金魚妻2巻無料ネタバレ!漫画タダで読む方法紹介!さくらと卓弥の行く末は?

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『金魚妻』2巻ネタバレ紹介!

5話 頭痛妻

この話の主人公は、タワーマンションの最上階に住む女性。

 

彼女はこの日、とあるテントに来ていました。

 

ここはホームレスのタクゾーが住むテントです。

 

タクゾーは彼女が脱いだ下着を見つめ、彼女の肌に触れました。

 

なぜこんなことになったか、それは今から2カ月ほど前の出来事が発端でした。

 

飼い犬・ぷーちゃんを散歩させていたときのこと。

 

急に走り出したぷーに着いていけず、彼女は思わず手を離してしまいます。

 

やっと追いついた先では、ホームレスらしき男性にぷーにがなついていました。

 

あいさつも早々にぷーをかかえ、その場を離れようとする彼女。

 

しかし「コーヒー、飲んでけ」と言われ、テント内へ招き入れられます。

 

警戒する彼女でしたが、コーヒーを飲むごとに緊張もとれていきました。

 

そして話すうちに、彼女の夫の話に。

 

彼女の夫もコーヒーが好きなこと、ある会社で社長をしていること、彼は忙しく半年も顔を見てないことを話します。

 

ところが、夫の歳を尋ねられても思い出せません。

 

またなれそめを聞かれると、話し始めたそばから軽い頭痛に見舞われます。

 

「何で…そんなに…主人の事を聞くんです…?」額を手で押さえる彼女。

 

彼からの質問は続きますが、徐々に頭の痛みは強いものに。

 

次第に頭がぼんやりし始め、気が付いたときには…彼に体を許していました。

 

事が済んだあと、タクゾーが彼女の頭痛を心配します。

 

病院では、特に異常はないと言われたそうです。

 

結局その日は、日が暮れるまで彼のところにいさせてもらいました。

 

また別の日、彼女は再び、タクゾーのところに来ています。

 

テント内は、ホームレスとは思えないほど設備が充実しており、電気も火もパソコンもあるようです。

 

彼いわく、部屋のものはほぼすべて、マンションの住人が捨てようとしていたものだとのこと。

 

彼女が感心していると、彼はこうなった経緯を話してくれました。

 

彼も以前はタワーマンションに住んでいたが、半年前、妻に追い出されてしまったと。

 

おそらく5年前の浮気を、決着はついたものの許せていなかったのだろうと。

 

寂しそうな背中を、彼女は悲しげに見つめました。

 

こうして彼女は、タクゾーのもとに通うようになったのでした。

 

ある日、脱毛サロンに来ている彼女。

 

施術者の女性と、脱毛サロンに来る人がどういう理由で来るのか話しています。

 

施術者の女性は最初、快適だからでは、と言いますが、不倫している人とかも、と続けました。

 

脱毛サロンに行った翌日、まだ空がほの暗い時間に、彼女はぷーを連れ立って再びタクゾーのもとを訪れます。

 

タクゾーは朝のストレッチをしているようです。

 

今日は仕事で6時に出発、帰りも夜遅くなると言うタクゾー。

 

寂しそうな顔をしたあと、彼女が「寂しい!」と彼に抱きつきました。

 

彼に抱かれながら彼女は思います。

 

夫は大きな会社の社長、このことがバレたら、積み上げてきたもの全てを失ってしまうだろうと。

 

その日の翌朝、息子の春斗(はると)が起床すると、リビングには豪華な朝食が並んでいました。

 

うっかり作り過ぎたとは言っていますが、どう見てもさながらコース料理のよう。

 

朝食を食べながら、ふと春斗が「父さん…今どうしてるかなあ」とつぶやきます。

 

「そうねえ…しばらく会っていないものね」とほほ笑む彼女。

 

そんな彼女に、春斗は「まだ父さんの事怒ってるの?」と問いかけました。

 

ところが彼女は「え?何を?」ときょとんとした顔に。

 

春斗が、あんなに大騒ぎしたのに、と驚きます。

 

