今回は「ゴールデンカムイ」に登場する花沢勇作(はなざわゆうさく)を紹介します。
聯隊旗手を務める眉目秀麗且つ品行方正な人物で、本作の人気キャラクター尾形百之助の弟です。
兄を慕う天真爛漫な弟である一方で、勇敢な軍人としての顔を持ちます。
第七師団長の花沢幸次郎中将を父に持つ軍人のサラブレッドであり、なんと主人公杉元とも意外な因縁が!?
今回はそんな勇作について解説します!
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花沢勇作は尾形の弟?すでに死亡?顔と目は杉元に似てる?初登場回やモデルを調査!
複雑な家庭!?尾形との関係
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いよいよ真打ち!?ラストを務めるは
尾形の弟にして高潔な青年・花沢勇作少尉(初)!
気になる人からお誘いを受けた際にぜひ…! pic.twitter.com/yRwxMmmGtC— ゴールデンカムイ(公式) (@kamuy_official) April 25, 2019
花沢勇作は大日本帝国陸軍少尉で、尾形百之助の異母兄弟です。
モデルは実在の陸軍武官である上原勇作(うえはらゆうさく)さんだと言われているようです。
柴五郎と仲良し学校同期だった上原勇作。第七師団長は『ゴールデンカムイ』の花沢勇作の名前モデルぽいですね。
もろもろを知った結果、門倉は会津ルーツでほぼ確定かな〜とは思ってはおります。まぁ、野田先生が発表するまでわかりませんけど。— 小檜山青 Sei Kobiyama (@Sei_Kobeee) October 3, 2019
尾形と勇作の父親である花沢幸次郎は第七師団長で、物語開始時には既に自刃により他界したとされていました。
幸次郎は元々近衛師団の歩兵第一聯隊長で、浅草芸者との間に子供を作りました。
それが尾形百之助です。
本妻が嫡男の勇作を産むと、幸次郎は尾形の母のところに通わなくなりました。
天皇陛下に直結する近衛師団の者として、なじみの芸者とその子供というのは世間体が悪かったためです。
幼い尾形と母親は、茨城の実家に連れ戻されました。
なので勇作は尾形のことを知らずに育ったようです。
「兄様!」尾形を慕う勇作
そんな勇作は一人息子で、幼いころから兄弟が欲しいと思っていたようです。
尾形が入隊すると、勇作は尾形のことを「兄様」と呼び慕うようになりました。
兄弟とはいえ、士官学校を出た将校である勇作と兵卒の尾形では勇作が目上です。
ゆえに尾形は「規律が緩む」と勇作に注意しましたが、それでも勇作は尾形を兄様と呼ぶことをやめませんでした。
しかし尾形は……?
尾形にしてみれば、これは迷惑極まりないことだったでしょう。
尾形の父は自分と母を捨てたのです。
そんな父の本妻の息子に、部下である自分を兄と呼び馴れ馴れしくしてくるのは気分のいいものではないでしょう。
しかし勇作は注意しても兄と呼ぶのをやめません。
本妻の息子として何不自由なく育った勇作には、尾形の複雑な立場や心境を察することが難しかったのかもしれませんね。
尾形は勇作の天真爛漫な態度に、これが両親から祝福されて生まれた子供なのだと納得しました。
花沢勇作の衝撃の死因とは?
聯隊旗手だった勇作。しかし……?
勇作も父幸次郎同様、物語が始まった段階ではすでに死亡しています。
聯隊旗手として日露戦争に参加し、戦死したのです。
しかし戦死というのは表向きで、実は勇作を殺したのは尾形でした。
二〇三高地の戦場で、尾形が後頭部を打ち抜いて殺したのです。
なぜ尾形は勇作を殺してしまったのでしょうか?
