黒髪を七三に分け、黒縁メガネの奥に感情の読めない糸目と笑顔で、右も左も分からぬ死人を案内する男。
それが死役所の主人公、『シ村』です。
物腰が柔らかくどんな人間を相手にしてもうろたえる事無く対応します。
「お客様は仏様ですから」をモットーにしつつも、時折無神経で失礼なことを言って反感を買うことも多いようです。
そんなシ村が働く死役所の職員は、全員が死刑囚というとんでもない職場です。
いかにも好青年といった雰囲気のシ村が、なぜ死役所で働くことになったのか、どんな過去を持っているのか？ひとつずつご紹介していきたいと思います。
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シ村はなぜ死役所に？本当に殺人犯なのか？
様々な死因や人生史をもった人間が死役所にはやってきますが、そこで働く職員たちも例外ではありません。
姪を守るために殺した者、裏切られた怒りで殺した者、現実逃避のために殺した者、その理由は様々ですが全員人を殺して死刑になった人達なのです。
ただそこでシ村だけが、ほかの職員とは違った背景を持っていました。
シ村が犯したとする罪は冤罪で、無実でありながら死刑となったのです。
通常冤罪で死刑となった者は、死後一般の人たちと同じようにすぐに手続きをして成仏することができます。
しかしシ村はそれを断り、死刑囚に混じって死役所での業務を続けるという選択をしました。
シ村は生前結婚しており、娘もいました。
その娘を殺したという疑いをかけられ、警察の苛烈（かれつ）な取り調べによって罪を認めざるを得なかったのです。
奥さんは娘が殺される前から行方不明になっており、シ村はその手掛かりを得るべく死役所に留まり続けているのでした。
シ村の過去や正体は？生前なにをしてた？妻の幸子はどんな人？
『市村正道（しむらまさみち）』それがシ村の名前です。
市村は市役所に勤めていました。
物腰も柔らかく市民からの評判も上々だったようです。
死役所での応対がスムーズなのは、生前の仕事があったからなのでしょうね。
ただあの貼り付けたような笑顔は生前では見られず、自然で親しみやすいものだったようです。
ある日足を怪我をしたおばあさんを家まで送っていったところ、その家に居候している絵描きの女性と出会います。
その女性の名前は『幸子（ゆきこ）』といいました。
絵を描くことに誇りと自信を持つ幸子は、一度は結婚をしますが絵を描くことばかりに夢中になって家事をおろそかにしたせいで離縁されてしまいます。
一家の恥さらしと実家からも追い出された幸子は、大伯母『ハツ』の家に転がり込んだのです。
幸子の自由さに、段々と市村は惹かれていきます。
しばらく穏やかな日が続きますが、ハツはある日突然車にひかれて亡くなってしまいます。
たったひとりの家族を亡くしてしまった幸子は悲しみますが、それを見ていた市村は何も声をかけません。
ハツは幸子のことを家族だとは思っておらず、「恥さらし」と言っていたのを知っているからです。
幸子も落ち着き葬儀が終わった後、幸子は何気なく市村に「家族にならない？」と問いかけます。
それを聞いた市村は、迷うことなく「はい」と答えました。
結婚してくださいという市村に、逆に幸子が戸惑います。
出戻りでも、年上でも構わない。
そう伝える市村と、幸子は結婚することを決めたのでした。
娘の美幸は病気？食べるものは絵の具！？市村の娘とは
市村と幸子の結婚生活はどうだったのでしょうか。
一人娘が生まれ絵が思うように書けなくなった幸子は、書置き一つでスケッチに出かけるなど相変わらず奔放でしたが市村は一向に気にしていませんでした。
料理のできない幸子に代わって料理を作ったりするなど、本当に幸子を大事に思っていたことがうかがえます。
娘の寝姿を見て絵を描く意欲を取り戻す幸子と、それを温かく見守る市村の家庭は順調なように思えました。
少しずつ状況が変わってくるのが、娘が５歳になった頃からです。
二人の娘『美幸（みゆき）』は、５歳になっても乳離れができずいつもボーッとしていて、あまりしゃべることもありませんでした。
離乳を進めようとしますが、両親二人が食べているものを食べさせようとしても興味を示しません。
ある時幸子が絵の具を作っていると、目を離したスキに美幸がそれを指ですくって食べてしまいます。
市村は慌てて絵の具を取り上げますが、美幸はそれに不満を示し手についた絵の具も舐め続けました。
「これおいしいの？」と幸子が絵の具を差し出すと、すごい勢いで食べ始める美幸に二人は困惑します。
美味しいものではないはずなのに、無我夢中で食べ続ける美幸に幸子は「よかった」と安堵しました。
何を食べさせてもダメだった美幸が、とりあえずは何かを食べることができるのだと分かったからです。
そのうちご飯を食べるようになるだろうと、市村と幸子は娘の異食をおおらかに受け入れることにしました。
絵の具だけではなく花や土ばかり食べる美幸は、あまりしゃべりませんでしたが計算や絵を描くことは得意でした。
そんな娘を「特別な子」だと、二人は大事に育てます。
ある日風邪を引いた美幸を病院に連れていく幸子。
そこで医者に幸子が絵の具や土ばかり食べていると伝えると、このまま食事を食べなければ死んでしまうと言われてしまいます。
「お母さんがおいしいものを作ってあげればそんなことにはならないんですよ」という言葉を信じて、幸子は慣れない台所に立ちます。
一生懸命料理をしても、美幸は相変わらず食べません。
いつか娘は死んでしまうのではないかという恐怖に、幸子はおびえるようになります。
藁にもすがる思いで様々なアプローチを試みる幸子が、ある日１枚のチラシを市村に渡しました。