実は半年ほど前、夜中に母が「出てけ!あんたなんか知らない!!」と父に花瓶を投げつける騒ぎがあったのです。

 

母は、眠そうに起きてきた春斗に警察を呼ぶように言います。

 

何の騒ぎか分からずにいると、父が「俺はしばらく帰れん!」とあわただしく出かける準備をしていました。

 

「また浮気したの?」と聞くと、今の俺は潔白だと主張します。

 

そして、しばらく母さんを頼んだと言い残し、家を後にしたのでした。

 

春斗は母に、その一部始終を語ります。

 

しかし、母は「あの男はお父さんじゃない」「夜中に目を覚ましたら知らない男が部屋に」などと主張しています。

 

驚きを隠せない春斗ですが、適当に話を合わせ、学校に行く準備を始めました。

 

学校のあと塾に行き、そのまま友達の家に行くと母に伝えます。

 

夜遅くに出歩き過ぎだとあきれる母ですが、おもむろに春斗から「俺…知ってるからね。母さんの秘密」と言われました。

 

ですがその場は涼しい顔で流し、春斗を送り出します。

 

息子が出て行ったあと、その涼しい顔とは裏腹に焦り始める彼女。

 

本棚からアルバムを取り出し、幼き日の息子の写真を前に、もう彼には会うまいと涙ながらに誓います。

 

そして、アルバムのページをもう1枚めくると、ある1枚の写真が目に留まりました。

 

「春斗 父・宅造(たくぞう)の上でねんね」と書かれたコメントの横にある写真、そこにはすやすやと赤ん坊の春斗と、タクゾーの姿が。

 

写真を見ながら、なんで息子の隣にタクゾーさんが映っているのかと疑問を持ちます。

 

一方その日の夕方、春斗は例のテント―宅造のテントに来ていました。

 

「コーヒー飲むか?」と父から提案される春斗。

 

そう、春斗とタクゾーは実の親子だったのです。

 

たわいのない話をしながら、母が実の夫を思い出せない理由を分析しています。

 

2人ともてっきり、昔の浮気を許せなくて閉め出したのだと思い込んでいましたが、実際は記憶障害で夫の顔だけを忘れている、とのこと。

 

脳に異常はないため、思い出すのを待つしかないと状況ですが、宅造はここでの生活も気に入っているようです。

 

その頃、当の彼女はと言うと、再び頭痛に悩まされているのでした。

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6話 芳香妻

ある寒い日の繁華街、1人の青年―融(とおる)がタクシーに押し込められています。

 

どうやらこれから二次会のようです。

 

同じタクシーには、同じ会社に勤めている女性―薫(かおる)も乗っていました。

 

彼はタクシーが出発するやいなや、東京にいる彼女からもう会えないと言われたと泣き上戸になっています。

 

一次会では、そのことを社内のおじさん達にいじられていました。

 

しつこくいじられるから二次会に行きたくないと嘆く融。

 

「大変ね」と薫が同情したように言います。

 

社内でお酒をたくさん飲める若い社員は彼だけしかいないようです。

 

「あ、わかります?悩みなさそうって言われますけど、結構大変なんすよ」

 

ぼやく彼ですが、愚痴を言う相手選びに余念がないことは薫にはばれていました。

 

そんなとりとめのない雑談をしている中、彼女が二次会には来れないことが発覚。

 

途端に融が、じゃあ俺も帰ると駄々をこね始めます。

 

ちょうどそのとき、彼のスマホに電話がかかってきました。

 

あまりにも涙目で懇願してくるので、薫が代わりに出て「融くんが気分が悪くなった」と伝えます。

 

願ってもない助け舟に喜ぶ融ですが、すぐさま吐き気を催し、袋に吐いてしまいます。

 

本当に気分が悪そうだったので、その場で下ろしてもらうことに。

 

しばらく歩くと融の住むアパートに到着。

 

が、どうやらつい先ほどまで光熱費を滞納していたようで、電気ひとつ点きません。

 