尾形は自分の出自について常に複雑な感情を抱いて育ってきました。
尾形の母は幸次郎に捨てられたことが原因で精神を病んでしまっていました。
幸次郎は尾形の母が作るあんこう鍋が好きだったので、あんこう鍋を作ればまた幸次郎が来てくれると思ってあんこうの獲れる季節は毎日あんこう鍋を作り続けたのです。
あんこう鍋に飽きた幼い尾形はある日猟銃で鳥を撃ち、鍋の材料にするよう母に差し出しましたが、いくら鳥を差し出しても母はあんこう鍋を作り続けました。
尾形は母のあんこう鍋に殺鼠剤を入れて食べさせ、母を殺してしまいます。
それは「母が死んだら父が葬式に来てくれて、最期に母は愛した人に会えるのではないか」と、父の母への愛を試したかったからです。
しかし、母が死んでも幸次郎は葬式には来ませんでした。
連絡を絶っていた妾の訃報が幸次郎に伝わっていたかは不明です。
おそらく伝わっていない可能性が高いでしょう。
しかし、父が母の葬式に来なかったことは幼い尾形にしてみればショックだったのは間違いありませんね。
尾形は、愛情のない両親から生まれた自分は「欠けた人間」だと思うようになりました。
「兄様はそんな人じゃない」その言葉に尾形は!?
尾形の上官である鶴見中尉はアイヌの金塊を奪い軍事政権を樹立することを企み、次々と部下を誑し込んでいました。
尾形もそんな誑し込まれた部下の一人です。
尾形は鶴見の命で、勇作をも鶴見の配下として抱き込もうとしました。
ある夜尾形は勇作を飲みに誘います。
兵営で尾形に避けられているのではないかと思っていた勇作は喜んで尾形についていきます。
尾形は「もう一軒」つきあってほしいと勇作に言いました。
それは女郎屋でした。
勇作は女を知りません。
この時代には「処女はタマに当たらない(睾丸と弾丸をかけている)」というゲン担ぎで兵士がお守りとして処女の陰毛を持つという風習があったのですが、それと同じ意味で聯隊旗手も童貞であることが求められました。
聯隊旗手となるべく育てられた勇作は、父から童貞でいることを命じられており成人しても女を知らないままでした。
ですから女を抱くわけにはいかないのです。
しかし尾形は、「旗手は死亡率が高いのだし、周りが童貞だと信じていればいいから」と勇作にしつこく遊女を抱くことを勧めます。
「男兄弟は一緒に悪さもするもの」と、兄弟を欲しがっていた勇作の気持ちを利用するような物言いで尾形は勇作を誘惑します。
しかし勇作は遊女を抱くことはありませんでした。
鶴見中尉は、そんな勇作について「噂通りのお人柄」と評します。
そして、正義感が強く高貴な血統の生まれである勇作をこちら側に引き込むのは難しいと言いました。
そんな鶴見に尾形は、「血に高貴もクソもない」と言いました。
日露戦争が始まると、戦地で勇作は旗手として勇敢に兵たちを導きました。
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そんな中で、尾形は明け方に勇作を呼び出します。
尾形が勇作がひとりもロシア兵を殺していないことを問い詰めます。
たしかに旗手は皆を鼓舞するのが中心の仕事だが、他の旗手は刀を抜いてたたかっているというのに勇作はなぜそうしないのかと尾形は言いました。
勇作は、天皇陛下から親授された軍旗の死守が大事であるからと言います。
すると尾形は勇作に「旗手であることを言い訳に手を汚したくないのか」と言います。
当然勇作は否定しますが、それならこの男を殺してみろと捕虜を指差します。
もちろん捕虜を殺すわけにはいきません。勇作は戸惑います。
尾形は、「自分は清いまま戦争をやり過ごすつもりか?」「勇作殿が人を殺すのを見てみたい」と言って軍刀を勇作に差し出します。
勇作は「できません!」と叫びました。
父の言いつけで「お前だけは殺すな」と言われているのだと勇作は言います。
勇作と尾形の父である花沢中将は、「軍旗は神聖なものであるから旗手は童貞であるべき」「敵を殺さないことで勇作は偶像となり皆に勇気を与える。何故ならば誰もが人を殺すことに罪悪感を覚えるからだ」と勇作に言い聞かせていました。
しかし尾形は、敵兵を殺した罪悪感など誰も持っていないと言います。
自分は殺した敵に罪悪感など持っていない。皆俺と同じはずだと尾形は主張します。
すると勇作は泣きながら尾形を抱きしめ、「兄様はそんな人じゃない、きっとわかる日がくる」「人を殺して罪悪感を持たない人間がこの世にいていいわけがない」と言いました。
夜が明けると、尾形は戦場の混乱に乗じて勇作の後頭部を撃ち抜き、殺してしまいました。
罪悪感を持ちたくても持てない「欠けた人間」の尾形として、勇作の言葉は受け入れられなかったのでしょう。
しかしそんな尾形は、勇作を殺してから度々勇作の幻覚を見るようになりました。
花沢勇作の母親は元ナース?若き日の杉元との意外な因縁とは?
