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ご紹介する方法は、登録不要でもちろん合法です。
違法手段ではないので、安心してください。
『ゴールデンカムイ』は漫画アプリ『ヤンジャン』にて全巻無料で読める?
いきなり、結論です。
漫画『ゴールデンカムイ』はこちらの集英社が運営する漫画アプリ『ヤンジャン』にて無料で読むことができます。
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『ヤンジャン』は、集英社が運営する公式アプリなので安全に利用できます。アプリをダウンロードする際もお金は一切かからないので安心してください。
『ヤンジャン』では、このように『ゴールデンカムイ』を惜しげもなく27巻まで無料公開してくれています。
安心安全に、そしてタダで『ゴールデンカムイ』を1巻から27巻まで読破したい方は『ヤンジャン』を使う方法が最もお得です。
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また『ヤンジャン』では、『ゴールデンカムイ』以外にも
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などなど、名作と呼び声高いマンガを数多く無料で読むこともできます。(配信期間が終了している場合もあります。ご了承ください。また1日に無料で読める話数に制限があります)
半端ない量の有名マンガを随時、無料配信してくれるので、マンガ好きの私は、とても重宝しているアプリです!
オススメ漫画アプリ紹介
上記で紹介した『ヤンジャン』以外にも講談社が運営する漫画アプリ『マガポケ』や小学館が運営する『マンガワン』も特にオススメです。
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「無料でマンガを楽しみたい!」という方は、ぜひダウンロードしてみてはいかがでしょうか?
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『ヤンジャン』の基本的な使い方
無料で試し読み
漫画アプリ『ヤンジャン』では、多くの人気マンガがすべてではないですが、大方無料で読むことができます。
以下の画像のような「無料」と記載されたアイコンが表示されているエピソードは、いつでも時間制限なく無料で読むことができます。
気になる漫画を見つけたら、まずは、このシステムで無料で1話目を読んでんみてください。
「無料」アイコンは、すべての漫画作品の1話~3話程度に表示されています。
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チケットを使って無料で読む
次にアプリ内アイテムである「チケット」を使って1日に1話ずつ漫画を無料で読みましょう。
読みたい漫画作品をタップすると、以下の画像のように「無料で読む」と表示されます。
ここをタップすることでお好きな漫画作品を1日1話無料で読むことができます。
この「チケット」使用後、23時間で「チケットチャージ」が回復し、次のエピソードを無料で読めるようになります。
この「チケット」は、各作品ごとに1日に1回使用できるアイテムです。
広告動画を見て1話無料で読む
「チケット」を使用してしまった場合でも、以下の画像の↓「動画を見て無料で読む」をタップし、数十秒の広告動画を視聴することで新たに漫画作品を1話無料で読むことができます。
この「動画を見て無料で読む」は、各作品ごと1日1回利用でき、翌日の0時にリセットされ、再び利用することができます。
『ヤンジャン』で多くの漫画を無料で読むには、気になる漫画を複数選択し、同時に読み進めることをオススメします。
以上のシステムを使うことで1日に2話ずつ漫画作品を読み進めることができるため、ゆっくりでもいいから、タダで読みたい。という方に特にオススメです。
私は、1日に読める話数に制限がある方が生活にメリハリがつくので『ヤンジャン』を愛用させてもらっています。
何より有名な新作&旧作漫画を合法的に完全無料で読める『ヤンジャン』をダウンロードしないのは、もったいなさすぎます。
これから、もっと無料で読める漫画作品が増えると思いますので、今のうちにダウンロードしておくことをオススメします。
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『ゴールデンカムイ』見どころ紹介!
見どころ① 多彩な表情とギャグパート
「ゴールデンカムイ」の面白さを構成する要素には本線の金塊争奪戦とは別に物語の要所要所に出てくるギャグ要素も大きく関わっています。
「緊張と緩和」のようにシリアスな物語の展開の中で息抜きのように挟まれるギャグシーンが絶妙に間抜けで、つい笑ってしまいます。
物語の本筋を追いたくなる気持ちと純粋に面白い場面を楽しみたいという気持ち両方を満たしてくれるので1巻また1巻と読み進めてしまいます。
また、ギャグシーンでよく見られるのが表情の変化です。
言葉の調子と表情の組み合わせがとてもユニークで、変顔にも近い多彩な表情の変化が一つのセリフの面白さを倍増させています。
また下ネタも多く使用されるので良い意味での空気の緩みを感じることができます。
特にそういった面白要素はアシリパ・白石・杉元に多く取り込まれています。
「ゴールデンカムイ」に出てくる主要人物は基本的に美男美女が多いので表情が崩れた時の落差も大きく面白さとインパクトが強くなり、強烈な印象で記憶にも残りやすいです。
戦闘のかっこよさや金塊争奪戦の行方、そこに眠る隠れた真実に愉快でユニークなギャグパート。
それらが融合した「ゴールデンカムイ」の物語はとても読み応えがあり読み続けたくなる面白さがあります。
しっかり読者を楽しませてくれる内容になっているので、まだ読んだことがないという方にはオススメの必見マンガになっています。
見どころ② 金塊争奪で交差するそれぞれの願いと目的
「ゴールデンカムイ」の物語の本筋は強奪され隠された「アイヌの金塊争奪戦」にあります。
その争奪戦に込められた各々の金塊を求める願いとそこに隠された想いが物語をより深くしています。
物語は途中なので謎になっている部分や、まだ明かされていない部分も多いのでキャラクターの真意が不明なものもありますが、その謎や隠された部分が明かされる度に面白さが増していきます。
物語の中では金塊を奪い合う勢力として大きく三つの勢力が挙げられます。
「鶴見率いる第七師団」「土方歳三を筆頭にした土方一派」「主人公グループの杉元一派」です。
基本的には各勢力のリーダーに位置する人物の願いが金塊を追う目的として据えられていますが、杉元一派に関しては杉元だけではなくアシリパの想いを合わせて金塊を追っています。
金塊を追う各リーダーたちは、ただ大金が欲しいからそれを求めているのではなく、その大金を得た先に叶えるべき目的をそれぞれ持っています。
金塊争奪戦は命を削り合う戦いでもあり、目的である願いを叶えるために命のやり取りを繰り返すという非常に危険な道のりをそれぞれが歩んでいます。
だからこそ物語の中で金塊を求め、願いを叶えようとするそれぞれの想いが如何に切実なものであるかということが強調され伝わりやすくなっています。
それぞれに正義があり、譲れない願いがあります。
そこのせめぎ合いや目的に対する想いの強さは争いが激しくなればなるほど強く現れるので、それぞれのキャラクターの気持ちが滲むその瞬間に読者の気持ちも惹かれ、心揺さぶられる場面になっています。
「ゴールデンカムイ」の世界に引き込まれる一つのポイントがこの争奪戦で交差するそれぞれの願いと目的の中に詰まっています。
またそれぞれの目的と信念が異なるので、どの立場に立って物語を捉えるかによって見え方が変化してくるという面白さもあります。
それぞれの願いを叶える可能性を持つ金という魔力を持った願望器の役割を担う金塊と、登場人物それぞれの願いの行方を追う中で感じられる奥深く引き込まれるような面白さも「ゴールデンカムイ」の魅力の一つになっています。
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見どころ③ アイヌの知識と料理。狩りやサバイバルに活きる情報の数々
「ゴールデンカムイ」の物語の中心となる舞台は北海道であり、そこに住む「アイヌ」にスポットが当てられています。
その為、物語の中では山の中での狩りや戦闘が行われる場面が多く、サバイバルにおける知識がアイヌの知恵などを交えて多数紹介されています。
狩った獲物で作るアイヌの伝統的な料理と食べ方も多くの場面で紹介されており、野生的な食事でありながらとても美味しそうに見える料理の数々は初めて見るものが多く、新鮮で好奇心をくすぐるポイントにもなっていて物語の流れとは別に楽しめる部分になっています。
多少痛々しい部分も含まれているので苦手な方にとってはあまり面白くはないかもしれませんが、その生々しさが「ゴールデンカムイ」の魅力でもあります。
戦闘シーンの迫力であったり、狩りにおいては命の大切やありがたさを反映している部分でもあるので、あくまで主観ですがいたずらにグロテスクという訳ではなくある意味必要な描写として描かれているものになっていると思います。
また、色々なものが便利になり普段の生活の中で様々な不便が改善されてきた現代で、それらを失った状態になりながら普段の対応が効かない自然の環境の中を生き抜くための術や知識は非常に興味深いものが多く、極限下でどうすれば命を守れるのかということに対する学びがあります。
これも物語の本筋とは別の部分でも楽しめる本作の魅力になっていて、膨大な資料をベースに描き出される「ゴールデンカムイ」の作品としての厚みを表していると点でもあると思います。
その描写と知識を目の当たりにすると食事やサバイバルへの興味が湧いてきて、まるで興味のなかった世界に不思議とはまりそうな感覚に陥ります。
物語の内容を楽しみながら、生きる為の生きた知恵も吸収でき、一つの資料のような面白さを感じることが出来る本作には様々な方向に興味を引くポイントが秘められています。
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『ゴールデンカムイ』の主要な登場人物紹介!