融は調子よく、「まあまあ!お茶でも飲んでいってくださいよ!」と上機嫌な様子です。

 

「明日は朝早いのよ」と一蹴しようとする薫。

 

しかし、真っ暗な中1人は怖いようで再び駄々をこねます。

 

まあいいか、と仕方なく彼女はお茶を飲んでいくことに。

 

ここで融が彼女の年齢に言及し、彼女は45歳であることが判明。

 

友達の親と同い年か…と感心する彼に、「融くんのお母さんはいくつ?」と尋ねます。

 

「それが、わかんないんすよね」彼いわく、幼い頃、母親は浮気をして出て行ったとのだという。

 

そんなとき、友達の母ちゃんが良くしてくれたと。

 

「わかるかも、融くんって放っておけないオーラ出てる」

 

彼女の言葉に融は、モテちゃうと困ると言いながらもしたり顔です。

 

その点、彼女は結婚してる上幸せそうだから安心して話せると、屈託のない笑顔を見せます。

 

ふとテーブルに目をやると、エッセンシャルオイルがたくさん置いてあるスペースがありました。

 

彼女の趣味かと思いきや、なんとそれは融の趣味とのこと。

 

その上、1本2万もするローズの精油まで購入しているというからおどろきも一入(ひとしお)です。

 

薫が、彼がアロマを趣味にしている理由を尋ねます。

 

「俺…作りたい香りがあるんですよ」

 

彼が先ほど話していた、友達の母親の匂い―それを作りたいのだと。

 

融の友人・伊紀(よしのり)の母親は、子供の頃から融を実の子のように扱ってくれていました。

 

ダメなことをしたら容赦なく叱り、彼にとってはそれがすごく嬉しかったのでした。

 

そんな彼女から、融はどことなくいい香りがするのを感じていました。

 

そして話を聞くうちに、タクシーで話していた「彼女」が伊紀の母・アキであることがわかります。

 

実のところを言うと、彼が一方的に好意を寄せているだけなのだと。

 

だからこれまでは、はぐらかされたり距離を置かれても気に留めていなかったのですが―。

 

「乳がんなんです、彼女」

 

若くて健康な子と付き合いなさいと、お金ももう送ってくるなと、そう言われているようです。

 

彼女の治療費は高額のため、融は定期的にお金を送っていたのでした。

 

「…相談しなさいよね」そう言うと、今からすると返ってきました。

 

薫はとっさに、お金を貸してほしいという相談だと考えます。

 

ですが、彼の口から出たのは「薫さんの匂いを嗅がせてください」という突拍子もない言葉でした。

 

「なんで?」理由を尋ねる薫。

 

「似てるんです。元気だった頃の彼女の匂いに、消毒されていない本物の匂いに」

 

その言葉に、切実な思いを感じたのか、薫は彼の願いを受け入れます。

 

暗闇の中正面に向き合い、そっと目を閉じ、彼女の匂いに意識を向ける融。

 

しかし、自分の体臭と、飲み会のタバコの臭いとで集中できないようです。

 

今日はだめかと思い、また来てくれないかとお願いします。

 

ただ、彼女は人妻です、それは無理だと断られてしまいました。

 

すると何を思ったのか融は、「もっと近くで嗅いでいいですか?」と言いました。

 

彼女は違和感なくそれを受け入れます。

 

彼のベッドの上で抱きしめられながら、薫はアキの話を聞きました。

 

そして彼女というのは嘘だと、自分が一方的に気持ちをぶつけて、彼女は仕方なく受け止めているだけなのだと告白されます。

 

「…切ないね」そうこぼしたが最後、薫は彼と一夜をともにします。

 

話を鵜呑み(うのみ)にしてはいけないという警戒心と、私と寝るだめだけにここまでの作り話をするのかという葛藤、両方が彼女の中を駆け巡っていました。

 

事が済んだあと、薫は「自分が彼女だったら、もう来ないでって言っちゃうかも」とつぶやきます。

 

融は若くて魅力的だからこそ、捨てられる前に別れた方がキレイだし傷付かないと。

 

