

 

母親といれかわりで戻ってきた幼いころのみどりは、誰かの手をにぎっていました。

 

暗闇から、不気味な声が聞こえます。

 

《みどり・・・》

 

場面はみどりの学校にうつります。

 

水泳の授業中、見学しているみどりに友人が声をかけます。

 

「みどり、暑いでしょ。女の子の日でもないのに見学しちゃってさあ、水遊びさせたげよう」と、みどりの手を、プールへとひっぱる友人。みどりはプールに落ちそうになります。

 

「うあああああ!やめてやめてよ!やだったらあ!」みどりは水を異常に怖がります。

 

「みどり!冗談よ。本気で落としたりしないって。あんたマジに水がこわいの?」

 

友人が心配そうに聞くと、少し落ち着いたみどりがいいました。

 

「これでもマシになったんだ。昔はお風呂もこわかったからさ」

 

「それってトラウマ?小さい頃に、溺(おぼ)れたことでもあるんじゃない?」

 

覚えていないと、みどりは言いました。

 

その日の学校からの帰り道。友人と別れたみどりは、考えごとをしていました。

 

『夏はきらい。暑くてものがくさりやすくて、虫もわきやすくて。なんだか虫以外のものもわいてきそうで・・夏は怖い。』

 

ふと、うしろにだれかの気配を感じるみどり。勢いよく振り向いてみると、そこには黒い学生服をきた男がいました。

 

「なによあんた!人のことつけまわしたりして!言いたいことがあるならいいなさいよ!」

 

「へえ、じゃあ言っとこうかな・・。牛頭鬼(ごずき)と馬頭鬼(めずき)が、あんたを狙っているよ。」

 

男からの意外な言葉に、みどりはおどろきます。

 

「やつらは凶暴で肉食だ。あんた頭から喰われちまうよ。あんたの母親みたいに。」

 

母親が死んだときの様子がみどりの頭の中にうかびました。

 

怯えたみどりは、学生服の男から逃げ出します。

 

「そうそう、その調子で無視してくれ。これから少し、怖い思いするかもしれないけどな」と、男はみどりを見てつぶやきました。

 

学生服の男から逃げ出したみどり。しかしふと背中を見ると、自分の制服がまるで獣の爪のようなもので引き裂かれているのに気がつきます。

 

「やだ、なにこれ。いつの間に裂かれたのよ!?」

 

みどりの頭の中に、学生服の男の言葉がうかびます。「鬼はあんたを収穫しにきたんだよ。(鬼に)あたまから喰われるよ」

 

そんなまさか・・とみどりは思います。その時、急にあたりに異様な臭いが広がりました。

 

みどりの背後に、牛の頭と馬の頭を持った2匹の鬼があらわれます。

 

鬼が振りかざした腕で、みどりは壁に激突します。

 

「お母さん・・いやだ・・だれか・・」馬の頭をした鬼の鋭い爪で、みどりの服は切り刻まれていきます。

 

「こいつらは、こうやってお母さんを食い殺したんだ・・。そして、楽しんで!」さきほどの鬼の攻撃も、わざと外して、もてあそんでいるようにも見えました。

 

走って逃げようとしたみどり。しかしみどりは、振り返って鬼を睨(にら)みつけました。

 

「くるならくればいい!おとなしく喰われてたまるもんか!」

 

ここで第二話は終わりです。

第三話 半獣鬼(はんじゅうき)の章②

「鬼なんか怖くないわ!」と、みどりは道路に飛び出して、2匹の鬼を誘いだします。

 

《パアーンッ!》

 

2匹の鬼がみどりを追いかけて道路にでると、猛スピードで走るトラックに衝突します。

 

叫び声をあげる、ごずき(牛頭鬼)とめずき(馬頭鬼)。

 

「やった・・!」と安心するみどりのうしろに、刀を持った学生服の男があらわれて言います。

 

「こんなもんじゃ、やつらは死なないって」

 