杉元左一 「不死身の杉元」
杉元左一は本作「ゴールデンカムイ」の主人公にあたるキャラクターです。顔に特徴的な傷を持つ青年で、日露戦争で鬼神の如き活躍を見せた勇猛な兵士でした。
どんな重傷を負っても死ぬことなく戦争を生き抜いたことから「不死身の杉元」という異名で呼ばれ、その名は戦地で広まっていました。
非常に高い戦闘能力を持つ杉元は作中のキャラクターの中でもトップクラスの格闘センスを持っています。
さらに「やられる前にやる」という姿勢を徹底することで窮地を生き抜いてきた杉元は危険な場面や際どい交渉の場に強く、ヒリヒリするような場面では常に彼の胆力が輝いています。
また杉元には故郷に想いを寄せる「梅子」という人がいました。相思相愛であった二人ですが、不幸な境遇によって二人の運命は引き裂かれてしまいます。
そして月日が流れた頃に梅子は杉元の友人である「寅次」に嫁いでいくことになってゆきました。
しかし杉元と同じように日露戦争に召集された寅次は戦地で命を落としてしまい、梅子のことを残してこの世を去ってしまいます。
残された梅子は目に病を抱えており、寅次に成り代わってその治療費を稼ごうと大金を求めるようになった杉元が、アイヌの金塊強奪事件の話を聞いたことをきっかけに金塊を探し出す旅に出て行くことになりました。
それが「ゴールデンカムイ」の物語の始まりへと繋がってゆくことになります。そして豊富なアイヌの知恵を持つ少女「アシリパ」と出会ってパートナーを組み、旅を続ける中で二人は非常に強い信頼関係を築いていきます。
因みに戦闘力の非常に高い杉元も射撃は苦手としていて、ここぞというチャンスの瞬間に度々獲物を仕留め損なっています。
また、ピンチの際には「俺は不死身の杉元だ」と言って自分を鼓舞して逆境を跳ね除けるという特徴も持っています。
戦いにおいては鬼のように強く冷酷な面も持ち合わせる杉元ですが、本来は優しく思いやりのある気のいい青年であり、それはアシリパと接したり、彼女を守る場面などで存分に発揮されています。
アシリパ 和名・「小蝶辺明日子」
金塊強奪事件のカギを握る人物であるウイルクを父に持つアイヌの少女。端正な顔立ちに青い瞳が特徴的な小柄な女の子です。
日本最後の生き残りであるエゾオオカミの「レタラ」と心を通わすただ一人の人間でもあります。10代前半という年齢ながらしっかりした思考と発言が出来、精神年齢は実年齢よりも高めであることが伺えます。
また父から教わった豊富なアイヌの知識を持っていて、山の中でのサバイバルや狩りにおいて彼女の知識は生命線のような役割を担っています。
アイヌの伝統を現実的な思考を持って解釈し、その伝統を未来に残す術を考える彼女は「新しい時代のアイヌの女」を自称しアイヌを守ることを大事にしています。
それは彼女の名に込められた想いでもあり、「アシリパ」という言葉は「新年」という意味を表し「未来」という意味に通ずるものでもありました。
金塊の在り処の重要なヒントをその記憶の中に持つ彼女は物語が進むにつれて常に狙われる危険な立場となっていきますが、アシリパはパートナーである杉元に自分を守るために何かを制限するのではなく共に乗り越えるように協力し合う関係でいることを求めます。
「ゴールデンカムイ」のもう一人の主人公とも言えるアシリパは表情豊かな描写も多く、本作の魅力の一つでもあるギャグの部分でもアシリパはとても魅力的なキャラクターとして描かれています。
当初、杉元が持つ味噌を「オソマ(うんこ)」と勘違いして口にすることを絶対に拒んでいましたが、一歩踏み出して初めて味噌の入った食事を口にして以来、味噌の虜になり大好きな調味料となっていきます。
蛇がとても苦手。
白石由竹 「脱獄王」
金塊を探す手掛かりとなる「入れ墨の囚人」の一人であり、網走監獄に収容されていた脱獄囚です。
白石は自在に脱臼することが出来る特異体質を活かし幾度となく脱獄を繰り返した「天才脱獄犯」であり、身体中に仕込んだ脱獄のための道具と器用な手先を活かして牢だけでなく捕らえられた際の拘束も容易く解いてしまいます。
しかしその点以外では基本的にポンコツであり、資金を無駄遣いしたり余計な邪魔を引き起こしたりするために杉元やアシリパから粗雑な扱いを受けてしまいます。
けれども登場回数の多いキャラクターの中ではギャグの要素が多く盛り込まれており、どこか憎めないキャラクターになっていて、ここぞという場面でいい仕事をする白石は本作の中で重要な位置にあるキャラクターの一人となっています。
また博打が好きな白石は金塊争奪戦の中で金塊の命運を杉元たちに賭け、金塊の分け前をもらうことを条件にして協力することを決めます。
その後白石は土方陣営に通じながらもニセの情報を流すことで杉元たちとの約束を守り、裏切ることをしませんでした。
騙し騙され金塊を賭けて争い合う展開が本作の面白いところでもありますが、その中で白石は交わした約束を守り筋を通したキャラクターとして描かれているところもあります。
また杉元たちの信頼に応え、怪しい企てや暗い闇などを感じさせない白石は作品の中でも数少ないタイプの主要登場人物になっています。
尾形百之助 第七師団・「上等兵」
特徴的な形の髭を蓄えた第七師団の上等兵です。好きな食べ物はあんこう鍋。何を考えているのかわからない怪しい雰囲気を纏い、冷酷さと邪悪さを感じさせる男です。
陸軍最強の第七師団に所属する兵士ということもあり、優れた戦闘能力を持っています。
中でも射撃の腕はピカイチで殺傷能力の低い三十年式歩兵銃を使って300メートル以内の相手の頭を確実に撃ち抜くことができます。
その腕前を度々杉元に見せつけて自慢することがあり、射撃の苦手な杉元を挑発する場面が描かれます。杉元とは初めて出会い戦闘となった際に腕を折られ殺されかけたことがありました。
その後、行動を共にすることもありましたが要所要所で敵対心や対抗心を持っている様子を伺わせます。
また尾形は「元第七師団団長」の「花沢幸次郎中将」を父に持ち、その花沢と浅草の芸者との間に出来た子供でした。
軍の中で地位を築いた花沢は世間体を考え、芸者の妻とその子供である尾形を疎ましく思うようになり、本妻との間に子をもうけると尾形とその母のもとにはやって来なくなってしまいました。
それでも尾形の母は花沢が好きだと言った「あんこう鍋」を冬の時期は毎日作り、その帰りを信じ待っていました。
それを不憫に思った尾形少年は鳥を撃ち家へと持ち帰りますが、母はあんこう鍋を作るのを止めませんでした。
それから尾形は祖父母が留守にしている間にあんこう鍋に殺鼠剤を入れ母を殺害し、父である花沢を母の葬式に呼び寄せて最後に最愛の人に会わせてあげようと考えました。
母に対する愛情が残っていれば来るはずだと。しかし花沢が母の葬式に姿を見せることはありませんでした。
その後成長した尾形は花沢を自刃に見せかけて殺害しますが、その際に拘束した花沢に向けて尾形は「愛情のない親が交わって出来る子供は何かが欠けた人間に育つのですかね?」と語りかけています。
それは花沢と本妻の間に愛情を持って出来た子供の「花沢勇作少尉」と尾形が出会い、その人柄の良さに触れたことによってさらに強調されました。