「童貞を奪え!?」母が命じたお見合い大作戦!
ところで、勇作はこの「ゴールデンカムイ」の主人公・杉元佐一と意外な因縁があります。
杉元は若かりし頃、結核で家族を全て亡くし村を出て物乞いをして生きていました。
そんな中で陸軍士官学校の候補生たちと乱闘騒ぎを起こして、当時士官学校で指導をしていた軍曹の菊田杢太郎(きくたもくたろう)と出会います。
菊田は杉元に食事を与える代わりに、勇作の替え玉として令嬢とお見合いをしてほしいと頼みます。
なぜお見合いに替え玉など頼むのでしょうか?それは勇作の母親が関係しています。
前述したとおり勇作は聯隊旗手となるべく育てられていたのですが、勇作の母である花沢ヒロはそれを望みませんでした。
ヒロは日清戦争の際に広島予備病院で看護婦(女性看護師の旧称)をしていた経験があり、戦争の恐ろしさを良く知っていました。
そんな彼女としては愛する息子を死亡率の高い旗手などにしたくはありません。
ですが軍人の妻である以上、おおっぴらにそれを言うことはできません。
そこでヒロは、結婚媒介所(今でいう婚活センター)を通じて金子花枝子(かねこかえこ)という少女に目を付けます。
花枝子は三菱財閥幹部の令嬢で、華族女学校(学習院女子部の前身)の学生です。
当時の女学生たちは在学中にお見合いをして、結婚が決まれば寿退社ならぬ寿退学をする傾向があり、卒業まで残っているのは行き遅れという扱いを受けました。
女学校は17歳頃で卒業するものなのですが、それまでに結婚できなければ行き遅れだなんていかに現代と適齢期の感覚が違うかわかりますね!(この時代女子は15歳、男子は17歳から結婚できました)
そんな中、花枝子は優秀な女学生であるにもかかわらず縁談がなかなか決まらなくて焦っていました。
勇作の母ヒロは、花枝子に「勇作の童貞を奪ってほしい」と手紙を出しました。
旗手に求められる「童貞」という条件を勇作から奪い、あわよくば花枝子を妊娠させて責任を取らせ、勇作を軍隊から財閥へと引き込もうというヒロの作戦です。
その作戦に気付いた幸次郎は、菊田に解決を依頼します。
師団長の妻が愛国心を疑うような行動をとっている以上、立場的に直接諫めるようなことも難しいのです。
そこで菊田は、勇作とどこか似た美しく品のある若き杉元を替え玉にして花枝子とお見合いをさせ、勇作の童貞を守ろうと考えたのです。
替え玉に陸軍関係者を使えば悪い噂が立ってしまいますから、無関係の杉元は最適の人物でした。
杉元はお見合いに備え、菊田の指導で良家の令息らしい行儀作法を身につけさせられました。
正しい箸遣いやお椀の扱いなど、しっかりと食事の作法を叩き込まれたのです。
これならどんな高級料亭でも大丈夫!……と思いきや、お見合いの会場は帝国ホテルで、出された食事はなんとエビフライ!
和食の作法しか教えられていなかった杉元は、見たこともないであろうフォークを二本持って食べようとします。
窓から覗いていた菊田は慌てますが、花枝子はおふざけだと思って笑ってくれました。
勇作に扮した杉元は、実家でも学校でも和食しか食べていないから慣れていないのだと言って誤魔化しました。
花枝子はすっかり杉元扮する偽勇作を「顔が良い」からとすっかり気に入り、絶対に結婚したいと熱を上げました。
勇作VS偽勇作の杉元!
