「血の轍」の主人公・長部静一（おさべせいいち）の実母・長部静子（おさべせいこ）は何故普通の母親とは違った過保護の毒親へとなったのでしょうか？
原作の最終章で明かされた静子について徹底解説していきます。
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【考察】静一の母親・長部静子ってどんな人？生い立ちや過去は？
過保護な静子。そんな静子はどんな家庭で育ったのか？
血の轍の主人公、長部静一の母親の静子は親戚から過保護だと揶揄されるほど静一にべったりな育児をしていました。
実の子に対して異様な態度をとり続ける静子はどんな家庭で育ったのでしょうか？
静子は幼少期の頃に両親と祖父の家に暮らしていました。
その頃は両親の仲も良く幸せに暮らしていましたが、静子の母親は祖父の家で暮らしことに不満がありました。
そして静子と両親は祖父の家から出ていくことになります。
その頃から両親の関係は悪化、日々言い争いをするようになっていきます。
静子はそんな二人から怒られるようになっていったのでした。
そんな険悪な家庭の中で静子には妹が生まれます。
妹は生まれながら体が弱く、母親は妹の看病に付きっ切りでした。
そして大事にされる妹とは対照的にいらない子とまで言われた静子。
静子が育った家庭は親から大切にされず妹と比較されるような場所だったのです。
静子の過去・機能不全家族からの脱出、一郎との出会い
妹とは対照的に蔑ろにされてきた静子は中学の頃に演劇に出会い、女優になることを夢見ます。
そして女優になるため上京した静子はもう実家には戻らない決意をします。
しかし女優になる為に上京したのに静子は中々劇団の門を叩けずにいました。
そのまま女優の道に進むことなく普通に東京で就職してしまった静子はある日劇団の公演である男と出会います。
それが後の夫であり静一の父親である一郎だったのです。
二人は付き合うようになりそして一郎が家業の会計事務所を継ぐタイミングで静子にプロポーズをし、静子はそれを受け入れました。
結局静子は憧れていた女優の道に一度も進むことなく一郎と結婚したのでした。
静子は美人なのか？実は静一が美化している？素顔や本当の顔は？
いつまでもキレイなままの静子。静一の見てる世界？
静子は中学生の息子がいるとは思えないぐらい若々しく美人に描かれています。
最初は読者もその美しい静子の容姿に疑問など思っていませんでした。
しかし、その静子の美しく若々しい姿は静一の見てる世界の静子だったのです。
幼い頃より精神的に静子に支配されてきた静一は見たいものしか見ておらず、静子を実年齢よりずっと若々しく美しい世界で見ていたのでした。
その証拠に静一の視点からではない過去の回想で出てきた静子は歳相応の姿をしておりました。
老人になった静子。しかし静一には昔の姿のままで？
従兄弟のしげちゃんを殺した罪で少年院に行くことになった静一。
出所後から実に23年ぶりに静子に再会する事となりました。
ある日自らの命を終わらせようとした静一の元に1本の電話がかかってきました。
それは静子が警察に保護されたという電話です。
静一の両親の一郎と静子はとっくの昔に離婚しており、一郎も亡くなっていたので絶縁状態の静一に電話がかかってきたのでした。
静一は警察からの電話を無視できずに静子の元へと行きます。
そこには昔と変わらず美しい姿のままの静子が居ました。
静一は23年の時が経とうとしても未だに静子に精神を支配されているようでした。
未だに自分の見たい姿でしか静子を見れない静一でしたが、痴呆症になった静子の面倒を見るうちに静一の目には静子が年相応の老人に見え始めてきました。
逮捕されてしまった静子！なぜしげちゃんを突き落としたのか？
静子は逮捕されるのを望んでいた？警察が来るのを心待ちにする静子
機能不全家庭で育った静子は一郎と結婚して静一を生んでもずっと気持ちが寂しいまま一人ぼっちな心持のままでした。
一郎の姉（しげちゃんの母親）に子供はいいものだと言われて静一を生んでも特に心情の変化は訪れなかった静子。
しかしそのうち自分の寂しさを埋めるように静一にどんどん干渉していく過保護へとなっていくのでした。
そんな静子は静一以外の家族は表面上は上手く付き合っていましたが本心では嫌で嫌で仕方ありませんでした。
そんな時に親戚ぐるみでハイキングに行く話になります。
そこで静一のいとこのしげちゃんは静一をトイレに誘い二人っきりで崖の方に行きました。