勇作が自分には無いものを持っていることを目の当たりにした尾形は愛情がある者と無い者の違いを実感します。
それから尾形は自分が父に愛される未来とその可能性があったのかどうかを確認するために、二○三高地の戦いの際に味方である勇作の頭部を背後から撃ち抜き、戦乱に乗じて命を奪っていました。
花沢は勇作の戦死の事実を聞いた後、父に愛される道があったのかということを歪んだ方法で確認しようとした尾形に「貴様の言うとおり何かが欠けた人間・・・出来損ないの倅じゃ。呪われろ」と言い、殺される最後まで尾形に愛情を向けることはありませんでした。
そういった過去を持つ尾形は勇作のような「清い」存在を嫌い、認めようとせずそれを汚したりがります。
「清い」ままでいようとする勇作に戦地であえて生かしておいた捕虜の殺人を行わせて汚そうとしたのと同じように「清い」アシリパにも父を殺したのは自分だと教えることで殺意を煽り、自分を殺すように促し誘導しようとしました。
裏切りを繰り返し、杉元たちからも追われるようになった尾形は歪んだ心を携えて一人逃亡します。
土方たちと合流すると行動を共にしますが、土方にこれまでの出来事や情報を話す時も大事な部分は明かさず嘘を交えているところがあり、最終的には自分一人が利益を独り占めしようとする狙いを滲ませます。
片目を失った尾形は体調が回復した後に鳥を狙撃しようとしますが撃ち落せず、射撃の能力が低下してしまったことを伺わせる様子が描かれています。
鶴見中尉 鶴見篤四郎
第七師団の情報将校であり顔に戦争で負った大きな傷を持っています。また日露戦争の奉天会戦で砲弾の破片が当たった際に前頭部の頭蓋骨と前頭葉を一部損傷した為、ホーローで作られた額当てを装着しています。
日露戦争では二○三高地において戦果をあげますが、上層部の勝手な判断で行われたその戦いは多くの戦死者を出します。
その責任をなすりつけれられた第七師団は冷遇され、報奨金や勲章などの見返りを得ることができませんでした。
鶴見は先の戦いで失った戦友たちの為という名目で動き、手始めに北海道を手に入れて軍事政権をつくろうと企んでいました。
そしてゆくゆくは戦友が眠る満州の地を日本の領土としたいという目的も持っていました。金塊はその軍資金の為に必要としていて、第七師団を手足のように使い金塊を追い求めます。
情報将校で切れ者である鶴見は情報収集や読み合いに強く、知略をめぐらせ争奪戦を優位に進めようとします。
人の心を操る策を立て、自分の支配下に置くことを得意としていた鶴見は悪魔のような算段を立てて次々と部下を増やしていきました。
その為、一部の部下からは心酔とも言えるような熱烈な忠誠を得ています。
また過去には「長谷川幸一」という名でロシアにスパイとして潜入していたことがあり、ロシア人の妻を持ち生まれたばかりの幼い子供もいました。
しかし自分を追うロシアの秘密警察と、かくまっていたパルチザンの戦いに巻き込まれて鶴見は妻と子供を失ってしまいます。
その記憶がフラッシュバックし冷静さを欠くような場面や、その時の出来事に何かしらの真実が眠っているような描写もあり、以前に語っていた目的とは別の狙いや考えもあるような素振りを見せたりもしています。
実際鶴見が金塊を求める本当の目的と理由は今のところ明確にはなっておらず、側近の月島も鶴見の本当の目的は知りません。
アメとムチを使い分け、意に沿わない者や反抗する者には残虐な仕打ちを平気で行う冷酷さを持ち、時には狂人のような振る舞いを見せる鶴見は作中でも特に禍々しさを感じさせる登場人物です。
土方歳三 新撰組・鬼の副長
入れ墨の囚人24名の脱獄計画を指揮した男。元新撰組・鬼の副長です。「箱館戦争」の敗残兵であり、本作ではその戦いで死んだとされていた人物でした。
網走監獄からの脱獄に成功した土方は新撰組の復興と北海道の独立を目指し、そこに国を起こそうと動いて行きます。その為の資金としてアイヌの金塊を追っています。
その姿は死に場所を探しているようでもありました。「幕末の亡霊」と鶴見から呼ばれたように死期を逃した土方は収監されていた空白の時から抜け出し、既に終わった「箱館戦争」とかつての時代に取り残されたまま現代を生き、過去の自分が摑むことの出来なかった未来を時代が失われた今、再び手に入れようと動いています。
その姿は過去に取り残された強い想いが彷徨っているようでもあり、たしかに「亡霊」という言葉を感じさせるキャラクターになっています。
また、年の割に若々しい容姿と素早い動きもその印象を強めています。
特徴的な銀白髪の長髪に鋭い目をした土方は愛刀である「和泉守兼定」を振るい、いかなる状況でも動揺することなく表情を崩さない胆力を持ち、冷静に刃の切っ先を突きつけるような選択肢を迫り交渉相手を威圧する様などはまさに鬼といった感じです。
刀の他には銃であるウィンチェスター・モデル1892を所持して片手に刀、片手に銃を持つスタイルで戦闘を行うこともあります。
また、「日本のために戦う」と口にした土方には北海道を独立させ、国を建てようとする理由にロシアの南下を防ぐ目的があり、北海道を本州を守るための国(緩衝国)として活かし、北方の護りを築く狙いがありました。
好物はお茶漬けに刻んだ沢庵を乗せたもの。
牛山辰馬 不敗の牛山
入れ墨の囚人の一人であり10年間無敗だった柔道家の男。おでこには特徴的なコブがあります。無類の女好きであり、自身の強い性欲をコントロールすることが出来ていない節があります。
性欲が高ぶると見境なく犯そうと暴走し始め、そうなると元々の屈強な体つきもあって手に負えないモンスターと化してしまいます。
過去には師匠の奥さんに欲情し寝取ってしまったこともあり、その制裁として門下生10人を差し向けれた際にはその10人全員を半殺しにし、その場にいた師匠を殺してしまいました。
また、杉元と同様に牛山も作中トップクラスの戦闘力を誇り、崩れる石垣の中や突進してくる馬をものともしないという異常なまでにタフで頑強な肉体も持っています。
人間だけでなく野生の熊も技をかけて簡単に投げ飛ばしてしまうほどのパワーと柔道スキルは牛山の人間離れした強さを如実に表しています。
互いに強さを認め合う杉元も組み合った際には牛山の重心の深さを「まるで地球の奥まで根を張る大木」と形容し、驚きを隠せない様子でした。
他にも壁を突進で突き破り人間を手裏剣のように投げる場面などがあり、怪物らしさが多数描かれるキャラクターとなっています。
また、杉元を気に入った牛山がアシリパたちも連れて食事を奢りに行った際に、酒に酔いながら行った「チンポ講座」をきっかけにアシリパからは「チンポ先生」の愛称で呼ばれるようになります。
谷垣源次郎
第七師団一等卒であり、兵士になる前は秋田の阿仁でマタギをしていました。
なので獲物を追う際の心得や知識、山の中での立ち回りなどを熟知しており、その知識と経験は山の中で杉元とアシリパを追う際に発揮されました。
アシリパが逃げる時に使った「止め足」も看破しアシリパを捕まえようとしますが、そこで谷垣は突如現れた白い狼「レタラ」に襲われてしまいます。