彼女も同じ事を言っていたと言う融。

 

「幸せか不幸かは世間が決めるものなんだから」薫のそんな言葉に、彼は自分は友人の母親に欲情する奴だと言いました。

 

それから数カ月間、何度か呼び出されることがあっただけで、彼は東京に赴任していきました。

 

季節は過ぎ、春先頃、融はアキの病室を訪れていました。

 

友人の伊紀は彼女とデートのとのことで不在です。

 

寂しげに、胸も髪もなくなってしまったとこぼすアキ。

 

「あってもなくてもどっちでも良いよ、俺は」融はそう言いながら、おもむろに花瓶の横に視線を向けました。

 

そこには以前、融が彼女にあげた香水が。

 

見るからに、まったく使われていないようです。

 

それを指摘するとアキは、それは融の匂いだと、香りはするのに姿が見えないなんて、とうつむきました。

 

その姿に、融自身もそうだと気付かされます。

 

今度はアキが、融の持っている香水を指摘します。

 

それが自分の香りの香水だと知った彼女は「相変わらずバカだねぇ、この子は…」とあきれ顔。

 

その話し方がおばさんっぽいと言う融。

 

アキが「おばさんだよ!さっさと若い娘連れてきな!」とあおります。

 

ところが彼は「熟女専になったのはアキちゃんのせいだから責任とって!」と言い出しました。

 

彼の発言に「責任?」と問い返すアキ。

 

ふと融の方を見ると―「死なないで…」そう一筋涙をこぼしました。

 

アキはその後、根負けして融と2人で暮らし始めました。

 

それからしばらくたったある日の事、薫は夫、娘と一緒に買い物に来ています。

 

たわいない雑談を交わしていた彼女ですが、ふとすれ違った男女の匂いに、彼のことを思い出すのでした。

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7話 園芸妻

実家で兄一家と同居する史久(ふみひさ)は、義理の姉である花純(かすみ)に何やら注意を受けています。

 

彼女は兄の妻です。

 

母が数年前に他界してからというもの、実家の主導権は彼女が握っています。

 

そのとき、元気な足音とともに、花純の娘・紀里(きり)が史久に飛びついてきました。

 

「おじちゃんおはよー!」

 

紀里は史久にとてもなついており、また史久も彼女を溺愛しているようです。

 

幼稚園を休んでおじちゃんと遊びたい、と言う紀里を目一杯甘やかしています。

 

そんなとても和やかな空気の中、ふいに彼はやってきました。

 

「おい、さっさと連れてけ」花純の夫・一久(かずひさ)です。

 

背中には大きな般若の入れ墨があり、顔立ちは整っていますが、にらみつけるような形相をしています。

 

「俺の飯は?」と聞いてくる一久をいなし、紀里を幼稚園に連れて行こうとする花純。

 

ところが彼は、おもむろに紀里の服を引っつかんだかと思うと、お前がやれと史久に命じました。

 

紀里と2人、外に締め出された史久は、紀里に道案内されながら幼稚園に向かいます。

 

その道中、紀里をよく見かけているらしい女性とすれ違います。

 

「あら、紀里ちゃん。今日はパパと?」彼女はそう言って笑いかけてきました。

 

嬉しさを感じたものの、訂正しようとする史久。

 

しかし彼女は「わたし、あいつキライ!おじちゃんがパパになって!」と言いました。

 

表情は見えませんが冗談で言っている訳ではなさそうです。

 

昔は優しかったんだよ、と言いながら史久は幼い日のことを思い出します。

 

幼い頃、一久はとても優しい兄でした。

 

ただ彼らの父親は、家族を蔑ろ(ないがしろ)にする過激な活動家で。

 

ある日、一久が父に反抗したのをきっかけに、泥酔した父に酒瓶で頭を割られてしまいます。

 

それからというもの、彼の性格は一変。

 

母はと言うと園芸に癒やしを求め始め、間もなくして父は姿を消したのでした。

 

その頃家では、花純が一久に朝食を出しています。

 