それは心を開放するといううたい文句を掲げる、「加護の会」という宗教団体のチラシでした。
市村と「加護の会」の関係は？なぜ死刑に？
３人で加護の会を訪れるも、「病気なんて気にせず愛してあげなさい」としか言われず美幸の異食を解決することはできませんでした。
段々と追い詰められていく幸子は、美幸が死ぬのではないかという恐怖に泣いて取り乱すようになります。
そんな中でも、市村は相変わらずおおらかに美幸を見守っていこうというスタンスでいました。
ある日市村が仕事から帰ると、「もういちど加護の会へ行く」という幸子の書置きを見つけます。
幸子を迎えに行きますが、会うことはできず１週間後に戻るからと追い返されてしまいます。
絵の具を食べる姿が美幸の正しい姿なのだと信じ、また３人で笑いあえる日が来るよう市村は幸子を取り戻すことを決意するのでした。
近所の人に美幸を預かってもらいながら仕事をこなし、約束の１週間後に再び加護の会へと向かう市村。
幸子を連れて帰ると言っても、そんなのはダメだと笑って拒否する会のトップを市村は殴ってしまいます。
興奮する市村を、トップの息子だという男が柔らかく落ち着かせます。
「紙一枚の心のつながりとは違う」
「あなたも私たちの家族です」
そんな言葉ばかりを繰り返す男に、市村はそれ以上強引に事を進めることができなくなり失意の中帰宅します。
状況が整理できないまま鶏小屋の前に座り込みますが、近所に預けたままだった美幸を迎えに行かなければと立ち上がります。
何気なく視線を向けた先には、暗闇の中浮かび上がる美幸の変わり果てた姿がありました。
美幸は何者かに殺されており、市村の通報を受けた警察の取り調べが始まります。
しかしその過程で市村にアリバイが無いこと、娘が殺されても落ち着いていることで犯人なのではないかと疑われてしまいます。
司法解剖した結果、美幸の胃に絵の具や土ばかりが入っていたことが決定打になり、市村は取り調べを受けることになりました。
取り調べと言っても刑事は市村がやったのだという確信を持ち、市村がいくらやっていないと言っても聞き入れようとしません。
執拗に足を蹴りつけ、裸にされ尻の穴までガラス管で探られ、長期間に及ぶ拷問に近い取り調べに市村は疲弊していきます。
追い詰められた市村は、ついに「私が殺しました」と自供します。
その顔には、あの死役所での貼りついたような笑顔が浮かんでいました。
こうして市村は死刑となったのです。
娘を殺した真犯人は？幸子は今どうしてる？
市村がシ村の名札を下げて市役所で働くようになってから、おそらく短くはない時間が経っていると思われます。
しかし、加護の会に行ったまま行方知らずになっている幸子の情報はわずかしかありません。
そして美幸を殺した犯人も明らかにされていません。
加護の会については、３２条「加護の会」の回でおそらく幸子が存命であることが分かっています。
また、シ村の同僚である交通事故死課の松シゲが、加護の会の信者であることも第５１条「裁きの先に」で明らかになりました。
美幸を殺した犯人については、美幸の人生史を読んでいるので恐らくシ村には誰なのかはわかっています。
それが物語上で語られることはあるのか？また松シゲと加護の会がどう繋がっていくのか？続編が待たれるところです。
シ村だけではなく様々なキャラクターの生きざまがこれからも語られていくでしょう。
『死役所』のこれからの展開を楽しみにしたいと思います！
『死役所』シ村に対する読者の反応や評価は？
死役所好き過ぎて何回も読んでるんだけど、自分なら誰に担当して欲しいかなー？とか妄想すんの好き。
フラフラしてシ村さんとお話したいし、嘱託死がいいけど加賀シロさんかぁ…それならハシ本君がいいなー、でも成仏前にハヤシ君と遊びたいなー。等々。
シ役所行きたいなー。— ぱんだ@蜜璃ちゃんやったよ (@pandarfone313) July 2, 2021
死役所、シ村さんの過去話読んでる。シ村さんって生前はわりと受け身の人やったんかなぁ。嫁さん超ゴーイングマイウェイで道決めてく感じやし。
— 阪本かも (@camo_s) June 22, 2021
え、ドラマ死役所のシ村さんてTOKIOの松岡さんだったの知らなかった
髪型違うだけで全然印象違う‼️
でも、確かによく見たらそうだ 笑 pic.twitter.com/hJP9apPj2g— m(・e・)g (@gumi6955) June 15, 2021
また死役所読んでたらシ村の過去の全体がようやく分かって泣きそうになった
— りゅー(本垢) (@tahP0QMAUQYfuk3) June 11, 2021
死役所好きで、単行本しか読んでないけど、シ村を脅迫冤罪に追い込んだ刑事とかって、成仏して天国に行くのかな…
ちょっと納得いかないな…— 水城 (@X2wPII1Hubpp1MF) June 1, 2021
死役所のシ村さんの過去つらすぎる…………
— あらい よねこ💻🎨🍫 (@tukiy088) May 30, 2021
死役所第63条のシ村さんがかっこよすぎる
あんな人と出会えないかなー 目が好き— たぷたぷ🐷 (@kakikaramu_tyo) May 26, 2021
ピッコマで死役所読み直してるんだけど、シ村さんの過去編入ったから辛い
— ちば⭕️虚無 (@251nico1) May 16, 2021
『死役所』ってマンガの一部のシーン
志村さんのこのセリフマジでかっこいい pic.twitter.com/QEAgMLavGi— Shiny Esper (@Drasper18) February 8, 2021