右足に食いついて振り回された衝撃で失神し右足はあらぬ方向に曲がってしまっていました。その状態で倒れていたところを狩りの天才である「二瓶鉄造」に拾われます。
山の中で「レタラ」を追う二瓶から狩りの学びを得ながら共に行動したことで谷垣は自身の猟師魂に改めて気がつき、兵士ではなく「マタギ」であろうと思うようになります。
それから二瓶と共に白狼を狩ろうとしていた谷垣は入れ墨を狙う杉元たちと戦闘になり、アシリパを人質にして杉元と白石を捕らえると二瓶の指示でアシリパを二人の声が聞こえないところまで運んでいきました。
しかしその途中で鹿垣に仕掛けられていたアイヌの狩猟罠である「アマッポ」に掛かり足に毒矢を受けてしまいします。
解毒方法のないものでしたが、アシリパから矢が刺さった周りの肉を削ぎ落とすという応急処置を受けることで谷垣は一命を取り留めます。
それから谷垣はアシリパのコタン(村)に連れて行かれアシリパの祖母である「フチ」の治療を受けることになります。谷垣はそれ以降もフチにお世話になることがあり恩と感謝を抱いています。
療養でコタンに滞在している間に谷垣の消息を追ってきた尾形たちに襲われた際には命を張ってその危険を取り除こうとしました。
また、そこで出会った「チカパシ」という少年の面倒をよく見るようになり、後に樺太まで旅を共にするようになります。
チカパシと同時期に出会った「インカラマッ」という美しい占い師とも行動を共にするようになり、フチへの恩返しの意味も込めてアシリパをコタンに連れ帰るため、
チカパシ・インカラマッ・谷垣の3人でアシリパを追う旅に出ていきました。旅の途中で谷垣とインカラマッの距離は少しずつ近づいていき、やがて恋仲となっていきました。
そのインカラマッが網走監獄での騒動の中、何者かによって腹部を刺され傷ついて倒れているところを発見します。
その犯人が「キロランケ」だと後に判明し、谷垣はアシリパをフチのもとへ帰すという目的で渡った樺太でキロランケに再び遭遇すると急襲し、もみ合いの末にキロランケの腹にインカラマッを刺したマキリを突き立てました。
それから北海道に戻った谷垣は人質として第七師団に囚われていたインカラマッを連れ出し、追われる中で谷垣の子を宿すインカラマッと二人でフチのいるコタンへと逃げて行くことになります。
キロランケ
キロランケは北海道に住むアイヌの一人で妻と二人の子供を持ちます。また過去には日露戦争にも出征していました。
日露戦争では第七師団の工兵として活躍していたので、除隊した後も爆弾などを作り出す技術に長けていました。
アシリパの父・ウイルクの友人でもあるキロランケは杉元一行に協力的な姿勢を見せていましたが、どこか怪しさを感じていた杉元はキロランケをあまり信用していませんでした。
そんなキロランケの素性は物語が北海道から樺太の地へと移ったことで少しずつ明らかになっていきました。
キロランケは元々タタール人として生まれていましたが樺太アイヌの血も混ざっていて、若い頃から帝政ロシアに対する解放運動を行っていたパルチザンの一人でした。
かつてキロランケが属していた組織は「人民の意志」という名の反体制過激派組織でした。
そしてキロランケは過去にロシアで起きた皇帝アレクサンドル2世暗殺事件の実行犯でもあり、ロシアが探す重罪人の指名手配犯でした。
その中には皇帝殺しの共犯であるアシリパの父・ウイルクも含まれていました。また、キロランケの指名手配書には「ユルバルス」という名前が表記されていて、それはキロランケの昔の名前でした。
キロランケはロシア正教の侵食する支配に抵抗するために、その影響をまだ受けていない極東の少数民族に蜂起を期待していた革命家の「ソフィア」に協力するようになり、その活動の果てに実行されたのが皇帝殺しでした。
しかしキロランケはかつては協力関係にあったウイルクを何故か網走監獄で狙撃する指示を出します。それを決心することにしたキロランケの意図は謎に包まれたままになっています。
そして樺太から北海道へと向かう流氷の上で第七師団と谷垣・杉元一団に出くわしたキロランケはインカラマッを傷つけた仇を取ろうとする谷垣と第七師団との戦闘の末に重傷を負い倒れて動けなくなります。
そこでアシリパから父との記憶が蘇り金塊の在り処を示す暗号を解くカギを思い出したという言葉を聞いて、安心した表情を見せるとキロランケは故郷へと流れ着く流氷の上で静かに息を引き取りました。
鯉登音之進 第七師団・少尉
第七師団の少尉であり鶴見中尉に心酔する部下の一人です。鯉登は薩摩の生まれであり父に海軍大佐である「鯉登平二」がいます。また兄に鯉登平之丞がいますが、日清戦争の黄海海戦で命を落としています。
薩摩出身の鯉登は剣を振るう際には「自顕流」を用いて戦います。感情が高ぶると「キエエエエエッ」という猿叫を発することが度々あります。
身体能力が非常に高く足軽芸を得意とする芸人がいるサーカス団から「天才」と称されるほど身軽で達人並みのバンラス感覚を持っています。
鶴見中尉を敬愛する鯉登少尉は常に鶴見中尉のブロマイドを所持しておりその忠誠ぶりを伺わせます。鯉登少尉が何故それだけ鶴見中尉に心酔することになったのか。
その経緯は過去に鯉登家の落ちこぼれだった音之進が兄の死を経験して兄の代わりになろうとしてもそれを叶えることができず葛藤している頃に偶然現れた鶴見と出会ったことから始まります。
鶴見は親身になって鯉登の話を聞き、優しく励ますことで鯉登の信頼を得ていきました。この時の鯉登の歳は14歳です。
この時点で心を掴まれた鯉登はまた鶴見に会えるかと聞くと鶴見はまた会ったら友人になれという天の声に従おうと言いました。
そしてそれから二年経ったある日鯉登はロシア人を装った複数名の人間に誘拐されてしまい、その救出作戦の指揮をとる人間として再び鶴見中尉が登場します。
危機が切迫する中、鯉登は誘拐犯に押さえつけられ一人の男に銃を突きつけられるとロシア語で「バルチョーナク」という言葉を向けられます。
そこへやってきた鶴見中尉は体を張って鯉登を救出し、ヒーローのように登場した鶴見に鯉登は完全に心を奪われ、強い忠誠心を抱くようになりました。
しかし、樺太にて病院から逃げ出そうとした尾形に鯉登が襲われた際に銃を向ける尾形から「バルチョーナク」という言葉が発せられたことで鯉登は自身に起こった過去の誘拐事件が意図的に引き起こされたものであることに気がつきます。
鯉登の身に起こった誘拐事件は鶴見によって計画されたものであり、部下の人間に協力させて引き起こされた自作自演の事件でした。
それも全ては海軍大佐の息子である音之進を手懐けて海軍を思うように動かせる状態を手に入れるために画策されたものでした。
鶴見を敬愛するに至った出来事が全て偽りの作り物であったことを知った鯉登でしたが、それでも鯉登は鶴見中尉の本当の目的を見定めその行く末を最後まで見届ける覚悟を決めて利用されていると知りながら付き従う道を選びました。
また、鯉登自身部下想いな一面があり、キロランケとの流氷上での戦いの際には自分をかばって負傷した月島軍曹を見て激昂し命を張ってキロランケに襲いかかっています。
ヤンジャン!
