コウノドリ白川先生は辞める？戻ってくる？医療ミスや下屋との関係は恋愛？

漫画『コウノドリ』は、2012年から『モーニング』で連載され、2020年に完結した人気医療漫画です。

2016年には第40回講談社漫画賞・一般部門を受賞し、2015年には綾野剛主演で実写ドラマ化もされています。

物語の舞台は、聖ペルソナ総合医療センター。

主人公の鴻鳥サクラ（こうのとり さくら）は、産科医でありながら人気のジャズピアニスト「ベイビー」であるという異色の経歴をもつ医師です。

彼を中心に、妊婦やその家族、そして赤ちゃんを取り巻く医療の現場が丁寧に描かれています。

そんな聖ペルソナ総合医療センターのNICUで働く新生児科医・白川（しらかわ）先生。

自信家で歯に衣着せぬ発言が目立つ一方、ある症例をきっかけに自身の未熟さと向き合い、大きな決断を下します。

この記事では、白川先生の人物像や問題となったエピソード、ペルソナを離れた理由やその後、最終回での描写までを分かりやすく解説していきます。

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NICUの白川先生はどんな人？

白川先生は、聖ペルソナ総合医療センターのNICUに勤務する新生児科医です。

産科医の下屋（しもや）先生とは同期で、物語ではトラック16から登場します。

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父親が小児科医で、実家も小児科医院という医師一家に育ち、幼い頃から医療が身近な環境で過ごしてきました。

白川先生は登場早々、下屋先生に対して「お前デブったな！相変わらず一人焼肉とかしてんだろ！」と、遠慮のない失礼な発言を繰り出します。

同期という間柄もあってか言動はかなりフランクで、少々自信過剰なところがあり、他科の医師に対しても生意気な口をきく場面が目立ちます。

初登場回では、双子の妊婦が2組同時に入院・出産するという緊迫した状況が描かれます。

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その中で、赤ちゃんの心拍が低下し緊急帝王切開となった双子の妊婦が、「私はどうなってもいいから赤ちゃんを助けて！」と必死に訴えた際、白川先生は思わず「大袈裟だな」と失言してしまいます。

この言葉に対し、産科の四宮（しのみや）先生は無言で白川先生の足を踏み、その発言を厳しく咎めました。

さらにそのあと鴻鳥先生から「赤ちゃんの両親はみんな、自分の命よりも大切な命を僕らに預けるんだよ。大袈裟に心配して何がおかしい？」と諭され、白川先生は自分の発言の重さと、母親たちの本当の気持ちに気づかされます。

実はこの失言の背景には、白川先生なりの葛藤がありました。

NICUは、1000gにも満たない、状態が安定しない予後不良の赤ちゃんと日々向き合っています。

そんな現場に身を置いているからこそ、赤ちゃんが元気な状態にもかかわらず、自分の子どもだけを過剰に心配する親の姿に、苛立ちを覚えるようになっていたのです。

この出来事を通して、自分は新生児科医に向いていないのではないかと悩みながらも、言葉を話せないNICUの赤ちゃんたちの“声”を聞いてあげられる存在でありたいと考え、これからもNICUで尽力していく決意を固めます。