どうしてあたしが・・と、みどりは泣きながら男に尋ねます。

 

男は言います。「安心しな。鬼はおれが狩ってやるよ。おれには相棒がいる。」

 

男の持っていた刀がキラリと光りました。

 

「それよりあんたは、この川に入れ。」

 

「川!?」みどりは驚きました。

 

「この川に結界をはった。水の中にいれば奴らは近よれない。ただし、しゃべるなよ。鬼と口をきいたら最後、爪をかけられて、にげられないぜ」

 

「まって!あたし・・あたし水が・・」と、学校でプールに落ちるのを異常に怖がったように、水(川)に入ることを恐ろしく感じるみどりは、嫌がります。

 

「でなけりゃ、死ぬぜ。おれは鬼を狩るだけだ。あんたをまもるわけじゃない。」そう言い残して、男は鬼のいる方へ行ってしまいます。

 

「だめよ、無理よ・・水が怖いのよおぉ!!」と、みどりは恐怖で叫びました。

 

学生服の男は2匹の鬼のもとへ向かい、男をみた鬼が、叫びながら襲いかかってきます。

 

「うぬが鬼切丸(おにきりまる)かあっ!」

 

学生服の男は、手にもった刀でごずきを斬りつけます。

 

「さすがに車と衝突したダメージは大きいらしいな、ごずき。おっとめずき、おまえの方は無傷かよ。」

 

めずきは男に精神攻撃をしかけますが、効果はありません。

 

めずきはおたけびをあげながら、男に襲いかかります。学生服の男は、めずきの足を斬りおとします。斬られた足をおとりにして、めずきは逃げ出します。

 

「ちっ!めずき、にげるか!」と追いかけようとした男に、瀕死のごずきが襲いかかってきます。

 

「このぉ!死にぞこないがっ」

 

その時みどりは、泣きながら川の中で震えていました。「こわい・・苦しい・・どうして、どうして水がこんなにもこわいの!?」

 

その時みどりの背後から、めずきの声がしました。

 

めずきは、みどりが7歳のころに沼で溺れて一度死んだこと、死んだみどりを見つけたのはみどりの母親だったことを話します。

 

みどりの母親は動かなくなった幼いみどりを抱きかかえ、涙を流しながら言います。

 

「誰かこの子を助けて!わたしの肉体(からだ)をあげるから!せめてあと10年・・」その瞬間、みどりの母親の頭が、ごずきとめずきによって、ひきちぎられてしまいました。

 

「その願い、たしかにわれらが聞きとどけたぞ!」

 

水の中に入っておびえているみどりに、ちかづいてきためずきが言います。

 

「(それから)数えて今宵(こよい)が10年目なり」

 

「じゃあ、あれは・・あの手は。」

 

死んだ母親といれかわりで、誰かに連れられて戻ってきた幼いころのみどり。

 

「お母さんだったのね。」

 

みどりはそうつぶやきながら、川の中から出てしまいました。

 

めずきは、みどりに襲いかかります。

 

「おまえの母親はこのうえなく美味であったぞ!母親のあたえた命、ありがたく思いながら喰われるがいい!」

 

「お母さんっ!」とみどりは叫びます。

 

そこへみどりを助けようと、ごずきにトドメを刺した学生服の男がやってきます。

 

しかし、みどりとめずきの距離が近すぎます。このまま斬りつけると、みどりまで斬ってしまうことになります。

 

「鬼の爪が、一瞬でも離れてくれれば・・」と男が思った瞬間、何者かのちぎれた腕(おそらく死んだみどりの母親の腕)が、めずきの眼をつらぬきました。

 

めずきは苦しみ、みどりから手を離します。その隙に、めずきに刀をふりおろす学生服の男。

 

めずきは、真っ二つになり消滅していき、助かったみどりは男に言いました。

 

「あなたの名前、きいていない。」

 

男は答えます。「おれに名前はないんだ。ただ、この刀が鬼切丸と・・」

 