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月島基 第七師団・軍曹
鶴見中尉の右腕的な存在であり非常に優秀な兵士です。
小柄な体格ながらロシア人と行った殴り合いの「スチェンカ」では体格の明らかに勝る相手を難なく倒すだけの戦闘力を持ち、ロシア語が堪能な上に軍人らしく戦略的思考にも長けていて戦いの環境にとても慣れています。
月島も鯉登以前に鶴見の人心掌握をするための策を講じられており、心を許していた同郷の「いご草ちゃん」の生死を利用して月島の運命を鶴見は操り、月島を自身の部下へと仕立てていきました。
「いご草ちゃん」を利用して自分のことをはめていたことを知った月島は奉天会戦で鶴見に詰め寄りますが、鶴見は月島を想ってやったことだと言って恩を着せるように語りました。
その最中に飛んできた砲弾の衝撃から咄嗟に鶴見をかばった月島の姿を見て鶴見は月島が自身の腹心となる存在になっていることを確信しました。
ロシア語も鶴見に乗せられて学ばされたものであり、死ぬ気で学んだ末の語学力でした。忠誠心があり任務に忠実な月島は自身が傷ついてでも上官を危機から救います。
しかし、過去に「いご草ちゃん」という大切な存在を失い、やるべき仕事だけが残った月島は自分の人生をどこか諦めている節があり、寂しげで暗い雰囲気を纏う場面もあります。
月島は鯉登から鶴見が過去に自分に行った自作自演の誘拐事件について問い詰められ、月島は鯉登をはぐらかせないと分かると自分も昔鶴見に芝居を打たれたのだと話し始めました。
そこで月島は鶴見に利用されながらも鶴見が進む道の道中で志を共にする者たちみんなが救われるのならそれで構わないと言いながら「私は鶴見劇場をかぶりつきで観たいんですよ。最後まで」と言って同じく鶴見に利用された鯉登に自分の気持ちを明かしました。
樺太から北海道へ戻った月島は谷垣が人質のインカラマッを連れだして逃げていくのを発見すると鶴見の命に従ってその二人を殺すために逃げていく二人を追いかけ追い詰めていきました。
谷垣と身籠ったインカラマッ共々殺そうとした時に後を追ってきていた鯉登にそれを制止されます。月島にあなたも造反組ですかと言われた鯉登は上官命令を持って月島に銃を降ろさせます。
そして鶴見に付いていき、たどり着いた本当の目的の先に正義があるとは限らないからその二人だけは殺してはいけないと言う鯉登に月島は自分がこれまだやってきたことを振り返り「私にはもう遅い」と言いますが、鯉登は「遅くない」と言いながら自分への厳しさを見せる月島に「その厳格さは捨てたものの大きさゆえか?」と優しく言葉を掛けました。
それを聞いた月島は思い直した表情でインカラマッに「あの子は・・・」と言うと、ずっと拒んでいた占いを頼んで「いご草ちゃん」のことを見てもらおうとします。
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『ゴールデンカムイ』の世間の評価は?
本誌読んだーあ〜〜ほんとゴールデンカムイって漫画は面白いな〜〜〜朝から最高の気分だぜ
— kel (@F5l8udpXaNOAKeI) September 16, 2020
ゴールデンカムイ無料につられて読み始めたら何?これ めっちゃ面白い……
— 🍕ピザの妖精ちゃん🍕 (@Nanananaiyang) September 18, 2020
ゴールデンカムイを読みはじめたせいで平日なのに今夜は寝れないかもしれない。
こんなに面白い漫画だって、なんで誰も教えてくれなかったんだ?— たかのめGO (@decoy_k) September 14, 2020
明日はヤングジャンプの二大看板漫画の発売日(‘_’)
どっちもクッソ面白いよ#ゴールデンカムイ #キングダム pic.twitter.com/gGdGqj7YaI— みのお (@Eq2uxHNF11PZycR) September 17, 2020
あさいち「ゴールデンカムイ」新刊。いやもう、ほんと面白い。いろんな面白い要素が詰まっていて毎巻感服。
— 千早茜 (@chihacenti) September 18, 2020
ゴールデンカムイ20巻まで無料とか絶対読んだ方がいいって!!
特に12巻~19巻死ぬほど面白い!!!
↑最新話まで読んでる私が興奮してるわい。— 紫 (@QiIZyAjPK6iLijB) September 17, 2020
ゴールデンカムイ、なんで今まで読んでなかったんだろってぐらい面白い。
面白すぎて面白すぎる。
マジで面白い。
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久々にがっつりマンガを読む。前から気になっていたけど本当に面白い!血湧き肉躍るってこういうことか…アイヌ文化の魅力も学べる。#ゴールデンカムイ pic.twitter.com/FDIrccbniD
— 有馬 武蔵 (青幻燈/wokome) (@aogentou) September 17, 2020
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『ゴールデンカムイ』序盤ネタバレ紹介!
