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『青のオーケストラ』8巻は漫画アプリ『マンガワン』で読める
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『青のオーケストラ』8巻 ネタバレ&感想
第48曲 移ろい
~9月下旬~
コンクールまで2か月を切りました。
合奏練習で自分たちの現状が分かった弦楽器パートは課題克服に向けて進んでいます。
合奏練習後、弦楽器の反省会では、羽鳥が「先週の全体合奏よりは良くなってきたと思う。
この調子で引き続き頑張りましょうってことで!」と言い、個人練習の時間になりました。
青野も少しずつ演奏もまとまってきた気がしています。
すると、管楽器の反省会が開かれていた教室から2年の東金が走って出てきました。
その後、他のメンバーも出てきましたが、良い雰囲気ではありませんでした。
東金が練習していると、「さっきのアレはどういうこと?
やる気あんの?」と2年の佐久間が部長に言います。
その後も一方的に佐久間が話し続けます。
すると、「最低ですね。」と青野が横から言います。
「正直そこまでする人だと思いませんでした。
ただ単純にあなたは人を傷つけて楽しんでるだけですよね。」と言います。
しかし佐久間は「何言ってんの?部長と反省会してただけなんだけど。」と言います。
青野は勘違いをしてしまっていたようです。
すると、東金が横で大きな声で笑い始めました。
「1年で佐久間にああやって言える奴はなかなかいないから、私もスッキリした。」と言います。
「さっきの反省会で何かあったんですか?」と青野が尋ねると、「今日の反省会は空気最悪だったよ。
再来週、体育祭じゃん?それの部活対抗リレーの選手決めしてたんだけど、まあ、誰もやりたがらないよね。」と言います。
「結局リレーの選手は決まったんですか?」と青野が聞くと、東金の顔は般若のようになりました。
「佐久間が『もうパートリーダーがやれば良くない?』と言ったから、やらされるハメになったんだよ」と言い、東金は自主練習に戻りました。
青野は帰宅途中、秋音と一緒に帰っています。
「ここ最近はコンクール前でみんなピリピリしてたし、こういう学校行事が入ると息抜きができてちょうどいいよね。」と秋音が言います。
しかし青野は、「体育祭なんてやる暇あったら練習したくね?」と乗り気ではありません。
~翌日~
クラスでは、体育祭の参加競技の割り振りがありました。
くじを引いた競技に参加することになります。
青野は昨日までは憂鬱だと感じてはいましたが、たくさんの友人ができた今は少しワクワクしています。
しかし、くじを引いた結果は、騎馬戦の大将でした。
「絶対無理!」と叫びました。
勘違いをした青野、ドンマイ(笑)
騎馬戦の大将頑張れ!
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第49曲 体育祭
小桜が借り物競争で1位になっているころ、青野は、応援席で小さくなっていました。
「騎馬戦の大将って言ったらお前!集中攻撃の的じゃん!こんなひ弱そうな大将がどこの世界にいるんだよ!」と秋音に言います。
青野がブツブツと言っているとき、山田と佐伯が来ました。
「慰めになるかわかんないけどさ、今回は佐伯も騎馬戦に出るんだよ。」と山田が教えてくれます。
「青野くん、騎馬戦で勝った方がコンクールの座席は『表』ってことで。」と言います。
「なんでだよ」と青野が怒ります。
「そーんな不安がることないって!やってみたら案外楽しいかもよ?」と秋音が青野を送り出します。
そんなこんなで始まると、黄色組の佐伯は開始と同時に足を滑らせ自滅。
青組大将の青野は、全く見向きもされていいません。
結果、最後は逃げ切ることができ、青組の勝利で幕を閉じました。
ついに部活対抗リレーが始まりました。
第1レースのトップに躍り出たのは指揮棒をバトンにした合唱部かと思われましたが、トランペットをバトンにしたオケ部が前に出ます。
オケ部の第一走者は立花です。
第二走者は秋音です。
運動部顔負けで合唱部とオケ部が並びます。
第三走者は羽鳥です。
引退した3年生の先輩からの圧力がありながらも、後続を突き放します。
第四走者は東金です。
1位でバトンを渡されたら嫌でも全力で走らなければならないと文句を言いながらも、後輩からの声援をうけて、走ります。
そして、アンカーの部長に1位でバトンをつなぎます。
しかし、2位の合唱部が追い付いてきます。
“普段の練習に比べたらこれくらい”と思いながら懸命に走るも、結果は僅差の2位でした。
部長がリレーのメンバーに謝るも、羽鳥が「次の勝負が2位じゃ困るけどな。
コンクールまではぶっちぎるぞ!」と気合を入れなおします。
騎馬戦の大将が青野だったのは、敵組には意外だったのでしょうね(^▽^)/
羽鳥は良いこと言いますね!
