惨すぎる内容・救いの無い結末から“鬱漫画”としてその名を知らしめ、2018年には実写映画化にもなった押切蓮介によるミステリーサイコホラー漫画『ミスミソウ』。
次々と繰り出される予想外の展開や残酷ながらもどこか儚く美しいその描写は多くの人を惹きつけ、『怖いのについ読んでしまう漫画』としても話題となった作品です。
今回はそんな『ミスミソウ』で登場する物語の重要人物『佐山流美(さやまるみ)』について、人物像やその他の登場人物との関係、その結末などネタバレを含みながらご紹介していこうと思います!
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佐山流美とはどんな人物?性格は頭おかしいクズ?あらすじ紹介!
≪漫画『ミスミソウ』のあらすじ≫
東京から過疎化の進む田舎町・大津馬村に引っ越し、廃校寸前の中学校へと転校してきた主人公・野咲春花(のさきはるか)は、彼女の存在を快く思わないクラスメイト達からいじめを受ける日々を過ごしていました。
クラスのリーダー的存在の少女・小黒妙子(おぐろたえこ)を筆頭に繰り返される彼女へのいじめは日々エスカレート…クラスの担任ですらも見ないフリを続ける中、春花の味方をしてくれるのは彼女と同じく転校してきた過去を持つ少年・相場晄(あいばみつる)ただ1人だけ。
春花はそんな辛い境遇の中でも共に暮らす両親や妹に心配を掛けまいといじめの事実をひた隠し、卒業までの僅か数か月をどうにか乗り越えようと耐え忍びますが、彼女が家を留守にしたある日家は火事に見舞われる事態に…。
火事により両親は死亡、奇跡的に救出された妹も瀕死の重体…そんな悲惨な状況に絶望する春花でしたが、これがクラスメイト達による『放火』だったと知ったのを機に様子は一変。
大切な両親を殺し、最愛の妹をも死の淵へと追いやったクラスメイト全員への復讐を心に決めた春花の悲しくも残酷な復讐劇が幕を開けるのでした。
ミスミソウの春花のこの顔は無理っぽいけど
なんとなく春花さんで思い描くと
齋藤飛鳥さんかなぁて
このシーンとかどうなんかなって話ですけど pic.twitter.com/TRUHat8rQ1— てつたみんぎゃんぶらー、趣味、日常呟き@忍者マストダイ (@te_te_tetsu) August 18, 2017
≪物語の重要人物?佐山流美とは≫
主人公・野咲春花と同じ中学に通うクラスメイトの少女。
容姿はあまり優れておらず、さらに陰気で卑屈な性格をしているためクラスでは嫌われている存在です。
比較的大人しいタイプの人間ではありますが、ひとたび窮地に追いやられると見境がなくなり、自らの保身の為ならばどんな卑劣な行為も厭わないとう危険な一面も持ち合わせています。
一緒に暮らしている母親との親子関係は良好で、流美にとっては唯一の味方であり心の支え。
しかし物語が進むにつれて彼女は母親にも言えない闇を抱えてしまうのでした…。
小黒妙子は佐山流美が嫌い?それぞれの人物との関係は?