第1話 不死身の杉元
ロシアとの戦争の最中杉元は壕に身を潜めて突撃の合図を待っていました。
そして「突撃」の掛け声に合わせて壕を一斉に飛び出してロシア軍の発砲の雨の中に突っ込んでいきます。
蜂の巣にされる味方の軍人同様に杉元の首にも銃弾が貫通し風穴が開きますが、杉元は一瞬の内に意識を取り戻し重傷を負った身とは思えない動きで敵のロシア兵の命を次々と奪っていきます。
死の恐怖を吹っ飛ばすほどの闘争心を見せる杉元は遠くから自分を呼ぶ声に反応してかつての記憶から我に帰ります。
杉元は北海道の山奥の川で一攫千金を目指して砂金探しを行っていました。
それを一人のおじさんが酒瓶片手に見物していました。
金が欲しいと言う杉元にその男は猟師をすすめますが杉本は今すぐ大金が手に入らないとダメだと言います。
そして男は日露戦争帰りの杉元に「『不死身の杉元』って呼ばれてたんだって?」と言い、それだけの活躍をしていれば勲章ものだろうと言いますが、気に入らない上官を半殺しにした杉元には勲章は与えられず、金が入ることもありませんでした。
男は酒を飲み杉元の豪快な話を聞いて気分が良くなるとヒソヒソとある話を杉元に聞かせます。
それはアイヌの間で起きた金塊強奪事件でした。
砂金が多く取れた昔の北海道でアイヌは1日約112グラムほどの砂金を採掘していました。
そんな日々が毎日のように続いたゴールドラッシュの時代に一部のアイヌが軍資金として貯めていたその砂金を一人のアイヌが全て奪うという事件が起きます。
それが金塊強奪事件でした。
また、盗られた金の量は75㎏、現代の価値にしておよそ8億円相当になる金塊はまだ見つからないまま、捕まった犯人の男は地の果てにある「網走監獄」に収容され、そこである方法を用いて金塊の在り処を記したと酒に酔いながら男は杉元に話しました。
何をされても在り処を吐かず、脱獄を防ぐために片足の筋を切られた犯人の男は外へ気づかれることなく財宝の在り処を知らせるために同房の死刑囚たちに入れ墨を掘り埋蔵金のある場所を暗号化しました。
外の仲間にしか分からない暗号で在り処を記した犯人の男は囚人たちに「ここから脱獄しろ」「成功した奴には金塊を半分やる」と言いました。
そして囚人たちに入れ墨が入れ終わった頃にある噂が流れ始めます。
「囚人たちの入れ墨は全員でひとつの暗号になってるらしい」。
そんな噂を聞いた屯田兵のはみ出し者たちは死刑囚を移送することにして強引に監獄から連れ出します。
それをチャンスとした囚人たちは護衛の兵隊を皆殺しにして全員森の中へ消えていってしまったのだと男は話しました。
「それで?」と続きを促す杉元に男は酔って眠りに落ちそうになりながら「脱獄犯は誰も捕まってない。金塊がどうなったかも・・・・誰も」と言いかけて男はいよいよ眠りに落ちてしまいました。
「またいつものホラ話だろ」とその話を信じていない杉元は戦時中のある記憶を思い出していました。
それは友人である寅次とのある会話でした。
寅次には梅子という嫁がいてその梅子の視力は日に日に弱くなっており、その病気をアメリカの名医に治してもらおうと考えていた寅次が計算した費用は軽く見積もって200万円ほどでした。
しかしそれも砂金で当てれば解決すると寅次は言います。
そして急に「戦争が終ったらアメリカと日本の関係は悪くなる」と言い始め、焦った寅次が言った「佐一・・・梅子を頼んだぞ」という言葉に疑問を持った杉元が寅次の方を見ると、寅次の手足はちぎれ腹は裂けて内臓が飛び出していました。
その状態の寅次は「俺は日本に帰れない」と言って黒い水の中へと沈んでいきます。
そこで目が覚めた杉元が火の消えた枝を眺めていると、後ろに銃を構えたあの酒飲みのオヤジが立っていました。
「しゃべりすぎた」そう言う男の銃を掴んでから杉本は銃口を自分の胸に押し当て「試してみるかい、俺が不死身かどうか」と言います。
そして男の隙をついた杉元は掴んだ石で殴り、銃を奪います。
慌てて逃げる男を見て杉元は聞かされた金塊の話に真実味が帯びるのを感じます。
逃げた男を探していると杉元は盛り上がった雪の中にその男が埋まっているのを発見します。
杉元が男を引きずり出すと内臓が抉り取られていて、近くにあった大きな足跡を見つけた杉元は「ヒグマだ」と気がつきます。
そこにあったのはヒグマが食べ残しを置いておく為に作る土饅頭でした。
杉元はその死体にある異変を感じて服を剥ぐと死体の上半身には変わった形の入れ墨が入れられていました。
金塊の在り処を示す入れ墨を発見した杉元は男の死体を担いで行こうとすると背後に巨大なヒグマが現れます。
大きな鳴き声をあげるヒグマを前に銃を構えようとする杉本ですが、銃の負い革が背負った死体の足に引っ掛ってしまいます。
あっという間に距離を詰められ襲われる杉元が「食われる・・・」と思った瞬間、ヒグマの胸に一本の矢が刺さります。
その矢を放ったのは一人のアイヌの少女でした。
放った矢は調合した即効性の毒を仕込ませた毒矢でした。
その矢を受けたヒグマは間もなく倒れますが、少女が倒れたヒグマの腹の中を見て胃が空っぽであることが分かり、あの土饅頭を作ったのは別のヒグマであるということが発覚します。
少女は「この時期に肉が食えるのはマタカリプ(冬に徘徊するもの)だ」と言い、「冬ごもりしそこなって気が荒くなっている危険な熊だ」と言いました。
死体の入れ墨を確保したい杉元はその死体を近くの村まで持っていく考えでいることを告げると、熊は自分の獲物にものすごい執着するからやめた方がいいと言いました。
それはできないと言う杉元に少女は「じゃあお前がマタカリプを撃てばいい」と言います。黙る杉元に「覚悟がないなら早く立ち去った方がいい」「弱い奴は食われる」と言いました。
そんな少女に杉元は死体の入れ墨を見せて男から聞いた金塊の話をした後、少女にヒグマ猟の力添えを頼みました。
その話を聞いた少女は、信じてもらえないだろうと思っていた杉本に「信じる」と言ってから「なぜならその殺されたアイヌたちのなかには私の父もいたから」と話しました。
驚く杉元に「話は後だ」と言って少女は火を焚きます。そのかがり火でヒグマを撃つのだと。そして灯りに照らされた入れ墨を見て少女はあることに気がつきます。
その入れ墨は全て身体の正中線で区切れていて、その位置は鹿や熊を解体する時に毛皮を剥ぐために入れる切り込みの線と同じものでした。
暗号として描かれたその入れ墨が最初から殺して剥ぐことが前提で入れられていたということがここで分かります。
そして杉元と少女はやってくるであろうヒグマを撃つために火のそばで待ち構えていました。
第2話 ウェンカムイ
人間を食った熊は罰として人間しか食べられなくなる。そして人間を恐れない凶暴で危険なウィンカムイ(悪い神)になるのだと少女は言います。
そして熊は必ず来るから火を絶やさないようにと杉本に言い、杉元が木の枝を抱えて火に近付こうと振り向くとそこには大きな熊の姿がありました。
杉元はヒグマの顔を一発殴りますが、全く効いていません。そんな杉元に少女は「下にもぐって腹にしがみつけッ」と指示を飛ばします。