一久はというと朝食を食べながら、リナという女性と遊ぶ約束を取り付けているようです。

 

彼が食事をする間、花純は庭の手入れを始めました。

 

彼女の脳裏には、義母である一久たちの母から打ち明け話をされたときのことがよぎっています。

 

無心に雑草をちぎっていると、背後から一久に呼ばれました。

 

彼のもとへ行くや否や、彼の口から再び命令が下されます。

 

「なんだその恰好。脱げ、全部」

 

史久が帰ってくるからと断ろうとする花純。

 

彼は、久しぶりだから妻の裸が見たいんだと白々しく突っぱねます。

 

夜がいいと断ろうとするも、子どもや史久の前で見せるかと脅迫。

 

彼女は嫌悪感をにじませながら服を脱ぎ捨てました。

 

一久は普段は家にいませんが、時々帰ってきます。

 

何をしに帰ってくるのか―それは、史久と花純で遊ぶためです。

 

ちょうど史久が幼稚園から帰宅したとき、一久は彼から見えるように彼女を愛撫して見せました。

 

そして史久は、そうやって遊ばれていることに気付いていました。

 

すぐさま家を離れようとする史久。

 

しかし、彼からは見えているので、すぐさま呼び寄せられてしまいます。

 

史久は額に汗をにじませますが、次の瞬間、一久の口から驚愕の一言が。

 

なんと、今性器がないからお前が挿れろと言うのです。

 

さらには「レイプして捨てた女の家族に切られた」と続けました。

 

あまりにも 悪辣(あくらつ)な行為に、史久も花純も言葉を失います。

 

にも関わらず、「仕事だから仕方ない」と、「動画を撮って売ると売れる」と悪びれもせず、開き直っています。

 

その上、史久が花純のことを好きだとわかってやっているのです。

 

わかってて史久に、やれと命令しているのです。

 

史久が花純を知ったのは、ホームセンターの園芸コーナーでした。

 

当時、彼女はそこで園芸コーナーを担当しており、史久はひそかに思いを寄せていました。

 

ところが、彼女はすでに一久に目を付けられていました。

 

ある日一久が、花純を彼女だと言って連れてきたのです。

 

しかもそのお腹は…優に妊娠半年はたっているようでした。

 

史久は彼を呼び出し、彼女に何をしたのかと問い詰めます。

 

最初は、付き合って子供ができただけだと言い張る彼。

 

しかし問い詰めるうちに、偽りの姿で彼女に近づき、彼女が逃げられなくなるまで騙していたことが発覚します。

 

子供が無事に生まれたあと、母から「花純ちゃんが史久さんがいてくれると助かるって」と相談を持ち掛けられます。

 

どうやら一久はまったく家に寄り付かないようです。

 

紀里がかわいくて仕方ない彼は嬉しそうな様子。

 

そしてふと庭に目をやり、スズランがなくなっていることに気が付きました。

 

母に理由を尋ねると、猛毒だからうっかり口に入れないよう取り除いたと言います。

 

その他にも、彼女が手入れをしている他の花々にも毒があることが判明。

 

奥にあるから大丈夫とのことですが、心配な史久は図鑑を取りに2階へ上がりました。

 

本棚がある部屋に入ると、花純が1枚の写真を眺めていました。

 

それは、一久が彼女に近づくずっと前に、彼女に恋をした史久が撮った写真でした。

 

園芸コーナーで働いている花純の姿が写されています。

 

「勝手に見てごめんなさい」と謝る花純に対し、気持ち悪かったのではと謝罪する史久。

 

しかし彼女は気持ち悪がるどころか、持っていてくださいと言いました。

 

「私が、一番きれいだった頃の写真ですから」と。

 

今でも綺麗だと返しますが、寂しげに笑うばかりです。

 

そんな彼女を史久はそっと抱きしめ、「なぜ植物は毒を作るんですか?」と問いかけます。

 

「一度根を下ろした場所から、動くことができないから」そのこたえはまるで、自身に重ねているかのようでした。

 