≪佐山流美は元々いじめられる側だった!?≫
小黒妙子率いる『いじめグループ』の一員として登場している流美ですが、実は春花がいじめの標的となる以前は流美の方がいじめの標的とされていました。
これといってやる事もなく特別楽しい事も無い田舎の中学では、陰気で卑屈な流美の存在はいじめの対象として適任だったのです。
自分をいじめてくるクラスメイト達を卑下にして嫌っている一方、そのグループの中心である小黒妙子には異常なまでの憧憬と崇拝心を秘めているのですが、妙子本人にその内情は完全にバレており、媚びるように付き纏う流美を妙子が毛嫌いした事が彼女のいじめられる原因の一つでもあるのでした。
春花がいじめの標的となった事で対象からは逃れ、逆にいじめる側へと身を翻す事に成功した流美でしたが、その立場はいつ元に戻ってもおかしくないというあまりに脆いものであり、流美自身もそれを重々自覚しているのでした。
≪小黒妙子に認められるため!?野咲春花をいじめる理由≫
自身が憧憬し崇拝する妙子に少しでも気に入られようと日々彼女のご機嫌取りに勤しみ、彼女からの暴言・暴力も受け入れてきた流美でしたが、妙子にとってはどれも逆効果で一向に彼女に認めて貰えるような事は無く、野咲春花という新たないじめの標的が現れてからもその関係に変わりはありませんでした。
そんなある日、いじめの標的であった春花が休学を決め学校へ来なくなったのを機に、再びクラス内でのいじめの対象は流美へと逆戻りしてしまいます。
妙子からいじめの標的から逃れたければ春花を学校に呼び戻すよう告げられた流美は、いじめの対象から逃れる為、そして妙子の期待に応える為に春花の元へ“お見舞い”と称して訪れ、学校に戻ってくるよう説得を試みます。
しかし春花はこれをあっさりと断ってしまい、連れ戻す事が出来なかった流美は妙子の怒りを買う結果に…流美は罰として妙子を真似て伸ばしていた長い髪を、皮肉にも妙子本人の手によりハサミで乱雑に切られてしまうのでした。
そんな仕打ちを受けながらも妙子を崇拝している流美は怒りの矛先を彼女には向けず、こうなったのは全て春花のせいだと逆恨みするようになってしまい、妙子から『あの女をどう思ってる?』という質問に対しても『死んで欲しい』と答えてしまうまでに憎悪の意を募らせ、春花への敵意を剥き出しにしはじめるのでした。
火事の原因は佐山流美?消えるクラスメイトとの関係性は?
≪野咲春花の家を放火したのは流美だった!?≫
春花が後に復讐鬼となる大元の原因であり物語のキーとなるこの事件…実は流美を筆頭としたクラスメイト達の『放火』により引き起こってしまったものだったのです。
春花を学校へ連れ戻す事が出来なかった事により、妙子から失望され再びいじめられる側へと戻ってしまった流美は妙子の気を引こうと必死になっており、こうなってしまった原因は全て春花であるという逆恨みから彼女の家を放火するような事を仄めかすようになっていました。
一方その言葉を聞いた妙子は『頑張って』『期待してるから』と意味有り気な言葉を投げかけ、それを真に受けた流美は『妙子に気に入られる・認めて貰えるチャンス』と捉えると、早速実行しようと躍起になりクラスメイト数人を引き連れて春花の家へと向かいます。
しかし元々臆病な性格である流美は本気で家を全焼させるつもりはなく、当初はほんの少し家を放火する程度の考えでおり、共に現場へ向かったクラスメイト達も彼女にそんな度胸があるとは微塵にも思っていませんでした。
ところが予定外にも春花の両親が家の中に居た事で事態は急変…なんと焦ったクラスメイトの1人が母親に向けて火を放ってしまい、さらに家の中に父親と妹もいる事に気が付いた流美は咄嗟に口封じの為として彼等を燃え盛っていく家の中に閉じ込めてしまったのです。
春花の妹は駆けつけた相場により救助されたものの、彼女の両親は死亡し家は全焼…想定を遥かに超える事態となり、加えて学校内に警察が出入りし始めるのを目にしたクラスメイト達は発覚を恐れて怯えていましたが、首謀者の流美だけは彼等とは反対に謎の自信をつけてしまい、これを機にいじめグループの中でも上位の存在に…。
やがて調子に乗った流美は事件後に学校へ姿を現した春花に対し『バーベキューの焼き具合はどうだったの?』と挑発的かつ衝撃的な言葉を投げかけてしまい、このことがきっかけで火事に関する真相が徐々に春花にバレてしまうのでした。