火が消えた暗闇の中、少女はあの毒矢を構えます。暗がりから聞こえた杉元のうめき声を聞いて少女は杉元がやられたと思いますが、そこで「射つなッ俺に当たる」という杉本の声が響きました。
しかし「一か八か射つ」と言って少女は弓を構えます。ヒグマの腹の下にしがみつく杉元はナイフを抜きます。
杉元がヒグマの脇腹を刺したことで体勢が変わり少女が放った弓はヒグマの額に当たり弾かれてしまいます。ヒグマは矢を放った少女の方へと突進していきます。
その少女のピンチに現れたのは白い体毛に覆われたオオカミでした。そのオオカミに触れて「レタラ」と少女は心の中で名を呼びます。
ヒグマの腹の下から逃れた杉元が銃を構えると少女は「その位置からだと心臓はわきの下だ。肩甲骨に気おつけてしっかり狙え」と言いました。
銃弾を受けたヒグマは鳴き声を上げて立ち上がると杉元の上に覆いかぶさるように倒れ込みます。
「殺してみろッ俺は不死身の杉元だ」杉元はそう言って仰向けに倒れて銃を支えて装着された銃剣を突き立てました。
大きな音を立てて倒れたヒグマの下敷きになった杉元に「おい生きているか」と少女が呼びかけると杉元は「生きてる」と言ってズルッと下から出てきます。
杉元がとった最後の戦法は偶然にもアイヌの中で使われる捨て身で危険な技と同じものでした。「よく知ってるな」という少女に杉元は「知らねぇよ、とっさに身体が動いた」と言います。
そんな杉元に少女は「勇気と戦いの才能がある。優秀な戦士だ」と言いました。そして杉元は差し出された手を握り「杉元佐一だ」と言うと少女は「アシリパ」と言ってお互いに名を名乗りました。
それからアシリパは熊をさばきながら金塊強奪事件について知っていることを杉元に話しました。杉元はアシリパに金塊を一緒に探すことを提案します。
しかしアシリパは手掛りとなる囚人の入れ墨は剥がして回収しなくてはならいということに抵抗を感じていました。
そんなアシリパに杉元は入れ墨を持った囚人が隠れて生きていたということはアシリパの父を殺したであろう犯人がまだ監獄で生きていることを示していると話し、役人も金塊が見つかるまで死刑は執行しないはずだと言います。
しかし誰かが金塊を見つければその時点で犯人の死刑は執行される、だから金塊を発見することが父親の敵討ちになるんだと杉元はアシリパに言います。
ヒグマを撃つのを手伝ったのもその為なんじゃないかと言う杉元は、続けて汚れ役は俺がやると言ってアシリパには知恵を貸して欲しいと言いました。
目的の違う杉元とアシリパですが、金塊を見つけるまでの道は同じということもあり二人は囚人の入れ墨を求めて旅を始めていきます。
第3話 罠
アシリパは食料を得るために棒を使ってリスを捕まえる為の「くくり罠」というものを作っていました。
杉元は自分たちと同様に金塊を探している囚人たちが北海道を出ていることは考えにくいとして、人に紛れるために北海道の中でも人口の多い「札幌」「函館」「旭川」そして今自分たちがいる「小樽」に隠れているのではないかと焦点を当てました。
入れ墨をどう探すのかとアシリパに聞かれた杉元は町に出て銭湯に行き、そこで入れ墨の目撃情報を集めようとします。
話しを聞かれた一人の老人は「見たことがない」と答え、それを聞いた杉元が風呂から上がり出て行こうとすると杉元の身体中に刻まれた生々しい傷跡の数々が露わになり、それを見た老人は「あんたそれでよく生きとったなぁ」と言いながら、戦争で南樺太を取り返すことができたことでまた港町は栄えることが出来る、と礼を言って杉元に手を合わせます。
それに杉元は「儲かるのは商人だけだけだろ」と言う言葉を残し風呂場を出て行きました。外ではアシリパが入れ墨を写した紙を持ちながら情報収集のための聞き込みを行っていました。
店前で声を掛けていたところをある店の主人に見つかり、アシリパはつまみ上げられてしまいます。担がれたところでアシリパはナイフを抜いてその柄で主人の目を突きました。
そこを目撃した杉元は「俺の親指をミロ」と言って主人を振り向かせると喉仏を親指で突いて上手く呼吸が出来ないようにします。その上で入れ墨の写しを顔の前に出して「この入れ墨に見覚えは?」と質問しました。
主人は首を素早く横に振ってから、か細い声で「でぼ・・・おなじことを前に聞いてきた男がいだ」と言いました。
町を離れて山に戻ったアシリパと杉元は自分たちを尾行している者がいることに気が付いていました。
しかしそのまま気がつかない振りをして山中へと入っていくアシリパと杉元を拳銃を所持した男が後から追います。
そして男が川に架けられた大きな丸太を越えようとした時にアシリパと杉元が仕掛けた人間用の「くくり罠」に掛かり、紐が首に掛かった状態で吊り上げられてしまいます。はだけた着物からはあの入れ墨が覗いていました。
第4話 のっぺら坊
縛り上げて動けなくした囚人の男に杉元は「他の囚人はどこにいる?」と聞きました。しかしその男は他の囚人についての情報は持っていませんでした。
「何ではぐれた?」という杉元の質問に男は逃げ出した囚人たちが突如殺し合いを始めたのだと話しました。
その話を聞いた杉元は囚人の中に入れ墨を剥ぐ必要があることに気が付いていた者がいたことに気がつきます。
そして「あ?皮を剥ぐ?」と言う男に杉元は改めてその入れ墨は殺して剥ぐことを前提として入れられているのだということを教えました。
囚人たちを狩ろうとしている杉元に男は脱獄計画を仕切っていた者は冷酷で凶暴な「怪物」だぞと告げました。
そして「ウサギでも追っかけてたほうが身のためだぞにーちゃん」と言って挑発する男に杉元は銃を突き付けます。
そこに木の枝を抱えたアシリパがやってきて「オイ杉元ッ!殺さないと約束したはずだぞ。殺すなら私は協力しない」と言いました。
しかし杉元が行っていたのは脅すための演技であり、それに気がつかなったアシリパに「そこは演技してノッてくれないと」と言いました。そして二人は囚人の服を脱がすとその入れ墨を紙に写していきます。
アシリパの父同様に手先が器用なアシリパは上手に入れ墨を写していきました。その中でアシリパは囚人の男に入れ墨を入れた男はどんな奴だったのかと質問しました。
囚人の男は「のっぺら坊さ。俺たちはそう呼んでた」と言い「どういう意味だ?」とアシリパが聞くと男は「顔が無いんだ」と答えました。
そしてその言葉を発した瞬間、男はどこからともなく飛んできた銃弾に頭を貫かれてしまいます。杉元は急いでアシリパを物陰に引きずり込みます。
そして杉元は飛翔音と命中音の後に聞こえた衝撃波の間隔で狙撃者との距離がおよそ360メートルほどであると判断しました。
アシリパは生木を燃やして煙幕を張り、杉元は囚人から奪った拳銃で発砲して牽制します。外套を身に纏う狙撃者は二人を追う途中で、持っていた銃が「くくり罠」に掛かり武器を奪われてしまいます。
そこを叩きに現れた杉元に対して狙撃者の男はタックルを仕掛け、押し倒した際に杉元の銃剣を奪って上から串刺しにしようとします。
生け捕りにするつもりだった杉元も手加減できる相手ではないと悟り、狙撃者の男を弾き飛ばしてから「動くと撃つ」と言って銃を構えますが、狙撃者の男は離れ際に杉元の銃のボルトを瞬時に引き抜いており、杉元の銃は使用不可能になっていました。