コンクールまで頑張れ!
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第50曲 課題
~体育祭の翌日~
全体合奏をしています。
先生からは今日もお叱りの声が聞こえます。
「お互いの足を引っ張りあって楽しいか?
コンクールまで1か月を切った今、お前たちの演奏には課題が山積みだ。
まず弦と管が噛み合っていない。これじゃ『オーケストラ』の意味がないぞ。
次に『表現』。この『バッカナール』という曲をいかに理解し、それを演奏の中に落とし込み、どう表現するか。
お前達全員で『バッカナール』を作り上げろ。」と伝えます。
サン・サーンス 歌劇「サムソンとデリラ」よりバッカナール旧約聖書をもとにして作られたオペラの曲、ヘブライ人の英雄・サムソンとペリシテ人の美女・デリラ。敵対関係にある2人の男女の愛と復讐を描く。
「自分達なりに解釈して、それを全員で『共有』しなければ意味がない。
パートごとだけでなく、オケ全体で連携をとるための練習をしよう。」と羽鳥が言います。
~翌日~
管・弦・打楽器全てのパートが少人数で混ざり合ったグループ練習が始まりました。
青野は佐久間と東金、部長と同じAグループです。
Bグループには、秋音と立花、Cグループは羽鳥と小桜がいます。
小桜がよそ見をしていると、羽鳥が声を掛けます。
「よそ見してないで集中しろよ?
それに、この曲は小桜の得意分野だろ?」と言われます。
Aグループでは、「何が足りないか」を知るために、違う楽器の演奏を聴きます。
弦楽器の演奏を聴き終えた菅、打楽器目線の意見を部長が求めますが、誰も言いません。
すると「なまぬるい。」と佐久間が言います。
「この曲が最後に描いているのは『復讐』だ。
『復讐』って聞いてどんな感情を思い浮かべる?『怒り』だろ。
弦楽器の音は強い『怒り』が足りない。だから管楽器より弱っちい音色になるんだろ。
管楽器は今の演奏を聴いて何も思わないわけ?」と言います。
青野はその言葉を聞いて、“相変わらずムカつく”とは思いながらも、どこか納得しています。
Aグループでは、「怒り」について。
Bグループでは、「優雅さ」が必要。Cグループでは、「妖しさ」があっても良い。という意見が出ます。
佐久間の言い方はキツイ気がしますが、良いことは言いますね。
これから各グループがどのように課題を克服するかが楽しみですね。
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第51曲 誘い
Cグループの小桜は前日の部活で、「妖しさ」があっても良いという話があったため、寝る前に色々なことを調べました。
「妖しい」を検索すると、出てくるワードが刺激的でした。そのため、青野に押し倒される夢をみてしまいました。
お昼休みに秋音と小桜が昼食を食べていると、後ろから青野が秋音を呼びに来ました。
楽しそうに笑う秋音を見ていた小桜は、2人が何を話していたか気になります。
しかし、秋音に話の内容を聞いても教えてくれませんでした。
早々に秋音とは別れた小桜は、秋音に嫉妬しています。
放課後、個人練習をしていた小桜が、Cグループでの練習時間になりそうなため、教室を出ると、2年の平良まりあ(オーボエ)がいました。
ソロの練習を先生に見てもらった平良は「お前はデリラの気持ちが理解できてない!」と先生に指摘され、むしゃくしゃしていました。
デリラの気持ちを平良が小桜に聞きますが、小桜は「わからないんです。」と答えます。
「そうなの?小桜さんデリラっぽいのに!」と平良は言います。
「この曲、一応嘘とはいえ男女の『愛』が絡むわけじゃない?だから小桜さんは、実体験を曲に生かすのかな?って思ったんだけど」と平良が言います。
小桜は「恋愛経験ないですよ!?」と焦りながら答えます。
「別に隠す必要ないのに。好きなんでしょ?青野くんのこと。」と平良に言い当てられます。
なんでバレたのか理由を聞こうとしましたが、グループ練習の時間になってしまったため、聞くことができませんでした。
小桜は、一のことを好きなことが皆にバレているのか不安になります。
秋音にもバレているのか気になりますが、変に関係がギクシャクしたくないし、壊したくないと思っています。
小桜は誰にもバレずに平気でウソをつけるデリラをすごいと思います。
デリラは敵であるサムソンに本心を知られないため、「仮面」をかぶって愛を囁きます。
しかし、ここできっかけを掴みます。