男の手の中で、刀はキラリと光りました。

 

鬼切丸第三話はここで終わりです。

第四話 鬼遊戯(おにごっこ)の章

《もういいかあい・・もういいかあぁい・・》

 

暗い林のなかに、不気味な声が響きます。

 

声の主に追われて、泣きながら逃げる少女がいます。鋭い爪のはえた真っ黒な手が、逃げる少女を捕まえました。

 

《つーかまえーた・・》

 

林の中をひとりの男が歩いています。黒い学生服をきたその男は、白い布につつまれた長い棒のようなものを手にもっています。

 

「ちょっとあんた、どこ行くの?この先は私有地だよ」と、あたりを巡回していた駐在さん(警察の人のこと)が、男に声をかけました。男は駐在さんに、聞きかえします。

 

「ここらにでかい屋敷があるはずなんだが」

 

「ああ、八ヶ瀬(やがせ)さんね。このさきの林が、八ヶ瀬家の土地さ。あんた親族の人?」

 

「よばれたんでね」

 

「よばれたって、とねばあさんに?」

 

そう話す駐在さんのうしろを、元気にかけまわっている子供たち。

 

「こら、林のなかに入っちゃいかんぞ!迷子になるぞ」

 

「知ってるよ!(林の中には)鬼ばばが住んでるんだ」鬼という言葉に反応する学生服の男。

 

子供たちに鬼ばばと呼ばれているのは、八ヶ瀬家の生き残り『とねばあさん』のことのようです。

 

子供たちは、また遊び始めました。「色鬼(いろおに)やろーぜ!」「高鬼(たかおに)がいーよ!」

 

「子供っていうのは、鬼ごっこがすきだねえ」と笑う駐在さんのとなりで、学生服の男がつぶやきました。

 

「子供だけじゃないさ。鬼どもも、鬼ごっこが好きなんだよ・・」

 

場面は変わり、『八ヶ瀬家』では老婆が仏壇に手をあわせています。そこに、男の子がやってきます。

 

「またお祈りしているの?村へいってもいい?鬼ごっこがしたいんだ。」

 

老婆は泣きながら、男の子を心配している様子で言います。

 

「あまり鬼ごっこばっかりしていると、鬼切丸に斬られてしまうよ?」

 

男の子は泣いている老婆に大丈夫、そんなやついないと言います。

 

「おれ絶対に死なないよ。八ヶ瀬の誰よりも長く生きるよ。みんなの分まで、ずっとずっと・・」

 

「ああ、そうだね。さあ、鬼ごっこをしておいで・・」老婆は、男の子を抱きしめながら言いました。

 

日は沈み、あたりは暗くなっています。

 

「もうここで結構ですよ、駐在さん。」学生服の男は、駐在さんに八ヶ瀬家のちかくまで案内してもらっていました。

 

「じゃあわたしは村へもどるから、気をつけてな」といって、駐在さんは男と別れます。

 

男は白い布から刀をとりだし、語りかけます。「さて相棒、鬼気(きき)を感じとれるかい?」

 

刀が、『ブウウン』と白くひかり、何かに反応しました。

 

「かなり近いな・・」と男が言った瞬間、木の上から、八ヶ瀬家の男の子が話かけました。

 

「鬼ごっこしようよぉ」

 

男の子の誘いに、学生服の男は答えます。

 

「100数えて、にげた者を追ってつかまえて鬼交代ってやつか?」

 

「ちがうよ。鬼は鬼、エサはエサだよ。さっきは駐在さんとやったんだ。すぐ終わっちゃったけどね」不気味な笑顔をうかべる男の子。

 

男の足元に、血で汚れた駐在さんのメガネが落ちてきます。上を見ると、首をちぎられた駐在さんの死体がぶらさがっていました。

 

「次はにいちゃんが、100数えてるあいだに逃げて!」

 

鬼ごっこがはじまり、学生服の男は走り出します。

 