『ミスミソウ』がスタンプ化するならこのシーン(BBQの焼き具合を確認したいときに使用) pic.twitter.com/NT8fwwoMwR
— きもやん/福岡の美容師 (@km01160116) June 22, 2018
≪次は自分が殺される!?苦悩し始める佐山流美…≫
放火事件を境にグループからは一目置かれるようになり、いじめの対象からも完全に抜け出す事が出来た流美は、春花への報復も果たせた事で気が晴れたのか清々しい程態度を大きく見せるようになっていましたが、事件後春花が学校に姿を現すようになった事で再び苛立ちを募らせるようになっていました。
どんな形であれ、妙子の興味や執着する対象はいつも春花…妙子の視線が流美に向く事はなく、その事実から春花の存在を疎ましく思っていたのです。
春花が消えれば妙子からも認められ賞賛されると信じてやまない流美は、ある日クラスメイト数人を引き連れ春花を裏山へと呼び出し彼女に自殺を強要し始めますが、途中校内放送で呼び出されたため流美は一旦その場を離れる事に…少しして再び春花たちの元へと戻った流美でしたが、その頃にはもう誰も居ませんでした。
しかしその日からクラスメイトが次々と行方不明になり、それらは全員放火に関わっている人物であることから春花の仕業なのではないかと疑いはじめた流美でしたが、春花に自殺を強要した裏山で一緒に居たクラスメイトの遺体を発見してしまい、疑念は確信へと変わります。
放火に関わった人間が次々と春花により殺されていると気付いた流美は、いずれは自分も殺されてしまうという恐怖に苛まれるようになるものの、自分の犯した罪が世間に暴かれてしまう事を懸念するがあまり警察へ自首する事は出来ず、また自身の母親に胸の内を明かす事も出来ないままひたすら苦悩するのでした。
佐山流美は生き残る?最後は死亡?ラストをネタバレ!スカッとする結末とは?
≪遂に恨みの矛先は小黒妙子へ!?≫
春花からの復讐を恐れ、そのあまりの恐怖に堪えられなくなった流美は妙子に何度もしつこく電話を掛け続け、ようやく電話に出た妙子に対し自身の置かれている状況や心境を含め、放火の事やそれに関わった人間が春花に殺されている事、いずれは自分や妙子も殺されてしまうのではないかという事を彼女に打ち明けます。
電話越しに縋るように助けを求める流美でしたが、無情にも彼女から救いの手は延べられず、それどころか『お前が殺されても自業自得』『私は殺されるような事はしていない』と冷たく突き放されてしまい、あっさりと電話は切られてしまいます。
妙子に完全に見捨てられてしまった流美は『誰の為にやったと思ってるんだ』と怒りを露わにし、遂には『妙子は意味もなく自分に罪を犯させた』と逆上…とうとうその怒りの矛先を妙子に向け、春花と対話を終え帰宅途中だった妙子を待ち伏せし襲撃するのでした。
≪小黒妙子との関係が遂に決着!?小黒妙子VS佐山流美≫
包丁を手に奇襲を掛けた流美に対し、彼女の意図を汲みペティナイフで応戦する妙子…一進一退を繰り返す攻防戦の中、流美は彼女に対し今までの不満を全てぶちまけます。
同じいじめの標的であるにも関わらず自分と春花とでは扱いがまるで違った事、自分には向けられなかった特別な想いを妙子は春花に向けていた事、その矛盾のせいで自分が犯罪に手を染める結果となってしまった事…それら全てを激怒しながら伝える流美でしたが、妙子から返ってきたのは『勝手に病んで勝手に暴走して虫唾が走る!』『気持ち悪いんだよこの人殺し!』という暴言のみ。
そして春花を殺したところで妙子が流美に靡く事は無いという現実を叩き付けられた流美の怒りは頂点に達し、最終的に妙子を包丁でメッタ刺しにして殺害してしまうのでした。
結局自身の気持ちは報われず、最後まで妙子に気持ちを向けてもらう事が出来なった流美でしたが、彼女に勝利した事で今までの気持ちは一変。
これまでずっと憧憬・崇拝していた妙子に対し『所詮は人を踏み台にして優位になっていたつまらない存在』と結論付け、これを機にタガの外れた歪んだ自信を身に着けてしまうのでした。
ミスミソウの流美に感情移入できるって人は認めたくない人も含め多数いると思うんだ。 pic.twitter.com/BUtwvc7C4p
