アニメ化・実写映画化もされた人気マンガ『ジョジョの奇妙な冒険』。
今回は、そんな『ジョジョの奇妙な冒険6部ストーンオーシャン』に登場するプッチ神父の最後や、スタンド能力、目的や壮絶な過去などについてご紹介します。
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- ジョジョの奇妙な冒険 2部 戦闘潮流
- ジョジョの奇妙な冒険 3部 スターダストクルセイダース
- ジョジョの奇妙な冒険 4部 ダイヤモンドは砕けない
- ジョジョの奇妙な冒険 5部 黄金の風
- ジョジョの奇妙な冒険 6部 ストーンオーシャン
- ジョジョの奇妙な冒険 7部 スティール・ボール・ラン
- ジョジョの奇妙な冒険 8部 ジョジョリオン
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プッチ神父の初登場エピソード紹介!
『ストーンオーシャン』のラスボス、プッチ神父。
今までのジョジョのラスボスとはかなり毛色の違う人物です。
彼のスタンドである「ホワイトスネイク」はかなり序盤から登場しているのですが、本体であるプッチ本人が初めて顔を見せるのは三巻の中盤。
ホワイトスネイクの能力によって知性とスタンド能力を植え付けたプランクトンの集合体「フー・ファイターズ」と、主人公である徐倫の戦いの直後です。
そのあまりにも奇抜すぎるヘアスタイルと、神父という身分や穏やかな物腰のギャップに、初見だと相当なインパクトを受けます。
プッチ神父とDIO(ディオ)の出会いや友情とは?
プッチ神父の目的は、DIOを葬った空条承太郎から記憶を奪い取ることです。
プッチのスタンド「ホワイトスネイク」は、殴った相手の「記憶」と「スタンド能力」をディスクにして取り出すことができるのです。
そうまでして奪いたい「記憶」とは何か。
それはプッチとDIOの過去における関わりに端を発します。
『ストーンオーシャン』という物語の開始より約20年前。
当時、神学校に通う学生だったプッチの前に、DIOと名乗る男が現れます。
場所は教会の納骨堂。
一般の客は立ち入り禁止だと注意するプッチに、DIOは「自分は太陽アレルギーなので日没までは居させて欲しい」と言います。
「そういう事情があるなら仕方がない。神父様には黙っておくよ」
そう言って何事もかったかのように去ろうとするプッチを、思わずDIOは呼び止めます。
これまで闇に潜む吸血鬼として、さんざん他者を利用したり殺したりしてきたDIOにとって、何の打算もなく親切にしてもらったのはかなり久しぶりのことだったようです。
あるいは、ジョナサン・ジョースターのことでも思い出したのか。
定かではありませんが、「神父の卵」と「吸血鬼」の奇妙な友情は、このときより始まりました。
DIOはエジプトでタロットカードになぞらえたスタンド使いの軍団を組織する傍ら、ちょくちょくプッチに会いに行っていたようです。
ダラダラと寝っ転がりながら雑誌を読みつつプッチと他愛無いおしゃべりをするDIOの姿は、ジョジョの読者からするとかなり衝撃的な情景ではあります。
あるときDIOは言いました。
「天国に行く方法があるかもしれない」
そのためにはプッチの協力が必要だというのです。
理由は後述しますが、このときプッチは「人は人を救えない。人を救えるのは神だけだ」という悲観的な考えを持っていました。
ゆえに、DIOの突拍子もない話に可能性を感じます。
天国にいくための方法は、DIOが一冊のノートにまとめていました。
しかしプッチがそれを読む前にノートは焼却されてしまいます。
その焼却した人物こそがDIOを打倒した空条承太郎だったのです。
承太郎は間違いなくノートを読んだはず。
ゆえにプッチ神父は執拗に承太郎の記憶をディスク化して奪おうとしているのです。
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プッチ神父のスタンド能力は最強?
スタンド能力は一人に一つが原則ですが、DIOが示した「天国」を目指す過程で、プッチの能力は劇的な変化を遂げてゆきます。
最初のスタンド「ホワイトスネイク」。
DIOに貰った矢に貫かれて発現した最初のスタンドです。
相手の「記憶」と「スタンド能力」を円盤状のディスクに変えて抜き取る能力を持ちます。
それぞれのディスクを別の人間に挿し込むと、記憶やスタンドを与えることができます。
主に囚人たちにスタンドを与えて主人公にけしかける用途に使われていましたが、それ以外にも応用法は多岐にわたります。
第二のスタンド「C-MOON」。
承太郎の記憶を読み取り、「天国」への手順を踏んでいった果てに発現したプッチの新たなスタンド。
DIOの生まれ変わりとも言うべき「緑色の赤ん坊」と、プッチ神父が融合することでこの世に現れた存在です。
重力の方向を狂わせる能力を持ち、終盤の舞台であるケープ・カナベラル一帯を惨劇に陥れます。
第三のスタンド「メイド・イン・ヘヴン」。
C-MOONの能力で重力を操り、新月の重力環境に等しい位置に至った結果発現した、プッチの最後のスタンド。
世界すべての時間をどこまでも無限に加速させてゆく力を持ち、第一部『ファントムブラッド』から連綿と紡がれてきたジョジョワールドを終焉に導く存在です。
メイド・イン・ヘヴンとプッチだけは、時の加速から制約を受けずに行動できるため、他の人間からするとプッチがいつまでも超スピードで動き回っているように見えます。まさに無敵。
ここまでプッチ神父のスタンド能力の変遷を見てきましたが、ホワイトスネイクは人間の「認識」を操作し、緑色の赤ん坊のスタンドは「空間」を歪め、C-MOONは「重力」を意のままにし、メイド・イン・ヘヴンは「時間」を支配します。
「時間」「空間」「重力」「認識」。
これらすべてを掌握した個人であるプッチ神父は、世界の根幹に関わり、干渉し、終わりへと導くに相応しい存在と言えるでしょう。
プッチ神父の目的は?悲惨な過去や弟との確執とは?