「じゅーご、じゅーろく・・」うずくまって、数をかぞえる男の子。

 

「きゅうじゅうきゅーう。ひゃあーく!」と、100まで数え終わった男の子の顔には角が生え、恐ろしい鬼の顔になっていました。

 

「もういいかーい」といいながら走る鬼の子。顔だけでなく、腕も鬼のような鋭い爪を生やしながら、すごい速さで追いかけてきます。

 

刀をかまえ鬼の子をむかえうつ、学生服の男。

 

「まだだよ・・もう少し・・もういいぜ!」と、飛びかかってきた鬼の子に刀を振り下ろします。

 

男の攻撃は外れました。ゲラゲラと楽しそうに、まるで遊んでいるかのような鬼の子。

 

「わるいな!おれも鬼ごっこが大好きなんだよ!」と、男もにやりと笑いながら刀を鬼の子に向け、構えます。

 

するどい一撃で、鬼の子の胴体を半分にする学生服の男。

 

「おまえ、おまえ、鬼切丸かあ!!」と、鬼の子は悲鳴をあげます。

 

そのとき、林の中から八ヶ瀬家の老婆があらわれます。老婆に助けをもとめる、鬼の子。

 

「いたいよう、おかあちゃん。助けて、おかあちゃん!」

 

鬼の子の近くまできた老婆は、持っていた斧で鬼の子にトドメをさしました。息絶える鬼の子。

 

学生服の男は、老婆に言いました。「おれをよんでいたのは、あんたか?」

 

死んだ鬼の子を抱きかかえて、老婆は言います。

 

「はい、あなたがこの子を斬ってくれるのを、70年間ずっとまちわびておりました。」

 

「この子は、わたしと実の兄の子供でございます。この子を宿した時から70年間、この子の死を願っておりました。こんな鬼のような女からは、鬼が産まれて当然でございましょう・・本当の鬼は、わたくしです。どうぞわたしをお斬りください。鬼切丸さま、どうぞ・・」

 

死んだ鬼の子を抱きながら泣き、自分を斬れという老婆を置いて、学生服の男は何もいわず去っていきます。その目は、次の鬼をさがしているようでした。

 

《もういいかーい・・まあだだよー・・》

 

鬼切丸第四話は、これで終わりとなります。

 

第五話 一眼鬼の章①

「ねえ、知ってた?ここって昔、塚か墓があったのを壊して体育館をたてたものだから、ときどき霊のうめき声がきこえるんだって・・」

 

うわさ話をしながら帰っていく女生徒たち。あたりはすっかり日が沈み、暗くなっています。そこに体育館をじっとみつめる、学生服の男がいました。

 

「ちょっとそこの生徒!何やってるの、下校時間はとっくにすぎたのよ」と、注意する西尾先生。

 

「あなた、剣道部?名前とクラスを言いなさい」先生はそう言いながら、男の持っていた白い布に包まれた、長い棒のようなものをつかみます。その重さは、竹刀のものではありません。

 

男は、「鬼切丸(おにきりまる)だよ」と言います。

 

「西尾先生、なにしてんだよ、おかむらが倒れたのは体育館の中だぞ」と男子生徒が言い、先生は、体育館の倉庫について行きます。

 

倉庫に入ったとたん、西尾先生は複数の男に押さえつけられました。

 

「やった!ひっかかったぜ!おい、口ふさげ、口。」と倉庫の奥へと連れ込まれ、服を脱がされ乱暴される西尾先生。

 

「誰か・・誰か!」と、西尾先生は、乱暴する生徒の指に食いついて爪をはがします。

 

そのとき、倉庫の入り口をドンドンドン!と誰かが叩きます。「大丈夫か!?」と、中に入ってきたのは、さっきの学生服の男でした。

 

飛び散った血や乱れた先生の服をみて、男はいいます。「なんだ、なんでもないじゃないか」

 

「ど・・どこがなんでもないのよ!」と怒る先生。

 