— ぼいちゅう (@nuke_nyanko) March 25, 2020
≪生き残るのはどっち!?野咲春花VS佐山流美≫
妙子の殺害後、流美の積もり積もった恨みは歯止めの効かないものとなり、今までを『犠牲にされる人生』だったと振り返った彼女は、今度は自分が『人を犠牲にして生きる』と心に決め、自分をいじめてきたクラスメイトおよび助けようともしなかった人間全員の殺害を企てはじめます。
流美の異変に気が付いた彼女の母親は『何があっても味方だから』と優しい声を掛けるものの、既に後戻りは出来ないと理解している流美はこの言葉を無視…一番の脅威である春花から消そうと考えた流美は、火事の生き残りであり彼女の最愛の妹である祥子(しょうこ)に目を付け病院に忍び込みます。
ところが彼女に手をかけようとした所を春花に見つかってしまい、すぐに病院内の人間も駆けつけた事で妹の殺害は失敗…その場から逃げ出すこととなった流美でしたが、その後春花と相場が揉めている現場を偶然目撃し、これを好機と言わんばかりに2人の会話に割って入り込むのでした。
突然の登場に驚く2人を気にも留めず、流美は春花の怒りをわざと煽るように放火の真犯人が自分である事やその際の詳細を事細かに伝えはじめ、やがて思惑通り襲いかかってきた春花に流美は隠し持っていた包丁を彼女の腹部へ…。
流美の包丁は深々と春花の腹部に突き刺さり、遂に脅威であった春花に勝利したと笑みを浮かべる流美でしたが、なんとこの行動が相場の逆鱗に触れてしまい、凶暴な一面を隠し持っていた彼に流美は顔面を凄まじい勢いで殴打されてしまうのでした。
予想外の相場の行動とその本性に成す術なく虫の息となった流美でしたが、その間に春花は相場へと標的を変え腹部に刺さる包丁を引き抜くと同時に相場へと襲い掛かります。
そして次の瞬間、春花の手にしていた包丁は何故か相場ではなく流美の首元に深く突き刺さってしまうのでした。
…なんと流美は相場により、春花の攻撃を躱す為の盾として『犠牲』にされてしまったのです。
『他人を犠牲にして生きる』と決めた筈の彼女は最終的に『相場の為の犠牲』となってしまい、その死の間際に自身の唯一の味方・最愛の存在である母親の幻を見ながら絶命してしまうのでした。
実写化
ミスミソウ最後は佐山ちゃん
ボコボコにされて死ぬけど 原作は
野咲ちゃんがあいばくん襲いかかるシーンで身代わりにされて死にます pic.twitter.com/L0u0XSY8dR— otnpハム太郎 (@Lolita7251) June 18, 2022
実写映画ミスミソウで佐山流美を演じているのは誰?映画の彼女の最後は?
≪実写映画『ミスミソウ』の佐山流美役は?≫
【大塚 れな】
クラスメートからいじめの標的にされていた、佐山 流美(さやま るみ)役を演じます!#ミスミソウ #大塚れな #佐山流美 pic.twitter.com/8TR4M5yEPs— 映画「ミスミソウ」 (@misumisou_movie) February 6, 2018
実写映画『ミスミソウ』で佐山流美役を演じているのは、大塚れな(おおつかれな)さん
モデル、タレントとして多くのドラマ作品やCMに出演しています。
「ミスミソウ 」のキャストはこれから売れっ子になるだろうな。
特に流美役の子いいです。
本当にぴったりのキャスティングです。
卑屈な薄ら笑いや小黒に対する愛情、憧れ、そして強い怒りと憎しみの表現素晴らしいです。 pic.twitter.com/eqEll6ac4B— 山田まさひろ (@yamada1978) July 16, 2018
≪映画で佐山流美は生き残れる?≫
漫画版『ミスミソウ』では襲いかかる春花の攻撃を防ごうとした相場に盾として犠牲にされてしまい、包丁が首に突き刺さった事で死亡した流美。
流美は映画の中でも最終的に死亡してしまいますが、その死因は漫画とは異なります。
映画での流美は本性を露わにした相場に顔面を激しく殴打され、そのまま彼に撲殺されてしまうのです。
結局漫画の中でも映画の中でも少しも報われる事の無かった流美…。
主人公の春花と同じいじめられる側の人間、心根は優しく親思いである事等共通点が多いのにも関わらず真逆の存在であった流美は、作品の中の『もう一人の主人公』なのかもしれません。