それから外套を脱ぎ捨てた相手の姿を見て杉元は「やはり兵士か」と言い、さらにその肩章の連帯番号を見てその男が金塊を追っている屯田兵の部隊であり、さらに陸軍最強と謳われた北海道の第七師団であることに気がつきました。
第5話 北鎮部隊
北の守りを担う陸軍最強の師団は道民から畏敬の念を込めて「北鎮部隊」と呼ばれていました。第七師団の兵士は杉元に所属部隊を尋ね、杉元は「第一師団にいたが、こないだ満期除隊した」と答えます。
雑談を交えながら近づいていく兵士の男は金塊を追うことがどれだけ危険なことか分かっていないと言います。それに杉元は「カネじゃねえ」「惚れた女のためだ」と返しました。
その瞬間、兵士の男は持っていた銃剣で杉元の顔を一刺しにしようとしますが、それを避けた杉元は兵士の胸ぐらを掴んで背負い投げをきめてから銃剣を握っていた方の腕を折りました。
そして奪い返した銃剣で兵士を刺し殺そうとする杉元にアシリパは「杉元ッ!!」と呼び掛けます。その名を耳にした兵士の男は杉元が「不死身の杉元」と呼ばれていた男であることに気がつきます。
そして男は一瞬の隙をついて杉元に目突きを食らわして逃げ出します。杉元は逃げていく男の後頭部に銃を投げつけて気を失わせると、男はそのまま斜面を滑り落ちて崖から川へと落ちていきました。
アシリパは杉元を見て「『不死身の杉元』どういう意味だ?」と聞きます。それに杉元は「俺が戦争で学んだ死なない方法はひとつだけ。殺されないことだ」と答えます。
そして杉元は自分が殺人狂ではないと断った上で、それでも「殺されるくらいなら躊躇なく殺す」と言いました。弱い奴が食われるのはどこの世界でも同じだと。
それからは二人はアシリパが以前からいくつも作っていた「クチャ」という仮小屋を目指します。そして「クチャ」に着くと捕らえていたリスをさばいていきました。
皮を剥いで下ごしらえをするとリスを丸ごとタシロ(山刀)で叩き交代しながらチタタプ(我々が刻むもの)を作っていきました。刻んだ肉を丸めて煮込んだ鍋を二人は食していきます。
「ヒンナヒンナ」と言って食べるアシリパに杉元は「なんだい?それ」と聞きます。アシリパは「食事に感謝する言葉。私たちは食べながら言うんだ」と答えました。
そして崖から落ちて川へと消えたあの兵士「尾形上等兵」は死ぬ寸前のところを本隊に救助されていました。
第6話 迫害
アシリパはまた獣道に「くくり罠」を作り、今度はウサギが獲れるように仕掛けていました。その時、人間用の「くくり罠」が作動して二人目の囚人が掛かります。
その男の入れ墨を写しながら杉元は最初と同様に情報を引き出そうとします。男は質問には答えず「そのアイヌはお前の飼いイヌか?」と言いました。
それに怒った杉元は男の顎を力強く握ります。アシリパは「よせ杉元。私は気にしない慣れてる」と言いました。その言葉を聞いた杉元は自身の過去を思い出します。
杉元の家族は流行病の結核に感染し三人亡くなっていました。
杉元の家には近づいてはいけないと村の中ではきまっており、家の門の前に立つ梅子も母親から「近づいてはいけないと言ったでしょ!」と警告された後に「佐一はもう諦めなさい」と言われてしまいます。
そしてある日、杉元の家は火事になり燃えてしまいます。杉元を心配した梅子が杉元を見つけると「良かった・・・無事だったのね。この火まさか村の誰かが・・・」と言うと杉元は「俺がやった」と言いました。
その日の朝に杉元の祖父が亡くなったことで家族が一人もいなくなった杉元は家を燃やし、梅子の両親が縁談を希望している寅次に梅子のことを任せて村を出て行こうとします。
梅子は涙を流しながら「佐一ちゃん連れてって」と言いますが結核に感染している恐れがある杉元は梅子に「それ以上・・・近づいちゃダメだ」と言います。
そして「梅ちゃんを殺したくない」と言って背を向けて目頭を押さえながら去っていきました。
二年経っても発症しなければ村に戻ろうと考えていた杉元が年月過ぎて村に戻り、そこで見たものは梅子が嫁いでいく姿でした。
アシリパが杉元を呼ぶ声で場面は回想から戻ります。
ウサギを発見した二人が狩りをしようと集中する後ろで捕らえられていた囚人の男は油紙に包んで飲み込んでおいた小さなカミソリを口から吐き出していました。
男の名は「白石由竹」といい「脱獄王」の異名を持つ天才脱獄犯でした。関節を容易に脱臼させられる特異体質を持ち、過去には狭い視察孔からも抜け出したこともありました。
カミソリを足の指で器用に挟んだ白石は自身の拘束を解いていきます。ウサギを捕獲したアシリパが振り返ると逃げていく白石を発見します。
追いかける杉元にアシリパは「杉元ッ深追いするな天候が・・・」と言いますが、杉元は白石を捕まえに走っていきます。杉本が崖を降りていく白石を見つけた時、遠くで銃声のような音が響きました。
音の正体は「ニプシフム(木が裂ける音)」であり、それはマイナス30度の猛烈な寒気が山の上から杉元たちに襲いかかる音でした。
逃げ回る白石と追いかける杉元の二人は知らない内に雪庇の上に出てしまい雪が崩れると崖下へと転がり落ちていきました。
第7話 脱獄王
下に流れる川に落ちた二人は冷水で一気に体温を奪われた上に冷たい外気にさらされて危険な状態に陥ります。
杉元は銃を発砲して火花を起こし火種を作ろうとしますが肝心の銃は崖の上に取り残されていました。
しかし杉元は「絶対に生き抜いてやる。俺は不死身の杉元だッ」と言って川に潜って行き水中に落としたであろう銃弾を探しに行こうとします。
白石はそこで杉元に「協力するから自分を見逃せ」と取引を持ちかけます。しかし杉元は銃弾を見つけない限りどのみち二人とも死んでしまうと言って白石にも早く探すように促しました。
白石はそれでも食い下がりあくまでも取引の成立を重視します。極限状態の杉元は「わかったからさっさっと川に入ってタマを探せえええええ」と声を張り上げました。
それを聞いた白石は口の中から油紙に包まれた銃弾を吐き出し「牢屋の鍵穴を撃って壊す時の備えさ。寒すぎて忘れてた」と言いました。
その銃弾を白樺の樹皮を詰めた木の割れ目に差し込んでから銃剣で衝撃を与えて発火し、動けなくなる前に何とか火を起こすことに成功しました。
火にあたりながら白石は「入れ墨の囚人は全部で24名だ」と話します。そして白石は脱獄を指揮した親玉についても話をしました。その男は「箱館戦争」の敗残兵で旧幕府の侍だと白石は言います。
それから白石は「これはあくまでも噂だがね」と前置きした上で、その指揮をとった男は「箱館戦争」で戦死したとされている新撰組・鬼の副長である「土方歳三」らしいと言いました。
それから最後に白石はのっぺら坊に「小樽へ行け」と言われていたということを杉元に教えます。
乾いた服を着て去っていこうとする白石に杉元は、次はその入れ墨を引き剥がすと脅した上でその「刺青人皮」を戦いに慣れた第七師団も狙っていて奴らは一切情けをかけず殺して皮一枚にするだろうと警告しました。
それに白石は「俺は脱獄王だ」と言って誰に捕まっても煙のように逃げてやると言いました。
一方その頃、第七師団では尾形が意識を戻しその報らせを受けた「鶴見中尉」は見舞いに行くと言って情報収集に動き出します。
1巻はここで終了し2巻へと続きます。