「べつに、あんたがここで何をされようと、奴をおびきだすことができれば俺はかまわない」

 

「奴ってなによ」と聞く西尾先生。

 

「さあね、いってもあんたにはわからないよ」

 

その夜、家に帰ってきた西尾先生を見て、「どうしたのその顔!」母親と妹が驚きました。

 

「ちょっとね。ねえ、お母さん。鬼切丸ってなんだっけ」

 

昔、話してあげたおとぎ話だと母親は答えました。

 

『鬼は人間のしかばねから生まれ、鬼切丸は鬼のしかばねからうまれた。彼はすべての鬼を斬り殺せば、人間になれると信じて、鬼を殺し続ける。彼は人間になって、はじめて人としての名前をもらえるの』

 

次の日、西尾先生は校長室で、生徒に襲われた事を話します。しかし、校長は証拠が無いという理由でまともにとりあってくれません。

 

証人はいるのか?といわれ、西尾先生は学生服の男を思い浮かべました。

 

「証人はいます!」そう言った西尾先生に、校長先生が聞きます。

 

「うちの生徒ですか?学年は?クラスは?名前は?」学生服の男について、何も知らなかった西尾先生は、だまって校長室を出て行きます。

 

そこに先生に乱暴をした不良生徒たちがあらわれて、ゲラゲラと笑います。証拠をだせない西尾先生に、生徒たちは唾をはいて、去っていきます。西尾先生は、証人を、学生服の男を探さないと!と思いました。

 

その頃、学生服の男は、体育館の中で刀を振りかざしていました。

 

「この下で眠っていることはわかっているんだ!とっとと起きて、俺に斬られろよ!」と男は叫びます。しかしなにも起こりません。学生服の男は諦めて体育館を出ていきます。

 

その姿をみつけた西尾先生は、男を追いかけて昨日の乱暴事件の証人になって欲しいと言いました。しかし学生服の男は、冷たい目をして先生に言います。

 

「おれは、連中の顔をだれひとりとしてみていないのに?」

 

学生服の男が証人にならないとわかった先生は、泣きながらいいました。

 

「くやしい、あたしが女じゃなければ・・男でもっともっと強ければ、あんな奴ら!」

 

「泣くと鬼がよってくるぜ。泣いたり怒ったり憎んだり、よからぬことを考えている人間は、鬼を育てたあげく、喰われちまうんだよ。」と、泣いている西尾先生に男は言います。

 

男は西尾先生をみつめて、笑顔で言いました。

 

「そんな人間は、あんたを襲った奴らで充分じゃないか?」

 

ここで、鬼切丸第五話は終了となります。

第六話 一眼鬼の章②

「だから、泣くな」と、泣いている西尾先生に、学生服の男が言いました。

 

学生服の男の学校名やクラス、名前を聞く西尾先生。

 

男は「名なんてないよ」と言います。名前が無いというのを信じない西尾先生は、名前を当てようとします。「えっと・・あと、信彦(のぶひこ)とか・」

 

「・・当たりだよ」と微笑む学生服の男。

 

「そうか、いい名前じゃない。なぐさめてくれてありがとう」

 

男はどこか少し悲しげな表情をします。

 

その日の夕方、西尾先生の家に妹が帰宅します。玄関の鍵を開けようとした妹に、怪しげな手と刃物が近づいてきます。

 

しばらくして帰宅した西尾先生は、家の前に近所の人たちが集まっているのに気がつきます。何かあったのかと尋ねる西尾先生。

 

「あ、いずみちゃん(西尾先生)。つぐみちゃん(先生の妹)に、なにかあったんじゃないかって話してたのよ。ドアの前につぐみちゃんの帽子とこれが・・・」そう言われた西尾先生が目にしたのは、切り落とされた妹(つぐみ)の髪の毛でした。

 

西尾先生は、思いました。「あいつらよ!あいつらが妹を・・!」

 

つぐみは学校の体育館に連れ込まれていました。つぐみを襲っているのは、昨日西尾先生を襲っていた不良生徒たちでした。

 