デリラも同じ。
サムソンに「秘密」がバレてしまうことが怖かったのかもしれない。
“秘密がバレたら殺されちゃう”
敵対するヘブライ人に自分自身が捕らえられ、己の死が民衆の目にさらされるかもしれないという恐怖があったのかもしれない。と考えます。
図書館で調べ物をしていると、3年生の町井が声をかけてきました。
「最近部活はどう?」と聞かれます。「ちょっと演奏曲で悩んでて」と返します。
「そういえば、最近青野くんとは上手くいってる?」と聞かれますが、小桜は、「すごく今更なんですけど、町井先輩はどうして私に好きな人がいるってわかったんですか?」と聞きます。
「んー。小桜さんを見てたらなんとなく?っていうより私と似てたからかな?自分と重なるっていうか」と言います。
「実は私オケ部に好きな人がいてね」と秘密を教えてくれました。
その時、ちょっとだけあやしく笑う町井が小桜にはどこかデリラと重なって見えました。
小桜は、デリラは強くて完璧な女性じゃなくて、もしかしたら自分と同じで、秘密がバレそうになって不安になったり、ドキドキしたり…
そういう普通の女の子だと考えました。
その思いをのせて演奏をしていると、「いいじゃん!」と羽鳥が小桜が練習している教室に入ってきました。
そして、自分が思う「あやしさ」や自分なりにどう演奏したいかを羽鳥に伝えます。
それを皆の前で話すと、「良いと思う!」と一番に平良が答えてくれました。
その日の帰り道、前方に青野を見つけた小桜は駆け寄ります。
「そういえば、山田くんがコンクール後の話をしてて…」と言い、「小桜さんは何かやりたいことある?」と聞かれ、「ヴァイオリンのメンテナンスに楽器屋さんに行きたいかな。」と伝えます。
すると青野が、「あ!わかる!俺もそろそろ弓の毛替えしないとなー」と言います。
“秘密にするのもいいけど、私達、いつかは進まなきゃいけないよね”と昼間に町井と話していたことを思い出した小桜は、「一緒に行かない?」と青野を誘います。
すると「うん、いいよ。」と青野が答えてくれました。
と思ったら、「じゃあ山田くんたちにも声かけてみるね。また夏祭りのメンバーでいいかな?」と聞きます。
小桜は「そうだね。」と1度は頷くものの、「さっきの楽器屋さんへ行く話だけど、2人でいかない?」と勇気を振り絞って言います。
青野は顔を赤くしながら、「えっと…2人?2人ね…うん。わかった」と答えてくれました。
小桜は、少しだけ、デリラの気持ちが分かった気がしました。
小桜頑張ったね!
青野はもっとしっかりしてほしいですね。
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第52曲 後悔と一歩
秋音が教室に入ると小桜がヴァイオリンを弾いていました。
その姿を見た秋音は“色っぽい”と思います。
そして、自分も頑張るぞ~と気合を入れるも、Bグループの2ndの1年生のメンバーで練習をしている時、立花に「全然ダメ!」と言われてしまいます。
2年のフルート六実つばさ(むつみつばさ)は「Bグループのヴァイオリンは演奏が元気すぎる」と指摘します。
「でも賑やかな曲だし、勢いや激しさも大事だと思うんだけど」と裾野(すその)が言うも、「ギャップが大事。『激しさ』をより際立たせたいなら、『優雅さ』も必要。」と言われてしまいます。
それらを思い出したBグループの2ndの1年生組は、「優雅さがわからない」と口をそろえて言います。
それを聞いた立花は怒ってしまいます。
「わからないなら調べたら?」と言います。
「みんなで考えればいいじゃん。」と秋音が言うも、「コンクールまで時間がないんだよ」と言った後、「ごめん、ちょっと今余裕ないわ」と言って教室を出ていってしまいます。
~翌日~
秋音と立花は調理実習の授業が一緒でした。
クッキーが焼けるのを待つ時間に、秋音が立花に話しかけます。
「佐久間先輩と何かあった?」
「別に何も。」と立花が答えるも、「もしかして好き…とか?」と秋音が言うと、少し怒りながら、「違うわよ!」と顔を赤くして答えます。
クッキーが焼きあがると、秋音が「余ったクッキー佐久間先輩にあげたら?」というと、「あんた、人が嫌がってる部分に踏み込んでくるのやめたら?そういうの本気で不愉快。」と立花が言います。
秋音は無言で立ち上がり、どこかへ行ってしまいます。
少し言いすぎたことを立花が反省していると、秋音が「ごめん!」と言いながら、紅茶を持ってきてくれました。