さて、なぜプッチ神父はDIOの提唱する「天国」をここまで強く求めたのでしょうか。
それは、弟であるドメニコ・プッチとの関わりから生まれた感情と思われます。
エンリコ・プッチとドメニコ・プッチは双子の兄弟として生を受けました。
生まれた病院で並んで寝かされていると、赤ん坊の遺体を抱えた女性がやってきて、遺体とドメニコを取り換えてしまいました。
この女性もまた、同じ病院で赤ん坊を出産したのですが、死産となってしまい、その事実を受け入れられなかったがために、よその家の赤ん坊と入れ替えてしまったのです。
エンリコ・プッチは、死んだ双子の弟がいるということを聞かされながら成長してゆきました。
やがて第三子である妹ペルラ・プッチも誕生し、ごく普通の幸福な少年時代を過ごします。
あるとき、神父見習いとして教会の掃除をしていると、懺悔室の向こうから女性の声が聞こえてきました。
まだ正式な神父の資格を有していないプッチが告解を聞くのは良くないことでしたが、この女性はいますぐ苦しみを吐き出したいようでした。
まぁ自分が黙っておけばいいだろうと思い、話を聞いてあげるプッチ。
なんとその女性は、我が子の遺体をドメニコと取り換えた、あの女性だったのです。
ドメニコだった少年は、ウェス・ブルーマリンという名前で立派に成長しているというのです。
女性は取り換えてしまったことに深い罪悪感を覚えていましたが、真実を明らかにすれば息子を失ってしまう。
だから懺悔に来たというのです。
話を聞くうちに、それが自分の死んだはずの弟の話であることを確信するプッチ。
しかし、同時に非常にまずい事態が発生します。
なんと、プッチの妹ペルラが、ウェス・ブルーマリンと恋仲になってしまったというのです。
もちろん、二人はお互いが血を分けた兄妹であることを知りません。
――妹を傷つけるような結果だけは避けなければならない。
そう決意したプッチは、探偵に金を掴ませ、実妹と実弟の恋を終わらせるよう依頼します。
妹が受けるであろう傷を、「どこにでもある平凡な失恋」として済ませるために。
しかし、依頼を受けたこの探偵は、白人至上主義を唱える団体のメンバーでした。
そして、ウェスを育てたブルーマリン家が黒人の家系であることを突き止め、「白人と黒人が付き合うなど許しがたい」と暴走。
もちろん、入れ替えがあったのですからこれはまったくの誤解なのですが、探偵にはそんなこと知る由もありません。
ペルラの目の前で凄惨な暴行を加えられ、絞首刑に処されるウェス(ドメニコ)。
何も知らないペルラは、恋人の死に絶望し、身投げをして後を追いました。
水死体となって引き上げられるペルラを前に、プッチは慟哭します。
「呪われるべきはこの私なんだッ!」
いったい誰が悪いのか? 探偵か? しかしプッチがすべての事実を話していれば、探偵とてこんなことはしなかったでしょう。
では自分なのか? こんな結末だけは世界で一番望まなかったというのに?
あるいは入れ替えた女性なのか? 我が子を失った痛みに耐えられなかったことが罪だとでも言うのか?
なぜ入れ替えられたのが自分ではなくドメニコだったのか?
なぜドミニコとペルラは出会ってしまったのか?
なぜ自分は神父を目指してしまったのか?