「やだああ!おねえちゃん!おねえちゃん!!」つぐみが叫ぶのと同時に、学校の近くをあるいていた学生服の男の刀が反応します。

 

「まにあうか?」と、学生服の男は体育館へと向かいました。

 

体育館では、抵抗するつぐみに不良生徒たちは暴力をふるいます。

 

「ぎゃあぎゃあ、わめくな!」不良生徒たちが持っていたハサミが、つぐみの右目を潰してしまいます。

 

「殺してやる、殺してやる!この人たちみんな・・殺してやる!!」と、つぐみは泣き叫びました。

 

すると体育館の床から、恐怖と憎悪であふれたつぐみの心に反応して、異形の鬼があらわれます。鬼はつぐみを取り込みました。鬼と同化したつぐみはその鋭い爪で、次々と不良生徒たちを殺していきます。

 

「うそだ!幻覚だ!こんなことあるわけないんだあ!」と言いながら、つぐみの爪で頭をつぶされていく不良生徒たち。そのとき、窓ガラスを破って学生服の男が飛び込んできます。

 

「一眼鬼だったのか・・!」とつぶやく学生服の男。そこへ、西尾先生も入ってきます。

 

「つぐみ?つぐみなの?」と、つぐみを取り込んでいる鬼を見ていう西尾先生。

 

「ちがうよ。この地に眠っていた一眼鬼さ。連中、この子の右目をつぶしやがった。一眼鬼は目玉を片方なくした人間を取り込む鬼で、連中はみんなこいつに殺されたんだよ」

 

鬼に取り込まれたつぐみに、刀をむける学生服の男。

 

「つぐみを斬るの?待って・・お願い・・つぐみを殺さないでぇ!」

 

西尾先生の声もむなしく、学生服の男はつぐみを鬼ごと斬ってしまいます。血の海のなかに倒れるつぐみ。西尾先生は学生服の男にむかっていいました。

 

「鬼・・!」

 

学生服の男の後ろ姿は、どこかさみしそうな顔をします。そのとき、つぐみの手がピクッと動きました。

 

「つぐみ?まだ息があるわ・・つぐみ!」

 

「彼女の右目は一眼鬼のものだが、支障はないだろう」と、刀をしまう男。その場を去ろうとする男に、西尾先生は伸彦くん!と呼びかけます。

 

学生服の男は言いました。「おれに名は・・ないんだよ。ただ・・この刀が鬼切丸と・・」

 

次の日の学校は、昨日の体育館の話で持ちきりでした。

 

「でね、なんかぐちゃぐちゃになって死んでたんだって・・」

 

「ただひとり助かった女子中学生も、記憶がなくて・・。やっぱりあそこ、たたられてるのかも。立ち入り禁止にすればいいのよ」噂話をする生徒の横を、西尾先生が通りすぎます。

 

「早くわすれてしまえばいい、あんな出来事。そして、あの少年のことも・・?」

 

「お姉ちゃん!」と、校門の前でつぐみが手をふっています。西尾先生はつぐみを見て思いました。

 

「いいえ、わたしは忘れない。わたしと鬼の目だけが見ていた、あの少年の涙を・・」

 

鬼切丸 第六話はここで終わります。

第七話 憑鬼(ひょうき)の章①

「それでね、夕夜(ゆうや)。谷口くんがさあ・・」

 

学校からの帰り道、夕夜は友人と4人で楽しくおしゃべりしています。

 

「あ・・」と、夕夜は何かに気づきます。

 

「夕夜、ひょっとしてまた見えたの?あれが・・」様子がおかしい夕夜を、友人のひとりが心配します。

 

「大丈夫よ、千晴(ちはる)。もう通りすぎるから」そう言った夕夜の足元には、小さな鬼が群がっていました。

 

一匹の鬼が、夕夜の肩をのぼってささやきました。

 

《おまえの望みをかなえてやろう》

 