「私、人との距離感掴めない奴でさ、自分でも直さないとなって自覚してて、次から気を付けるね」と言って、笑顔で隣に座りますが、秋音の手が震えていることを立花は気づきました。
「キツイ言い方してごめんね」と立花が謝ります。その後も続けて、「佐久間先輩とは同じ中学だったの。うちの潮凪北中学は管弦楽部の強豪校で、毎年ずっと金賞を獲り続けてる部活だったの。私が2年の時に佐久間先輩が部長になったの。もちろん佐久間先輩の代も金賞だった。佐久間先輩が推薦してくれて、それから私が部長になった。」
「期待されてたんだね」と秋音が言うと、「だからこそよ。だからこそ私はあの人に謝らなきゃいけない。私の代はコンクールで金賞を獲れなかったの」
~立花が中学3年生のころ~
金賞獲れて当たり前。
立花自身もみんなもそう思っていました。
しかし、ずっと指導していた顧問の先生が産休に入って、臨時の先生は専門外でした。
立花は「練習が遅れている子は昼休みに集めよう」、「練習メニューを変えよう」など、様々なことを提案し、実行していました。
しかしすべては気合の空回りでした。
そのころの立花は頑張ってるつもりの、ただの独りよがりでした。
コンクールの結果は銅賞。
コンクールが終わった時、同級生には「正直みんな立花に振り回されてたんだよ。」と言われました。
ずっと皆に我慢させてたんだ…と、ようやく気付きました。
その日の放課後、秋音は立花と一緒にバッカナールを合わせようと誘います。
始める前に立花は秋音に「優雅にね」と注意します。
秋音は「優雅」という言葉を聞いたときに思い浮かんだ人がいました。
体験入部の時に演奏をしている立花です。
秋音と立花がバッカナールを演奏していると、佐久間が遠くからリズムをとってくれました。
演奏が終わると、立花が「さっきの演奏、ちょっと姿勢が前のめりになってたよ。姿勢は基本中の「き」だからね!」と注意をしてきました。
その晩、秋音の携帯に、立花からのメッセージがありました。
『今日は心配してくれてありがとう。演奏もすごく上手になっててビックリした。優雅に引けてたよ』
佐久間が部長だったことに少し驚きますね。
最後の立花はツンデレでかわいいですね!
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第53曲 怒り
コンクールまであと10日って時に、青野は風邪をひいていました。
自分がサムソンになって、両目をつぶされる夢を見るくらいに焦っています。
『熱は下がった?』というメッセージが佐伯から届きました。オケ部の練習がどうだったかを聞くと、佐伯から電話がかかってきました。
今日も全体合奏があったけど、先生には『良くはなってきている。が、まだ主題の激しさや力強さが足りない。お前たちの怒りはなんだ?全員が揃うまでしっかり話し合え。』と言われたこと。
その後、全体での反省会もあったけど、パートリーダー達が話し合っていただけで、具体的な解決策は出なかったこと。そして、「意外だったのは、佐久間先輩が珍しく何も言わなかったんだよね。」と教えてくれました。
2日間休んだ青野は、中庭のベンチで昼食を食べていると、隣のベンチには佐久間がいました。
挨拶をした青野に佐久間はこの曲の『怒り』について考えてみた?と聞きます。
その問いに青野は「まだ考え中です」と答え、「佐久間先輩はどんな時に『怒り』を感じるんですか?」と聞きます。
すると佐久間は様々な人を例に挙げます。
それを聞いていた青野は、「言いたいことを言えて気持ちいいですよね!他人を使ってストレス解消?みたいな…言われた相手がどんな思いをするかも考えないで」と言います。
「じゃあ青野くんは、自分が『怒り』を感じる相手にずっと黙ってるんだ?青野くんは人を選んで発言するよね。僕にはこれだけ言えるくせに、みんなの前になると途端に黙り込むタイプでしょ?青野くんに限った話じゃないけどね。」
「なんのこといってるんですか?」と青野が聞くと、「口無しの人たちのことだよ。何も言わないで、他人の意見に乗っかるだけの残念な人たちがいるじゃん。
そういう人たちを見てるとイライラするんだ。
我慢にも限界があるからね。」と言いました。
青野は、「我慢」という言葉にきっかけを得ました。
青野は、その日の放課後のAグループの練習で青野が考えた「怒り」を演奏をしました。
その後、ミーティングが行われる教室へ移動中に佐伯が青野に話しかけました。
「全体では上手くいかなかったかもしれないけど、何か表現したいことがあるんだなって伝わってきて良かったよ。」と教えてくれました。