少し生意気で自信過剰な一面はありますが、1人でも多くの小さな命を救おうと全力で向き合う、熱く誠実な先生。

それが、NICUの白川先生です。

白川先生と下屋先生はどんな関係？恋愛要素はある？

白川先生と下屋先生は、同じ時期に医師となった同期の関係で、物語の中で恋愛関係に発展することはありません。

あくまで仕事仲間であり、互いをよく理解している存在です。

2人は同じ周産期センターで勤務しているため顔を合わせる機会も多く、何気ない会話を交わしたり、仕事の悩みを打ち明け合ったりする場面がたびたび描かれています。

忙しい現場の中で、自然と距離の近い関係性が築かれていることがわかります。

白川先生は下屋先生に対して、思ったことをそのまま口にする歯に衣着せぬ発言が多く、時には失礼に感じる言動も見られます。

しかし、それは気を許している相手だからこそできる振る舞いであり、2人の仲の良さを表しているともいえるでしょう。

恋愛対象として意識し合う描写はなく、2人の関係性は男女の枠を超えたものです。

同じ現場で命と向き合い、ともに悩み、ともに支え合う白川先生と下屋先生は、恋ではなく「共に闘う戦友」のような関係として描かれています。

白川先生が医療ミス？看護師の指摘を聞かず赤ちゃんを危険に！？

この出来事が描かれるのは、19巻収録のトラック54「NICU part2」です。

物語の冒頭、白川先生は自身の蘇生対応が早かったことを下屋先生に自慢げに語ります。

さらに、学会や研究会に参加するたびに「ペルソナのNICUは遅れている」と感じることが増えたとも明かしました。

もっと最先端の医療に携わりたい、手技もさらに磨きたい―――「オレが目指すのはワンランク上の新生児科医だ」そう語る白川先生の姿からは、強い向上心と自信がうかがえます。

そんな中、38週の妊婦・風間（かざま）さんの分娩が進まず、赤ちゃんの心拍が低下しているため吸引分娩になるとの連絡が入ります。

分娩に合流した白川先生でしたが、生まれてきた赤ちゃんは青白く、産声も上げない新生児仮死の状態でした。

すぐに挿管され、赤ちゃんはNICUへ搬送されます。

この風間さんの赤ちゃんを担当することになった白川先生は、両親に対し「出生直前に低酸素状態となり、そのストレスで肺の状態が悪化し、体に必要な酸素が行き渡らない新生児遷延性（せんえんせい）肺高血圧症です。」と説明します。

そして、十分な酸素投与と一酸化窒素吸入で肺血管を拡張する治療を行い、「順調にいけば2〜3日で元気になる」と伝えました。

実際、生まれた直後は80％だった酸素飽和度も、治療開始後は90〜92％まで改善します。

健康な赤ちゃんなら99％近い数値ですが、まだ肺で酸素を十分に取り込めていない状態のため、このまま治療を継続して経過を見る方針となりました。

しかし、その様子を見ていた看護師は違和感を覚えます。

通常であれば治療開始後すぐに効果が現れるはずなのに、風間さんの赤ちゃんは反応が弱かったのです。

その日の夜、同じ新生児科医の工藤（くどう）先生も「白川先生、この子本当に遷延性肺高血圧症なのかな？」と疑問を投げかけます。

さらに看護師も、「他の病気を疑ってもいいかもしれません。今橋（いまはし）先生に相談しても…」と訴えますが、白川先生は「オレ1人で大丈夫。こういう流れは前にも経験してる。徐々によくなっていく。」と、その助言を退けてしまいます。

翌朝、赤ちゃんのレントゲンを確認すると、肺は真っ白。

呼吸窮迫症候群（こきゅうきゅうはくしょうこうぐん）を起こしていました。

呼吸窮迫症候群とは、肺胞を覆う物質が不足し、肺胞がうまく膨らまないことで起こる呼吸疾患です。

白川先生が薬の投与を行おうとしたその時、今橋先生に止められ、まずエコー検査を行うよう促されます。

エコーの結果、驚きの事実が判明します。

一見すると遷延性肺高血圧症にも見えるものの、よく観察すると肝臓の中に肺静脈の血流が流れ込んでいたのです。

実は、風間さんの赤ちゃんは肺の病気ではなく、先天的に肺静脈の走行に異常がある「総肺静脈還流異常症（そうはいじょうみやくかんりゅういじょうしょう）」という心臓の奇形を抱えていました。