夕夜は、おばあちゃんの言葉を思い出しました。「鬼のささやきにこたえてはいけない。こたえてしまうと、鬼につかまってしまうよ」

 

友人たちと別れた夕夜は、黒い学生服を着た男とすれちがいます。男は夕夜の肩に手を伸ばし、鬼を捕まえ、そのまま鬼を握りつぶします。こいつらが見えるのか?と聞く男。

 

「こいつらは、人の精神(こころ)のすきまに入り込み、一体化する鬼だ。つまらん欲望のために取り付かれたが最後、鬼のエサになるのがオチだ、気をつけろよ」

 

「そしたら鬼退治でもしてくれるの?」と笑う夕夜。「そうだよ」と男は言いました。

 

次の日の学校で夕夜は千晴に、自分以外にも鬼を見ることができる人がいたことを話します。

 

「あたしのこと変人だと思ってる?」と、心配そうに、夕夜は千晴に尋ねます。

 

「夕夜は嘘なんか言わないよ。きっと夕夜は特別なんだよ。」と、千晴は笑顔で答えました。

 

そこに夕夜の友人(順と伸子)が、夕夜を遊びに誘います。ですが夕夜は、千晴と勉強をすることを理由に断ります。

 

「千晴ったら、また赤点とったの?」と、友人たちは冷たく言います。

 

夕夜は、トイレに行くために席を立ちます。夕夜と一緒に行こうとした千晴を、友人たちが止めて言いました。

 

「あんたさあ、なんであたしたちにつきまとうわけ?もともと3人でうまくいっていたのにわりこんできて、できの悪いあんたのせいで、あたしたちの足並みそろわないじゃないの!」そう言われた千晴はショックをうけます。

 

「なによ、その目は!」と、千晴を突き飛ばす友人たち。

 

しばらくして、トイレからもどってきた夕夜は、千晴がいないことに気が付きます。友人たちに千晴の居場所を訪ねますが、友人たちは知らない。先に帰ったんじゃない?と、興味がなさそうに言いました。

 

おかしいと思いながらも、友人たちに食事に誘われた夕夜は、そのまま学校を後にします。

 

友人たちの本心を知った千晴は、学校の近くでひとり泣いていました。

 

「くやしい。でも言い返せない。みんなと違って、成績も運動神経もよくないし・・自分を変えたい!みんなを見返してやりたい!」そう強く思う千晴のうしろに、小さな鬼が現れ、千晴にささやきます。

 

《おまえの望みをかなえてやろう》

 

あたりはすっかり暗くなり、食事をすませた夕夜と友人は、それぞれの家へと帰ります。

 

夕夜と別れた友人たちの前に、千晴があらわれます。

 

「なんだ、千晴か。泣いて帰ったんじゃなかったの?」と、友人たちはまたしても冷たく言います。千晴は、不気味にほほ笑みました。そして、暗い夜道に友人たちの悲鳴が聞こえました。

 

次の日、友人たち2人がいなくなったことを知った夕夜が、慌てた様子で千晴に言います。

 

「千晴!信子と順が、昨日家に帰っていないんだって!途中まで一緒だったのに・・何か・・あったのかな」という夕夜に、千晴が冷たい目をして言います。

 

「それが・・どうした?」

 

千晴は、いなくなった友人たちに興味がなさそうに言いました。そのとき、夕夜は千晴の首に鬼の顔を見つけます。

 

「千晴!」と夕夜は叫びますが、鬼の顔は消えています。

 

「ううん・・ごめん、なんでもない」という夕夜。千晴はまた、不気味な笑みを浮かべます。

 

そのころ、学生服の男がなにかに喰い散らかされたような死体を見つめていました。

 

「どうやら雑魚が一匹、人間に寄生するのに成功したようだな。憑かれた人間のめぼしは、においですぐにつく・・まだ若い、女のにおいだ」

 

学校では、英語のテストでクラス最高得点を出した千晴に、教室がざわついています。

 