「でも、それじゃだめなんだよな」と青野は呟きます。
ミーティングでは、主題にあるサムソンの「怒り」についてオケ部全員で議論することになりましたが、パートリーダー達だけが話し、他の人は発言しません。
コンマスの羽鳥も「他の人の意見も聞きたいんだ。」と問いかけますが、誰も発言する人はいません。
青野は、佐久間が言っていた「口無しの人たち」のことがようやくわかりました。
そこで、思い切って青野が「怒り」について話し始めます。
「サムソンはデリラに裏切られて捕まって、目を潰されて拷問を受ける。こんなことされたらもう、怒り以上に『憎い』はず。
そして力を取り戻したサムソンは最後、兵士も民衆も関係なく皆殺しにする。
さっきのAグループの合奏練習ではあえて、怒りを『溜める』弾き方をしました。
堪えて堪えて、エネルギーを溜めながら膨らんでいくイメージです。」と懸命に伝えます。
その後のミーティングは怒りのイメージが具体的になり、議論も活発化しました。
帰りの電車内、1つだけ席が開いていたところに一が座ると、隣の席には佐久間が座っていました。
佐久間が青野に話し始めます。
「今日のミーティングのことだけど、『やっとか』ってカンジだよね。100点ではないけど、みんながイメージ掴めたみたいだからよかったけど、青野くんの発言があと1秒遅かったら…「我慢の限界ですよね?」」と途中で青野が割り込みます。
「時間がないんだからさ、君はこれからAグループのコンマスとしてガンガン皆を引っ張るつもりでやるんだよ?」と言われますが、「でもまあ、今日は割と良かったけどね。」と言って佐久間は電車を降りていきます。
佐久間が座っていた席には、秋音が座りました。
そのまま一緒に帰宅途中、「青野のおかげで方向性は決まったね」ってみんな褒めてたよ?と言われ、少し嬉しそうにしています。
青野は、新しい海幕オケ部の音を遠くまで響かせるんだ。と決意を新たにしました。
空気が重たい中での発言ほど嫌なことはないですよね。
青野は頑張りました!
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第54曲 コンクール
11月3日日曜日。コンクール本番を迎えました。
リハーサルの10分前までは各自チューニングをし、練習をしています。
青野は、全体を見渡します。静かな緊張感があるけど、わくわくしています。
観客席には3年生達の姿がありました。
3年生の元コンマス原田は「新鮮だね。客席からの景色はこんな感じだったんだ。」と言います。
「どこの学校もすごい」と3年生達は感心しています。「後輩を信じていないわけではないけど、不安になる。」と話しています。その中で原田は、「僕は何も心配してないよ。コンクールが近いし、オケ部はどんな感じか羽鳥に聞いたら、『俺を甘やかさないでください!あんたは過保護すぎる!』ってバッサリ。
ついお節介しそうになっちゃったのがバレた」と笑いながら話します。
「だから今日は、僕も観客として楽しもうと思うんだ。受験勉強の息抜きにもなるし。」と言います。
リハーサルを終えた海幕オケ部に先生は、「お前たち顔が固いぞ。深呼吸しろ。」と言い、全員深呼吸をします。
「お前たちの代はどの代よりも、褒める回数が少なかったと思う。でも俺がいちいち口を挟まなかった理由はわかるか?それは、部員が主体的に動かなかったからだ。『誰かがやってくれるから』皆がそう思い、本来ならできることも成せずに終わる。いつまでも他人任せなお前たちに失望することもあった。」と厳しい言葉で言います。
そして「なぜ今、俺がこんなことを言うかわかるか?」と聞くと、ニッと笑いながら、「ここで緊張しておけば、これ以上緊張することはないだろ?」と言います。
部員たちは大きく息を吐いて、緊張が解けました。
羽鳥は「ひっでぇやり方」と非難しますが先生は、「お前たちが変わったのは知っている。もう先輩たちに負けてない。それを証明しに行こう。」と声をかけます。
部員は大きな円陣を組み、大きな声で「一音一会!」と再度気合を入れなおします。
場内のアナウンスが海幕オケ部を知らせます。
部員が入場してきた姿をみた原田は体を前のめりにし、手を握って見守ります。
先生はめちゃくちゃ厳しいですね(;_:)
さあ、いよいよ演奏です!
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