早急な手術が必要となり、講談大学附属病院へ搬送されることになります。

その事実を風間さん夫婦に説明すると、「この3日間やっていた治療は効果がなかったんですか？それって医療ミスですよね？」と、厳しい言葉を向けられてしまいます。

今回の診断は、新生児科医でも判断が非常に難しいケースであり、医療ミスとは言い切れません。

今橋先生も白川先生を責めるつもりはないと伝えます。

しかし一方で、NICUスタッフの助言を軽視し、独断で判断を続けた点については「明らかに実力を過信していた」と厳しく指摘します。

風間さんの赤ちゃんを講談医大（こうだんいだい）へ搬送した後、白川先生はペルソナへ戻る途中、ある小児クリニックで、かつてペルソナをバーンアウトした新生児科医・新井（あらい）先生と再会します。

そこで新井先生から励まされ、実は自分も過去に同じような経験をしたと打ち明けられます。

「一酸化窒素を3日引っ張って、間違って投薬までして、大学病院には散々嫌味を言われた。その時は悔しくて、小児循環器科医になってどんな赤ちゃんでも救ってやるって思った」

この新井先生の言葉は、白川先生がこれからどんな医師を目指すのか、自身の進む道を改めて考える大きなきっかけとなったのでした。

白川先生がペルソナを辞める！？その後はどうなる？

風間さんの赤ちゃんの一件から2週間が経っても、白川先生はどこか元気がありませんでした。

いつもなら自慢話をしたり、下屋先生をからかったりと饒舌な白川先生ですが、この頃は一緒にいても何かを考え込んでいる様子で、ほとんど口を開かなくなっていました。

その変化に、周囲も「何かあったのでは」と心配するほどです。

そんなある日、昼食を取るため屋上を訪れた下屋先生は、白川先生と鉢合わせします。

そこで白川先生の口から飛び出したのは、思いもよらない言葉でした。

「オレ、ペルソナ辞めるわ」

白川先生は、新生児科医としてさらに成長するため、大学病院へ戻り小児循環器科で研修を受ける決断をしたのです。

小児循環器科は、赤ちゃんや子どもの先天性心疾患や不整脈、心臓・血管の病気を専門に診断し、生活指導を含めた内科的治療を行う分野。

まさに命の根幹に関わる専門領域です。

「小児循環器をちゃんと勉強して、複雑な先天性心疾患を診られるようになれば、生まれてすぐの心臓病も自分で診断して治療できる」そう語る白川先生の言葉からは、風間さんの赤ちゃんの経験が、彼の中で大きな転機になったことが伝わってきます。

「どんなに小さな命にも、今よりもっといい未来を届けたい」――その強い思いが、ペルソナを離れる決断へとつながりました。

こうして白川先生は、新生児科医としてさらに成長するため、聖ペルソナ総合病院を去ることになります。

その後は大学病院で小児循環器科の研修医として働きながら、並行して小さな小児クリニックでアルバイトをする日々を送っています。

さらに、そのクリニックに併設された医療的ケアが必要な子どもを預かるデイサービスにも、時折顔を出しているようです。

NICUを離れ、循環器科や在宅医療の現実を知ることで、白川先生は医師として、そして人として、さらに成長していきます。

白川先生はペルソナに戻ってくるの？

結論から言うと、白川先生は聖ペルソナ総合医療センターに戻ってきます。

大学病院で小児循環器科の研修を積む中で、白川先生は「新生児科医として戻るのか」「小児循環器科医として進むのか」という進路に迷っていました。

そんな折、かつてペルソナをバーンアウトで離れていた新井先生が、再びペルソナのNICUに戻ってくる姿を目の当たりにします。

その姿に背中を押されるように、白川先生は「オレだってNICUに戻りますからね！」と力強く宣言します。

この言葉からは、NICUで赤ちゃんたちと向き合う覚悟が固まったことが伝わってきます。

その後、白川先生がペルソナへ復帰するまでの過程が詳しく描かれるエピソードはありません。

しかし、『コウノドリ』の最終話では、ペルソナのNICUで働く白川先生の姿がしっかりと描かれています。

このことから、白川先生は再びペルソナに戻り、新生児科医としてNICUの現場に復帰したことがわかります。

迷い、挫折し、それでも学び続けた末に選んだのがNICUでした。

白川先生は経験を糧に、より強く、より冷静に小さな命と向き合える医師へと変わっていきます。