くすくす笑う千晴を見ながら、夕夜は思いました。

 

「英語は、順(殺された友人)の得意科目だった・・・」

 

ここで、鬼切丸第七話は終了です。

第八話 憑鬼(ひょうき)の章②

「ねえ、千晴(ちはる)って、あんなに目立つ子だったっけ?何やらしてもダメで、人並以下だったのに、なんか変わったよね?あそこまで人間って変われるものかなあ」

 

友人が2人消えてしまった事件以来、千晴は人が変わったように、成績も運動神経もよくなりました。

 

「最近の千晴ってすごいね」と千晴にいう夕夜(ゆうや)。

 

「これが本当のあたしなのよ。もっともっと変わっていくわ。もうわたしに怖いものなんてないのよ」と、千晴は自信満々に言います。

 

夕夜は千晴の書いていた学級日誌の字が、殺された友人のひとり、順の字にそっくりなことに気が付きます。

 

「夕夜、親友のあんたにだけ教えてあげる。わたしの秘密を。わたしにはね、神様がついているのよ」

 

突然そう言い、うしろにふりむいた千晴の髪の毛の間から、牙をむきだしにした鬼が現れます。

 

「あるとき、こえがきこえたの。おまえの願いをかなえてやろうって。」千晴は友人の順と伸子を殺して、ふたりの能力を自分のものにしたと告白します。

 

それを聞いた夕夜は、「ちがう、千晴らしくない。そんなのあたしの好きな千晴じゃない!」と叫びました。

 

千晴らしい、という言葉に千晴が怒ります。

 

「あたしらしいってどういうこと?赤点ばっかりとって、何やっても人並以下で。夕夜の好きなあたしって、自分よりできのわるい引き立て役のあたしなのね」

 

「夕夜なんか、死んでしまえばいい!」と言った千晴の頭から鬼の腕が生え、夕夜に襲い掛かります。そこに学生服の男が現れて、夕夜を救います。

 

千晴から出てきた鬼を、自分が斬るという学生服の男。男の目的が鬼を斬ることだけだとわかった夕夜は、千晴に逃げようと話しかけますが、千晴は亡者のような顔になっています。

 

亡者のようになりながらも、正気をとりもどした千晴は、殺した友人や夕夜に謝ります。その時、千晴の腕がちぎれ、千晴は悲鳴をあげます。

 

そのころ学生服の男は、逃げた鬼の腕を斬りおとしているところでした。鬼と同調している千晴は、鬼が斬られるたびに血が噴き出し悲鳴をあげます。

 

「誰か・・千晴を助けて・・」と願う夕夜に、別の小さな鬼が話しかけます。

 

《おまえの望みをかなえてやろう・・》

 

千晴から飛び出した鬼に、いままさにトドメを刺そうとした学生服男。そこへ、鬼と同化した夕夜が襲ってきます。

 

「このバカが!とり憑かれたな!」と言いながらも、男は夕夜を斬ることをためらっています。

 

「あなたが斬ると、千晴も死ぬ。おねがい、千晴を助けて」と言う夕夜に、男は言います。

 

「彼女は2人も人を喰ったんだ。どうにもならない代償なんだよ!鬼をおいはらえ、でなければ、おまえも斬る」

 

男に斬られそうになった夕夜を、千晴が抱きしめます。抱きしめられた夕夜からは、鬼が飛び出しました。

 

学生服の男は、夕夜から飛び出した鬼を斬ります。鬼は消え、夕夜は正気を取り戻します。

 

息をしていない千晴を見て、夕夜は少年に言いました。

 

「あなた、ふつうの人間じゃないんでしょ?奇跡をおこして、千晴をたすけてよ!」そういわれた少年は静かに言いました。

 

「この世に奇跡なんてありはしないよ。ただひとつ、鬼に憑かれた千晴があんたを救ったことを除(のぞ)いて・・」

 

鬼切丸1巻は、ここで終わりです。

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