場面は現在に戻り、一久に逆らうことができない2人は、言われるがまま体を重ねています。

 

史久が機嫌を損ねると怒りは花純に向かい、花純が機嫌を損ねると紀里に向かう―2人は、彼の言いなりになるしかなかったのです。

 

するとふいに、花純が史久の耳にささやきました。

 

「一久の食事に…花を…入れました」

 

それは、庭の奥で下向きに咲いている花―史久の母が夫に使った花です。

 

史久の母は生前、花純にこんな告白をしていました。

 

「どうしても許せなくてね、私にできる殺し方をずっと考えてたの」

 

そしてある日、彼女は夫の食事に、味噌炒めにその白い花を混ぜたのです。

 

そうとも知らない夫はすべてたいらげました。

 

嫌われ者だったので、彼の死後も、誰一人探しに来なかったと言います。

 

それを一久の食事に混ぜた、それが意味するものはたった一つ。

 

2人の背後で彼はとうに、息絶えていました。

 

史久と花純は、庭に穴を掘り、上から土をかぶせていきます。

 

その後2人は、西洋で魔除けと信じられていた金魚草を、死体の上に植えました。

 

金魚草に毒はありません。

 

そしてこの花は、さやに3つの穴をあけて種を拡散させます。

 

しかし、その姿はまるで―。

 

3人の子供たちが金魚草を見て「こわいね~!」と言いました。

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8話 金魚妻2

店長の豊田が金魚の人工授精をしています。

 

自然に任せると、オスがメスをケガさせてしまうそうです。

 

近くには、自然に任せた結果ケガをしてしまい、トリートメント中のメスが泳ぐ水槽がありました。

 

その夜、さくらは彼に、明日1日お休みをもらってもいいか確認します。

 

帰りの時間を気にする彼女に、豊田は「時間なんて気にしなくていい、好きなところに行きなさい」と言いました。

 

数日前、彼女の夫が店にさくらを探しに来ました。

 

そして彼は、飼育難易度の高い、さくらピンポンパールを買って帰ったのです。

 

ただ自宅には、小さな金魚鉢しかありません。

 

金魚は水を汚す上、急激な温度差も命取りになる魚です。

 

さくらは金魚を案じながら、夫の卓弥と知り合った頃を思い出しました。

 

知り合ってすぐに彼は、さくらを気に入ってくれました。

 

しかし結婚後、彼女の生活は一変。

 

ある日は、家事が不十分だととがめられ、共働きなのに、お互いに忙しいと言うのはおかしい、さくらは正社員じゃないんだから、と突っぱねられました。

 

彼女は、家事と仕事を両立させようと無理をします。

 

その結果生理が来なくなるのですが、卓弥は「どうすんの?」と責め立てるばかりです。

 

それだけならまだしも、仕事をやめると伝えると見下すようにこう言いました。

 

「ほらな?最初から専業主婦やってりゃよかったんだ」

 

さらにはある日、電話で「子供ができないと思ったら…すげー時間の無駄だった」と話しているのを聞いてしまいます。

 

行き場を失った彼女の心は、気が付くと金魚屋に向いていたのでした。

 

そんな具合に彼のことを考えていたせいか、「卓ちゃん…」とつぶやくさくら。

 

豊田は「旦那さんが気になるなら行ってもいいんだよ」と言ってくれました。

 

その頃卓弥は、金魚の世話がうまくいかず、弱った金魚を売りつけられたと逆上しています。

 

そして当たり散らすように、低評価の口コミを投稿しますが、常連の書き込みに返り討ちにあってしまいました。

 

しかし頭に血が上っているのか、店の評判を下げてやろうと躍起になる卓弥。

 

そこへさくらが帰宅、急いで金魚をトリートメントします。

 

なぜ塩水に入れるのか問い詰める彼に、さくらはトリートメントの仕方や、詳しい金魚の飼い方を丁寧に教えました。

 

そんな彼女を、卓弥は「よかった無事で…」と抱きしめます。

 