静一を心配して二人の後を追ってきた静子はしげちゃんが崖の上でふざけて崖から落ちそうになるところを間一髪で助けます。
しかし次の瞬間、静子はしげちゃんを崖から突き落としました。
その姿を見て絶句する静一。
その後家族と合流ししげちゃんを助けに行きますが、しげちゃんは命はあるものの重体です。
静子はしげちゃんの母親に向かって「助けられなくてごめんなさい」と懇願し、しげちゃんは自分で落ちたのだと証言しました。
静子がしげちゃんを落とした心情は漫画内では語られていません。
しかし一命をとりとめたしげちゃんの証言で静子が突き落としたと分かった時、静子は警察に捕まることを心待ちにしていました。
「この家から連れ出してくれる」とるんるんだったのです。
静一がしげちゃんを殺したことで、証拠不十分で不起訴に！
しげちゃんの証言で、息子を突き落としたのが静子だと確信したしげちゃんの両親は静一の家に押しかけてきて静子に謝罪を要求します。
そこに静一も乗り込み自体は修羅場へと発展しましたが静子は一言「警察にいきましょう」と強く言います。
こうして自らの意志で警察に捕まることを望んだ静子。
静子が警察に連れていかれる事を必死に抵抗した静一ですが、静子を離れて暮らすようになり静子からの支配も洗脳も抜けて心穏やかな日々を送っていたある日、静一の元にしげちゃんがやってきます。
正常な状態ではないしげちゃんに連れ出されて丘の上の公園に行きます。
その公園が静一が3歳の頃に静子に突き落とされた場所ということで静一の精神は衰弱し混乱の末しげちゃんを丘から突き落としてしまったのでした。
そのことによりしげちゃんは死んでしまいました。
静一がしげちゃんを殺した事により、静子に突き落とされたという証言がもうしげちゃんから取れなくなってしまいました。
静一がしげちゃんを殺してしまったことにより、静子は証拠不十分により不起訴処分へとなったのでした。
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静子の現在は？認知症老人になってしまい？最後は死亡？考察ネタバレ
２３年ぶりの静子と静一の再会。静子は認知症になっており？
静一がしげちゃんを殺して23年後、静一は出所し36歳になり日々工場の仕事と家の往復を繰り返していました。
ある日静一は自らの命を絶とうとした日に警察から電話があり23年ぶりに静子と再会する事となりました。
痴呆症の静子はアパートに一人暮らしをしていましたが家賃を滞納して大家のことを困らせていました。
静子を引く取りたくない静一は家賃を立て替えて、静子に「二度と会わない」といい去ります。
しかし、静一は再度静子の家の前まで行ってしまいます。
静子に頼まれ猫探しをし、その後静子の部屋に招かれます。
その日から少しづつ静一は静子の家で過ごすようになります。
二人の穏やかな日が続いてはいましたがある日静子は階段から転倒してしまいます。
高齢な事もあり、その後は静一は静子を引き取って介護することに決めたのでした。
弱り、ほどけゆくママの姿を、一番間近で観察し続ける…これが今、自分がしたいこと。そして静一と静子は、最後の対峙を迎える…！
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静子は静一を愛していたのか？最後はどうなった？
静子の介護をするために静子のアパートも引き払い自宅で静子の介護をする静一。
そんな静一と静子、最後の親子の対話が始まりました。
ある日静一が見た夢で若いころのキレイな静子がテーブルをはさんで静一と向かい合っています。
夢の中の静子は「黙ってないで何か言ったら？」と静一に問いかけます。
静一と静子は今まで言えなかった思いのたけを放っていきます。
そして静一は静子に「愛してくれなかったあなたを憎んだ」と伝えます。
その言葉を聞いて静子は大笑いします
「私はずっと愛してたよ」
その言葉を聞いて静一は
「僕もあなたを愛してるよ」
と伝えます。
そして静子は「じゃあね、静一」と言ったところで静一は目を覚まします。
横で寝ていた静子は息を引き取っていました。
そんな静子をみて「死んだ」と言って笑いだすのでした。
その後の静一の人生は静子への執着や洗脳などから解放された穏やかな日々を送ることとなったのでした。
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