最低の現実であるにも関わらず、この現実を望んだ者は一人もいませんでした。
この経験から、プッチは「人は無力だ。人が人を救うことはできない。人を救えるのは神だけだ」という悲観的な思想を培ってしまい、それがDIOの提唱する「天国」への傾倒となっていったのです。
そして、死んだと思われていたドメニコにはかすかに息がありました。
ここから、エンリコとドメニコの確執は始まったのです。
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プッチ神父の最後は死亡?結末解説
メイド・イン・ヘヴンの力で徐倫一行を全滅させ、時間をループさせて「一巡後の世界」にやってきたプッチ神父。
そこでは、全人類が自分の人生のすべてを知っている世界です。
自分がどう生き、誰と出会い、どんな病気を患い、どのように死ぬのか。
すべてあらかじめわかっています。
徐倫と仲間たちを皆殺しにし、「天国」の完成を妨げる因縁を断ち切った神父でしたが、唯一エンポリオだけは仕留め損なっていました。
この状態で時の加速が開始した時点まで戻ると、エンポリオ生存の事実が運命として確定してしまいます。
その少し前の時点で一旦加速を切り、今度こそ確実にエンポリオを仕留めるべく神父は動きます。
未完成とはいえ、「天国」はすべて定まった運命によって動く世界です。
目に見えない運命に縛られ、思うように行動できないエンポリオ。
この運命に対し、自由に行動する権利を持っているのはプッチだけでした。
ゆえに悠々とエンポリオを追い詰めます。
ところがこの瞬間、プッチの放った攻撃が、エンポリオの所持していたディスクに命中します。
勢いのままエンポリオの頭蓋に挿入されてゆくディスク。
それは、神父の弟であるドメニコが遺したスタンド能力「ウェザー・リポート」のディスクでした。
エンポリオはウェザー・リポートを駆使して高濃度酸素を生成し、その毒性によって神父を行動不能に追い詰めたのち、壮絶な連続攻撃によって神父を葬ります。
ただひとりだけ運命から自由であったがゆえに、「エンポリオに弟のスタンドが宿る」という本来の運命にはない結果を引き寄せ、それによって敗れていったプッチ神父。
その最期は、妹を死に追いやった自らの過ちから端を発する因縁の結論でもありました。
『ジョジョ』プッチ神父の名言集!
「人に対して何かをしてあげるということは……全て「見返り」を期待しての行為だ。人に親切にするのは自分も親切にしてもらうためであり、無償の愛というものはない。無償の愛とは……天国に行くための「見返り」だからだ」
プッチと徐倫が初めて直接邂逅したときの言葉。
過去の絶望から来る暗い人間観が現れています。
「落ち着け……心を平静にして考えるんだ…こんな時どうするか……2……3……5……7……落ち着くんだ…「素数」を数えて落ち着くんだ……1311……1917……「素数」は1と自分の数でしか割ることのできない孤独な数字……わたしに勇気を与えてくれる……」
プッチ神父は追い詰められた時に素数を数えることで冷静さを保とうとする奇妙なクセを持っています。
頭の体操としては間違いなく有用なので、マネしてみるのもいいかもしれません。
「人が敗北する原因は…「恥」のためだ。人は「恥」のために死ぬ。あのときああすれば良かったとか、なぜ自分はあんな事をしてしまったのかと後悔する。「恥」のために人は弱りはて、敗北してゆく」
妹ペルラの死の原因となってしまった過去を知った後に読むと、かなり悲痛なセリフです。
「「らせん階段」……! 「カブト虫」! 「廃墟の街」! 「イチジクのタルト」! 「カブト虫」! ……『ドロローサへの道』! 『カブト虫』! 「特異点」! 「ジョット」! 「天使(エンジェル)」! 『紫陽花』! 『カブト虫』! 『特異点』! 「秘密の皇帝」!!」
DIOの生まれ変わりとも言える「緑の赤ん坊」を前にして、DIOから伝え聞いた「十四の言葉」を発するプッチ神父。
何らかのパスワードのようなものですが、それぞれの言葉の意味は不明です。
繰り返される言葉があったり、「」と『』が混在していたりと、非常にミステリアスです。
「安っぽい感情で動いているんじゃあないッ! 「人」は天国に行かなくてはならないッ! 目指したものは全ての人々をそこへ導ける! おまえらはそれを邪魔しているんだ……少しばかりの人間が犠牲になったからといって……「どこへ行かれるのですか(ドミネ・クオ・ヴァディス)?」 おまえは磔刑だ――――ッ!!」
人類救済のためなら手段を選ばぬ外道ぶり。
人に絶望し、人を犠牲にしながら、人を救うことに執着し続けている。
プッチ神父の歪みが色濃く出たセリフです。
「そしてそれこそ『幸福』であるッ! 独りではなく全員が未来を「覚悟」できるからだッ! 「覚悟した者」は「幸福」であるッ! 悪い出来事の未来も知る事は「絶望」と思うだろうが、逆だッ! 明日「死ぬ」とわかっていても「覚悟」があるから幸福なんだ! 「覚悟」は「絶望」を吹き飛ばすからだッ! 人類はこれで変わるッ! これがわたしの求めたものッ! 『メイド・イン・ヘヴン』だッ!」
一巡後の世界でエンポリオを追い詰めながら言い放つ壮絶な思想。
全人類に自らの生涯すべてを自覚させ、それをもって救いであるとするこの主張は、普通の生涯を送る我々には今一つピンとこないものです。
しかし、我々が人生で受けるストレスのうち、「過去への後悔」と「未来への不安」がどれほど大きなウェイトを占めているかを考えれば……
その二つが一切ない人生というものを想像してみれば……
多少はプッチの悟りに迫ることができるのかもしれません。