杉元は最初のお見合いが済んだ後、美味しいエビフライを食べられるお金持ちの生活に嫉妬すると同時に「そもそも花沢勇作自
身は聯隊旗手になることを望んでいるのか?」と疑問を持ちます。
杉元は候補生のふりをして勇作に会いに行き、それを問います。
勇作は、選ばれたら誇りに思うと言います。
しかし杉元は、それは「父親が望むから」ではないか?とさらに問います。
あなたの本音が知りたい、と杉元は勇作に言います。
勇作は「日本のために命をどう役立てるか考えなさい」と父に言われた、自分が最前線に行くことで皆の心のよすがになれたら良いと言いました。
すると杉元は「恰好つけんな」と勇作を往復ビンタしました。
ゴールデンカムイの単行本修正パート、パワーに溢れ過ぎてて怖い。よくここから軌道修正できたな花沢勇作さん pic.twitter.com/8PJTXxfNrK
— 中村 (@nakamuraou) December 17, 2021
帝国ホテルでエビフライを食べたうえでどっちがいいか選べと杉元は叫びます。
当然何のことだかわからない勇作は戸惑います。
病気で家族を失った杉元としては、自ら死地に飛び込むような根っからの軍人の心は理解しがたかったのでしょう。
勇作は候補生時代も品行方正
勇作からしてみればいきなり質問責めされ往復ビンタまでされてなんのことやらと戸惑うばかりで迷惑極まりないことですね。
しかし勇作は決して殴り返したりなどせず周りに助けを求めました。
無駄な暴力は決して振るわない、まさに品行方正な勇作なのでした。
ちなみにこのお見合い作戦は結局勇作が偽物だとバレてしまうのですが、花枝子は偽勇作たる杉元のほうに惚れこんでいたため見事本物の勇作の童貞は守られたのでした。
なんで目が隠されてる?飛び交う考察に最終回で衝撃の顔解禁!ネタバレ!
死に際尾形が見たものとは?
勇作の特徴と言えば、目が黒く塗りつぶされて描かれどんな顔かわからないところですね。
初登場は尾形の回想シーンでしたが、その回想シーンから殺した後の幻影まで、目元が隠されていたのです。
そんな勇作の顔は、最終章で明らかになりました。
金塊争奪戦の中尾形がアシリパの毒矢に撃たれ、毒の効果で錯乱した時です。
尾形が直視した勇作の顔
尾形はまだ死ねないと毒矢を傷口から抉り出しますが、そんな尾形の前に例のごとく勇作の幻が立ちはだかります。
悪霊が邪魔ばかりすると尾形は呟きますが、尾形の頭の中で、尾形は尾形自身と議論を始めます。
悪霊なのか?アシリパに銃を向けるたびに勇作が見えるのはどうしてだ?と。
頭の中の尾形は、「それ」と目を合わせないようにしてきた、向き合おうとしてこなかったと言います。
そのとき初めて勇作の顔がハッキリと描写されます。
【310話】勇作さんの素顔、思っていたよりもノラ坊時代の杉元と似てた【雑記】https://t.co/ligUgXshAN #ゴールデンカムイ #金カム pic.twitter.com/8ZsMJczdT2
— ゴールデンカムイまとめ (@gk_matome) March 23, 2022
頭の中の尾形は尾形自身に、「それ」は「罪悪感」だと言いました。
尾形は罪悪感を持たないのではなく、持っていないと自分に言い聞かせつつ実はしっかりと勇作を殺したことを後悔していたのです。
それを自覚した瞬間、尾形は勇作と向き合い、顔が見えたようです。
最後は勇作の一人勝ち!?
尾形は頭の中で議論を繰り返します。
勇作だけが俺を愛してくれたから。いや殺した後悔などしていない。
罪悪感があるということは自分は愛情のある両親から生まれたということか?
いやでも父は母の葬式に来なかった。
父は母を愛した瞬間があったということでは?
では父が母を愛しているか知りたくて母を殺したのに無意味だったのか?
そんな議論を繰り返している尾形に、勇作の幻影は「兄様は祝福されて生まれた子供です」と言いました。
尾形はその瞬間、自分の眼を自らの銃で撃って自らの命を絶ちました。
死にゆく尾形は、高笑いする勇作の幻影に抱かれていました。
花沢勇作は意外に可愛い一面も?
公式ファンブックで判明したドジな一面
勇敢で高潔な勇作ですが、可愛らしさも持っています。
公式ファンブック曰く、勇作はドッポン便所(当時のトイレは水洗ではなく汲み取り式が一般的)に足がはまってしまい尾形に着替えを借りたことがあるそうです。
可愛いですね!
若き杉元との会話で見せた可愛い一面
候補生のふりをした杉元に絡まれて往復ビンタを受けた時の勇作は、「なんのこと?」「痛い痛い」「誰か助けて」と言いました。
軍人ならば「なんのことだ?」とか「いてえ」「助けろ」などと言いそうなところでこの柔らかな言葉遣い、いかにもお坊ちゃんらしくて可愛らしいですね!