ところが次の瞬間、パン!と彼女の頬をはたいたのです。

 

「これは黙っていなくなった分」表情一つ変えず、そう言い放つ卓弥。

 

その言葉にさくらは、浮気相手と何かあったのだと悟りました。

 

「あの子に振られたの?」そう言う彼女の顔面に拳が振り下ろされます。

 

「生意気な口を利くな、そんな手間かけられるか」

 

彼の言葉から、いなくなっていたさくらへの心配など微じんも感じられません。

 

「卓ちゃんのやり方じゃ、金魚は腐った水の中でもがき苦しんで死んじゃうよ!」卓弥をにらみつけるさくら。

 

彼はさらに振りかぶり、彼女を殴りつけました。

 

その頃金魚屋では、自然に任せた交尾の試行が行われていました。

 

オスの金魚がメスの金魚に激しく体当たりをしています。

 

常連のおじさんが「このオス乱暴者だな、コリャやさしくせんか!」と言っています。

 

彼から見てもこのオスの金魚は、当たりがきついようです。

 

「どうする?とっちゃん」という問いかけに、豊田が彼らを引き離す決断をしました。

 

そしてさくらも同様、卓弥から執拗な暴行を受け、彼の元を脱します。

 

戻ってきた、痛々しい姿の彼女に駆け寄る豊田。

 

「ダメだった?」

 

「ダメでした…」その答えで、豊田はすべてを悟りました。

 

ピンポンパールはさくらの両親が引き取ったようです。

 

飛び跳ねてきた金魚に、常連の男性が「ここの金魚は元気だなあ」と言いました。

 

それからしばらくして、卓弥はさくらの実家で離婚届を書かされていました。

 

向かいにはさくらの両親が並んで構えています。

 

彼女の居場所を気にする卓弥に、それは言えないと突っぱねる父。

 

言えない理由、それは彼女から両親に送られてきた動画にありました。

 

「恥ずかしかったでしょうね…自分が夫に愛されていないという証拠を残すなんて…」

 

母の言葉どおり、彼女は部屋にカメラを仕掛け、暴行の一部始終を撮影していたのです。

 

父が、若いのに子供を欲しいだなんて感心したんだけどね、とつぶやきます。

 

「言いなりになる家来はたくさんいた方がいいものね!」ぴしゃりと言い放つ母。

 

なぜ結婚前に気付かないのかとため息をつき、父が、付き合ってる時は隠すのだと言いました。

 

「そうか!だからすぐに結婚したのね?本性隠すの疲れるものね!」

 

厳しい言葉を突き付ける母に、卓弥が「なんと詫びたら…」とうつむきます。

 

するとさくらの両親は「あの子は平気だよ、たくましいから!」と返しました。

 

その頃、さくらは金魚屋にいました。

 

彼女は今回の事があるずっと前から、彼の口座からコツコツとお金を移していたのでした。

 

豊田は金魚の人工授精をしています。

 

「さくらさんのケガは?」彼がケガの具合を案じます。

 

でもさくらはすっかり平気なようで、ゆくゆくは彼と一緒になる話をしていました。

9話 弁当妻その後

保ヶ辺の妻・朔子はその後、実家ではなく、津多のところに転がり込んでいました。

 

夫であった保ヶ辺とは、離婚に向けた話し合いを進めているようです。

 

津多は保ヶ辺に殴られはしましたが、離婚には同意してもらえています。

 

はじめは、ほとぼりが冷めたら彼女とは別れるつもりでした。

 

しかし彼女を知れば知るほど、離れられなくなってしまったのです。

 

津多がベッドの前にカメラをセットしています。

 

そう、保ヶ辺は離婚するにあたり、彼らに条件を出したのでした。

 

その条件とは、津多と朔子の、行為中の映像を撮影して送ること。

 

2人はその条件に従い、映像を撮影しました。

 

そして、津多は朔子を大事にすると誓います。

 

一方の保ヶ辺はというと、映像を見終えたあと、金魚屋に向かいました。

 

これからの出会いに期待しながら。

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